殻長90mm前後になる小型のエゾバイ。貝殻は薄く白くて、薄い殻皮をかぶる。手で割れるくらいにもろい。ずんぐり殻長の短いものとややのっぽのタイプがある。殻頂(いちばん先端)部分がすり減って欠けているものが多い。[兵庫県香美町香住 90mm SL、80mm SL、70mm SL]
ツバイの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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珍魚度・珍しさ
★★
少し努力すれば手に入る魚貝の物知り度
★★★★
知っていたら達人級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★★★
非常に美味
分類
軟体動物門腹足綱前鰓亜綱新腹足目エゾバイ科エゾバイ属外国名
学名
Buccinum tsubai Kuroda in Teramachi,1933漢字・学名由来
漢字 津蛽、津貝 Standard Japanese name / Tsubai
由来・語源 富山県の呼び名を標準和名に採用。模式産地は富山湾。Kuroda
黒田徳米(くろだ とくべい Kuroda Tokubei 1886-1987 兵庫県淡路島)。貝類学者。日本貝類学会創設者で、会長にもなった。同郷の平瀬與一郎の平瀬商店に丁稚奉公にあがり、貝類の収集、のちに分類にたずさわる。
Teramachi
寺町昭文(1898年-1978年/明治31-昭和53)、京都生まれ。画家であるが膨大な貝を収集。テラマチダカラ、テラマチボラなど献名された貝も少なくない。地方名・市場名
生息域
海水生。水深200〜300メートル。
日本海。
朝鮮半島東沿岸。生態
右触覚広報に陰茎を持ち、交尾する。
雌は囊に入った卵を産み、幼貝となって出てくる。基本情報
日本海のやや深場にいる小型のエゾバイ科の巻き貝である。日本海側でのバイカゴや底曳き網でまとまってとれる貝でもある。殻皮が薄いベージュであったり黒かったり、ふくらみが強い弱いなど形態的な変化が多いものの、同定がたやすい。
日本海側では単に「ばいがい」として売られていることが多い。標準和名のバイが「黒ばい」、本種が単に「ばい」、もしくは「ばいがい」である。
日本海では安くておいしい貝として人気が高く、いくつかの産地で子供のおやつとなっていた、という話をきいている。甘味があり柔らかいために万人向きの味をしているためだろう。
ロシアバイ(Buccinum rossicum Dall, 1907)と同種とも。
珍しさ度 日本海側では手に入れやすいが、その他の地では手に入れにくい。地域性の強い食用貝。水産基本情報
市場での評価 産地消費が多いようで関東などにはあまり入荷してこない。貝殻がもろく黒いものがあるのでエチュウバイの小型と比べると安い。
漁法 カゴ漁、底曳き網
産地 北海道、秋田県、新潟県、富山県、石川県、福井県、兵庫県、京都府、鳥取県、島根県、山口県選び方
原則的に生きているもの。粘液などが流れ出していないもの。味わい
栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
ツバイの料理・レシピ・食べ方/煮る(塩ゆで、しょうゆ煮つけ、佃煮)、ソテー(アヒージョ)クリックで閉じます小ばいの塩ゆで
ツバイの塩ゆで もっとも一般的な食べ方である。煮て軟らかく、足に甘味がある。わたは濃厚な味わいだが、嫌みのない味であある。取りだしやすいのもうれしい。
買い求めてきたら流水などで割れた貝殻の破片やぬめりなどを流す。水分をよく切り、少し強めの塩味で水から煮上げる。鍋止めして冷めたら出来上がり。
ツバイのしょうゆ煮 水洗いしたツバイは水分をよく切り、酒・みりん・しょうゆ・水を合わせた中に入れて火をつけて煮上げる。甘辛く煮てもおいしいし、酒・塩(酒・しょうゆ)で淡い味つけにしてもいい。クリックで閉じます中ばいの煮つけ
好んで食べる地域・名物料理
加工品・名産品
ー釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
協力/JF 但馬漁業協同組合(兵庫県 ■https://www.jftajima.com/)、古川鮮魚(新潟県新潟市)、松澤周一さん(恵比寿丸 新潟県糸魚川市)
『日本近海産貝類図鑑』(奥谷喬司編著 東海大学出版局)、『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)、『日本及び周辺地域産軟体動物総目録』(肥後俊一、後藤芳央 エル貝類出版局)