ぼうずコンニャクの日本の高級魚事典
魚通、釣り人、魚を扱うプロの為の初めての「高級魚」の本。
美味しいマイナー魚介図鑑
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すし図鑑
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からだにおいしい魚の便利帳
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全国47都道府県 うますぎゴーゴー!
ぼうずコンニャク新境地!? グルメエッセイ也。

更新情報など

最新コラムより

コラム 

3月25日 宇部産ミヤコボラ

山口県宇部市の青山鮮魚、青山時彦さんにいろんな貝をたくさんいただいた。長年探し続けていた貝もあって、感謝の致しようがない。
中にミヤコボラが含まれていた。「都法螺」は『六百介品』という江戸時代の著者不明の書にある。国内の多くの貝の名は、たぶん江戸時代にいた博物学的頭脳の人々がときに一般的な呼び名から採取し、ときに自ら命名したのだと思っている。もちろん見た目はしっかりおさえてだけど、「常陸帯貝」のように、いかに雅な名をつけるかを競ったのではないかと考えている。
きっと本種の名も『六百介品』の著者の創作だろうと思っていたら、山口県宇部市ではミヤコボラと呼ぶようなのだ。ひょっとしたら『六百介品』の著者は宇部生まれなのかも知れない。和歌山市で「泥さざえ」、兵庫県姫路で「泥貝」と呼ぶのは沖合いの泥場にいるからだが、これに「都」をつけたのは貝殻がきれいだからだ。
日本各地で揚がるが紀伊水道にめんした和歌山市から大阪湾、瀬戸内海の底曳き網での水揚げが多い。和歌山県西部、大阪市などではスーパーの売場にも並んでいる。
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コラム 

3月25日 丸松西上商店のハタ干もの

兵庫県香美町香住、『丸松西上商店』のハタ(ハタハタ)の干ものをいただいた。香住でさんざんハタ(ハタハタ)をむさぼり食っているので、この日本海の個体群のうまさはわかりすぎるほどわかっている。土産にもらったときのうれしさは表には出さなかったものの、内部で炸裂したことは言うまでもない。
冷凍流通する干ものなので食べたのは本日の朝である。要するに朝ご飯の友というやつで、早朝から解凍し、手に取ってみて大いに後悔する。これはご飯の友じゃなく酒の肴かも知れないと思ったからだ。
もう遅い、そのまま焼き上げて、これまた兵庫県但馬香住のジンバのみそ汁、豊岡市のたくわんとともに朝ご飯に食べた。
日本海但馬沖のハタハタは脂が豊かである。脂の強い魚の干ものはべとつくものだが、その脂のべとつきがない。
ていねいに作っていることは触るだけでわかる。徹底的に水洗いして、やや強めの干しているのだ。
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コラム 

3月23日 今季初イサキ

八王子綜合協同卸売組合 マル幸で長崎県佐世保産を見つけた。ぼってり太り気味の魚体に、触っただけで脂ののりが感じられ、迷うことなく買う。これが今季初イサキである。
下ろしてみると卵巣の膨らみが弱く、胃袋には頭足類やアミなどが大量に入っていた。長崎県のイサキは産卵のための乱食いのときを迎えているようだ。
最近では年間を通して入荷してくるイサキであるが、3月も後半になると質的にも安定してくる。この時季、味のピークを知るために1週間に1尾ずつ味見することにしているが、今季は1尾目から大当たりだった。
さて、今回の個体は体長30cm・620gだった。このサイズは1尾での塩焼きには大きすぎるなど、意外にお買い得である。初物なので、スタンダードに刺身にして、塩焼きにして食べてみた。
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コラム 

3月22日 福井県越前町の中ヤリ

八王子綜合協同卸売組合 マル幸に福井県越前町産ヤリイカが来ていた。外套長25cmと微妙な大きさである。見た目は槍々しているので雄に見える、けど小さい。子持ちと書いていないので雄だろうと思いながら買ってみる。
ヤリイカは大の好物でもあるし、雄雌関係なく食べたかっただけでもある。
ここ数年、ヤリイカは3月に入荷のピークを迎えている気がする。
兵庫県但馬、日本海に面した余部の定置にもたくさんヤリイカが入網していた。まだ白いヤリイカをそのまま刺身で食べたらうまかろうと思ったり、雄雌微妙な大きさだけど、雄が多そうだと思ったりしたのだ。
よしなしごと満々、体調も決していいとはいえないとき、ぬるい気温に近所の桜は満開になろうとしている。この時季は、毎年おいてけぼりをくっている気がして、心がわさわさする。
帰宅して身を開いたらやはり雄であった。成熟度は低く、産卵はまだまだ先だろう。ていねいに水分を拭き取って保存する。
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コラム 

3月14日 兵庫県但馬香住のクロノド

兵庫県日本海但馬、香住漁港で水揚げを見ての帰り、共進丸のアイドル系オッカサンがお土産を持たせてくれた。
前回のことがあるので、白いレジ袋の中身が楽しみでならない。今回はダブルムツだった。
香住でクロノドと呼ばれているムツと、ノドグロ(アカムツ)だ。アカムツが「喉黒」なので、黒い色合いのムツを「黒喉」と呼ぶわけだ。ともに口腔・腹腔膜が黒い。
漁協に預かってもらって持ち帰ってもまだ生かっていた。あまりにもきれいなので形態を撮影してから食べた。
さすがに刺身とはいかないので、塩焼き、フィッシュ&ティップス、あら煮にする。
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コラム 

3月15日 兵庫県但馬津居山のゆでたてホタルイカ

不可能とされていた沖合い底曳き網でのホタルイカの漁獲に成功し、本格的に操業し始めたのが1989年。以来、兵庫県但馬地方はホタルイカの国内随一の産地であり続けている。
沖から船がもどると競りが始まり、すぐに買受人のもとや漁協に持ち帰る。港も待ち受けている処理場の人達もこの時間がいちばん慌ただしい。これを生のままで、ゆでても出荷する。また近年急速冷凍したものもある。
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郷土料理 

兵庫県日本海、但馬地方の「じゃう」

兵庫県但馬地方の「じゃう」は魚を水洗いして適当に切り、野菜と一緒に煮て作る醤油味の煮もの、汁、もしくは鍋だ。1960年代以前の食生活を聞書いた、『聞き書 兵庫の食事』(農文協)にも1行ほど載っていて、写真を見る限りは煮ものである。合わせる野菜はゴボウ、ネギが基本形であるようだ。これ一品を作るだけでおかずにもなり、汁にもなり、酒の肴にもなる。手間いらずな料理でもあるのだろう。
よく「じゃう」を「すき焼き」のことだとしている書があるが、たぶん間違いだと思う。獣肉などを少量の液体で調理するのが「すき焼き」で、「じゃう」は鍋にするにしても液体の量が多いのである。要するに知名度が上がり一人歩きしはじめた「すき焼き」という言葉を多くの地域でそれらしい料理に当てはめ、見識のない人が「すき焼き」的ではない料理にも当てはめただけだ。
また国内で長年問題となっていたリジン欠乏症には特効薬的なものだったのではないか。栄養バランスを考えても優れた料理だったのだと思う。
同様の料理は日本各地にありそうである。大阪府のもっとも古い形の「うおすき」、滋賀県の「じゅんじゅん」、三重県尾鷲市の「じふ」、島根県石見地方の「煮食い(にぐい)」などだ。作り方などもそっくりなので魚がとれるところで自然発生的に生まれた可能性もある。醤油以前は「みそたまり(みそから染み出る液体)」で作った可能性が高いと考えられる。
どの地方でも言えることだが、いろんな魚を使い作ること、また様々な作り方があることなども同じである。言うなれば魚を煮て食べるという単純な料理だから今に続いているのだ。
写真は鍋の「さばのじゃう」だ。鍋でもあるというのは寒い時季の料理だからだ。汁や煮ものよりも煮ながら食べる鍋の方が効率的だし、また家族が食べたいだけ食べられるなどの利点がある。写真は鍋仕立ての「さばのじゃう」で、家庭により完全に作って食卓へというのもあり、食卓上で作るという家庭もあるだろう。
聞取した限りでは、日本海に面した但馬地方では、今現在も「山がれい(ヒレグロ)」、「はた(ハタハタ)」で作られているという。この2種は寒い時季にあるていどまとまってとれ、また「山がれい」の小型は売り物にならない魚の自家消費といえる。
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コラム 

3月20日 カツオ漬けめし

曜日の感覚もなければ、祝祭日もわからない。市場歩きをしていたら「明日は来ちゃダメだぞ」という人がひとり、ふたり。
市場のカレンダーを見たら明日は休市で祝日ではないか。間違い! 明日は祝日で休市だ。
それなら今日は買いに走ろうか、と思ったら魚がない。昨年来、日本列島近海は深刻な不漁におちいっている。温暖化のせいかどうかはわからないが、深刻以上に危険である。
ボクもボクなりに深刻な顔をして歩いていたら、知り合いの居酒屋のオヤジが「ちょっとだけよ」と投げてくれたのがカツオの切身である。頂き物なので産地不明。ちょっとだけなのは、「朝飯に食いなよ」と言うことだ。
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コラム 

3月14日 兵庫県香住のきんきvsのどぐろ

兵庫県但馬地方、香住漁港で水揚げを見てまわった。早朝6時半過ぎ、山の上から差し込む朝日がまぶしく、前日の凍えるような寒さが嘘のように温かい。
沖底(沖合底曳き網)の水揚げを撮影しながら、同定していると、共進丸のアイドル系オッカサンが「寒いからこっちおいで」というので遠慮なく火にあたる。
寒さ緩むとはいえ、漁港歩きのときのたき火ほど心地いいものはない。体が温まるとなんだか眠くなってきた。
オッカサンの「のどぐろ(アカムツ)」焼こうか?」という声に目が覚めた。
たき火の網の上に水揚げしたばかりの「のどぐろ」が乗り、「きんき(ユメカサゴ)も食べな」とこれまた網の上に。
網の上で焼ける「のどぐろ」と「きんき」の表面に脂が浮き上がって、落ちた脂が煙を上げる。ちなみに朝飯前であったこともあり、腹がぐうううぴいいいぐうううと鳴り止まぬ。
焼き上がりに味塩をかけて食うと、朝日に向かって思わず吠えたくなる。そんな感動的な味である。
さて、「のどぐろ」と「きんき」、どっちがうまいか? まるで東西横綱対決のようにどっちもゆずらない。
「のどぐろ」を食らうと「のどぐろ」かなと思い、「きんき」を食べると「きんき」かなと思う。まったく違う味なので比べられないのもある。
「のどぐろ」は皮が揚げ物のごときで、身はコロイド状で口溶け感があり、これが甘く感じる。
「きんき」は焼き物らしい味。身に呈味成分からくる甘味がある。
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コラム 

3月18日 兵庫県但馬香住のアカモク

兵庫県但馬地方からの帰途、京都府京丹後市久美浜のスーパーで見つけたものだ。
但馬から東に向かい丹後地方に入ってすぐ、海岸近くにあるスーパーでは香住産アカモクとして売られていた。標準和名で売り買いされているのは、但馬地方でも丹後地方でも昔、この海藻を食べていなかった証しである。それが今や当地の名産品になっている。但馬に来たらアカモクを土産にして欲しいくらいである。
本種を昔から食べていたのは、東北から新潟県にかけての日本海側だけだと思う。1980年前後、おんぼろシビックでの旅の途中、新潟市の海岸で海藻を採取していた老人に分けていただいたとき、種もわからないまま、教わったままで食べたのが「初ぎんばそう」である。
京都府京丹後市久美浜のスーパーに売っていたのは先にも述べたように、兵庫県香美町香住で採取したもの。但馬地方で昔から食べていたのは「じんばそう(ホンダワラ)」であり、アカモクなど船の航行の邪魔者でしかなかったのだ。
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同定 

クロザコエビとトゲザコエビの比較と見分け方

同じように日本海側で水揚げされて、大きさも見た目もあまり変わらないのが両種だ。両種を並べるとわかるが、1種だけを見ているとわからなくなる。
トゲザコエビを「モサエビ」、「クロエビ(黒えび)」、「ガスエビ」
クロザコエビを「ホンモサ(本もさ)」、「シロエビ(白えび)」、「シロガスエビ(白がすえび)」
以上のように呼び分けている地域もある。
また両種を区別しないで同じ呼び方をする人も多い。
クロザコエビの方がトゲザコエビよりも生息する水深が深い。
2種の見分け方
クロザコエビ(向かって左)
13cm以上になり、体はに薄いベージュ。
数が集まると明るい色合いをしている。
殻が柔らかい。
体がずんぐりしている。
尾に近い節に鞍掛状(左右振り分け)の暗色横帯がある。
トゲザコエビ(向かって右)
体長12cm前後で、体は暗色。
数が集まると黒っぽく感じられる。
殻がやや硬い。
クロザコエビと比べるとスマート。
体幹部分の体節の殻の下半分に白い縁取りがある。
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コラム 

3月17日 アカガイのわた煮

ディスクで眠りこけて朝だと思ったら、午後10時だった。旅のあとで生活が、夢も希望もないほどに乱れている。
寝起きの頭痛をコンコンと頭から追い出しながら、軽く酒でも飲み、寝直すしかないなんて思案する。
重すぎる身をやっとこさ立ち上がらせて、食べ物を探す。朝、昼ともどもにたくさんたくさん作った料理があるものの、手頃な肴がない。
冷凍庫をあさると、どす赤い血の塊のようなものがあった。2月、豊洲や八王子で買った宮城県閖上産、山口県産、中国産のアカガイの肝膵臓(わた)だ。流水解凍してペーパータオルに並べると12個ある。
中国産のわたは当たり前だが小さく、閖上産のはやたらにでかい。値段は倍なのでわたの大きさも倍となるのかな? なんてぼやけた頭で考える。
鍋にみりん・酒・醤油を煮立てて水分をよくきったわたを放り込む。しょうがのせん切りを加えて絡めるように短時間で煮上げる。
甘め好きなのでみりん足しながら、味加減する。
煮上がりにバットに並べるとてりが出るが、そんなことはしない。
鍋止めして、その間に風呂に入る。
4、5粒小皿に取り、酒を飲む。わたの渋味、渋味、そして複雑な呈味成分をぬる燗で洗う。
酒は菊正宗の樽酒でたんぽ正一合。
「たんぽ」は槍のたんぽから来ているのかな? とか、昨日は春爛漫だったのに、温度計は昼間と同じく18度しかないとか、いろいろ思いながら小一時間過ごす。
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コラム 

そろそろ桜鯛の兜煮

鹿児島県鹿児島市、田中水産さんからウルトラ珍魚をいただく。その上、中に大きな「鯛の兜(マダイの頭部)」が入っていた。今、鹿児島で大ダイ(マダイ)が、びっくりするほどとれているらしい。
考えてみると、庶民がマダイを食うなら春で、いままさにその春だ! と叫びたい。
ちなみに最近の魚に関する報道はへんだと思う。とれないことばかりで、とれることはあまりやらない。毎年、この時季のマダイを取りあげてほしいものだ、と思うがいかがだろう。
関西から瀬戸内海の魚島の鯛(産卵期に瀬戸内海で海が島のように盛り上がるほどマダイが群れる)のシーズンは今や3月から4月ではないか。鹿児島県ではもっと早いのだろう。
この安くておいしい、たくさんとれる時季も旬なのである。マダイの旬は秋から冬で、春にも旬があると考えるべきなのだ。
兜だけで1㎏以上ある。いったい1尾の重さはどれくらいあったんだろう。
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