銚子産マダイで魯山人風(?)天茶
天ぷらとご飯とわさびと、生醤油とだけ

最近、北大路魯山人の料理を思いだして作ってみようかな、と思ったのは、我が家に仕事にきた若い衆がいきなり「ロサンジン」と言ったからだ。
ロサンジン(魯山人)=グルメ、グルメ=贅沢、といった短絡的なわかりやすい考え方が面白かった。
本当にそんなに単純なのか? その狷介さはともかく、魯山人の料理に対する考え方は至極まっとうなのだ、という話をした。
魯山人の書籍(群)を貸して欲しいと言われて、探したが見つからない。
まさか処分したのかな? から始まっている。
ちょうど銚子産のそこそこいいマダイを買ったので、魯山人から真っ先に浮かんできた天茶を作ってみた。
そして天茶である。
かりっと香ばしく揚げた天ぷらを少し寝かせる。
冷ますだけでもいい。
我が家では1日寝かせて揚げた翌日の昼ご飯に食べた。
さめた天ぷらを焼き目がつくくらいに焼く。
焼きたてをやや温かいご飯にのせ、わさびをちょんとのせて、生醤油をかけて熱い粉茶を、天ぷらの上からではなく脇からそそぐ。
だったはず。
我が家に粉茶がないので安い緑番茶を、もちろん熱々でそそぐ。
これを銚子産の腹身の天ぷらでやっただけだ。
銚子のマダイは有名産地ではないため比較的安い、ので、決して贅沢ではない。
それにしても天ぷらの香ばしさに、熱いお茶に溶け出した油と衣の入り交じったもの、生醤油の塩気とうま味、最後にくるマダイの身や皮からのおいしさ。
これら全部が一度に押し寄せてくる快感がすごい。
ちなみにマダイの天ぷらは旬や大きさに関わらず、おいしい。
上質の白身のおいしさと、赤い魚の皮のおいしさと、で天ぷらに向いているのである。
今回はできるだけ、揚げて焼いた香ばしさを生かすように食べたが、お茶をそそいで即ぐちゃぐちゃにして食べてもうまい。
この場合は醤油をぐちゃぐちゃにしてからかけ回す。
さて、本日も魯山人の書籍・雑誌一揃えをば、探索しなければならぬ。