クサヤモロ(Mackerel scad)

Scientific Name / Decapterus macarellus (Cuvier, 1833)

クサヤモロの形態写真

SL 35cm前後になる。マアジなどと比べると細長く体側に青い縦縞がある(鮮度が落ちると消えるが、うっすらと青みがかる)。背面前方鱗域は目の中心か前方まである。稜鱗は側線後方の直線部分の半分を占める。口床後半部分は淡色。
クサヤモロの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
SL 35cm前後になる。マアジなどと比べると細長く体側に青い縦縞がある(鮮度が落ちると消えるが、うっすらと青みがかる)。背面前方鱗域は目の中心か前方まである。稜鱗は側線後方の直線部分の半分を占める。口床後半部分は淡色。背面前方鱗域は目の中心か前方まである。口床後半部分は淡色。
  • 魚貝の物知り度 食べ物としての重要度 味の評価度

    ★★★★

    知っていたら達人級

    ★★★

    一般的(流通量は多くも少なくもない)

    ★★★

    美味
    分類
    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区刺鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目アジ科ムロアジ属
    外国名
    Mackerel scad
    学名
    Decapterus macarellus (Cuvier, 1833)
    漢字・学名由来
    漢字 臭屋鰘、臭屋室
    由来・語源 伊豆諸島、伊豆半島で作られる「くさや」の材料として、もっとも優れているため。
    「もろ」は「むろ」が変化したもの。
    ●「『本朝食鑑』に播州室の津で多くとれた」もしくは「紀州和歌山県「牟婁」でよくとれたためではないか」。(参考/『食の体験文化史』森浩一 中公文庫)
    ●「むろ」は和歌山県の牟婁地方(串本や周参見のある)でとれたため。もともとは「むろ」で、これが「もろ」に変化する場合としない場合がある。本種は「もろ」に変化したものを標準和名にした。また「あじ」は分類学的な位置(科)を現すもの。
    アジの語源
    ■ 「鰺」の文字は「参」が旧暦の3月、太陽暦の5月にあたり。この頃がマアジの旬ということからくる。静岡県沼津市の干物の加工業者の話。
    ■ 他には「味の良さから」「あじ」となった。
    ■ 『新釈魚名考』に「海岸近くでも容易に、しかも大量にとれたために「あじ」の魚名は古くからあり〈あ〉は愛称語、〈じ〉〈ぢ〉は魚名語尾であり〈あじ〉〈アヂ〉とは美味な魚の意味だろう」。
    ■ 島根県で棘のあるイトヨを「川あじ(カワアジ、カワアヂ)」という。アヂは。「かじける(痩せ細る)」のカヂ、楮(カヂ コウゾ)の「紙の繊維=線状・筋」という語の変化で細り、とがりの派生で「とがり」、「とげ」を表す。アヂ(アジ)は棘のある魚。
    Cuvier
    バロン・ジョルジュ・レオポルド・クレティアン・フレデリック・ダゴベール・キュヴィエ(Baron Georges Léopold Chrétien Frédéric Dagobert Cuvier 1769-1832) スエーデンのリンネ、フランスのビュフォンの分類体系に解剖学や古生物学などを加味して現在の形の礎を作った巨人のひとり。
    地方名・市場名 [?]
    アオムロ ムロ
    場所高知県宿毛市田ノ浦すくも湾漁協 
    オオシマナガユ オオシマナガユー ビークン ユッル
    場所沖縄本島 
    クサヤムロ アオムロ アオモロ

    ミズムロ ミヅムロ アヲムロ
    参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 
    アオサギ ウク ウクグワ シッカリ シロムロ
    参考文献より。 
    生息域
    海水魚。沿岸や諸島部の水深40-200mの中・下層。
    伊豆-小笠原諸島、青森県津軽海峡、相模湾〜九州南岸・屋久島の太平洋沿岸、山口県日本海沿岸、鹿児島県笠沙、琉球列島、南大東島。
    済州島、台湾、福建省、海南島、中沙諸島、西沙諸島。
    全世界の温帯・熱帯域。
    生態
    基本情報
    伊豆諸島、伊豆半島などで作られている干物「くさや」の原料として、もっとも適しているものとされている。
    「くさや」はその昔、「塩汁干(しょっちるぼし)」と呼ばれていた。「塩汁」は貴重な塩を節約するために、立て塩の液をなんども繰り返し使う内に独特の臭み、風味のある干物ができるようになったもの。「塩汁」は非常に臭いが、なかにクサヤ菌がいて、アミノ酸発酵をし、独特の味わいが産まれる。近年「くさや」は高価なものとなっている。
    「くさや」以外でも干ものなどになることが多い。鮮魚として出回るのはわずか。鮮度が落ちやすいので生食などは産地周辺のみに限られる。
    水産基本情報
    市場での評価 鮮魚としてはまったく知られていない。「くさや」、干物原料として使われるもの。
    漁法 巻き網、定置網
    主な産地 関東以南の太平洋側。
    選び方
    体側が青いもの。触って硬いもの。鰓が鮮紅色のもの。
    味わい
    旬は晩秋から春
    鱗は小さく取りやすい。ぜんごも細く短い。皮は比較的強い。
    透明感のある白身で血合いが大きく濃い。熱を通しても硬く締まらない。
    クサヤモロの料理の方向性
    マアジよりも血合いが大きく、水分が多いのがムロアジ属の特徴。同属のムロアジが鮮魚流通するのに対して、本種がほぼ加工されてしまうのは水分が多いため。非常に鮮度落ちが早い。ただし鮮度さえよければ煮ても焼いても、生で食べてもおいしい。
    栄養
    寄生虫
    食べ方・料理法・作り方
    クサヤモロの料理法/生食(みそたたき〈なめろう〉、焼き切り〈たたき〉)、煮る(煮つけ)、焼く(干もの)、揚げる(フライ、唐揚げ)、汁(みそ汁)

    クサヤモロのみそたたき(なめろう) やや水分が多いために、単純に刺身にしても見た目も味もイマイチ。これをみそや青じそ、たまねぎ、ねぎ、みょうがと細かくたたいて、作るのが「みそたたき(なめろう)」だ、水分の多さの割りにうま味豊かで、血合いの酸味がいい役割をしてくれている。実にうまいと思う。

    クサヤモロの焼き切り(たたき) 三枚下ろしにして血合い骨を抜く。水分をよく拭き取り、皮目をバーナー(ガスの直火でも)であぶる。これを刺身状に切り、ねぎやしょうが、辛いトウガラシと合わせる。柑橘類は必須。
    クサヤモロの煮つけ 生で食べると少し淡泊だが、イヤミがなく、煮ることでうま味が浮き上がってくる。これをしょうゆのうま味とで相乗効果を生む。ご飯には酒・砂糖・しょうゆ、酒には酒・しょうゆ、酒・みりんしょうゆの味つけがいいかも。やや硬く締まるものの非常に味わい深い。

    クサヤモロの開き干し クサヤモロは水洗いして開き、水分をよく拭き取り、強めの塩水につける。漬け込み時間は季節と大きさによって変わる。難しければ振り塩をして密閉して半日寝かせてから干してもいい。水分の多さが解消され、干すことでうま味性分も濃縮される。後味がよく美味。
    クサヤモロのフライ 水洗いして三枚に下ろす。血合い骨を抜き、塩コショウして、小麦粉をまぶし、溶き卵をくぐらせてパン粉をつけて揚げる。意外にもマアジに負けない味である。フライにしてまずい魚はないとはいうものの、味に深みがある。
    クサヤモロのみそ汁 水洗いして適当に切る。これを湯通しして冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。これを水(昆布だしでも)から煮出してみそを溶く。実に濃厚な味わいの汁になるが、後口は比較的軽い。少しみそを多めにするとやたらとご飯に合う。
    好んで食べる地域・名物料理
    くさや を大量に消費していた地域が八王子である。その昔、織物の町として栄えていた頃、織り子(機織りする女性)のおかずとなっていた。(八王子市天野鮮魚店他)
    加工品・名産品

    クサヤモロのくさや青むろのくさや 東京都伊豆諸島、静岡県伊豆半島などで作られているもの。塩が貴重な諸島部で、干ものを作るときの塩水を繰り返し使う内に、クサヤ菌が増殖する。このクサヤ菌の増殖した塩水で味つけすると独特の臭いと味わいが生まれる。これが「くさや(臭魚で「や」は魚を表す語尾)」だ。臭みはあるものの、独特の風味があって非常に美味。水産加工品の研究家(主にかまぼこ)清水亘が『新説三珍味』のひとつとして挙げている。あとの2つの『新説三珍味』は滋賀県琵琶湖の「ふなずし」、富山県の「黒作り」。
    釣り情報
    歴史・ことわざ・雑学など
    参考文献・協力
    『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年)、『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)、『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929)
  • 主食材として「クサヤモロ」を使用したレシピ一覧

関連コンテンツ