16mm SL 前後になる。貝殻は均一に茶褐色で堅牢。2、3本の太い螺肋があり、螺肋の間には太さの異なる間肋がある。成長脈は螺肋をまたがり希に立つ。内壁は雄では黄色がかった橙色、雌では黄土色。
エゾボラモドキの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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魚貝の物知り度
★★★★
知っていたら達人級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★★★
非常に美味
分類
軟体動物門腹足綱前鰓亜綱真腹足目エゾバイ科エゾボラ属外国名
学名
Neptunea intersculpta (Sowerby Ⅲ,1899)漢字・学名由来
漢字 蝦夷法螺擬、擬蝦夷法螺 Standard Japanese name / Ezoboramodoki
由来・語源 平瀬與一郎の命名。エゾボラに似ているため。「法螺」は巻き貝のこと。「蝦夷」は現在の北海道など北国を表す。
記載者のGeorge Brettingham Sowerby III (ジョージ・ブレッティンガム・サワービー 1843-1921)はイギリスの博物学者でイラストレーターである。Sowerby家は三代、貝類の書籍を出している。地方名・市場名 ?
生息域
海水生。水深180メートル〜500メートル。
鹿島灘以北、北海道〜ベーリング海。
エゾボラモドキは太平洋にいるエゾボラ属と考えている。チヂミエゾボラと同種であるとされるが、形態的には日本海、太平洋沿岸で貝殻の形態が異なる。生態
ー基本情報
螺塔が高く貝殻に厚みの堅牢なものは北海道オホーツク海から鹿島灘に生息しており、チヂミエゾボラは日本海の深場に多いと思っている。両種は貝殻の質なども違い、水産的には別の種とされていて、ここで同種とするのは難しい。ここでは太平洋側の個体を述べる。
多くが北海道道東から入荷してくる。比較的のっぽで明るい褐色をしている。入荷量は比較的多く、生食用のエゾバイ科の巻き貝の中ではエゾボラに次いで高い。
水産基本情報
市場での評価 エゾボラ(マツブ)に準じて値段が高い。入荷量は少なめ。
漁法 カゴ漁
主な産地 北海道ほか選び方
原則的に生きているもの。持ち重りして、蓋などを触ってよく動く、もしくは急激に引っ込むもの。味わい
旬は不明
足(刺身にする部分)はクセがなく、ゴマ状の模様もなく刺身にして美しい。
生で甘みがあり、食感もいい。
ワタなどから濃厚なだしがでる。栄養
ー危険性など
テトラミンは主にNeptunea(エゾボラ属)の巻き貝の唾液腺に含まれる。足を割るとクリーム色の柔らかなゼリー状の物体がある。これが唾液腺。ここにテトラミンが含まれている。Neptunea(エゾボラ属)以外にはスルガバイ(エゾバイ科エゾバイ属Buccinumのスルガバイ、フジツガイ科のアヤボラなどにも含まれる。発症する唾液腺の量は個人差がある。食べると後頭部の激しい痛み、目眩、酒に酔ったような状態になり、吐き気、眼底の痛みをともなう。食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
エゾボラモドキの料理法・レシピ・食べ方/生食(刺身)、煮る(煮つけ、酒蒸)クリックで閉じます
エゾボラモドキの刺身 貝殻の一部に穴を開ける。巻き貝のいちばん硬い部分というか筋を切る。こうすると足にフォークを刺すと簡単に引き出せる。唾液腺を取り、最初はただただ揉む。ある程度ぬめりが出たら塩を加えて仕上げ揉みをする。よく粗い、水分を切り、薄く切りつける。貝らしい風味とうま味、こりこりした食感が楽しめてとてもうまい。
エゾボラモドキのわたの煮つけ 刺身にしたときの、足以外の部分を使う。消化器官のある部分を取り去る。わたの先の方を集めて、酒・醤油・砂糖を煮立てた中で煮汁を絡めるように煮る。意外にあっさりした中に強い甘味・うま味が感じられる。クリックで閉じます関連コラム(料理法・レシピ)
マツブなどテトラミンのあるエゾボラ属の仕込み
ツブなど(エゾボラ属)は基本的に剥き身にして、足の中心部分にある唾液腺をとってから料理する。 唾液腺にはテトラミンが含まれる。 テトラミンは死亡例はないものの・・・ 続きを開く好んで食べる地域・名物料理
ー加工品・名産品
ー釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
協力/黒住耐二(千葉県立中央博物館)
『日本近海産貝類図鑑』(奥谷喬司編著 東海大学出版局)