SL1m前後になる。幼魚は身体が真四角に近く、背鰭、尻鰭が長い。頭部は背から吻にかけて丸みを帯びて目の先で直線的になる。成魚になると背鰭、尻鰭が短くなり、身体が長くなる。[SL10cm]
イトヒキアジの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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珍魚度・珍しさ
★★
少し努力すれば手に入る魚貝の物知り度
★★★★
知っていたら達人級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★★★
非常に美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目アジ科イトヒキアジ属外国名
学名
Alectis ciliaris (Bloch,1788)漢字・学名由来
漢字 糸引鰺 Itohikiaji
由来・語源 神奈川県三崎での呼び名。相模湾などでは成魚ではなく背ビレ尻ビレの伸びた幼魚が主に見られる。この幼魚期の背ビレ、尻ビレの伸びている模様から。
〈CARANX,cuv ciliaris かんざしだい 小笠原、いとまきあぢ 紀伊・土佐〉。『帝国博物館天産部魚類標本目録.帝国博物館』(石川千代松・松浦歓一郎 1897/明治30年)
〈アヂ科イトヒキアヂ屬 イトヒキアヂ Alectis ciliaris〉。『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)Bloch
Marcus Élieser Bloch(マルクス・エリエゼル・ブロッホ 1723-1799 ドイツ)。医師、博物学者。ヨハン・ゴットロープ・テアエヌス・シュナイダー(Johann Gottlob Theaenus Schneider)とともに『110の画像付分類魚類学』を刊行。地方名・市場名
生息域
海水魚。内湾など沿岸の水深100mよりも浅場。
伊豆〜小笠原諸島、[岩手県釜石]、[宮城県気仙沼]、千葉県、[相模湾では少ないながら成魚が揚がる]〜九州南岸の太平洋沿岸、屋久島、琉球列島、東シナ海中部の大陸棚縁辺域。
幼魚が多い/北海道、[岩手県釜石]〜茨城県の太平洋岸、日本海沿岸
希で幼魚のみ/瀬戸内海沿岸
千島列島南部太平洋沿岸、ピーター大帝湾、山東半島、朝鮮半島南岸・東岸、台湾、中国東シナ海・南シナ海沿岸、海南島、全世界の熱帯海域。生態
ー基本情報
本州以南に生息している。古く、暖流にのって北上してくる若い個体は、鰭が長く面白い姿をしているので認知度は高い魚だった。ただし相模湾などでは小型が多く古くから価値が低い魚だったので、定置網などに大量に入ると困るものだった。水揚げ量も安定しない状況が続いていたが、近年幼魚というよりも500gから1㎏前後の若い個体がたくさんとれるようになっている。また相模湾などでは大型の成魚も見られる。明らかに北上傾向にある。
とても味のいい魚で、料理を選ばないので、安定的な入荷が続けば全国市場での評価が生まれそうである。たくさん揚がるようになったのでマアジのように惣菜的な料理にも生かすべきである。
珍魚度 今や普通の食用魚だ。入荷は安定しないが通常の流通でもしばしば見かける。少しだけ努力すれば手に入る。水産基本情報
市場での評価 ヒレの伸びた幼魚は秋などにまとまって入荷。手のひらサイズは今でも安いが、0.5kg前後以上は、徐々に値を上げてきている。
漁法 定置網
産地 神奈川県、大分県、和歌山県など選び方
銀色に輝いているもの。触って張りのあるもの。眼が澄んでいるもの。味わい
成魚の旬は春から初夏。幼魚は秋。大小に関わらず味がいい。
鱗はほとんど気にならず、皮は非常に薄い。骨は柔らかい。
透明感のある身で血合いは薄い。熱を通しても硬く締まらない。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
イトヒキアジの料理・レシピ・食べ方/生食(焼き切り、刺身、カルパッチョ、セビチェ)、揚げる(フライ、甘酢あんかけ、エスカベッシュ、唐揚げ)、ソテー(バター焼き、ムニエル)、煮る(煮つけ)、焼く(塩焼き、幽庵焼き)、汁(みそ汁)クリックで閉じます
イトヒキアジの焼き切り(焼霜造り) マアジと比べると淡泊で、背の青い魚と白身の中間的な味だ。刺身などにして嫌みがなくおいしいとは思うものの、物足りなさを感じることもある。これを皮を生かすことで解消する。
水洗いして三枚に下ろす。背と腹に血合い骨から分けて、皮表面をあぶって刺身状に切ったもの。アジ科らしい皮目の香ばしさ。身の豊かなうま味が楽しめて非常にうまい。本州に多い若魚を使えるのも魅力だ。
イトヒキアジの刺身 糸がなくなった大型の刺身だ。三枚に下ろし腹骨と血合い骨を取ると、背側は普通だが腹側はいびつになる。この腹側の刺身だ。比較的脂がのっていて甘味うま味豊かでとても味わい深い。クリックで閉じますクリックで閉じます
イトヒキアジの甘酢あんかけ 揚げたての唐揚げに甘酢をかけたものである。酸味をおさえてご飯のおかずにする。
あんの材料であるにんじん、ぴーまん、玉ねぎなどをせん切りにする。カツオ節出しに酢・酒・砂糖・薄口醤油・塩で味つけする。ここに野菜を入れて、片栗粉でとろみをつける。
水洗いして三枚に下ろし、腹骨・血合い骨を取る。水分をよく切り、
小麦粉をまぶしてカリットするまで揚げる。皿などに盛り、あんをかける。
あんが完成するのと、揚げ上がりを合わせる。
とろっとしたあんの下の切り身をスプーンなどで割るとまだサクッとした感じが残っている。あんと身をご飯に乗せながら食べる。
イトヒキアジの姿揚げ(唐揚げ) 小型は丸ごと、大型はあらや切り身を揚げるといい。水洗いして水分をよくきり、片栗粉をまぶしてじっくり二度揚げにする。揚げ上がりに塩を振る。中骨はともかく鰭から頭部から丸ごと食べられて美味。小さい個体は唐揚げにすると見栄えがいい。クリックで閉じますイトヒキアジのエスカベッシュ 本来はスペイン料理だが、要は野菜たっぷりの洋風酢漬けである。水洗いして三枚に下ろし腹骨・血合い骨を取る。食べやすい大きさに切り、塩コショウしておく。野菜はあるものでいいのでせん切りにする。白ワインビネガー・塩・砂糖・水を合わせて味をみる。酸味がちょうどよいからここに粉末のハーブブイヨン、ローリエなどを加えてせん切りの野菜をつける。ここに小麦粉をまぶして揚げた切り身を熱いうちに加える。クリックで閉じますイトヒキアジのムニエル 小型は丸のまま、大型は皮を引き切り身にして使うといい。水洗いして切り身にする。皮はそのままでもいいし、引いてもいい。塩コショウして、小麦粉をまぶして多めの油でじっくりとソテー。仕上がりにマーガリン(バター)で風味づけしたもの。クリックで閉じますイトヒキアジのバター焼き 小振りを水洗いして頭部と鰭などを切り落とす。塩コショウして多めの油でじっくりソテー、仕上げにマーガリン(バター)で風味づけしたもの。出来上がりにしょうゆをたらすとご飯に合う。クリックで閉じますイトヒキアジの塩焼き 塩焼きは小型よりも大型を切り身にして作った方がうまい。小さい小型は焼き上がったものにオリーブオイルをかけたり、バターやマヨネーズで食べるといい。水洗いして三枚に下ろし切り身にする。振り塩をして1時間以上寝かせてじっくりと焼き上げる。クリックで閉じますイトヒキアジの幽庵焼き 大型のものを祐庵地につけて焼き上げたもの。水洗いして三枚に下ろし切り身にする。振り塩をして少し置き出て来た水分を拭き取る(この工程ははぶいてもいい)。これを醤油・みりん・酒同割りの地に半日以上漬け込む。水分を拭き取り焦がさないように焼き上げる。クリックで閉じますイトヒキアジの魚すき(へか焼き、煮食い) 要するに魚のすき焼きである。煮汁はしょうゆ・みりん・酒・水が基本。甘めが好きなら砂糖を入れても上等なものになる。野菜もお好みで。コンニャクは島根県大田市の「煮食い」で定番の具。豆腐を入れてもいいし、ようするに何でもOK。また市販のすき焼きのたれを使ってもいい。クリックで閉じます
好んで食べる地域・名物料理
ー加工品・名産品
ー釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
協力/長野淳さん(長宗商店 三重県熊野市)、さんの水産(神奈川県小田原市)
『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年)、『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版)、『日本の海水魚』(岡村収、尼岡邦夫編・監修 山と渓谷社)地方名・市場名 ?