夏が来ると想い出す、「きゅうりもみ」

湯通し塩蔵ワカメは便利だし、体にもいいし


八王子綜合卸売センター、『福泉』で三陸産湯通し塩蔵ワカメ(マルヤわかめ 愛知県豊橋市)を買う。非常にいいもので、買い足しをするほどだった。
湯通し塩蔵ワカメのいいところは、水で塩を洗い流すだけでそのまま食べられることだ。
最近の水に直接入れるだけで使えるワカメと比べ、ワカメ本来の食感、味がよりちゃんとわかる。
梅雨も来ない内に7月後半の暑さが襲ってきている。
夏がくると想い出す、子供の頃のことと、「きゅうりもみ」と、なのだ。子供の頃には存在理由がわからなかった「きゅうりもみ」が、今や欠かせぬものとなっている。
その基本的なものがワカメとキュウリである。
イカや酢で締めた魚などを使うのもいいし、竹輪で作ってもいい。いろいろ変化を望めるのも「きゅうりもみ」のよさである。
今回の主役、湯通し塩蔵ワカメ以外で作るときはキュウリを薄く切り、やや強めの塩をする。水分が出て来たら流水でもみ洗いながら余分な塩気を流す。
この塩加減と塩の洗い流し加減がおいしさを大きく左右する。
最近のキュウリは苦味や青臭さがないので、塩してもむだけでもいい。
主役のキュウリに脇役はいろんなものを使えるのがいい。
もちろん主役脇役が判然としない点も魅力だろう。

塩気はワカメにくっついている粗塩でまかなう


湯通し塩蔵ワカメのときは、ワカメを塩のついたまま刻み、刻んだキュウリ、好みでショウガのせん切りと合わせて混ぜる。
ワカメに付着した塩でキュウリから水気が出てくる。
何度か混ぜて水が上がってきたら少し置く。

流水で洗い洗い塩分濃度を確かめていく


その後、流水で揉み洗いする。
洗いながら塩加減をみる。
意外に湯通し塩蔵ワカメの塩気はきつい。
水をきって二杯酢と合わせる。

夏ご飯には欠かせない、きゅうりもみの小鉢


夏になるとやたらと酢の物が欲しくなるのは、体が欲しいと感じているせいだろう。
暑い最中にご飯を食べると体が熱してくる。
これを冷ますのも酢の物の役割である。
小鉢ひとつんの「きゅうりもみ」があるだけで一食の完成度が高まる。
ちなみに学生の時はいちいち作っていた。
おんぼろシビックで群馬県を走っているとき、お昼ご飯を御馳走してくれたバアチャンの家では外になっているキュウリをエプロンいっぱい摘み取り、刻み、「きゅうりもみ」を作ってでかい保存容器に入れて保存していた。
酢の物は当座食べるものなだ、と教わったので、我が家でも4、5日分作る。
考えて見るとあのとき群馬の川で泳いだんだった。
もう二度と来ない、そんな夏の日を想い出しながら食べる。


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