小糸ちゃんはできすぎ 1、天ぷら編

天種にしてこんなに威力のある魚は他にいないと思う


刺身、天ぷら、干ものと小糸(イトヒキアジの小型)ちゃんくらい大活躍するものは他にないだろう。
きれいな(料理する上での話)魚で、やたらに下ろしやすいのも魅力的である。
今回は神奈川県秦野で買った夏野菜があってので、まずは天ぷらにする。

直売所の野菜の天ぷらはそれだけで料理の主役だと思っている。
でも、小糸天を食べると、その存在が消えてしまったのである。
平たく体高(左右に平たい)があるので三枚に下ろすと皮の面積が広い。
揚げるとこの皮がスターに変心するのである。
おそるべしアジ科の皮よ、と言いたくなる。
食わなきゃわからない話だけど、いつの間にか野菜をおいてけぼりにし、ご飯の存在も消えてしまった。
まるで、小糸の天ぷらは、 Gone the rainbow♪ だ。
かなりたくさん小糸を持ち帰ったが、本能のまま食べると足りなくなりそうだ。
ご飯は精進揚げで食う、昼時であった。

こーんなにうまい魚はいないと思うのに安い、という不思議


9月20日、小田原魚市場、二宮定置はやや低調であった。
そんなときに限ってボクが好きなものが揚がる、というアンバランスな状況となる。
その中、秋だなと思ったのが小糸ちゃんである。
体長10cmから20cmのイトヒキアジで、昔からとれていた魚で、やはり秋から冬にかけて多かった。
糸を引いている小型は漁業的にやっかいな魚で、非常にうまいのに評価されていない。
ある意味、未利用魚である。
天ぷらには全長10cm前後を使ったが、もっと大きくてもいいだろう。
水洗いして三枚に下ろす。腹骨・血合い骨を取り、水分をよくきる。
軽く振り塩をする。
小麦粉をまぶし、衣をからめて高温で短時間揚げる。さくっとかぶりついたときの皮の風味がやたらにいい。身が締まり、甘みもある。
二宮定置のみなさん、Kai’s Kitchenのカイくんなどなど、お世話になりました。


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