イトヒラアジ

Scientific Name / Carangichthys dinema (Bleeker,1851)

イトヒラアジの形態写真

50cm SL 前後になる。体高が高く、横から見ると猫の目形。背鰭、臀鰭の先が長く伸びるが、これは成長に従って短くなる。側線直線部分は側線前方曲線部分よりも短く、直線部分の稜鱗は発達している。遊離臀鰭棘は可動だが可動域は狭く目立たない。背鰭軟条数は17-19、背鰭軟条基底部分に黒い斑紋が並ぶ。[22.5cm SL・273g]
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50cm SL 前後になる。体高が高く、横から見ると猫の目形。背鰭、臀鰭の先が長く伸びるが、これは成長に従って短くなる。側線直線部分は側線前方曲線部分よりも短く、直線部分の稜鱗は発達している。遊離臀鰭棘は可動だが可動域は狭く目立たない。背鰭軟条数は17-19、背鰭軟条基底部分に黒い斑紋が並ぶ。[22.5cm SL・273g]背鰭軟条基底部分に黒い斑紋が並ぶ。遊離臀鰭棘は可動だが可動域は狭く目立たない。50cm SL 前後になる。体高が高く、横から見ると猫の目形。背鰭、臀鰭の先が長く伸びるが、これは成長に従って短くなる。側線直線部分は側線前方曲線部分よりも短く、直線部分の稜鱗は発達している。遊離臀鰭棘は可動だが可動域は狭く目立たない。背鰭軟条数は17-19、背鰭軟条基底部分に黒い斑紋が並ぶ。[22.5cm SL・273g]
    • 珍魚度・珍しさ

      ★★★
      がんばって探せば手に入る
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★★
      知っていたら学者級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目アジ科イトヒラアジ属

    外国名

    学名

    Carangichthys dinema (Bleeker,1851)

    漢字・学名由来

    漢字 糸平鰺 Standard Japanese name / Itohiraaji
    由来・語源 平たくて(側へんし)、尻鰭と背鰭の前の部分が伸びて先が糸状になるため。
    アジ科の体高のある種は混乱が続いていた時期が長い。古くはナンヨウアジという標準和名が存在したが、本種自体であるのかなどは不明。
    〈アヂ科カイワリ屬ヨロイアジ亞屬ナンヤウアヂ Caranx dinema JORDAN et SEALE〉。『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)
    〈アジ科カイワリ属ヨロイアジ亜属 ナンヨウアジ Caranx dinema JORDAN et SEALE〉。『魚類の形態と検索』(松原喜代松 岩崎書店 1955)
    〈いとひらあじ Caranx dinema (Bleeker)〉。『原色 沖縄の魚』(具志堅宗弘 タイガー印刷 1972)
    〈イトヒラアジ Carangoides dinema BLEEKER〉。『魚類大図鑑 南日本の沿岸魚』(益田一、荒賀忠一、吉野哲夫 東海大学出版会 1975)
    Bleeker
    Pieter Bleeker(ピーター・ブリーカー 1819-1878 オランダ)。医師、魚類学者。『東インドオランダ領の魚類図鑑』(Atlas Ichtyologique des Indes Orientales Netherlandaises 1862-1878)。軍医としてバタビア(現インドネシアジャカルタ)に赴任。インド洋、西太平洋の魚を採取。

    地方名・市場名

    ヨダレガーラ
    場所沖縄 参考『原色 沖縄の魚』(具志堅宗弘 タイガー印刷 1972) 
    ヒラガーラ
    場所沖縄県南城市知念知念漁協 参考『美ら海市場図鑑 知念市場の魚たち』(三浦信男 ぬにふぁ星 2012) 
    ヒラバー
    場所鹿児島県種子島 参考『種子島の釣魚図鑑』(鏑木紘一 たましだ舎 2016年) 
    エバ
    場所鹿児島県南さつま市笠沙 

    生息域

    海水生。浅い内湾やサンゴ礁域。
    新潟県寺泊、京都府舞鶴、兵庫県香住、相模湾、三重県尾鷲市、高知県以布利島、日向灘、鹿児島県笠沙・錦江湾、沖縄県。
    台湾、広東省、インド-西太平洋域、サモア諸島、トンガ諸島。

    生態

    基本情報

    熱帯系のヒラアジ型の魚で国内では鹿児島県以南に多いが、近年、相模湾などでも若い個体が頻繁にとれるようになってきている。近縁種のテンジクアジに似ていて種不明のまま扱われている可能性がある。
    比較的大きくなり、非常に味のいい魚である。
    珍魚度 ぎりぎり珍魚としてもいいだろう。鹿児島以南で揚がる魚だが、水揚げ量は非常に少ない。

    水産基本情報

    市場での評価 主に鹿児島県、沖縄県などで水揚げされる魚だったが、近年北上傾向にある。相模湾などでも見られる。味がいいのに安い。
    漁法 定置網
    産地 沖縄県、鹿児島県

    イトヒラアジ(上)とテンジクアジ(下)
    両種はとても似ている。並べて見ないと違いがわからないかも知れない。
    イトヒラアジ(上) 非常に体高が高く、胸鰭が透明である以外の鰭は黒っぽい。背鰭後方根元下に台形の黒い斑紋が並ぶ。イトヒラアジは成長しても35cm SLほどだ。
    テンジクアジ 体高は高いが同じサイズのイトヒラアジと比べると低い。身体の下の部分にある腹鰭・臀鰭・尾鰭下葉は黄色い。背鰭後方根元下に斑紋がない。テンジクアジは50cm SL前後になり成長すると見た目が変わる。

    選び方

    触って張りのあるもの。目が澄んでいるもので鰓の赤いもの。

    味わい

    旬は不明。
    稜鱗(ぜんご)は硬い。鱗は薄く取りやすい。皮は薄い。骨はあまり硬くはない。
    血合いの弱い白身。あらなどから非常にいいだしが出る。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    イトヒラアジの料理・レシピ・食べ方/生食(刺身)、揚げる(フライ)、煮る(煮つけ)、焼く(塩焼き)、ソテー(バター焼き)

    イトヒラアジの刺身 血合いと銀皮が美しい。透明感のある中に白く濁った微粒子が脂である。アジ科らしいうま味と白身魚のよさを併せ持つ。上品な味なのにうま味成分が豊かで味がダレない。
    水洗いして三枚に下ろす。腹骨を取り、腹側・背側に分けて血合い骨を取る。皮を引いて刺身状に切る。

    イトヒラアジの焼霜造り あぶると非常に香ばしい香りが立つ。皮下に脂の薄い層があり、香ばしさの中に口溶け感がある。身は甘味があってアジ科らしいうま味もある。
    水洗いして三枚に下ろす。腹骨を取り、腹身だけにする。皮をあぶって氷水に落として粗熱を取る。水分をとり、冷蔵庫で寝かせ、皮を落ち着かせて切る。
    イトヒラアジのフライ アジ科の魚でフライなので、アジフライとしてもいい気がする。腹の身は脂が多いのでさくっと噛みしめるとじわりと脂が染み出してくる。この脂に甘みがある。身自体もうまい。
    水洗いして三枚に下ろす。腹骨と血合い骨を取り、腹の身に塩コショウする。小麦粉をまぶして溶き卵にくぐらせて、パン粉をつけて高温で短時間揚げる。
    イトヒラアジのバター焼き 皮と皮下がとても香ばしい。マーガリンにからませて食べる身もうまい。身離れがいいのも魅力だ。今回はご飯のおかずにしたので醤油を回しかけた。
    小型なので丸のまま使うといいかも。水洗いして塩コショウする。小麦粉をまぶして多めの油でじっくり弱火でソテーする。仕上げにマーガリン(バター)を加えて少しこがす。
    イトヒラアジのみそ汁 沖縄では汁(みそ汁)の定番がアジ科の魚である。今回のみそ汁もそうだが、みそとあらだけなのに非常に味わい深い。汁なのに御馳走だし、ご飯の友だといえるだろう。もちろん骨に付着している身もおいしい。
    あらなどを集めて置く。食べやすい大きさに切り、湯通しして冷水に落として汚れなどを流す。水分をよくきり水から煮出してみそを溶く。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    協力/田中水産(鹿児島県鹿児島市)、伊東正英(鹿児島県南さつま市笠沙)
    『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会 20130226)
  • 主食材として「イトヒラアジ」を使用したレシピ一覧

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