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同定

オオエッチュウバイは白バイの王

東京都東久留米市、東京北魚で買い求めた新潟県佐渡産白バイは、明らかに富山湾、朝鮮半島東岸などにいる、カガバイよりも北にいるタイプ、ノッポバイだと考えた。このあたりは貝類学者の黒住耐二さんの考えとも一致する。中に1個体だけオオエッチュウバイが混ざっていた。とするとバイかご(バイガイ用のかご)の水深は400mくらいではないかと思われる。オオエッチュウバイはエッチュウバイ・ノッポバイと比べると深い場所にいるが、今回の佐渡沖ではその中間地点で漁が行われていて、オオエッチュウバイとノッポバイを水揚げ後選別している可能性を感じる。ちなみにノッポバイと比べるとオオエッチュウバイは大きいというのもあるが、ずんぐりむっくりして膨らみが強く、貝殻が薄くもろい。オオエッチュウバイは島根県、山口県などで大量に揚がる白バイ(エッチュウバイ)などと比べて、遙かに美味である。新潟県で名物として高値がつくのもわかる気がする。
同定

連続するか、しないか、モロハバイ

北海道室蘭市、『ヤマサン 渡辺』、山本涼子さんたちに送って頂いた、エゾバイ科モロハバイ属の巻き貝を完全に処理するのにはまだまだ時間がかかる。合計10㎏近くが我が家に眠っていて、基本的に全部のタイプを分けたつもりだだけど、全然行き着く先はわからない。千葉県立博物館に何㎏か送り、そのうちモロハバイ属の座談会をひらく。我が家にある貝類図鑑は13冊だが、県立博物館にはこの何倍もあり、紙で保存している論文も多い。この1つの属をめぐってああでもない、こうでもないと議論することは非常に有意義である。偉大なる貝類学者の一人である、吉良哲明(1888-1965。僧侶でもあった)は、この座談会的なものの中心にいて、貝類の分類をすすめていたのだと考えている。この非常においしい、北国の巻き貝は、我が家にある貝類図鑑では、モロハバイ、ヤゲンバイ、ヒモカケヤゲンバイ、ヒトハバイになるが、1種にまとめるべきか、それぞれ亜種としていいかは、ボクの段階ではわからない。ことほどさように同定というものは難しい。テレビの監修をやっていたことがあるし、問い合わせに応じたこともあるけど、画像だけで見るのは不可能なものがいっぱいある。4月中には結論を出すつもりだが、亜種すべてをページ化する。
同定

種にかかわらず流通上はすべて白バイ

東京都東久留米市、東京北魚で新潟県産Buccinum を発見した。和名はエゾバイ属である。この属内に亜属(属の下の階級)が設けられていないのが不思議なほど種が多い。現在の奥谷図鑑(『日本近海産貝類図鑑 第二版』)は明らかに種の整理をしていっているようだが、産地からして妥当なんだろうか? という疑問が残る。魚類(脊椎動物は)は形態学的なものが比較的単純であるが、軟体類の形態学的な考察は大きさ、産地、水深、貝殻の感触など非常に複雑である。この『日本近海産貝類図鑑 第二版』の問題点の中に、市場などで白バイとして流通するグループがいる。このグループをアニワバイグループとしている研究者が多いので、これに従っている。ただ、アニワバイの形態と変異の多さと、本当に国内海域にいるのかという疑問があり、むしろ比較的安定的な形態を持つ、エッチュウバイを基本とした方がいいのではないかとも考えている。ただし、当方にはアニワバイのデータが少ないために、今後の課題として置くしかない。各ページの分類グループはアニワバイを使い、新たに一般分類に白バイを加えることにした。これと同時に、日本海でのアニワバイグループの空白部分を鑑みて、ノッポバイを復活させた。個人的にはアキタバイはノッポバイの一形態だと思っているが、貝類学者の黒住耐二さんとの意見が一致しない。https://www.zukan-bouz.com/com/白バイ
同定

水産生物を調べているという病で、タイワンシジミかも? と懊悩する

千葉県の食堂でトンカツ定食を食べていた。自宅では魚貝類しか食べないので、外食ではついついトンな気持ちになる。水産生物とヒトとの関わりを調べていると、その膨大な情報量と、広大無辺な世界に圧倒されて常に疲労感に浸かっているわけで、時々溺れそうになる。要するに息抜きの獣肉食いというやつだ。ところが今回、みそ汁を飲んだら、明らかにシジミの味がする。そう言えば神保町の『いもや』もシジミのみそ汁なのだから、トンカツにシジミはつきものなのかも知れない。汁を飲み干し出て来たのは、見た目的に微妙な個体だった。ただし味はシジミ科のなかでも、ヤマトシジミ(もっとも一般的なシジミ)そのものの味である。
同定

ヤガラは鞴型魚食い

国内で揚がる食用魚でもっとも不思議な姿をしているのが、棍棒のような形をしたアカヤガラとアオヤガラだ。両種は見わけがつかないくらいに似ている。両種を釣り上げた経験がある方ならわかると思うけど、アタリが変だ。魚が来ているのか、それとも隣とお祭りしているのか、それともジャミなのかわからない。なんとなくスーッと引き込まれるようなので、とても魚のアタリとは思えない。そのスーッと感じる時間が長いため、少しきき合わせると、抵抗して強く吸い込もうとするのがわかる。これこそが典型的なヤガラのアタリである。少し待って合わせると釣れていたりする。
イサキ
同定

イサキは孤立無援で淋しい魚なのだ・分類編

イサキとはひとりぼっちで悲しい魚だという話をしたい。本州、四国、九州にいる魚で、漁獲量は多獲性魚類(サバ類、マアジ、サンマなど)であるマイワシなどと比べると少ないが、決して魚全体からみると決して少なくはない。外洋に面した磯(岩などが多い浅いところ)にいる魚で、漁港や岩場などから海をのぞくと小型なら見られるくらい在り来たりの存在である。しごくおとなしい顔をしており、歯は小さく、エサは甲殻類や小さな軟体類であるイカタコなどで、食い殺すのではなく飲み込むタイプである。小エビなどにとっては優しい悪魔だ。ここまではイサキの解説だが、まずは食用魚イサキって知ってますか? から始めなくてはいけない。たぶんだけど、この国に住むほとんどの人は知らないだろう。昔、マスコミ関係の話し合いで、食の専門家ですらイサキを知らない人がいてビックリしたが、これが現実だろうなと思ったものだ。ちなみにこの国の料理研究家は最低限の植物(野菜)と、鶏肉と豚肉、牛肉だけ知っていて、ご飯が炊けて、パンでも焼ければなれそうだと思う。間違いなく水産物の知識はゼロでもやっていける。この国のほとんどの人が食べ歩きには興味があるが、料理にも食材にも興味がないのだから、仕方がないだろう。
同定

クロザコエビとトゲザコエビの比較と見分け方

同じように日本海側で水揚げされて、大きさも見た目もあまり変わらないのが両種だ。両種を並べるとわかるが、1種だけを見ているとわからなくなる。トゲザコエビを「モサエビ」、「クロエビ(黒えび)」、「ガスエビ」。クロザコエビを「ホンモサ(本もさ)」、「シロエビ(白えび)」、「シロガスエビ(白がすえび)」。以上のように呼び分けている地域もある。また両種を区別しないで同じ呼び方をする人も多い。クロザコエビの方がトゲザコエビよりも生息する水深が深い。2種の見分け方クロザコエビ(向かって左) 13cm以上になり、体はに薄いベージュ。数が集まると明るい色合いをしている。殻が柔らかい。体がずんぐりしている。尾に近い節に鞍掛状(左右振り分け)の暗色横帯がある。トゲザコエビ(向かって右) 体長12cm前後で、体は暗色。数が集まると黒っぽく感じられる。殻がやや硬い。クロザコエビと比べるとスマート。体幹部分の体節の殻の下半分に白い縁取りがある。
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