モロ

Scientific Name / Decapterus macrosoma Bleeker.1851

モロの形態写真

SL 25cm近くになる。非常に細長く断面が円に近い。背中の鱗の領域は前方眼球中央上を越えない。主上顎骨後端は上部がわずかに湾入、下方はまるくふくらむ。
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SL 25cm近くになる。非常に細長く断面が円に近い。背中の鱗の領域は前方眼球中央上を越えない。主上顎骨後端は上部がわずかに湾入、下方はまるくふくらむ。背中の鱗の領域は前方眼球中央上を越えない。主上顎骨後端は上部がわずかに湾入、下方はまるくふくらむ。
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★★
      知っていたら学者級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目アジ科ムロアジ属

    外国名

    学名

    Decapterus macrosoma Bleeker.1851

    漢字・学名由来

    漢字 鰘、諸、牟婁 Moro
    由来・語源 「むろ」と「もろ」は古くは混同されていたようで、「むろ」が「もろ」に変化したもの。古くは「ミヅムロ(ミズムロ)」であった。
    「むろ」の語源、由来は以下。
    「『本朝食鑑』に播州室の津で多くとれた」もしくは「紀州和歌山県「牟婁」でよくとれたためではないか」。(参考/『食の体験文化史』森浩一 中公文庫)
    個人的には「むろ」は和歌山県の牟婁地方(串本や周参見のある)でとれたからくるのだと思っている。
    Bleeker
    Pieter Bleeker(ピーター・ブリーカー 1819-1878 オランダ)。医師、魚類学者。『東インドオランダ領の魚類図鑑』(Atlas Ichtyologique des Indes Orientales Netherlandaises 1862-1878)。軍医としてバタビア(現インドネシアジャカルタ)に赴任。インド洋、西太平洋の魚を採取。

    地方名・市場名

    ミヅムロ
    場所三重県尾鷲、和歌山県田辺・串本・太地 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 
    アオムロ
    場所静岡県白浜・土肥 参考静岡県水産・海洋技術研究所・伊豆分場 
    ムロアジ
    場所神奈川県小田原市 参考20191101 
    ムロ モロアジ コムロ[小ムロ]
    参考文献より。 

    生息域

    海水魚。沿岸、水深30〜170メートルの中層・下層。
    少ないが北海道〜茨城。
    千葉〜九州南岸・種子島の太平洋沿岸、[富山湾 2008-2018 年に富山湾で新たに記録した魚類 木村知晴・西馬和沙・不破光大・稲村 修(魚津水族館)]、山口県日本海沿岸〜九州西岸・東シナ海、沖縄。東シナ海大陸棚縁辺域。
    朝鮮半島南岸、済州島、台湾中国東シナ海・南シナ海。インド・太平洋。

    生態

    寿命は5歳。

    基本情報

    アジ科のなかでも非常に認知度が低いものと思われる。単に「ムロアジ」として干もので売られているのを見たことがある。水揚げ港(産地周辺)では干物の原料などになっていることが多い。
    ムロアジやクサヤモロよりも小さく、そのためか水分が多い。鮮魚としての価値は低いが、食べてみるととても味わい深い。もっと鮮魚でも利用すべきではないかと思う。

    水産基本情報

    市場での評価 一般に干物などになる。鮮魚としての入荷は関東ではほとんど皆無。安い。
    漁法 定置網、巻き網
    産地

    選び方

    触って張りのあるもの。体側の銀色に光があるもので、鰓が鮮紅色のもの。

    味わい

    旬は関東では寒い時期。旬を外すと味が落ちる。
    鱗は小さく取りやすい。皮は薄く手で剥がせる。
    透明感のある白身で脂が皮下に層を作る。血合いは大きい。
    熱を通すと少し締まり硬くなる。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    モロの料理法・調理法・食べ方/生食(刺身)、焼く(塩焼き、干もの)、汁(みそ汁)、揚げる(唐揚げ)

    モロの刺身 高く売れない魚なので、扱いが悪いのが残念。鮮度がよければ刺身は抜群にうまい。3枚に下ろして腹骨を抜き、血合い骨を抜く。皮をはいで刺身状に切る。脂の甘さよりも青魚のうま味の豊かさを楽しむものと思う。

    モロのみそ汁 沖縄県の郷土料理ともいえるのが「がーらの魚汁」である。要するにアジ科の魚のみそ汁だが、沖縄でこのうまさを知ってからアジ科の魚を見つけたら、何はともあれみそ汁にする。小さな魚なので水洗いして適当に切る。湯通しして冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。これを水から煮出し、みそを溶く。漁師さんの家ではここの味の素やだしの素を使うが、それも悪くない。実にうま味豊かで味わい深い。ご飯にも合う。

    モロの唐揚げ 小さいので水洗いして、水分を切り、そのまま片栗粉をまぶして、じっくり二度揚げするだけでとても美味。ここでは20cm上を背開きにして水分をよくきり、片栗粉をまぶしてじっくりと揚げた。揚げるとムロアジの持つうま味が凝縮されてとても美味。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    主に干ものに加工される 日本各地で干ものになっているはずだが、問題はムロアジと煮ている点だと思う。
    モロの干もの 千葉県千倉では「むろあじ開き」、静岡県下田市では「小むろ」、同沼津市では「むろ」と、いずれにしろムロアジ、クサヤモロとまぎらわしい。脂が少なく総て方干しで香りのよさを楽しむべきものかも。非常に美味だ。

    釣り情報

    相模湾などでは比較的浅場でアジ(マアジ)のサビキ釣りなどに混ざる。

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    協力/二宮定置(神奈川県二宮町)
    『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)
  • 主食材として「モロ」を使用したレシピ一覧

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