ぼうずコンニャクの日本の高級魚事典
魚通、釣り人、魚を扱うプロの為の初めての「高級魚」の本。
美味しいマイナー魚介図鑑
製作期間5年を超す渾身作!

すし図鑑
バッグに入るハンディサイズ本。320貫掲載。Kindle版も。
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からだにおいしい魚の便利帳
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イラスト図解 寿司ネタ1年生 イラストとマンガを交えて展開する見た目にも楽しい一冊。
全国47都道府県 うますぎゴーゴー!
ぼうずコンニャク新境地!? グルメエッセイ也。

更新情報など

最新コラムより

軟体はすべて食べられる
コラム 

3月25日 宇部産ナミガイ

山口県宇部市の青山鮮魚、青山時彦さんに貝をいろいろたくさんいただいた。長年探し続けていた貝もあって、感謝の致しようがない。
中に「「白ミル(ナミガイ)」が入っていた。小振りだけど水管を触ると固太りで、むちむち健康優良児的である。
主に水管を食べる二枚貝、ナミガイとミルクイは比較されがちである。「ナミガイはミルクイのニセモノだ。まずい」、なんて言う人すらいる。そんなことを言うヤカラは舌がおかしいのだと思っている。なんでもかんでも比べる病に罹ってしまっている、言うなれば病人(やまいびと)である。
ミルクイとナミガイは別の味で別々にうまい。階級的に考えても縁もゆかりもない貝であり、共通点はともに水管が大きいという点だ。
軟体類はよく動かす部分が大型化する傾向にある。よく足(腕)を動かすマダコの足は大きく、むしろ胴で海水を取り込み噴射して移動するイカの足は小さい。浅蜊は水管も足もよく使うのでともに大きく、トリガイなどは足が大きい。イタヤガイ科は移動に足ではなく貝柱で貝殻をパクパクするために貝柱が大きい。
ナミガイ、ミルクイは泥の中に深く潜り、水管(哺乳類の口にあたる)を泥の表面上にまで伸ばして懸濁物質(エサ)をとる。泥上に伸ばしたり引っ込めたりを頻繁にするので水管が巨大化したのだ。
ナミガイは江戸時代以前の書籍にはなく、江戸時代の百科事典的な『本朝食鑑』や『和漢三才図会』にもない。天保時代、彼の赭鞭会の中心にいた武蔵石壽の『目八譜』にのみ「波貝」、「翁の面貝」がある。このあたり室町時代後期、戦国時代の会席料理の記録にもあるミル(クイ)と比べると陰が薄いのかも知れぬ。
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コラム 

3月28日 石川県産マイワシ

八王子の市場にここ数日、同じ大きさの発泡でマイワシが来ている。結局、マイワシは一年間途切れることなく入荷してきたことになると、産地を見るために荷の蓋を返すといちばん見にくい発泡浮き彫りで「石川の四季のさかな」とある。石川県でも七尾(富山湾側)からじゃないかな、と思い、たった2尾買う。八王子の市場のいいところは最低限好きなだけ買えるところかも知れない。
測定すると2尾同じ中羽で、19cm SL・91g、ともっとも使いやすいサイズだった。見ている内にどんどん箱の中身が消えて行くではないか。人気がありすぎるくらいなのは、脂がのっているからである。マイワシのよし悪しは触っただけでわかる。
脂がのっているなとは思ったが、裂いてみたら思った以上だった。3月なのに真子、白子はなく産卵群ではない。刺身にすべきかと躊躇するくらいに脂がのっている。
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料理法・レシピ 

3月29日 マダラのブランダード

1月に何固体か撮影したマダラの最後の切身でブランダードを作る。ちゃんと習ったわけでもない、いかにも怪しげなBrandard というのがちゃんとしたフランス料理らしいとわかったのはインターネット以前のラルースかなんかの辞書を見てだ。
魚で作るリエットは暮らしの手帖で見て勝手に作っているものだが、こいつを初めて知ったのは合縁奇縁というか若い頃いろんな分野の知り合いが集まってワイワイやっていたときに、突然だれかが作り始めたのがこれ、だった気がする。もう一度、横浜の料理店でも食べているが、ボクはあくまでも運転手でしかなかったので、食べただけって感じだった。
考えてみると1980年前後にはインターネットもなく、ケータイ電話もなかったので、新宿や下北沢のへんなアパートに集まって、勝手に音楽を聴いたり、勝手に踊る人がいたり、絵を描く人がいたり、へんな料理を作る人がいたりというのがコミュニケーションというヤツだった。
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アジのなめろう
コラム 

3月24日  マアジ・イサキなめろう比べ

40年以上前のことだが、防波堤釣りに外房千田(現千葉県南房総市)に行ったはいいが、荒天のために磯はおろか港にも入れなかった。天気予報くらい聞いて(念のために当時は電話)から来るべきだったとは思ったものの、もう遅い。お金がないのでおんぼろシビックで車中泊したその日の夕食は白浜あたりの食堂でとった。
あまりにも寒いので熱燗をお願いしたら、「悪いねイサキしかなくて」と言ってオバチャンが出してくれたのが、「なめろう」だった。
10年間くらい防波堤釣りに外房に通っていたが、「なめろうの基本はアジなんだ」と心に刻んだ気がする。
ちなみに魚の身をみそ、香辛野菜と包丁で叩いて作る料理を千葉県外房や徳島県南部では「なめろう」という。三陸などでは「みそたたき」だ。魚の料理は同じ物でも地域ごとに呼び名が違う。徳島県南部の漁師はマグロ漁などで日本各地を巡っている。「なめろう」という言葉が徳島県南部に存在するのはこの漁師さんたちの交流からかも知れない。
ちなみにボクが「なめろう」というのは外房で最初に教わったからで、三陸で教わっていたら「みそたたき」と言うと思う。それがスジというものだ。
さて、「悪いね」と言うくらいだから「イサキのなめろう」は「マアジのなめろう」よりも劣るのだろうか?
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コラム 

3月25日 青山鮮魚からの宇部産アカガイ

山口県宇部市の青山鮮魚、青山時彦さんに貝をいろいろたくさんいただいた。長年探し続けていた貝もあって、感謝の致しようがない。
高級なアカガイが入っていたのには恐縮至極であった。限りなく球形に近く、持ち重りがする。剥き身にする前に中身が想像できるといった上物である。
アカガイが歴史的に登場するのは古いと思う。ただ実際に食べた記録となると室町時代末、戦国時代かも知れない。一次的な文献を読んでもいないのに述べるのはハレンチだけど、戦国時代が伊勢宗瑞に始まるとしたら1500年代半ばから後期にかけて、三好家もまだ健在で、堺は独立した国家のようであったときだ。
すなわち京都が壊滅的な状況で、堺、岸和田など大阪湾中心の食文化がこの国の主流であったのでアカガイ、ミルクイなどがしばしば歴史上に登場するのだと思っているのだ。
明らかにアカガイを高級な食材と考えた最初は大阪湾や瀬戸内海なのだ。きっと山口県宇部のアカガイなど毛利氏代々などがさんざん食べていたのだろう、なんてことも考えてしまう。
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コラム 

3月17日 兵庫県香住のノドグロ

兵庫県香美町香住、香住漁港で共進丸の競り場を見ていたら、見事な喉黒(ノドグロ)やムツを昨年秋同様、お土産にいただいた。
いただいたのが3月15日で、実際に料理したのが17日と時間が空いたので、今回は総て加熱して食べた。
世に「喉黒」が持てはやされるのは脂がのっていて、生でよし、焼いてよし、煮てよしだからだ。
17日は早朝、兵庫県日本海但馬地方から帰宅したばかりだったので、寝たり起きたりしながら「喉黒」料理を作る。
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コラム 

3月23日 和歌山県産大アジ

八王子綜合協同卸売組合 マル幸で和歌山県産の大アジ(マアジ)を買った。太り肉で、体長37cm・620gを手に取ると料理店主の視線を感じる。水氷だったこともあって、一瞬産地がわからなかった。
和歌山県産だということは荷を端から端までみてやっとわかった。関東出荷で水氷にする努力を感じたものの、流通上もっとも見にくいのが発泡に文字を彫り込んだ表示なのである。
「日本海」というどでかい表示すら暗いと見えにくい。便利だとは思うけど、今回のものは海岸線が長い和歌山県のどこで揚がったのかまではわからなかった。
ちなみに大阪で、和歌山県産は人気が高く「有田」だとか、「加太」など、地域名で呼ばれている。
東京送りとはいえ、和歌山県でももっと細かく、市もしくは漁港がわかる表示をすべきだと思う。
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コラム 

3月25日 「じんば」うまし!

兵庫県香美町香住の競り場に「じんば」が並んでいた。島根県隠岐知夫村で食べて以来のホンダワラである。最近、アカモクが注目を浴びているが、ホンダワラには別種のおいしさがある。
競り場では当然、個人では手に入らないので但馬漁業協同組合にお願いして1袋手に入れていただく。これを日々料理して、とうとう1袋全部食べ尽くしてしまった。もっと買って来るべきだったと後悔したがもう遅い。
ホンダワラの古名は「なのりそ」で、古代から食用になっていた海藻である。残念ながら、徐々に食文化が衰退している。食文化があって盛んに食べられていたものを、知らない(食べない)からといって、食文化を放棄するのは危険な時代が来ていると思っている。新しい食文化を取り入れる前に、古き食文化を見直すべきだと思っている
但馬漁業協同組合には、より簡単に家庭に持ち込める商品の開発をお願いしたいと思っている。
大げさではなく、一度食べたら病みつきになる味である。ぜひ一度お試し願いたい。
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コラム 

3月25日 宇部産ミヤコボラ

山口県宇部市の青山鮮魚、青山時彦さんにいろんな貝をたくさんいただいた。長年探し続けていた貝もあって、感謝の致しようがない。
中にミヤコボラが含まれていた。「都法螺」は『六百介品』という江戸時代の著者不明の書にある。国内の多くの貝の名は、たぶん江戸時代にいた博物学的頭脳の人々がときに一般的な呼び名から採取し、ときに自ら命名したのだと思っている。もちろん見た目はしっかりおさえてだけど、「常陸帯貝」のように、いかに雅な名をつけるかを競ったのではないかと考えている。
きっと本種の名も『六百介品』の著者の創作だろうと思っていたら、山口県宇部市ではミヤコボラと呼ぶようなのだ。ひょっとしたら『六百介品』の著者は宇部生まれなのかも知れない。和歌山市で「泥さざえ」、兵庫県姫路で「泥貝」と呼ぶのは沖合いの泥場にいるからだが、これに「都」をつけたのは貝殻がきれいだからだ。
日本各地で揚がるが紀伊水道にめんした和歌山市から大阪湾、瀬戸内海の底曳き網での水揚げが多い。和歌山県西部、大阪市などではスーパーの売場にも並んでいる。
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コラム 

3月25日 丸松西上商店のハタ干もの

兵庫県香美町香住、『丸松西上商店』のハタ(ハタハタ)の干ものをいただいた。香住でさんざんハタ(ハタハタ)をむさぼり食っているので、この日本海の個体群のうまさはわかりすぎるほどわかっている。土産にもらったときのうれしさは表には出さなかったものの、内部で炸裂したことは言うまでもない。
冷凍流通する干ものなので食べたのは本日の朝である。要するに朝ご飯の友というやつで、早朝から解凍し、手に取ってみて大いに後悔する。これはご飯の友じゃなく酒の肴かも知れないと思ったからだ。
もう遅い、そのまま焼き上げて、これまた兵庫県但馬香住のジンバのみそ汁、豊岡市のたくわんとともに朝ご飯に食べた。
日本海但馬沖のハタハタは脂が豊かである。脂の強い魚の干ものはべとつくものだが、その脂のべとつきがない。
ていねいに作っていることは触るだけでわかる。徹底的に水洗いして、やや強めの干しているのだ。
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コラム 

3月23日 今季初イサキ

八王子綜合協同卸売組合 マル幸で長崎県佐世保産を見つけた。ぼってり太り気味の魚体に、触っただけで脂ののりが感じられ、迷うことなく買う。これが今季初イサキである。
下ろしてみると卵巣の膨らみが弱く、胃袋には頭足類やアミなどが大量に入っていた。長崎県のイサキは産卵のための乱食いのときを迎えているようだ。
最近では年間を通して入荷してくるイサキであるが、3月も後半になると質的にも安定してくる。この時季、味のピークを知るために1週間に1尾ずつ味見することにしているが、今季は1尾目から大当たりだった。
さて、今回の個体は体長30cm・620gだった。このサイズは1尾での塩焼きには大きすぎるなど、意外にお買い得である。初物なので、スタンダードに刺身にして、塩焼きにして食べてみた。
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コラム 

3月22日 福井県越前町の中ヤリ

八王子綜合協同卸売組合 マル幸に福井県越前町産ヤリイカが来ていた。外套長25cmと微妙な大きさである。見た目は槍々しているので雄に見える、けど小さい。子持ちと書いていないので雄だろうと思いながら買ってみる。
ヤリイカは大の好物でもあるし、雄雌関係なく食べたかっただけでもある。
ここ数年、ヤリイカは3月に入荷のピークを迎えている気がする。
兵庫県但馬、日本海に面した余部の定置にもたくさんヤリイカが入網していた。まだ白いヤリイカをそのまま刺身で食べたらうまかろうと思ったり、雄雌微妙な大きさだけど、雄が多そうだと思ったりしたのだ。
よしなしごと満々、体調も決していいとはいえないとき、ぬるい気温に近所の桜は満開になろうとしている。この時季は、毎年おいてけぼりをくっている気がして、心がわさわさする。
帰宅して身を開いたらやはり雄であった。成熟度は低く、産卵はまだまだ先だろう。ていねいに水分を拭き取って保存する。
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コラム 

3月14日 兵庫県但馬香住のクロノド

兵庫県日本海但馬、香住漁港で水揚げを見ての帰り、共進丸のアイドル系オッカサンがお土産を持たせてくれた。
前回のことがあるので、白いレジ袋の中身が楽しみでならない。今回はダブルムツだった。
香住でクロノドと呼ばれているムツと、ノドグロ(アカムツ)だ。アカムツが「喉黒」なので、黒い色合いのムツを「黒喉」と呼ぶわけだ。ともに口腔・腹腔膜が黒い。
漁協に預かってもらって持ち帰ってもまだ生かっていた。あまりにもきれいなので形態を撮影してから食べた。
さすがに刺身とはいかないので、塩焼き、フィッシュ&ティップス、あら煮にする。
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