60mm SL 前後になる。蓋(ふた)はなくて貝殻は薄くもろい。足は貝殻に対して異常なくらい大きい。殻皮はビロードを思わせ22-27本の比較的っきそくただしい畝がある。
クマモスソガイの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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珍魚度・珍しさ
★★★★
正に珍魚・激レア生物魚貝の物知り度
★★★★★
知っていたら学者級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★★★
非常に美味
分類
軟体動物門腹足綱前鰓亜綱真腹足目エゾバイ科モスソガイ属(Volutharpa属)外国名
学名
Volutharpa ainos Kuroda & Kinoshita, 1956漢字・学名由来
漢字/熊裳裾貝 Kumamosusogai
由来・語源/貝殻の表面に毛が生えているためだとは思うが、どことなく貝殻毛との形がクマの姿に見えることからかも知れない。
黒田徳米と木下虎一郎(北海道増殖部長 農学博士。ホタテガイ養殖の研究でも有名)の命名か。『北海道海産動植物図譜・貝類篇第1輯-北海道海産貝類目録』(1951)Kuroda
黒田徳米(くろだ とくべい Kuroda Tokubei 1886-1987 兵庫県淡路島)。貝類学者。日本貝類学会創設者で、会長にもなった。同郷の平瀬與一郎の平瀬商店に丁稚奉公にあがり、貝類の収集、のちに分類にたずさわる。地方名・市場名 ?
生息域
海水生。水深100-900m。
北海道東北岸、羅臼沖、網走沖。生態
ー基本情報
現在のところ知床半島周辺でしか見つかっていないし、水揚げもこの周辺のみ。ほぼ食用にはなっていないと思われる。巻き貝の中でもトップクラスの味。ある程度水揚げがあれば人気が出ると思う。
珍しさ 貝としては非常に珍しい。よほどがんばらないと手に入らない。水産基本情報
市場での評価/流通上は一度も見ていない。
漁法/刺網
産地/北海道選び方
原則的に生きているもの。味わい
旬は不明。
貝殻は柔らかく薄い。軟体は大きく柔らかい。足は塩を揉み込むことでほどよく締まる。
一般的な食用貝ではないが、青森県などでよく食べられているモスソガイと、亜属の段階まで一緒であることから無毒と考えた。20個体ほど食べたが体調不全は皆無。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
クマモスソガイの料理・レシピ・食べ方/生食(刺身)、煮る(煮貝、塩ゆで)、ソテー(オイル焼き、バター焼き、アヒージョ)クリックで閉じます
クマモスソガイの刺身 同じ属で、たぶん種としては限りなく近い、モスソガイの刺身はそんなにおいしいとは思えない。それがほぼ同じ種である本種は非常に美味であった。食感もいいし、甘味も貝らしい風味も豊かだ。
貝殻を割り、内臓を取り、軽く流水で洗う。足を半割りにしてぬめりをもみ出す。塩を加えてさらにもんで、水洗いする。このとき出たぬめりはそのまま流すと排水口が詰まるので、ためておいて熱を通して捨てるといい。水分をよくきり、薄く切りつける。
クマモスソガイの塩ゆで 基本的な料理法は塩ゆでだと思われる。ゆでて剥き身にしてあれこれ料理に使ったり、そのまま食べたりする。流水で表面の汚れなどを流す。水分をよくとり、塩を入れた水に入れて火をつける。沸騰して6分で火を止めて鍋止めにする。塩味だけなのに貝らしいうま味が感じられて、非常においしい。巻き貝の中でもこれほどおいしいものはないかも。クリックで閉じますクマモスソガイの煮つけ ザルなどにいれて流水で表面の汚れなどを流す。水分をよくきり、鍋に酒・みりん・醤油・水の中に入れて火をつける。沸騰してから約5分ほど煮て火を止めて鍋止めする。今回は生殖巣が膨らんでいたがわたはくせがなくとても味わい深かった。足は柔らかく味があった。クリックで閉じます好んで食べる地域・名物料理
ー加工品・名産品
ー釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
協力/野圭太さん(丸の野水産 北海道羅臼町 ■https://www.tabechoku.com/producers/27483)
『日本近海産貝類図鑑 第二版』(奥谷喬司編著 東海大学出版局)、『日本及び周辺地域産軟体動物総目録』(肥後俊一、後藤芳央 エル貝類出版局)