
体長50cm前後になる。やや細長く側扁している(左右に平たい)。目が非常に前方にある。胸鰭が長い。尾鰭の下葉(下の方)が黄色い、もしくは黒くない。背から頭部、口にいたるラインが目の先でやや膨らむ〈おでこが出ている〉。鰓蓋(さいがい)上部に黒い斑文がある。
ミナミギンガメアジの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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魚貝の物知り度 |
食べ物としての重要度 |
味の評価度 |
★★★★★ 知っていたら学者級 |
★★★ 一般的(流通量は多くも少なくもない) |
★★★ 美味 |
分類 |
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目アジ科ギンガメアジ属
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外国名 |
Tille trevally
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学名 |
Caranx tille Cuvier, 1833
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漢字・学名由来 |
漢字 南銀紙鰺
由来・語源 ギンガメアジと同属でやや温かい海域(南)に生息するという意味。「ギンガメアジ」は長崎での呼び名をとって標準和名とした。「体表が銀紙を張ったように輝く」ことから。参考/『新釈魚名考』榮川省造 青銅企画出版 Cuvier バロン・ジョルジュ・レオポルド・クレティアン・フレデリック・ダゴベール・キュヴィエ(Baron Georges Léopold Chrétien Frédéric Dagobert Cuvier 1769-1832) スエーデンのリンネ、フランスのビュフォンの分類体系に解剖学や古生物学などを加味して現在の形の礎を作った巨人のひとり。
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地方名・市場名 [?] |
キゼンメ 備考『ぜんめ』とは〈筮(ぜん)〉に〈め〉の魚名尾語をつけたもの。「筮」は竹矢来のことで棘のある魚の意。参考:『新釈魚名考』榮川省造 青銅企画出版」というのがある。ただし棘ではなく竹矢来の格子に組んだ真四角に由来しないだろうか?。 参考『新釈魚名考』榮川省造 青銅企画出版 場所鹿児島県南さつま市笠沙で |
生息域 |
海水魚。内湾やサンゴ礁などの沿岸域。
山口県下関、鹿児島県南さつま市笠沙、種子島、沖縄島。
台湾、福建省、広東省、海南島、中沙諸島、西沙諸島、インド-西太平洋(ハワイ諸島を含む)。 |
生態 |
幼魚、若魚は内湾、サンゴ礁、河口域、川にものぼる。
ミナミギンガメアジ ギンガメアジよりも体高が低い。鰓蓋上部の黒斑はくっきりしている。頭部から吻にかけて急に曲がり込む。吻が短い。  ギンガメアジとの比較
ギンガメアジ ミナミギンガメアジと比べて体高がある。背鰭、尾鰭、背中の部分などが黒っぽい。鰓蓋上部の黒斑は小さい。頭部から吻にかけて緩やかなカーブを描く。 |
基本情報 |
鹿児島県、沖縄県などではギンガメアジと混同されている可能性大。広い意味での琉球列島での「がーら」である。比較的安くておいしいので人気があるのではないかと思う。 |
水産基本情報 |
市場での評価 関東への入荷は非常に。ギンガメアジとの混同があると思われる。安い。
漁法 釣り、定置網
主な産地 鹿児島県、沖縄県 |
選び方 |
できるだけ黒くないもの。触って硬く、鰓が鮮紅色のもの。 |
味わい |
旬/調べているところ。
ぜんご(稜鱗)は硬く強い。鱗はほとんど気にならない。皮は薄い。
やや赤みがかった白身で血合いは赤い。熱を通すとやや縮む。
料理の方向性
アジ科らしいうま味があって、血合いなどは少ないので上品な味わいといえそう。生食、焼く、煮る、ソテー、揚げる、など料理法を選ばない。ギンガメアジよりも美味。 |
栄養 |
ー |
寄生虫 |
ー |
食べ方・料理法・作り方 |
生食(刺身、セビチェ、カルパッチョ)、煮る(煮つけ、まーす煮)、焼く(塩焼き)、汁(みそ汁)、揚げる(フライ、唐揚げ)  ミナミギンガメアジの刺身
刺身 水洗いして三枚に下ろして皮を引き、刺身に切ったもの。血合いの赤が薄く、一見、シマアジと見まごうばかりでとても美しい。食べた味も似ていて、一瞬シマアジを食べているように思える。アジ科ならではのうま味と心地よい食感で言うこと無しのうまさだ。  ミナミギンガメアジのセビチェ
セビチェ 腹の薄い部分や尾に近い部分を細かく切る。塩とライムでマリネーする。表面が白くなったら辛い青唐辛子と紫玉ねぎで和える。塩とライムで締めてあるので食べて爽やかである上にアジ科ならではのうまさが感じられる。苦みのある野菜と合わせるとおいしい。  ミナミギンガメアジの煮つけ
煮つけ 二枚に下ろして骨付きの方を煮つけにした。しょうゆ、酒、砂糖の総菜用に煮て、硬く締まらず、魚のうま味豊かでとてもご飯に合う。やはりアジ科の魚は煮つけにして美味であることを再認識。  ミナミギンガメアジの塩焼き
塩焼き 11月中旬に鹿児島から来たものは非常に脂がのっていた。本種の旬はまだわからないが、二枚下ろしにして骨付きのものを塩焼きにすると脂が表面に浮き上がってきてとても香ばしい。それでいながら中は豊潤というのがうれしい。  ミナミギンガメアジのバター焼き
バター焼き 三枚に下ろして皮付きのまま塩コショウして少し寝かせる。これを最初は多めの油でこんがりとソテーして、少し油を捨てる。仕上げにバターで風味づけする。切り身を取り出してベルエシャロットを炒めて少量のワインでデグラッセし、仕上げにパセリなどを加える。しょうゆを最後に加えるとご飯に合う。  ミナミギンガメアジのみそ汁
みそ汁 頭部や中骨などのあらを湯引き、冷水に落として鱗やぬめりを取る。水をよくきり、水から煮出してみそを溶くと出来上がり。青みはお好みのものを。驚くほどうま味の強い汁でみそ味なのでご飯に合う。  ミナミギンガメアジのフライ
フライ 三枚に下ろして皮は少し硬いので引く。塩コショウして溶き卵にくぐらせてパン粉をまぶして揚げたもの。クセのない白身でアジ科らしいうま味が豊かである。当然、マアジで作るアジフライ同様にとても味わい深い。  ミナミギンガメアジの唐揚げ
唐揚げ あらと頭部を適宜に切り、片栗粉をまぶして二度揚げにし、塩コショウで味つけしたもの。鰭や皮が香ばしく、締まった身に甘みがあってとてもおいしい。 |
好んで食べる地域・名物料理 |
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加工品・名産品 |
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釣り情報 |
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歴史・ことわざ・雑学など |
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参考文献・協力 |
協力/田中水産(鹿児島県鹿児島市)、伊東正英さん(鹿児島県南さつま市笠沙)
『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会) |
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