大きさ1m前後になる。葉の中央に中肋(一般的に茎)がある。平面的で葉は先でいくつにも分かれている。根元にあるのが胞子葉(めかぶ)で、ここに胞子嚢があり、次世代の遊走子を放出する。
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物知り度
★
知らなきゃ恥食べ物としての重要度
★★★★★
非常に重要味の評価度
★★★★★
究極の美味
分類
植物界褐藻植物門褐藻綱コンブ目チガイソ科ワカメ属外国名
学名
Undaria pinnatifida(Harvey)Suringar漢字・学名由来
漢字 稚海藻、裾帯菜、和布(わかめ)、若布(わかめ)。
由来・語源 漢字「若布」の「若」と「稚海藻」の「稚」は本来、「和海藻(にぎめ)」、「布(め)」のまだ成長段階の若いときの状態を「わかめ」と呼んだことに由来する。
■ 古くは単に「布(め)」、「和海藻(にぎめ 万葉集)」。
■ 古事記の「海布」も「め」。
■ 「めかぶ」は「海藻根(まなかし)」。地方名・市場名 ?
生息域
海水生。低潮線付近から漸深帯岩の上など。
日本海、太平洋側では北海道室蘭以南、九州までの各地。生態
基本情報
ワカメは北海道から九州、朝鮮半島や中国の浅場に普通に見られる。海藻類でももっとも生産量の多いものだ。
国内では古くから食用として重要なもので、若布刈りを神事とする神社(和布刈神社)まである。古名で「布(め)」とは海藻類の総称だが、単に「布」というとワカメのことだった。それがまだ大きくならない若い時期に特においしいので「若布」となった。また「にぎめ」の若いもの(あまり成長していない)ものがおいしいので「若布」とも。
秋になるると成長を始めて、寒い地方を除いて暖かくなると枯れてしまう。年末になると収穫できるようになるが、早春の時期がいちばん味がいいとされている。
普段は乾物、塩蔵品として出回るが、春には生での流通がある。加工品と生との味の差はなく、乾燥したものの方が独特の風味が高いこともある。
みそ汁だけではなく、工夫次第でいろいろ使える。健康面からしても重要だと思う。水産基本情報
市場での評価 流通の基本形は湯通し塩蔵ワカメや乾燥品、ボイル(ゆで)。生ワカメは冬から春のみ出回る。比較的安い。
漁法 養殖、採取
主な産地
【海外】中国、韓国
【国内】岩手県、宮城県、徳島県、兵庫県、長崎県、神奈川県(水産統計)選び方
黒く、乾燥の度合いのよいもの。
生は藻体がしっかりして、液体のしみ出していないもの。味わい
栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
ワカメの料理法・調理法・食べ方/汁(みそ汁、塩味、中華、鍋、しゃぶしゃぶ)、ゆでる(もどす)、和える(ぬた、サラダ、酢のもの)、煮るクリックで閉じます生ワカメのみそ汁
ワカメのみそ汁 春に三浦半島から入荷してきた生ワカメのみそ汁。みそ汁を普通に作り、さっと水洗いしてワカメを食べやすい大きさに切り、加える。みそ汁に放った途端に緑に変わる。早春の生ワカメは柔らかく、海藻の香りが感じられておいしい。
ゆでわかめ 生ワカメはざっと水洗いして湯通しする。塩蔵ワカメは水洗いしてそのまま使えばいい。乾燥ワカメは水でもどし、ゆで干しはそのまま、生干しは湯通しする。適当に切り、ポン酢でもドレッシングでも、ポン酢でも好みの味つけで食べる。クリックで閉じます若竹煮 「若竹」は春を感じる竹の子と生ワカメをたき合わせたもの。関西の初夏の風物詩だった。生ワカメの微かな苦みに、竹の子の甘味が相まって非常においしい。作り方は生か乾物か、塩蔵かで違う。竹の子はゆでて水にさらしておく。生ワカメは水洗いして適当に切る。塩蔵ワカメは水でざっと洗う。干しワカメは水で戻しておく。カツオ節出しを煮だし、酒・しょうゆで味つけして竹の子を煮る。煮上がり前にワカメを入れて煮て、火をとめて鍋止めする。クリックで閉じます
--------好んで食べる地域・名物料理
めかぶの汁(めーぶ汁、めひび汁、めかぶのとろろ汁)●千切りにし湯通ししたわかめをたたいて粘りけを出し、吸い物程度に味つけしただしをかける。汁の味をやや濃くしてご飯にかけてもうまい。加工品・名産品
【乾燥品】
素干しわかめ 刈り取ったワカメをゆでないで水切りして、干したもの。茎の部分を取り除いたものなどもある。
糸わかめ 鳴門周辺でとれたワカメをゆでて軟らかい部分だけ細く割き、干し上げたもの、[橋本利一 徳島県鳴門市]
灰干しわかめ 徳島県で灰をまぶして干したもの。これを戻して糸状によったものを糸ワカメ。
茹で干しワカメ 茹でて干したもの。
板わかめ 肋(中央の筋)を取り除いて板状にしてぱりぱりに干したもの。島根県、鳥取県などで作られている。[隠岐海鮮舎 隠岐郡隠岐の島町、中浦食品 島根県松江市など]
刻みワカメ 干したワカメを細かく刻んだもの。このままご飯などにまぶして食べる。実に美味しい。山口県萩市などで作られている。[国弘商店 山口県山口市]、同様の食品に「炊き込みわかめ」[三島食品 広島県広島市]
乾燥めかぶ めひびとも。刻んで干し上げたもの。湯でもどすとそのまま生の状態にもどる。
めひび ワカメの成長点(めかぶ)を細かく刻んだものを干したもの。[北海道様似郡様似町]
【塩蔵】
湯通し塩蔵わかめ 水揚げ後、ゆでて塩をまぶしたもの。洗うだけ、洗って少し水で戻しても仕える。非常に便利。[カネヨ木村水産 北海道茅部郡森町]
真崎わかめ 湯通し塩蔵ワカメを手頃なパッケージに納めているので便利。[田老町漁業協同組合 岩手県宮古市田老]
束わかめ 湯通し塩蔵ワカメを束状にしたもの。中国産を使ったもの。[肥塚水産 山口県下関市]
【中肋(茎部)】
茎ワカメの佃煮 甘辛く似たもの。総菜のたぐいで、小売り店でも定番的なもののひとつ。
【成実葉】
きざみめひび 三重県鳥羽市。刻んで干したもの。
【新開発製品】
わかめうどん 山形県酒田市。若布を練り込んだ生うどん。釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
■ 1万年前の貝塚や泥炭のなかからワカメなどの海藻が発見されている。
■ 万葉集にも登場する。
■ 奈良時代以前に起源を持つ神社などで豊作を祈願する祭礼などでワカメを刈る神事が行われている。
■ 710年に(和銅3)に平城京に海藻店(にぎめだな)ができる。
■ 5月5日は「わかめの日」。(日本わかめ協会)
■ 「私が子供の頃には、信州の生家の庭に牡丹の花が咲き始めると、毎年きまって四國の阿波から、ワカメ賣りのおばさんがやってきたものだ。(改行)頭の上に大きな籠を載せて、ワカメはいらんかねぇと、尻上がりの口調で呼びあるいた。ワカメを買うと、子供たちに、阿波飴を一つ二つずつくれた」中村武志(長野県東筑摩郡片丘村出身[現塩尻市] 1909〜1992)『ふるさとの料理』(近藤永之介ほか 中央公論社 1955)参考文献・協力
『海藻』(宮下章 法政大学出版局)、『海藻のはなし』(新崎盛敏、新崎輝子 東海大学出版会)
、『海藻の食文化』(今田節子 成山堂)、『島根のさかな』(島根県水産試験場 山陰中央新報社)、『全国水産加工品総覧』(福田裕、山澤正勝、岡崎恵美子監修 光琳)、『ふるさとの料理』(近藤永之介ほか 中央公論社 1955)