
八百角の店頭では「Aー菜」。
台湾の野菜らしいが、確かに当地で食べたような気がする。
レタスの仲間で、所謂、チシャである。
見た目がボクの故郷、徳島県美馬郡貞光町(現つるぎ町)の「しゃえんじ(舎園地で、自家用の野菜を育てる小さな畑)」にあったチシャに似ている。
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365日、魚を食べるのは健康的か? というと違う気がする。
食事はバランスだと思っているからだ。
魚だらけの生活をしていると、魚料理の食材にバランスを求めるようになる。
魚の煮つけに、季節の野菜を一緒に煮つけたくなるのと同じである。
魚の塩焼きと野菜を合わせて、にんにくたっぷりのオリーブオイルと合わせて混ぜただけの料理だ。
サゴシのポルトガル風(?)としたけれど、都内のポルトガル料理店で食べた料理の考え方をもらっただけだ。
その店の塩焼きはマイワシであった。
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あえて言えば高値がつくのはマダイだけだ。
キダイ(レンコダイ)は非常に上物であっても値段は平凡である。
その平凡な値段の、キダイの刺身を皿に盛り付けた途端に表面がにじみ始めた。
過去のデータを見ても、こんなに脂が豊かな個体は見いだせない。
キダイの味がもっとも安定している時期は5月くらいから7月くらいまでだと思っている。8月、9月の個体も海域によっては脂がほどほどに乗っていたので、気象庁が定義するところの晩春から秋までが旬とすべきかも。
25cm前後以上はめったに手に入らないために、ボクのキダイの旬の見極め力は遅々として向上しない。
きっちり締めて、血を抜いているので食感が強い。
それなのに柔らかく感じるのは、皮下だけではなく身にも脂が混在している証拠である。
ちょっとだけ分厚く切った身に強いうま味がある。
これにて、神奈川県松田町、「松みどり」を正一合。
悪戦苦闘の日に、ごくわずか救いを感ず。
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こんな日には逢魔が時に、早すぎるけどビールを開け、天ぷらを揚げて憂さを晴らす。
一緒に揚げたのは季節感がなくなったとはいえ、一応夏野菜のナス、ピーマン、みょうがで、贅沢だけど、すだちをつける。
悲しいことに総て加温野菜である。
太平洋側相模湾のシロギスは生殖巣が膨らんでいる時季だけど、日本海側山形県ではまだ生殖巣が膨らんでいない。
揚げるとふんわりして豊潤である。
日本海ものは、まだまだ脂がたっぷりのっているとは言えないが、甘味が強いし、うま味もある。
シロギスの味の表現で、上品な白身などというが、間違いである。
身(筋肉)の味も決して単調ではないし、最大の特徴は皮の野性的な風味である。
これがなければシロギスの存在価値はゼロだ。
揚げても意味がない。
本当に疲れた日にだけの、本物ビールの晴れ風を雨降りに飲む。
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そんなときは酒を飲む。
最小限の酒の量で、最小限の肴で、だ。
夜も昼もなくドタバタしているので、眠れない時間はごくわずか、腹にたまらない、軽い物をつまみに、今回は昔いただいたウイスキーを飲む。
5年くらい前、午前2時過ぎの、都心のスーパーで、「仕事やめました」と、ときどき挨拶を交わすだけの人に言ったら、買ってくれたものだ。
普段飲んでいるものらしく、「(LOCH LOMOND WHISKIES 12 は)高いものじゃないけど、あげるね」、と言われたのが昨日のことのようだ。
意外に飲みやすいスコッチウイスキーだけど、ウイスキーはめったに飲まない。
ボクの基本は日本酒なので、まだ半分くらい残っている。
今回コルクが壊れていることに気づいたこともあり、当分深夜酒はLOCH LOMOND WHISKIESとなりそうだ。
とても香り高く、しかも存在感の強い、LOCH LOMOND WHISKIES に、この落ちこぼれマイワシのみりん干しが味で負けていない。
1尾しかないのでじっくり小かじりにかじりながら食べて、LOCH LOMOND WHISKIESをちびりとやっていると、味は互角だと思った。
漬け地の甘さにも小さなマイワシは負けていない。
やはりマイワシってうまい魚なんだな、と思う。
こんなに小さいのにとても大きな味がする。
思わず、LOCH LOMOND WHISKIESをごくりと飲む。
文庫本、みりんぼしの染み、ウイスキーの染み。
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だれでも知っているといった野菜であってもよさそうなものなのに、八百屋ではいまだに小松菜の影に隠れて売れないといった存在である。
ベトナム人のお姉さんなど「おいしいよ」と喜んで買って行くので、東南アジアなどの新しい野菜だと思って手が出ないのかも知れない。
ルッコラ(ロケット菜)がたぶんだが戦前から作られていた古い野菜かも知れないのに、いまだに新しい野菜と誤解されているのに似ている。
八百屋、スーパーなどで一般的なのは大量収穫しやすい、青ツルムラサキだ。
ボクはこのままゆでてとんとんとたたき、納豆と一緒に食い食いしたりする。
マヨネーズにも合う。
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今回の東京湾産もポケ、刺身、煮つけ、兜焼き、潮汁、そしてフライにした。
1尾1000円で、骨くらいで何も残らなかったので実に安いと思う。
魚というと刺身、刺身となりそうだけど、意外にトリで登場したフライが上だった。
これは時季ではなく、痩せているクロダイだったせいだ。
ほんの少しだけ、カレー粉を振ったのがよかったかも。
クロダイの場合、パン粉をつけて揚げると、筋繊維の間にジュ(肉汁というべきか)がたまる。
パン粉の香ばしさの内側に豊潤な地帯ができる。
この豊潤さにこそ、天然もののタイ科らしいよさがあると思っている。
ボクはじゃぶじゃぶウスターソース派なのだけど、大衆食堂的な味になってくれたところもうれしい。
半合のご飯を食い切るのにちょうどよかった。
デザートのまんじゅうはなしだけど、満足。
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ちなみに最近、北海道のブリのほとんどが活ジメである。
外れがない。
刺身にして背の1㎏上を塩蔵する。塩鰤である。
我が家の塩鰤は松本の市場で出合った方達と、市内の魚屋、岐阜県飛騨地方の魚屋で聞いたとおりのやり方である。
本来は浜で作るものだが、最近、松本平や飛騨地方では家庭や魚屋で切り身で作ることが多いという。
大量の塩でまぶし、翌日水が出たら塩を足してまたまぶす。
これを1週間繰り返して、密閉する。
以上は前回、前々回も書いた。
塩ブリはときどき、気がついたように切り取って食べている。
塩の中で回転させて長々と塩蔵にしたので、切り身の芯の部分にまで塩が入っている。
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