ぼうずコンニャクの日本の高級魚事典
魚通、釣り人、魚を扱うプロの為の初めての「高級魚」の本。
美味しいマイナー魚介図鑑
製作期間5年を超す渾身作!

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からだにおいしい魚の便利帳
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イラスト図解 寿司ネタ1年生 イラストとマンガを交えて展開する見た目にも楽しい一冊。
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ぼうずコンニャク新境地!? グルメエッセイ也。

更新情報など

最新コラムより

郷土料理

ムニエルはフランスの塩焼き、ツキノワメイチダイ

長崎県長崎市、魚喰民族 石田拓治さんに送って頂いた新種記載ほやほやのツキノワメイチダイではいろんな料理を作った。
その中にムニエルがある。
魚料理の基本にソテーがあるが、和食の塩焼きに対してフレンチなどではムニエルがそれにあたると思う。
塩コショウして小麦粉をまぶしてソテーすると、バターを使わず、どんなソースにしても、どんな油を使ってもムニエルと考えたい。
要するに魚でも貝でもイカでも、エビだってムニエルになる。
魚介類をよく食べる、この国でムニエルはもっと食べられてもいい、という話でもある。

メイチダイ類(メイチダイ、サザナミダイ、シロダイ、本種などメイチダイ属)はソテーしてもとてもうまい。
もちろん臭味が出やすい魚なので、ていねいに水揚げしたものに限るが、ムニエルにするとトップクラスだと思っている。
三枚に下ろし、腹骨と血合い骨を取る。
塩コショウして小麦粉をつけて多めの油でソテーする。
片身を取り出して皿に移して、バターを加えて泡立て少し煮つめソースにする。
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コラム 

すし屋にとってのホタテガイの歩留まり

八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産で買ったホタテガイは、ナミマガシワが欲しかったので買ったものだが、念のために貝柱(閉殻筋/貝殻を閉じるための筋肉)を刺身にしたときの歩留まりを調べておいた。
ナミマガシワは6g前後なので貝殻全部の重さは、168gとする。
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コラム 

ベストシーズンではないが沼島のアジはオイシ

兵庫県淡路島そばにぽつんと浮かぶ沼島(ぬしま)沖のアジ(マアジ)は春から夏がベストシーズンだが、秋になってもそんなに味が落ちるわけではない。
これが9月下旬になるとマアジの群れが小さくなり、マルアジが主体になる。
マルアジが増えたら、マサバを狙う。
淡路はマアジだけではなくマサバでも有名である。
余談になるが、沼島のマルアジは鮮度からしても魅力的だし、実にうまいということも知って欲しいものである。

9月初旬のマアジは実際、刺身にしてそれほど脂を感じない。
とろっとした舌触りがない。
それでも食感がよく、身に張りを感じる。
なによりもアジならではの強いうま味が口中に広がる。
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コラム 

ケンサキイカ丼、丼の2日間

市場から帰ると午前8時半過ぎ、午前3時、4時から起きているのでお腹と背中がくっついている状態なのである。
ゆっくり朝ご飯を作っている場合じゃないので、丼といきたい。
ケンサキイカの刺身にしょうが、そこに鳥取県の甘い刺身醤油をじゃぶっとかけて、ご飯に乗せて食らう。

ケンサキイカのよさは甘味にあり、食感はヤリイカほどではないが、ほどほどにはある。
この甘味がとてもご飯に合うのである。
意外に(鳥取の)甘い醤油で丼はうまいものだと思う。
薬味は後のせなのでねぎ、マヨネーズなどお好みで。
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コラム 

チダイの塩焼きなど簡単だ、と思え

魚料理は簡単だと思うべし、じゃないかと思っている。難しく考えないことじゃないかな、とも思っている。
塩焼きなどにする魚は一般の方はできるだけ魚屋やスーパーで下ごしらえをしてもらい、帰宅したらすぐに塩をしてしまって、そのまま保存。食べたいときに焼けばいいと思う。
昔は親切な魚屋さんで振り塩をしてくれるところがあった。あれはとてもよかったのだけど、今、そんなことをやってくれる店あるかな。
焼き方はコツがいるが焦がさないように焼けば、ほどほどおいしく作れる。

今回のチダイはご飯を食べる30分くらい前にガス台のグリル(予め熱しておく)に入れる。
最初は焼き具合をつきっきりで見ながら強火で表面を短時間焼く。
今度は火を最小限にして中まで火を通す。
終いに再度強火にして焼き上げる。
弱火の時間に他の料理とか、用事を済ませばいい。
皿に盛る場合、決まり事を作るのが好きな人は決め事通りにやればいいが、できれば自分の美意識で自由に方向を決めて欲しい。
写真は単にきれいな方を上に向けただけ。
家庭では方向を決めて焼くのは難しい。

さて、今回は焼き上がりを撮影したまではよかったのだけど、部屋のメンテナンスがある日だというのを忘れていた。ので、そのまま1時間以上放置することになってしまった。
がっかりして冷めた昼ご飯の前に再度座ったら、意外にもこの冷めた塩焼きがうまい! ではないか。
箸など放り出して、手つかみで食べてしまって、ご飯を取り残してしまった。

タイ科の魚は焼くと俄然うまくなる。
皮目の香ばしさだけで飯が食える。
その皮は食べると香り以上に強いうま味があり、チダイはこの時季脂が乗っているので、その真下に液化した脂がある。
今回改めて気づいたのはこの液化した脂が再度固まるといい味になるということだ。
身質がよく身離れがいいのも素晴らしい。
さて、くどいようだが、熱々を食べるとおいしいのだけど、むしろ冷めてから食べた方が味わい深く、しかも塩焼きのうま味がぐんと増すのである。
熱々、冷め冷め、どっちゃでも好みの問題だと思うけど、邪魔者が入って、よかったかも。
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コラム 

ゴマサバで夏らしい南蛮漬け

なんとなく酢、なんでも酢、なのは体が欲しているためだろう。
フィッシュ&ティップスを作ったらモルトビネガーをじゃぶじゃぶ。塩焼きの添え物にきゅうりもみ、こはだの酢じめを作り、ソテーした魚にもライムをぎゅっと搾る。

そして近所のスーパーで買ったゴマサバは、深夜には南蛮漬けになって目の前にある。
酢の物は酒の肴の主役になれはしないが、動物たんぱくが入ると、順主役級にはなる。
南蛮漬けの南蛮の本来の意味は戦国時代から交易のあったオランダとかスペインのことだが、料理では「油を使った料理」や辛味である唐辛子を使ったものにつく。どこかしら目新しいものという意味がある。
唐辛子を加えた酢を「あちゃら酢」というが、「あちゃら」と「南蛮」は同義語だと思っている。たぶん南蛮漬けはそんなに古い料理ではないが、上手な命名だと思っている。

ゴマサバの唐揚げは思った以上に存在感が大きい。ゴマサバ自体に豊かな味があるし、そこに香ばしさが加わると最強かも知れぬ。
その味の強さに爽やかな合わせ酢、青唐辛子の辛味、野菜のしゃきしゃきとした歯触りが心地よい。
プラス6Pチーズで長野県諏訪、真澄の紙箱を飲んだら、意外にもおいしい。
虫集き、いい深夜酒となりにけり、だ。
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コラム 

海にいる巻き貝の代表選手だったバイ

本種の標準和名バイは、江戸時代以前から使われていた言語だ。「ばいがい」という人が多く、市場などで「ばい貝」と書かれているのもよく見かける。実は「ばい」も漢字では貝なのである。「ばいがい」を漢字にすると「貝貝」になる。これくらい国内の巻き貝の代表的なものだったとも言えるだろう。
古くから居酒屋などで「ばい貝の煮物」は定番的な酒の肴であった。1900年代には飲食店などではとても重要なもので、築地場内で「突き出しがない」と本種を探し回っている人を見ている。
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加工品 

ときどき無性に食べたくなる、くさや

ときどきやたらに食べたくなるものがいくつかあるが、「くさや」もそのひとつだ。初めて食べたときのことをおぼえているのは、かなり衝撃を受けたからだ。江戸川区小岩に住んでいたが、ときどきお昼を近所で食べた。
昼は定食屋、夜は居酒屋という店で、「これ食べられるかな?」とサービスしていただいたのが、「くさや」である。
前夜に焼いたと言うが、臭いはそのままだった。食べたら、臭いではなく匂いに変わった。
生来の「くさや」好きだったようなのだ。小岩に住んでいたとき、近所で酒を飲むという事はほどんとなかったが、その店では「くさや」を千葉街道(国道14号線)の歩道で焼いていたと記憶する。それでも店の中まで匂いが漂ってきた。

「くさや」は確かに独特の匂いがあることはあるが、それ以上にクサヤ菌が生み出す、複雑なうま味がたまらない。
身が締まっているので、ボクは焼き上がりをほぐして、そこから酒の肴にする。
江戸時代から愛されてきた庶民の味だとされているが、伊豆諸島や伊豆からわざわざ江戸の町に送られてくるだけの魅力は十二分にあっただろう。
ちなみに「くさや」だけはボク個人はご飯のおかずにしない。
東京都八王子市で古くは織子さん(自動織機で布を織る)のおかずだったという老人がいるが、本当だろうか。
余談だが、我が家は集合住宅なので、「くさや」は各個部屋を閉め切っている夏しか食べられない。これだけはどうしようもないが悲しいね。
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