メアジ

Scientific Name / Selar crumenophthalmus (Bloch, 1793)

メアジの形態写真

30cm前後になる。目が大きく、体高が高く側扁(そくへん 左右に平たい)する。稜鱗(りょうりん ぜんご)は弱く目立たない。

    • 魚貝の物知り度

      ★★★★
      知っていたら達人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★★
      一般的(流通量は普通)
    • 味の評価度

      ★★★
      美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目アジ科メアジ属

    外国名

    学名

    Selar crumenophthalmus (Bloch, 1793)

    漢字・学名由来

    漢字 目鰺、眼鰺
    由来・語源 他の鰺と比べると目が大きいので。東京での呼び名。
    Bloch
    Marcus Élieser Bloch(マルクス・エリエゼル・ブロッホ 1723-1799 ドイツ)。医師、博物学者。ヨハン・ゴットロープ・テアエヌス・シュナイダー(Johann Gottlob Theaenus Schneider)とともに『110の画像付分類魚類学』を刊行。

    地方名・市場名

    生息域

    海水魚。水深170mまでの中・下層。
    伊豆〜小笠原諸島、千葉県〜九州南岸の太平洋沿岸、九州西岸の東シナ海沿岸、東シナ海大陸棚、屋久島、琉球列島。
    津軽海峡〜茨城県、津軽海峡〜山口県の日本海沿岸は少ない。
    山東半島青島、朝鮮半島南岸、済州島、台湾、中国南シナ海沿岸・海南島、トンキン湾、東沙諸島、西沙諸島、全世界の熱帯・亜熱帯。

    生態

    基本情報

    本州では駿河湾から西南に行くほど目にする機会が増える。関東では血合いが大きく、脂が少ないとあまり人気が高くない。
    マアジの取れない沖縄では重要な食用魚のひとつ。比較的まとまってとれるので安く、料理法も選ばないので総菜魚として重宝する。
    今のところ加工品は見ていない。

    水産基本情報

    市場での評価 関東にも秋から初冬、年末にかけて比較的入荷量の多いもの。値段は安く、卸値でキロあたり1000円以上にはならない。味がいいのでお買い得。
    漁法 定置網、巻き網
    主な産地 鹿児島県、三重県、和歌山県

    選び方

    体色の美しいもの。目が澄んでいるもの。触って硬いもの。鰓が鮮紅色のもの。

    味わい

    旬は関東では秋から冬。沖縄などでは年間を通して食べられている。また夏も美味。旬に関してはもっと考察する必要あり。
    ゼンゴがあり、鱗は薄く細かく煩わしい。皮は薄いがしっかりして手で剥げる。
    血合いは大きく色合い薄い。薄皮を引いた後の銀皮(青い)が残ればあまり目立たない。
    青魚特有の風味があるものの、クセや臭いはまったくない。
    熱を通すとしまり、いいだしが出るので汁ものなどにも向く。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    メアジの料理法・調理法・食べ方/生食(刺身、なめろう、カルパッチョ)、汁(みそ汁、潮汁、だんご汁)、煮る(煮つけ)、揚げる(薩摩揚げ、フライ)、焼く(塩焼き)、ソテー(ムニエル)
    メアジの刺身
    メアジの刺身 三枚に下ろして皮は手で剥くことができる。血合いが大きいのが難点であるが、透明感があり、見た目にもきれいだ。やや淡泊でありながらうま味が強くて味がいい。脂がのっている時季なら味に奥行きがある。


    メアジのなめろう(みそたたき)メアジのなめろう(みそたたき) 三枚に下ろして皮を剥き、血合い骨はそのまま細かく切る。下ろしにんにく、しょうが、九条なぎなど香りと辛みのある野菜、みそを加えてとんとんと切れる包丁でたたく。単純な料理だが、味は最上級である。
    だんご汁 三枚下ろしにして皮を引き、とんとんと包丁で叩いてすり鉢ですり身にする。これに塩、片栗粉、酒、しょうがの搾り汁を加えてだんご状にして煮立った昆布だしに落とす。酒、塩、薄口しょうゆで味つけしたもの。大根、豆腐、青みなどを合わせてより美味に。
    メアジのみそ汁メアジの魚汁(みそ汁) 安い魚なので、無造作にぶつ切りにして、また刺身の後のアラを集めてみそ汁にする。アジ科の魚はおしなべていいだしが出るが本種も同様。沖縄では「がちゅんの汁」でご飯の主菜である。
    メアジの煮つけメアジの煮つけ 水洗いして味の染みやすいように斜め真半分に切る。湯通しして、冷水に落とし鱗や血液などを流し、よく水切りをしておく。これを酒、砂糖、しょうゆ、水で煮る。酒・塩でも、酒・みりん・しょうゆの味つけでもいい。
    メアジの薩摩揚げメアジのつけ揚げ(天ぷら、薩摩揚げ) 三枚下ろしにして細かく切り、とんとんと細かく切り、すり鉢でする。黒砂糖、塩、酒、しょうがの搾り汁を加え玉ねぎを加えてまとめて揚げる。ふんわりと軟らかく、魚のうま味が豊かでおいしい。
    メアジのフライメアジのフライ 小振りの脂ののっていないメアジを開いて塩コショウする。小麦粉をまぶし、溶き卵にくぐらせてパン粉をつけて揚げる。身は少々硬く締まるが、イヤミのない味で箸の進む一品である。
    メアジの塩焼きメアジの塩焼き 水洗いして、よく水分をきる。振り塩をして1時間以上置く。これをじっくりと焼き上げる。上質の適度に繊維質の身で、身離れがいい。皮の好ましい香りと身の甘さが楽しめてとても味がいい。
    メアジのムニエルメアジのムニエル ぜんご、鱗を取り、内臓をずぼ抜きする。よく水で洗い、水分をきる。塩コショウして小麦粉をまぶして多めの油でソテー。かりっとあったら余分な油を捨てて、メアジを取りだし、バターでデグラッセする。かりっとソテーした皮が実にうまい。しょうゆをたらすとおかずにもなる。

    好んで食べる地域・名物料理

    沖縄県 マアジがとれない沖縄で小型のアジの代表的なもの。酢みそで食べる刺身、みそ汁などになる。

    関連コラム(郷土料理)

    記事のサムネイル写真日本各地にある、づけ・茶漬け・づけ飯とは
    生の魚を刺身で食べて余ったものを、醤油などにつけて保存性を高めるものを「づけ(漬け)」と呼ぶ。日本各地で普通に行われているもので、あまった刺身などの保存のためで・・・ 続きを開く

    加工品・名産品

    釣り情報

    関東では船のアジサビキ釣りなどでときどき上がる。

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    協力/伊東正英(鹿児島県南さつま市笠沙)、田中水産(鹿児島県鹿児島市)
    『九州発 食べる地魚図鑑』(大富潤 南方新社 2011)、『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年)、『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)、『商用魚介名ハンドブック』(日本水産物貿易協会編 成山堂)、『魚』(1940 田中茂穂 創元社)

    地方名・市場名

    アオアジ
    場所三重県志摩市和久町 参考日比野友亮さん 
    ドンパク
    場所三重県東紀州 参考三重県『東紀州のお魚リスト』 
    トッパクアジ トッパク
    場所徳島県海部郡海陽町宍喰漁協、高知県東洋町甲浦、高知県室戸市三津定置網・安芸市 参考20190724 
    メアジ
    場所東京都、神奈川県三崎 参考文献 
    ガツヌ
    場所沖縄県伊良部島 参考『魚名からみる自然認識:沖縄・伊良部島の素潜り漁師の事例から』(高橋そよ 2014年03) 
    ウフミー
    場所沖縄県南城市知念漁協 参考『美ら海市場図鑑 知念市場の魚たち』(三浦信男 ぬにふぁ星 2012) 
    ガッツン
    場所鹿児島県奄美大島 参考奄美漁業協同組合 
    シマウマ ゴシ
    場所高知県 サイズ / 時期小型 
    ガチュン
    場所沖縄本島、八重山 
    ガツン
    場所鹿児島県南さつま市笠沙、沖縄県沖縄宮古島 
    ガッヌ
    場所沖縄宮古島 
    カメアジ
    場所和歌山県串本町 
    キンパク
    場所三重県志摩市波切・熊野市遊木漁港 
    メッキアジ
    場所徳島県海部郡海陽町『宍喰漁業協同組合』 
    トッパクアジ トンパク
    場所高知県 
    アカアジ アジ カミアジ ドンパク
    参考文献より。 
  • 主食材として「メアジ」を使用したレシピ一覧

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