タグ「食用貝類基本のキ」のコラム一覧 | 市場魚貝類図鑑

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ナガニシとイトマキナガニシは味は同じ

神奈川県小田原市小田原周辺で食用とする巻き貝はサザエやクボガイ・バテイラ類、アワビ類など磯ものと呼ばれるもの。ボウシュウボラ、ヤツシロガイなどで、非常に種類が少ない。これに刺網で揚がるナガニシ類(イトマキボラ科ナガニシ属)が加わる。ナガニシ類の同定は非常に難しいが、ナガニシとイトマキナガニシの2種としていいと思っている。水揚げ量が少ないために、小田原では食用にしていなかった。ただし、一日に2、3個必ず揚がるので、知る人ぞ知る、となっている。これを青木太一さん、『すし処 海攻(Carry on)』にいただく。イトマキナガニシ科のナガニシ類は味は同じである。量的にいちばん多いのは日本海のコナガニシであるが、これが「夜泣き貝」として珍重する広島県にも送られている。コナガニシ、ナガニシ、イトマキナガニシの味は同じである。巻き貝の中でももっとも甘味が強く、食感が程よく、貝らしい風味もある。問題は身(足)以外は食用にならないことで、今回いただいた6個でも、3人前あるかないかだ。非常に小さいけど、味は特大である。一度食べたら忘れられない味と言ってもいいだろう。広島県、石川県七尾、鳥取県境港で歩留まりが極端に悪いのに好まれているのは、味のせいだ。
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アカガイ産地食べ比べ5 播磨灘産

アカガイの産地別比較を整理しているところです。以後改訂を繰り返していきます。・アカガイ産地食べ比べ 番外編 中国産アカガイの刺身・アカガイ産地食べ比べ1 東京湾富津産アカガイ・アカガイ産地食べ比べ2 山口県産アカガイ・アカガイ産地食べ比べ3 徳島県産アカガイ・アカガイ産地食べ比べ4 新潟県岩船産アカガイ・アカガイ産地食べ比べ5 播磨灘産アカガイ本ページ東京都豊洲市場は国内でもっとも値の張る水産物を扱っている。すし屋だらけの東京ではアカガイはこれまた、豊洲場内でもっとも重要な水産生物で、日本全国から最高峰のものがやってくる。現在の最高峰は宮城県閖上・渡波、西日本の瀬戸内海周辺、大分豊前海で、それに準じるのが三河産だと思っている。今、豊洲でいちばん高値がついているものを集めてるが、兵庫県播磨灘産はいくつか集めた中でももっとも高値をつけていた。兵庫県の方に聞いたら、「県内でも西部の網干あたり(姫路市)でとれたものじゃないか」という。殻長10cm・165g前後で、すし屋が好んで使うサイズである。このあたりを揃えて送り出してくる産地が高評価を得る。それにしても高い。都内の高級店では最低でも1かん、3000円はくだらない値段である。アカガイは1個の値段で1かんのすしの値段が推測できる、のでわかりやすい。
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アカガイ産地食べ比べ4 新潟県岩船産アカガイ

アカガイの産地別比較を整理しているところです。以後改訂を繰り返していきます。・アカガイ産地食べ比べ 番外編 中国産アカガイの刺身・アカガイ産地食べ比べ1 東京湾富津産アカガイ・アカガイ産地食べ比べ2 山口県産アカガイ・アカガイ産地食べ比べ3 徳島県産アカガイ・アカガイ産地食べ比べ4 新潟県岩船産アカガイ本ページ・アカガイ産地食べ比べ5 播磨灘産アカガイアカガイはフネガイ科リュウキュウサルボウ属の二枚貝だ。貝殻は真っ白だけど褐色の殻皮(貝殻を覆う膜)で覆われ、黒い毛が生えているので、とても薄汚れて見える。北海道南部から九州、ロシア沿海州、中国黄海・渤海、東シナ海までの内湾の泥っぽい浅場にいる。新潟県村上市岩船の底曳き網に物は試しにと、明徳丸さんにいただいてきた。日本海側にアカガイの産地はない。たぶん浅い泥場が少ないせいだろう。とにもかくにも新潟県村上市岩船沖のアカガイは貴重である。非常に味のいいアカガイだった。香りもあるし、渋甘味もある。食感も申し分がない。ただし、残念なことに赤みが弱い。この色だと、都内では売れない。今回の1個体だけでは岩船のアカガイの評価はできない。また行きますので、くださいね。できれば数個体手に入れて食べてみたい。
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アカガイ産地食べ比べ3 徳島県産アカガイ

アカガイの産地別比較を整理しているところです。以後改訂を繰り返していきます。・アカガイ産地食べ比べ 番外編 中国産アカガイの刺身・アカガイ産地食べ比べ1 東京湾富津産アカガイ・アカガイ産地食べ比べ2 山口県産アカガイ・アカガイ産地食べ比べ3 徳島県産アカガイ本ページ・アカガイ産地食べ比べ4 新潟県岩船産アカガイ・アカガイ産地食べ比べ5 播磨灘産アカガイアカガイはフネガイ科リュウキュウサルボウ属の二枚貝だ。貝殻は真っ白だけど褐色の殻皮(貝殻を覆う膜)で覆われ、黒い毛が生えているので、とても薄汚れて見える。北海道南部から九州、ロシア沿海州、中国黄海・渤海、東シナ海までの内湾の泥っぽい浅場にいる。東京都内で閖上産(宮城県名取市)が喜ばれ、高値をつけたのは入荷が安定していること、大きさが揃っていたことからだ。そこに愛知県産、大分県産や山口県産などが混ざってはいたが、入荷が不安定だった。この閖上至上主義が根底からくずれたのは、悲しむべきことではあるが東日本大震災のためだ。徳島県徳島市沖洲の市場はなんども見ているが、アカガイがまとまって揚がっているのを見ていない。豊洲(東京都豊洲市場)で見つけて少しびっくりした。徳島に電話したら、とれているという。漁獲量に波があるようなのだ。殻長10〜11cm ・165g前後は豊洲でいちばん高値をつけるサイズである。ちなみにこの日、最高値をつけていた播磨灘産(兵庫県)、宮城県渡波(宮城県石巻)と同じ値段をつけていた。刺身は特上の味だった。同日に比較した閖上産と比べても、違いはほとんどない。アカガイらしい香りが鼻に抜けるし、苦甘さが非常に強く、後味が短いけど、舌においしい感覚が残る。このクラスになると比べようがないとしかいいようがない。
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アカガイ産地食べ比べ2 山口県産アカガイ

アカガイの産地別比較を整理しているところです。以後改訂を繰り返していきます。・アカガイ産地食べ比べ 番外編 中国産アカガイの刺身・アカガイ産地食べ比べ1 東京湾富津産アカガイ・アカガイ産地食べ比べ2 山口県産アカガイ本ページ・アカガイ産地食べ比べ3 徳島県産アカガイ・アカガイ産地食べ比べ4 新潟県岩船産アカガイ・アカガイ産地食べ比べ5 播磨灘産アカガイアカガイはフネガイ科リュウキュウサルボウ属の二枚貝だ。貝殻は真っ白だけど褐色の殻皮(貝殻を覆う膜)で覆われ、黒い毛が生えているので、とても薄汚れて見える。北海道南部から九州、ロシア沿海州、中国黄海・渤海、東シナ海までの内湾の泥っぽい浅場にいる。江戸前握りのすしダネとしてはもっとも重要なものだ。アカガイがないと、のれんが出せないというすし屋も少なくはない。昔、『すきやばし次郎 旬を握る』(単行本は1997年)という本に閖上アカガイを絶賛する文章が載っていた。当時、「閖上」はワープロソフトで変換できなかった、それほど目立たない地名だった。この書籍以後、「アカガイは閖上」というのが一般にも一人歩きし始める。なぜ閖上なのか? 築地場内で珍重されたのは東京湾産だったが、これが宮城県産に取って代わったのである。場内の仲卸の経木の座布団の上には圧倒的に宮城県産が多く、「閖上」の文字があっちこっちにあった。宮城県産は、中国産ほどではないが、入荷が安定していた。一定の大きさで例えば1かんの握りにちょうどいいものが揃っている。貝殻が薄めで鮮度もいいし、身がふっくらしているし香りもいいので、高いのは当たり前だった。これが激変したのは2011年3月の東日本大震災である。悲しいことに閖上が被災し、供給がとまったのだ。国内においてもっとも需要圧のある東京で、もっとも需要の高い春に閖上からアカガイが来ないのですし屋は大打撃を受ける。そこで、国内の産地の見直しが始まり、瀬戸内海周辺や大分県からアカガイがやってくるようになる。写真は山口県宇部市産である。山口県の瀬戸内海側は宇部市だけではなく、アカガイの生息しやすい河川の流れ込む入り江、泥場が多い。ちなみに築地の時代はアカガイはアサリの4倍から5倍くらいの値段だった。これは今も変わらない。山口県産アカガイの値段は今、アサリの5倍以上の値段をつけるので、復活した宮城県閖上と変わらない、ということになる。貝殻の特徴はころんとしていて、殻が薄いことだ。
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アカガイ産地食べ比べ1 東京湾富津産アカガイ

アカガイの産地別比較を整理しているところです。以後改訂を繰り返していきます。・アカガイ産地食べ比べ 番外編 中国産アカガイの刺身・アカガイ産地食べ比べ1 東京湾富津産アカガイ本ページ・アカガイ産地食べ比べ2 山口県産アカガイ・アカガイ産地食べ比べ3 徳島県産アカガイ・アカガイ産地食べ比べ4 新潟県岩船産アカガイ・アカガイ産地食べ比べ5 播磨灘産アカガイアカガイはフネガイ科リュウキュウサルボウ属の二枚貝だ。貝殻は真っ白だけど褐色の殻皮(貝殻を覆う膜)で覆われ、黒い毛が生えているので、とても薄汚れて見える。北海道南部から九州、ロシア沿海州、中国黄海・渤海、東シナ海までの内湾の泥っぽい浅場にいる。取り分け、東京湾(江戸湾)のアカガイは有名だったし、たぶん19世紀初めに江戸前握りずしが完成したとき以来のすし種だ。江戸前のアカガイは最初は隅田川河口域、やがて千葉県方向に産地を移していく。千葉県浦安(市川市)、船橋、検見川(千葉市)、袖ケ浦、木更津、富津とだんだん江戸城から離れていく。すし種でアカガイを「検見川」というのは日本橋魚河岸(1600年前後〜関東大震災の1923年くらいまで)と東京築地での呼び名でもある。現在、閖上(宮城県名取市)が一般には有名だが、本来は東京湾こそ本場だったのだ。1960年後を知るすし職人は「昔の青柳は使いやすい大きさで貝殻が薄かった」という。ちなみに築地市場(現豊洲市場)の仲卸の創業者には、浦安や船橋出身者が少なくない。これも、主に千葉県の業者がすしダネとしてのアカガイなど二枚貝を主として扱っていたことによる。
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アカガイ産地食べ比べ 番外編 中国産アカガイの刺身

アカガイの産地別比較を整理しているところです。以後改訂を繰り返していきます。・アカガイ産地食べ比べ 番外編 中国産アカガイの刺身本ページ・アカガイ産地食べ比べ1 東京湾富津産アカガイ・アカガイ産地食べ比べ2 山口県産アカガイ・アカガイ産地食べ比べ3 徳島県産アカガイ・アカガイ産地食べ比べ4 新潟県岩船産アカガイ・アカガイ産地食べ比べ5 播磨灘産アカガイアカガイはフネガイ科リュウキュウサルボウ属の二枚貝だ。貝殻は真っ白だけど褐色の殻皮(貝殻を覆う膜)で覆われ、黒い毛が生えているので、とても薄汚れて見える。北海道南部から九州、ロシア沿海州、中国黄海・渤海、東シナ海までの内湾の泥っぽい浅場にいる。10年くらい前、知り合いのすし職人をつかまえてはいろんな話を聞いた。都下(東京都24区以外)のすし屋にある春の日に来た若い客が、「やっぱりアカガイは閖上ですよね」、というので「違いますウチのはニーハオです」と言ったら変な顔をしていたらしい。それでもつまんだか、つままなかったかは知らないが、夜、1人前4000円(税込み)で閖上(宮城県名取市)産が出せるわけがない。閖上という言語が一人歩きしているのだ。しかも国内産地で閖上が最上位ではなくなっているのである。ということで今回の味見も中国産である。3月の中国産アカガイはボクには極上である。アカガイは香りだ、と思っているが、いいと思うな中国産アカガイの香りも。身(足)の甘味もひものうるわしくコリコリ感もいい。今年は、5年振りに日本中のアカガイを食べてみることにしたけど、中国だって充分うまいのである。問題は産地毎に比べてどうかだ。ちなみにアカガイといったら日本酒である。岐阜県多治見市の三千盛の本醸造は辛口すぎた。
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サラガイか?アラスジサラガイか? 白貝は2種類

八王子総合卸売センター、福泉に厚岸から「白貝」が来ていた。「白貝」は北海道などで「ほっきがい(ウバガイ)」と一緒にとれる。「白貝」が来ているということは「ほっきがい」の漁期でもあるということだ。今、流通上、「白貝」とされている二枚貝を同定するときの検索項目の整理をしている。たぶん、この国に住む人の0.01%すらわからない話だが、たまにはこんな話もしてみたい。「白貝」はとても普通の食用貝で関東各県、東京のスーパーではそれほど珍しくはない。1990年代にはこんなことはなかった。比較的珍しかったといっても間違いではない。なぜ、スーパーに並ぶ機会が増えたのか?アサリがとても危険な状況に置かれていて、急激に減少しており、それをおぎなっている中国、朝鮮の産地も決して安泰ではないからだ。さて、この「白貝」には2種類の二枚貝の総称だが味はまったく同じである。別に2種類を1種類と考えてもなんら問題はない。でも、ボクには意味がある。ちなみに貝の収集家にも意味がない話なので、「白貝」の検索項目を調べているのは、国内で数人くらいかも。今、市場で「白貝」の荷を見つけると、目をつぶって、これはアラスジサラガイ、これはサラガイと3個ずつ選び、その通りであることを確かめるということをやっている。別に難しいことではないが、目を開けてまざまざ見るよりも正確に区別できる。貝殻の撮影をして中間的な個体を探しているので、同定は早くなければならない。写真は2種類のニッコウガイ科サラガイ属、市場で「白貝」とされる二枚貝である。非常においしい貝なので、同定などしないで日常的に食べてほしいものである。
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安楽島のイワガキでフライを作ったら目から鱗だった

三重県鳥羽市安楽島、出間リカさんに送って頂いた貝類の中にイワガキが入っていて、大小あって、大を蒸し、小をカキフライにした。これが想像以上のおいしさだった。あまりにもおいしくて、今夏はイワガキのフライを何度も作った。イワガキとマガキは近縁種なのでそんなに違いはない、と思っていたのが大間違いだった。
ゆでサザエ
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安楽島のサザエはゆでるだけでうまし!

サザエでもっとも簡単な料理法は、塩ゆでである。今回は、三重県鳥羽市安楽島、出間リカさんに送って頂いた貝類の中にサザエがたっぷり入っていた。撮影していろんな料理にしたが、たっぷり入っていたので、何個かをそのまま水洗いして水を張り、塩を加えた鍋に入れて火をつけた。たぶん約8分くらいゆでてそのまま鍋止め(鍋のまま冷ます)する。ゆで汁は吸物程度の塩分濃度である。このやり方は昔々、防波堤釣りで川奈港(静岡県伊東市)に通っていたことがあり、そこでお昼ご飯を一緒に食べていた(引退した)漁師さんに習ったもの。島根県隠岐では少量の水分で蒸すという話を聞いたが、要はゆでるだけなので、さほど深く考える必要はない。最近までやや濃い目の塩水で煮ていたが、最近薄味でもいいと思うようになっている。ふたの隙間に貝剥き(貝棒)を入れて軟体部分を取りだし、砂を噛んでいたらゆで汁で洗う。あとは酢みそでもいいし、意外にそのまま食べてもおいしい。ルール無用なので好きなように食べるといい。ちなみに知り合いの居酒屋オヤジのおすすめはタバスコ&マヨ(ネーズ)だ。醤油で食べてもいい。ちょっと変だけど、ウスターソースで食べてみた。これが変だけどうまい。ときどきサザエは苦みだなんて通っぽいことを言う人がいるが、そんな人にはワタだけ食べてもらってもいい。ボクは通などになりたくもなし(一応一茶風に)、なのでワタの苦みはちょっぴりでいい。このどうにでもしてね、というのがサザエのよさだ。
ツバイの塩ゆで
コラム

和名が消えるかもわからない、ツバイ

ツバイは小型の巻き貝なので主に煮つけや塩ゆでで食べられている。身(軟体)は取りだし安く、煮ても軟らかく、甘味が強い。ワタに苦みがなく味わい深いので子供にも人気がある。安い上に、甘味があるので日本海側ではおやつとして食べたという人も少なくない。
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難易度高めのオニサザエ

三重県鳥羽市安楽島、出間リカさんに送って頂いた貝類の中にオニサザエが入っていた。せっかくなので「食用貝類基本のキ」を書く。オニサザエは食用貝だが、認知度はきわめて低い。知っていたら学者級である。オニサザエはアッキガイ科テングガイ属の巻き貝だ。この属の巻き貝は国内に約16種いるが、大型は総て食用貝である可能性が高く、おしなべて味がいい。本種は房総半島・能登半島以南の浅い磯(岩礁域)に生息している。褐色で岩そのものの色合いで黒褐色で、非常に刺々しい。棘はざらついて長い。ちなみに同じアッキガイ科テングガイ属のオニサザエ、センジュモドキ、ガンゼキボラの3種は同じように浅い岩礁域にいて、同じ食文化を作っている。手に入れていないがセンジュガイもそこに入ると思われる。4種は非常に似ていて、貝の同定に熟達していないと区別がつかないので、よくとり違えられていることも知って置くべきだ。ただし実見した限りでは、いちばん小売店などで見かける機会が多いのがオニサザエで、また地方名も多い。『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)とボク自身が集めた呼び名を整理するとその特徴が浮かんでくる。「棘」や「針」、「鬼」がつく名前が多いのは棘だらけだから。鳥羽市安楽島の「がんこーじ」は直感的だが「岩」に関係しているでは、と考えている。同様な例では「岩ぼら」がある。「さざえ」と呼ぶ地域があるがこれも「細石」の転訛だとしたら石のことだ。「鬼の手拳」、「鬼の手ご」なども貝殻が非常に硬いことと、その刺々しいところから来たのだろう。
コラム

アカガイ、サトウガイ、サルボウガイの比較

食用リュウキュウサルボウ属3種の比較。愛知県一色はいまだに浅瀬が健全な状態で保たれている。東京湾も昔はこうだったのだろうという、そんな生き物が現に存在している。江戸前、東京湾には古くは干潟にサルボウガイがいて、少し沖にアカガイがいた。東京湾でも外湾にはサトウガイがいたのである。今、この3種は生息しているものの、ほぼ水揚げがない。余談になるが、サルボウガイとサトウガイの模式標本産地(学名がついたとき基準とした標本)は東京湾、アカガイはなぜか北海道となっている。対するに一色には今回のリュウキュウサルボウ属(アカガイ属)3種が漁業の対象として成り立つほど生息している。3種の比較。値段。このサルボウガイ、サトウガイ、アカガイの値段は、サルボウガイがいちばん安く、サトウガイが真ん中あたり、アカガイがいちばん高い。特に国産のアカガイは非常に高価で、市場で見かけるのは中国産ばかりとなっている。3種の比較。足の色。サルボウガイは黄色みの中に赤みが差す。サトウガイは黄色みは弱いが赤みもそんなに強くない。アカガイは赤みが強い。3種の比較。味。3種とも非常においしい。サルボウガイ、サトウガイは味が似かよっている。サトウガイの方が大きくなるので高いだけかも知れない。アカガイも味では上の2種とあまり変わらない。問題はアカガイならではの香りである。この香りだけで財布の紐が緩むと言ってもいいだろう。項明水産、鈴木項太さんに感謝致します。項明水産https://komeisuisan.com/
郷土料理

小さいけど非常に美味、ミクリガイ

ミクリガイの仲間(エゾバイ科ミクリガイ属)は、主に煮て食べる巻き貝である。煮て食べる巻き貝には、同じエゾバイ科の「磯つぶ(エゾバイ)」、「白ばい(エッチュウバイ)」、バイ科のバイなどがあるが、味の点ではこれらを凌ぐと思っている。比較的通好みの、知る人ぞ知る、といった巻き貝だが、この小さな巻き貝のことも知って置いて損はないだろう。ミクリガイの仲間の巻き貝はみな小さいく、模様が様々でとても美しい。本州、四国、九州の比較的暖かい浅い海域で至って普通に見られる。食用となるミクリガイ属はミクリガイ、九州東シナ海側のクロスジミクリ(ミクリガイとされることが多い)、ミオツクシ、シマアラレミクリ、トウイトガイ、マユツクリガイなどだ。ときどき市場流通もするが、産地周辺で消費されることが多い。このわずかに市場流通していたものが、ここ十年来、より希なものとなっている。明らかに生息数が減少しているのだと思うし、浅場のカゴ漁など貝をとる漁が衰退しているのもある。そして最大の、減少の原因は、日本列島の海岸線の乱開発だと思っている。沿岸域の浅場では、今、巻き貝など軟体類だけではなく、魚類も減少傾向にある。ミクリガイの仲間で比較的見かける機会が多いのはミクリガイだ。ときどき全国流通もするが、同種内での色・模様や形の変化が大きい上に、非常に地方名が多いため、貝専門の仲卸(市場の魚屋)にすら認知度が低い。また、近年、プロの料理人の水産物への関心が、ますます薄れている気がする。今やプロといえども、目立つものには強い関心を示すのに、地味なものには無関心なのである。流通が不安定なものは儲からないので、ミクリガイの仲間には興味がわかないというのもあるだろう。■写真は愛知県西尾市一色産ミクリガイ。
コラム

「磯つぶ」とはエゾバイのことである

巻き貝は、一般的な生活をしていると食用として遠い存在でしかない。唯一身近な存在がサザエだと思うが、他になにか、というと出てこない人が多いはずだ。そんな食用巻き貝の代表的なもののひとつがエゾバイである。エゾバイはエゾバイ科エゾバイ属エゾバイ(Buccinum middendorffi、市場では「磯つぶ」)なので、「蝦夷=北」の「蛽=巻き貝」を代表するものと言っていいだろう。貝殻の巻き始めを上にして立てたときの長さは5cmほどなので、とても小さい。小石のようにごつごつして貝殻が硬い。『日本近海産貝類図鑑 第二版』(奥谷喬司編著 東海大学出版局 20170130)に東北以北の潮間帯(潮の満ち干で海水に使ったり干上がったりする浅場)に生息しているとあるが、東北に本種がいるとは思えない。探せば見つかる程度にはいるのだろうか? 主な産地は北海道太平洋側である。北海道日本海側にはいないはずだし、内浦湾(噴火湾)からの流通も見ていない。ちなみに日本の貝類図鑑は主に貝の収集を行っている人達のために作られている。貝殻偏重で、その貝自体に興味のある人のためではない。北の貝は収集の対象ではないので、かなり長いこと北の貝に関しての、生息域などなどの進歩が見られないのが残念でならない。
料理法・レシピ

「ほらがい」、ボウシュウボラ・ナンカイボラの下ろし方

ホラガイ科ホラガイ属の巻き貝は国内に2種。琉球列島にいるホラガイと、ボウシュウボラである。ボウシュウボラには深場にいるタイプがあってナンカイボラとされている。この2タイプは味が微妙に違うが、日本各地で区別しないで「ホラガイ」と呼ばれている。ともに貝らしい強い食感があり、貝らしい風味が強い。巻き貝を食べている、という感じが強くする。ボウシュウボラの方が食感が強く、貝らしい風味も強いが、どちらもとてもおいしい。写真はナンカイボラタイプだ。
コラム

貝類の同定は大変であーる、一色の貝類

愛知県西尾市一色から連れて帰ってきた貝殻に埋もれて、時間を忘れるし、食事は金ちゃんヌードルだし、で大変だった。過去の写真データ在庫まで遡る必要があるので、計4日間も要した。
コラム

Neptuneaは苦痛の種

ちょっとだけ面倒な貝の話なので、わかる人だけに。八王子卸売協同組合、舵丸水産にきていた「真ツブ・赤ツブ」を同定する。北海道根室産だが、当然、太平洋側だろう。Neptunea(エゾバイ科エゾボラ属)の巻き貝はいたって普通の食用貝だけど、同定しようとすると、とてもやっかいである。今回の、Neptuneaは非常に小型で殻長(貝殻を立てたときの高さ)は90〜110mmしかない。比較的同定しやすいものばかりだけど、エゾボラモドキは北海道道東らしい形態である。クリイロエゾボラも幼貝だけど、疑問の余地がない。真ツブ(エゾボラ)も貝殻の形態は安定している。フジイロエゾボラは同じようなものにウネエゾボラ、ウスムラサキエゾボラ、ドウナガエゾボラがいるが、このあたりの検索項目に関しては、北海道まで行き、専門家と議論してみたいところだ。写真は上3つがフジイロエゾボラ、下左端がエゾボラモドキ、左から2番目がクリイロエゾボラ、下の右2つがエゾボラ(真ツブ)。
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コタマガイの話

北海道から九州の外洋に面した砂浜に生息している。ハマグリと同じマルスダレガイ科の二枚貝で、少しだけハマグリに似ているが、一回り小さい。貝殻が正三角形に近く厚みが薄い。独特の模様があるが、とてもバラエティに富んでいる。標準和名(図鑑に掲載されるときの名)コタマガイは、正しくは「こだまがい」で東京周辺で使われていた呼び名である。漢字にすると「小玉貝」だが、由来はいろんな説があるがはっきりしない。成長すると貝殻の大きさが7㎝超える。なんだ7㎝かと思われるかも知れないが、二枚貝としては大きい方だ。国内ではいたって平凡な食用貝で、たぶん水揚げ量もそれほど少なくない。不思議な二枚貝で、ある日突然、砂浜に大量発生することがあり、ニュースになったりする。我が家に初めて来たのは何十年も前のことで、知人のまた知人というか見知らぬ人から大量に送られてきた。たぶん鳥取県の方からで、こちらもニュースになっていたようで、浜辺は本種を探す人だらけだという。渚を裸足で歩いていると、足の裏に貝が当たり、それこそごろごろと見つかる。ただし、そんな騒ぎも貝と一緒にあっと言う間に消えてしまう。秋田県の方にももらったことがあるし、宮城県からも送られてきたこともある。ちなみに、送られて来た理由は共通して、「貝の名を教えて?」というものだ。突然とれるけど、突然いなくなって何年もとれない。また突然とれる、というのを繰り返す、だから名前を忘れてしまうようなのだ。一端とれ始めると、渚を歩くだけで、ごっそりとれ、見た目がきれいなので印象に残るのだ。
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白貝は今のところ2種類の総称

以下は少し抽象的だし、専門的なので、読みたくない人は読まないで欲しい。貝の同定は、ときに貝屋にならないとダメだ。貝屋は1種類、もしくは近似種をできるだけたくさん並べて比較する。ちなみに、同じ屋のつく虫屋も同様のことをやっている。同じ仲間(属)、もしくは同じ種を並べて変化を楽しんでいる。ちなみにボクは変化に苦しんでいる。貝屋とは非常に粘り強く、自分なりに種の形態の特徴付けができないとならない。ボクたちはアナログの世界にいるが、科学というのはこの世界を、仮にデジタル化することであるかも知れない。特に貝類の巻き貝など姿形が限りなくアナログで、種と種の段差が見つからないことが多い。千葉県立博物館で貝類学者の照屋清之介さんと、遺伝子に関する雑談をしているとき、巻き貝などは同属で交雑が激しく、種と種の間がはっきりしない、などという話が出た。しかも貝類の形態学の対象のひとつが貝殻だという特徴がある。多くの貝類の種のタイプ標本(種の名/学名をつけるときに基本となる標本)は貝殻だけではないのだろうか。さて、今回の、一般に白貝とされるものに話を移す。昔、白貝はサラガイ、アラスジサラガイ、ベニザラガイの3種だと思っていた。ただ、ベニザラガイが混ざる可能性はとても低いという話を聞いて、自分なりに調べてなおしてみると、「ベニザラガイは流通しない可能性が高い」という自分なりの結論に達した。となると白貝は、サラガイ、アラスジサラガイの2種という事になる。この2種にもアナログ的な部分、種と種の不明確な領域がある。だから白貝とはなんだ? と考えると、かなり手こずることがある。ちなみに3月3日の道東産(北海道東部太平洋側)の白貝は、サラガイ(内側が黄土色)とアラスジサラガイ(内側が赤紫)が半々であった。もちろんベニザラガイはいなかった。
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相模湾小田原産アカニシの酢みそ和え

神奈川県小田原魚市場の隅っこにいた小振り(95mm SL・99.5g)のアカニシを連れ帰ってきた。アンコウやヒラメを狙う沖合いの刺網に混ざったものなので、水深60m以深にいたものだろう。ちなみに、アカニシは、『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』には潮間帯から水深30mにいるとあるが、そんなに浅い場所で産卵期とはいえキアンコウがとれるわけがない。ウチワエビやアオミシマと一緒に競りに出されていたもので、これを小田原では、「くちもの」という。巻き貝は生息場所によってアナログな変化が見られる。貝の専門家ではないものの、気になって仕方がない。このアカニシの過去の全データを色合い、貝殻の厚み、角のあるなしで水深、生息環境がわかるのではないか? と比較してみた。今回の相模湾の比較的深場の貝殻と比較した挙げ句、結局水深による変化も生息環境での違いもわからなかった。やはり巻き貝の形態変化は門外漢にはわからない。
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中国産ホンアメリカイタヤの話

イタヤガイ科の二枚貝であるホタテガイのことは誰でも知っているだろう。ホタテガイが一般的になったのは養殖されるようになってからだ。それまで本州以南でもともと食べられていたイタヤガイ科の二枚貝はイタヤガイ、ヒオウギガイ、ツキヒガイ、アズマニシキ、アカザラガイなどなどで、どすべて水揚げ量は少ないし、一般的ではない。今現在、イタヤガイ科で一般的な食用貝はホタテガイだけだ、と言えるだろう。さて、それでは東京など関東周辺のスーパーに行って、イタヤガイ科の貝を探すとしよう。もちろんホタテガイはすぐ見つかると思う。ただ、それ以上に目立つのは中国産イタヤ貝という小振りの貝柱だ。業務用のスーパーなどでは至って普通の冷凍食材だし、一般的なスーパーでも荒天で不漁が続いているときなどには刺身として並んでいる。しかも加工品がとても多彩で安いのである。我がデータベースには2004年から画像があるので、もっと歴史は遡りそうである。今や「イタヤ貝」は国内では、この国を原産地とするイタヤガイ以上に一般的だと思う。ではこの中国産イタヤ貝とはいかなる生き物なのか?日本で考えられた標準和名はホンアメリカイタヤという。「ホン」とは当然「本」のことで、このあたり難しい話になるので避けるが、当然、単にアメリカイタヤというそっくりな二枚貝もいる。両種とも北アメリカ大陸東岸のカナダ・アメリカ沿岸域にいる。ホンアメリカイタヤの方が北に生息域を持つ。もちろん国内に生息しているイタヤガイとは貝殻の形、大きさからして縁もゆかりもない。
コラム

相模湾小田原産ナガニシの刺身

神奈川県小田原魚市場の隅っこにいたナガニシを連れ帰ってきた。たぶん刺網に混ざったものだろう。アッキガイ上科イトマキボラ科ナガニシ属は千葉県立博物館、照屋清之介さんが遺伝子の解析を行っている最中である。相模湾のナガニシが標準和名ナガニシであるのか、不明ではあるが、現在のところはナガニシとしておきたい。ナガニシの仲間の足(筋肉)は巻き貝の中でも屈指の美味である。問題は非常にちょぼっとしか筋肉がとれないということ。内臓は食用不可なので非常に歩留まりが悪い。またこのナガニシ属を好んで食べる地域は少なく、広島県、鳥取県の一部、そして石川県七尾周辺である。七尾の町を歩いていると、身を取り出すために、「あかにし(コナガニシ)」の貝殻をたたき割る音が聞こえてきたものだが、震災・豪雨の後、大丈夫だろうか?
コラム

標準和名、チョウセンハマグリの話

ハマグリにも種があることから。今現在、国内で消費されているハマグリの値段は、同じ大きさならハマグリがチョウセンハマグリよりもやや高く、この2種よりも安いのが中国産のシナハマグリと台湾産のタイワンハマグリである。種を見分けるのは意外に難しいが、最近では産地表示がしっかりしているので、産地で判断できる。今回のチョウセンハマグリは鹿島灘・山陰地方以南の外洋に面した砂地に生息している。ハマグリそっくりだが、殻が硬く厚みがあり、ハマグリのような多彩な文様はない。大きくなるので、宮崎県産などは白い碁石の材料となる。比較的一般的な食用二枚貝だが、本種の標準和名を知っている人はほとんどいないだろう。茨城県、千葉県、宮崎県が産地として有名である。チョウセンハマグリという和名は江戸時代末期に作られた貝類図鑑『目八譜』からとったものだ。なぜ、「朝鮮」なのか?作者の武蔵石寿は250石取りの歴とした旗本であり、教養人であった。江戸時代の教養人、例えば儒者の雨森芳洲などにとって「朝鮮」という言葉はある意味、「遠い地」とか、「身近にないもの」とかの意味があった。どちらかといえば、憧れの何か、を指す言葉が「朝鮮」だったのだと考えたい。ハマグリは実際に使われていた一般的呼び名だが、チョウセンハマグリは武蔵石寿などが名づけた少しだけ博物学的(いろいろ調べてアマチュアなりに研究する)な呼び名だ。江戸住まいの武蔵石寿にとってハマグリは江戸湾に普通にいる身近な存在だったが、九十九里や相模湾で揚がるチョウセンハマグリは「遠くから送られてくるもの」という意味で名づけたのだと思われる。1980年くらいまでの築地市場(現豊洲市場)では外洋に面した砂浜育ちのチョウセンハマグリを「ばち」と呼ぶ人が少なくなかった。江戸湾(東京湾)にいるハマグリは本場ものの「本はま」、九十九里などにいて送られてくるものは、「場違い」なので「ばち」だ。ちなみにアカガイ類(フネガイ科サルボウガイ属)に関しても、江戸湾でたくさんとれたアカガイは「本玉」といい、外洋九十九里などにいるサトウガイを「ばち玉」という。2025年現在、国内産のハマグリの減少がはなはだしく、普段見かけないので、本種を「ばち」と呼ぶ人はほぼいなくなり、「地はま」に変わっている。■写真は千葉県産のチョウセンハマグリ。
千葉県産サザエ
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サザエ、基本のキ

サザエは北海道南部西岸から九州までの、日本海・東シナ海、千葉県以南九州までの太平洋、瀬戸内海の浅い岩礁域に生息している。巻き貝の中でも漁獲量が多く、もっともありふれた存在である。主な産地は圧倒的に日本海が多く、代表的な産地は長崎県、山口県、新潟県、島根県などだ。太平洋側でも三重県、千葉県などで揚がるが、産地としての太平洋沿岸域は弱い。分類学的には古腹足目サザエ(リュウテン)科リュウテン属サザエであるが、おぼえたい人はおぼえるといい。サザエの仲間(サザエ科)には鹿児島県以南にいるチョウセンサザエや、食用だけではなく工芸にも使われるヤコウガイがいる。標準和名の他に学名(世界的に共通する名)がある。古くサザエの学名には、Turbo cornutus Lightfoot, 1786(実はサザエではなくナンカイサザエ) が使われていたが、調べてみたら、サザエ自体には学名がなく、分類学的には新種であることを岡山大学の福田宏准が突きとめた。2007年に初めてついた学名が、Turbo sazae Fukuda, 2017 である。学名は一般的に縁遠いものだがおぼえておいてもいいだろう。
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海にいる巻き貝の代表選手だったバイ

本種の標準和名バイは、江戸時代以前から使われていた言語だ。「ばいがい」という人が多く、市場などで「ばい貝」と書かれているのもよく見かける。実は「ばい」も漢字では貝なのである。「ばいがい」を漢字にすると「貝貝」になる。これくらい国内の巻き貝の代表的なものだったとも言えるだろう。古くから居酒屋などで「ばい貝の煮物」は定番的な酒の肴であった。1900年代には飲食店などではとても重要なもので、築地場内で「突き出しがない」と本種を探し回っている人を見ている。
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白ばいの大方は富山湾にいないエッチュウバイ

「白ばい」はもっとも流通量の多い巻き貝のひとつだ。標関東や関西などの消費地でもお馴染みで、比較的スーパーなどで見かける機会も多い。代表的な産地は島根県と山口県である。標準和名(図鑑などに載っている名)はエッチュウバイでというが、流通の場にいても知らない人がいる。貝を勉強し始めたとき、このエッチュウバイという和名よく惑わされたものである。まさか越中富山にはいない貝で、山陰に多いなんて誰も思わないだろう。分類学的に書くと「エゾバイ科エゾバイ属エッチュウバイ」である。このエゾバイ科には食用貝類がたくさんいるので、専門的になりすぎるが、おぼえておくと便利だと思う。日本海福井県以西の深場に生息している。済州島にはいる可能性があるが、朝鮮半島にはいない。世界的に記載したのはイギリスのジョージ・ブレッティンガム・サワビー1世だ。このサワビーはⅡも含めて、動物学者でもあり、植物学でもあり、イラストレーターでもある。日本には一度も来ていない。採取したものを別の人間がイギリスまで送り届けて記載したことになる。ついでに、この一族がやらかした分類学的な謎はすごく多いと思うが、専門家の方はどう思っているのだろう。エッチュウバイの「ばい」を漢字にすると「貝」、とくに巻き貝のことだ。同じ意味の漢字に「螺(にし)」、「蜷(にな)」がある。海産巻き貝のことを日本海側では「ばい」ということが多く、北海道や本州太平洋側では「つぶ」ということが多い。「えっちゅう」は当然、「越中(現富山県と思っていい)」である。福井県以西にいるのに「越中貝」とは不思議だと思わないだろうか?模式標本(タイプ標本とも。種として記載したときの標本)は丹後半島沖なのである。この模式標本からするとタンゴバイにすべきである。
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標準和名ハマグリの話

「ハマグリ(標準和名はカタカナ)を知らない人はいないでしょう?」と言う人はハマグリを知らないと思う。一般的な「はまぐり(一般名称は「」内)」に関しての知識がある人も、歴史的にも有名な標準和名のハマグリを知っている人も、この国の1パーセントもいないと思う。だいたいハマグリを食べたことがある人などほとんどいないはずだ。ハマグリはアサリと同じマルスダレガイ科の二枚貝である。北海道南部から九州の内湾の干潟などに生息している。内湾の歩いて行ける浅場にいるために国内では縄文時代(紀元前16000年前後〜紀元前1000年前後)にも盛んに食べられていた。古くはたくさんとれたが、20世紀の後半には減少し始め、今や産地と言えるほどの産地は数えるほどしかない。平安時代の「貝合」の二枚貝であり、雛祭など節句や祝い事にも欠かせない。また「ぐれる」の語源ともなった。伊勢湾名物だったので、「その手は桑名の焼き蛤」なんて面白い俚諺もある。だれでも知っていそうで、だれも知らないのがハマグリなのだ。
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エゾボラは真ツブでAツブで刺身ツブで

食用としている軟体動物貝類(軟体動物のタコやイカ、ウミウシを除く)の基本的なものを挙げて行く。学者とか貝に興味がある人のレベルは除く。知っていると生活に生かせるレベルのものだけにした。基本的食用貝類の覚え書きだ。エゾバイ科エゾボラ属エゾボラという巻き貝の話。(科や属などの階級は知らなくてもいいけれど知って置くとのちのち便利)本種は普通の食用貝だけど、知っていたら、貝に関しては通人である。市場では標準和名ではなく「真ツブ」とか「Aツブ」と呼ばれることが多い。BがあるからA、真ではない同じような貝がいるから真で、このエゾボラ属ではもっとも味がよくて、値段の高い種でもある。消費地のスーパーなどに並ぶことはなく、一般小売店の中でも高級魚店かデパート・高級スーパーでしか買えない。
イタヤ,イタヤガイ
加工品

福井県の名品「いたや」はボイルホタテガイである

まだ、整理が出来ていないが市場だけで通じる言語は少なくない。これを集めて、徐々に分類していきたいと思っている。例えば今、「赤魚の粕漬」と呼ばれているものを「たいかす(鯛粕)」という人は少なくない。これはアラスカメヌケとか輸入ものの赤いメバル科の魚の粕漬けである。最初は国産のアコウダイで作っていたもので、アコウダイの粕漬けが縮められて「鯛粕」になる。そのアコウダイがとれなくなり、高騰して使えなくなったので、輸入魚を使うようになる。たぶん、その遙かに昔は本当に鯛(マダイ)で作っていたのかも知れぬ。福井県三国にある『日海水産』の名品、ボイルホタテ(ホタテガイのたぶん稚貝を塩ゆでにしたもの)もそのひとつ。市場の、年寄りの多くが「いたや」という。東京、豊洲市場を歩いていても、いまだに「いたや」という言語が生きているのがわかる。今では「いたや」=イタヤガイではないが、昔は日本海でたくさん揚がったイタヤガイ(鳥取県気高町の貝殻節にうたわれるのはイタヤガイ)をゆでて出荷していたのだと思う。その内、イタヤガイが揚がらなくなり、青森県産のホタテガイに活路を見出す。この『日海水産』のボイルホタテを「いたや」といまだに呼んでいる事実には、昔、信じられないくらいにたくさんのイタヤガイが日本海山陰・北陸などで揚がっていた、その歴史が保存されているのだ。この『日海水産』のボイルホタテのすごいところは、これがないと困るという飲食店が少なくないことだと思う。
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