小糸ちゃんはできすぎ2、刺身編
海のアイドルは刺身にしても華麗、かつ美しいのだ
泳いでいるのを見ていると、まるで蝶のようだし、銀色のジュディ・オングのようでもある。
防波堤釣りではお馴染みの魚だった。
目の前にエサを落としても見向きもしない。
可愛いものには縁がないボクだからかも知れないが、なぜか釣れない。
そんな釣れない魚こそが、秋になると相模湾に押し寄せてくるイトヒキアジの若い個体、ジュディ・オングではなく小糸ちゃんである。
焼いても煮てもおいしい魚だが、刺身にしてもおいしいことはあまり知られていないのではないか。
これがあの小糸か? と思うほどうまいのである。
コツは皮をそのままに刺身にすることだ。
銀色の美しい刺身の皮と皮の真下に味がある。
皮はほどよい硬さで、食感がまたいいのである。
しょうがを搾り、ボクの故郷徳島産スダチに濃口醤油をたらし、混ぜ混ぜしてご飯にのせて食べたが、丼が小さすぎた。
深夜には酒の肴にして楽しんだ。
宮崎県産へべすをどばっとかけて、塩で食べたが、小粋な味なのである。
思わず、岐阜県八百津、「花盛 本醸造」を2合となる。
見た目が美しい魚は、味も美しい。
きれいな魚はまずいのか? 否、ウマスギなのである
9月20日、小田原魚市場、二宮定置はやや低調であった。
そんなときに限ってボクが好きなものが揚がる、というアンバランスな状況となる。
そんな中、秋だなと思ったのが小糸ちゃんである。
今回持ち帰った体長10cmから20cmのイトヒキアジでである。昔からとれていた魚で、やはり秋から冬にかけて多かったが、近年、希に成魚も揚がるし、暮れが近づくと大型が混ざるようになっている。
糸を引いている小型は漁業的にやっかいな魚で、非常にうまいのに評価されていない。
ある意味、未利用魚である。
刺身に使ったのは全長10cm前後である。
背鰭・腹鰭などをキッチンバサミで切る。
タワシでていねいに体表のぬめりを取る。
頭を袈裟懸けに切り水洗い。
三枚に下ろして、腹骨・血合い骨を取り、皮付きのままヒモ状に切る。
二宮定置のみなさん、Kai’s Kitchenのカイくんなどなど、お世話になりました。