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サラガイの炊き込みご飯を新釜で

初めて使う1合炊きの釜なので、恐る恐る蓋を開けたら、いい感じに炊けていた。木蓋であるのが残念だが、長ーく使えそう。さて、サラガイは比較的無個性な味の二枚貝である。対極にアカガイや青柳(バカガイ)がある。サラガイが、炊き込みご飯に向いているか? 否かは、炊いてみないとわからない。蓋をあけたとき、このおとなしい味のサラガイからいい香りが立ち上がってきた。やはり貝類は熱を通すとその味わいが増す。ご飯にもいい味が染み込んでいる。このご飯のおいしさに、少し心が頬笑む。厳格な白飯派だったのが、近年、炊き込みご飯が好きになってきたのはゆっくり食べられるようになったためかも。炊き込みご飯は、味の染みたご飯を楽しみ、具を楽しむ、そんな余裕がないとちゃんと味わえない。1合を2回にわけて食べるべきところ……。
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ケンサキイカ丼、丼の2日間

市場から帰ると午前8時半過ぎ、午前3時、4時から起きているのでお腹と背中がくっついている状態なのである。ゆっくり朝ご飯を作っている場合じゃないので、丼といきたい。ケンサキイカの刺身にしょうが、そこに鳥取県の甘い刺身醤油をじゃぶっとかけて、ご飯に乗せて食らう。ケンサキイカのよさは甘味にあり、食感はヤリイカほどではないが、ほどほどにはある。この甘味がとてもご飯に合うのである。意外に(鳥取の)甘い醤油で丼はうまいものだと思う。薬味は後のせなのでねぎ、マヨネーズなどお好みで。
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銭州のサメのおこぼれマダイを食べる 5、これにて終いの鯛飯

でっかいマダイの頭で兜煮、竜田揚げ、潮汁、兜焼きと作った。お終いのお終いの最後の最後は、サメがかぶりついた部分を成形したときの、切り取った身で炊き込みご飯だ。塩焼きにして炊き込むので、少々歯形がついていようが、変色しようがおかまいなし。1合の豪華絢爛、炊き込みご飯の鯛飯が目の前で香り立つ。最近は味つけに醤油を使っているので、醤油と、お焦げ、焼いた鯛(マダイ)の香りの三重奏である。マダイの炊き込みご飯は定番料理だが、嫌みのない上質な白身、皮からであるうま味がご飯と結婚すると最強だと、もちろん食べるときには思ってしまう。意外に軽い味なので遅い昼飯に最適である。
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トコブシの炊き込みご飯はウマスギてこまっちゃう

あまりにも定番的な料理で恥ずかしいけど、やはりトコブシの炊き込みご飯はとても、とてもうまい。芸がないのにうまいので、自慢できないのも困りものである。トコブシの足(筋肉)からも「つのわた(肝膵臓)」からもたっぷりおいしい、のが染み出してきて、ご飯にくまなく行き渡る。このご飯がしみじみうまい上に、トコブシの足のほどよい歯ごたえと甘味が来て、おいしさが表現できなくなってこまっちゃうくらいなのだ。そしてとどめが「つのわた」の味である。小さな塊なのに、ここだけ熱い気がするくらいうま味が強い。茶碗いっぱいで大河ドラマを1年見終わった気がするから壮大かつ、無辺である。
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アンニュイな午後はキンメダイの炊き込みご飯

いろんなことがあると体がついて行けなくなる。脆弱にだらけてくる。それでもお腹が空くので、困ったときの炊き込みご飯。仕掛けてから1時間以内に食べられるので何とか我慢できる。この鍋のふたを開けたときの感動は、何十回、何百回とやっているのに繰り返し繰り返し押し寄せるのである。キンメダイの頭部を取りだして硬い骨だけ取り除く。棘鰭類なのに、細かな骨は柔らかいのでキチンバサミで細かく切る。刻んだみょうがとキンメダイの身と皮をご飯に混ぜ込んで、後は食うだけだ。濃口醤油とキンメダイの香りがまずは御馳走である。ご飯に染み込んだキンメダイの味も名状しがたい。ただただうまいのがキンメダイの炊き込みご飯なのである。問題は7勺前後の飯では足りないということだけ。
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マナガツオの天丼はふわっうまし

一度もやっていないわけではないのに、久しぶりに天ぷらにして、おいしさに驚いてしまった。ふわふわとして、しかも香ばしく、中はとても豊潤。半身の腹側を揚げたので、ついでに追加揚げして天丼にしてみた。これがさらによかったのである。ご飯は偉大だ、と思ったのは天ぷら単体よりもうまいからだ。マナガツオの身の甘さと、うま味の豊かさが、ご飯の甘さと一緒になって、相乗効果が生まれている気がする。そしてふと考えたら、ボクの天ぷらを揚げる技能が向上している気もしてきた。若いときに作って、マナガツオの天ぷらはさほどうまくないと思ったのは、これぞまさに「若気の至り」だった。八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産に来ていたのは、沖合い底曳きが盛んな、愛媛県八幡浜のものである。鱗の剥がれやすい魚で、できるだけ鱗が残っているものを選ぶ。選んだ体長32cm・1.493kgは今年最大のマナガツオだ。以上は前回も書いた。三枚に下ろして腹部の薄い部分の腹骨を取り、薄くへぎ切りにする。軽く振り塩をして少し置き、出て来た水分を拭き取る。小麦粉をまぶして衣をつけて高温で揚げる。
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キスの天ぷらを作り、お昼は天丼

天丼はどこから食べるか、が重要である。ご飯に天つゆを少しかけて、ご飯が見えないくらいに種を並べる。種の上からもかけて、ここからが迷い箸。個人的には野菜から、食べ始めて空いた部分のご飯を食べて。主役であるキスの天ぷらに移る。キスの天ぷらは、脳みその中で6等分しているので1枚の3分の1を食べる。それにしてもキスの天ぷらくらい味わい深いものはない。江戸時代から江戸前天ぷらの主役であり続けているのは、天ぷらにしてうまいからだ。天種は上品な白身ではダメ、少しくせがあるからいいのである。キスの味は皮にあり、そこに独特の風味があるからいい。これは個人的な意見ではあるが、最近、江戸前ならではの魚種のみの天丼よりも、精進揚げも色とりどりにの上方風が好きだ。揚げ油もごま油プラスをしなくなっている。天丼を食べると、自分の嗜好が揺れに揺れているのがわかる。
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お昼ご飯はクサヤモロの天丼

猛暑になるとやたら揚げ物が食べたくなるということは、まだまだボクもイケテル気がする。7月になって連日のようにお昼は天丼を食べている。天ぷらと言えば、普通、小柱とか、穴子(マアナゴ)、「めごち(ネズッポ科ネズッポ属の魚)」やシロギスが定番だけど、タイ科のマダイや、コチ科のマゴチ、マナガツオなどなどいろんなものを種として使っている。天種としては異色だろうがなんだろうがご飯に乗せれば天丼なのだ。この日は旬のすぎたクサヤモロである。これが二度目の天ぷらだけど、マアジよりも血合いが多いせいか個性的で天種としては上かも知れない。脂が少ないせいか揚げ上がりが軽い。大葉やみょうが、ナスなど夏野菜と合わせた天丼くらい平凡うまいものはない。
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真鶴町岩のクマエビの釜飯

エビの釜飯は、ふたをとったときの香りだけでも御馳走だと思っている。殻付きのまま炊き上げたので、余計に香り高い。炊き上がりにエビを取り出して、身を刻みまた混ぜ込む。赤だけではそっけないけど、自宅で、自分で食べる釜飯に飾りめいたものは不要なのだ。薄口醤油と酒だけの単純な味つけだが、エビと醤油の風味が非常に相性がいい。あっさりとした味なので、0.7合では足りなくなりそうである。峠の釜めしの釜もそろそろダメになりそうだな、なんて思いながら最後の一粒まで食べ尽くす。
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7月13日、相模湾二宮沖の小イワシ天丼

ルーペや定規などが散らばった間で食べてもうまいのが天丼だな、とせわしなく箸を動かしながら思う。さくっと揚がったマイワシの天ぷらを食べて、頂き物の大葉(青じそ)の天ぷらをかじり。ワカメのみそ汁をすする。この時だけは次の撮影を忘れて飯食いに没頭する。
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真ツブの炊き込みご飯はありや、なしや

去年あたりから、信じられないくらい高騰してしまったのが真ツブ(エゾボラ)である。中国のせいだという人がいるが、水産物の輸出はしていないのではなかったか? それにしても大きなものは1個1万円以上、小さくても3千円くらいするととても手が出なかった。ふと、八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産の貝の場所を見たら、もとの値近くにもどっていた。あの暴騰は終わったのかも知れない。かねてより作ってみたかったものがあるので1個だけ買ってきた。真ツブ(Aツブとも)はエゾバイ科エゾボラ属の巻き貝で、足の部分(刺身などで食べる)にテトラミンという毒を持っているのが特徴である。そんなに強い毒ではなく、北海道何カ所かで食べていた人の話を聞いても、酒に酔った気分になるだけだという。ボクも数個食べているが、ほんの少しいい気分になっただけだ。まあ個人差があるので要注意。主に北半球の冷水域にいる。巻き貝の中でも大型であり、1㎏近いものもある。
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ホッキガイの天丼は食べ過ぎそうで恐い

八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産で北海道産のテニスボール大のホッキガイを買った。ホッキガイは標準和名ウバガイのことだが、この茨城県周辺の名は一般的にはほぼ使われていない。実は茨城県が南限のこの貝が、関東や山梨県にやってきたのはかなり古そうである。大型で海水がなくても数日生かしておけるので、冷蔵技術がなくても輸送しやすかったからだ。せいぜいアサリ、ハマグリしか見ていない関東・山梨の人が、こんなに大きな二枚貝を見て、さぞやおどろいただろう。昔(たぶん1945年前後から)は、鉄路での輸送だったので、関東への主産地は茨城県と福島県南部だった産地の呼び名が消費地の呼び名になる典型的なものなので、古くからウバガイで売り買いされ、またそれを採取して標準和名となる。これが、ホッキガイというアタリのいい言語にじょじょに関東でも置き換わる。地方名を集めている身には面白いのと、呼び名の消滅の危機とを同時に感じて複雑である。今回のホッキ買いは久しぶりに福島県相馬市に行った記念というと変だが、当地の郷土料理でもあるホッキの天ぷらを作りたかったからだ。ついでに天丼にしてお昼とする。ホッキガイのバカガイ科の、一般流通の二枚貝は天ぷらにしてすべてうまい。他には青柳(バカガイ)、シオフキ、ミルクイなどである。作り方は簡単。剥き身にして足とヒモや貝柱に分ける。足の中にあるワタを押し出して捨てる。塩水の中で汚れを流し。足は開き、ヒモなどは食べやすい大きさに切る。山菜の「ほんな(ヨブスマソウorヤマブキショウマ)」をざっと洗い適当に切る。足も、ヒモなども小麦粉をまぶして置く。足は衣をつけて高温で揚げる。「ほんな」とヒモなどは一緒にして衣と合わせかき揚げにする。熱々のご飯に乗せて完成である。我が家ではみりん1・醤油1を合わせ煮立てたものをかけ醤油にしている。これにカツオ節出し同量を加え、(全部同じ量)を煮立てて、追い鰹(カツオ削り節)し、天つゆにしてもいい。ちなみに、どぼっとつける天つゆの比率は関東と関西では違うし、結局のところ比率に関しては自分好みに作るしかない。ホッキガイの天ぷらをのせた天丼の困った点は、うますぎてじっくり味わえないことだ。普通、衣の香ばしさを先に感じるものだが、ホッキガイの天ぷらはなぜか同時に足の甘さが舌に感じられる。強いうま味もあって天ぷらとして最高の素材だという事がわかる。そこにヒモと「ほんな」の薄苦い味わいがいいアクセントになっている。最近、天ぷら屋に行けてない憂さを、ここで少しだけ晴らす。
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努力の末の小肌開きで作る天丼

八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産は若い衆ががんばっている。日々こつこつと地道な努力を重ねているのが頼もしい。それが証拠に彼らが作るマアジや小肌(コノシロの若い個体)の開きがだんだん上等になってきているのだ。せっかくなのでお昼ご飯に開きを買って来る。本当は酢じめにすべきものだが、今回は天ぷらを作るつもりだ。もちろん文字の世界ではあるが、この日のボクは脳みそが江戸の町に飛んでしまっている。川端の安い天ぷら屋台の情景を描きながら、大きさを揃えて袋に放り込む。文字の世界のよいところは、前日まで1220年代、後鳥羽上皇の傍若無人から、その翌日には江戸時代後期の物価のこと、庶民の世界に迷い込むことができる、ことだ。そのときボクは四文銭二、三枚を懐に、じゃらじゃらさせて歩く江戸の町民そのものになりきっていたのだ。
料理法・レシピ

福島県相馬市産「にくもちがれい」の天丼

福島県相馬市のスーパーで「にくもちがれい(ミギガレイ)」を2パック買って来た。この魚、まあまあたくさん揚がるのに産地周辺のみで流通している。低評価魚の代表格である。未利用魚を日本全国を見渡して話ができる人には会ったことがない。未利用の定義も曖昧だが、この魚のようにときにまとまって揚がりながら、売れないという魚を知っている人がいないのが残念でならない。未利用魚・低利用魚などもっとしっかり定義した方がいいと思うな。さて、この魚は水分が多いものの、料理法によっては非常にうまいのである。
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生サクラエビはご飯に合う

鮮度のいいものは生で食べられる。殻が非常に軟らかいのでヒゲだけをとれば刺身になる。それでも気になるなら額角ごと取ってもいいだろう。生じょうゆにワサビで和えてご飯と食べると、上品な甘味がご飯に非常に合う。
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