悩んだ末のエゾボラモドキの刺身

種名はともかく、つぶの刺身は素晴らしい味である


一般的に北海道産「つぶ」とされる巻き貝は、エゾボラ属の巻き貝達である。日本列島周辺に生息しているが、水揚げ量は北海道がいちばん多い。
このエゾボラ属の同定は難しく、自分なりに検索項目を作るしかない。
念のためにエゾボラモドキに関して、貝類学者とボクの間には、あくまでも貝殻の形態のでの話だが、考え方が異なる。
この肩に板状の盛り上がりがある個体は、典型的なエゾボラモドキだと思っている。

このエゾボラ属の刺身はここ数年高くなりすぎて食べられなかった。
やっと値が落ち着いての刺身である。
それにしてもエゾボラモドキの刺身は食感が強く、甘味や貝らしい風味が豊かである。
サザエとは違って、磯の香りというものではなく、ただただ軟体類の持つうま味が堪能出来る。

残念なことに、つぶの刺身には日本酒しかない。
致し方なく、酒をやるが、辛口がいいと思っている。
といっても東京都内では至って普通に売られている、長野県諏訪市、真澄 銀撰である。

巻き貝の混ざり方で噴火湾産かも、と思う


八王子綜合卸売センター、福泉で北海道産エゾボラ属(つぶ)を発見する。ざっと見た感じは2種で、クリイロエゾボラとエゾボラモドキである。
産地表示が北海道で、より詳しい産地名がないので、画像データとしては弱いが、気になる個体を持ち帰ってきて計測して、食べてみた。
もちろん計測・撮影後には刺身にする。

食べられる部分は足とくるりと巻いたわたの部分


つぶ(エゾボラ属)なので、貝殻から軟体を引き出す。
足(ふたのついた筋肉の部分)と内臓のいちばん先の部分が食べられる。
中間の部分は消化器官があり、食べてもおいしくない。
■貝殻からの取り出し方は、
https://www.zukan-bouz.com/article/65

足を割って毒を持っている唾液腺を取り去る


刺身の主体は足である。
足は真ん中に包丁を入れて、白いクリーム状の部分を取り除く。
これが唾液腺であり、ここにエゾボラ属の特徴であるテトラミンという弱い毒がある。

根気よくぬめりを出して流す


足の部分はまず徹底的に揉む。
出て来たぬめりはいちいち流さないで、ただただ揉む。
終いに水でぬめりを流す。

仕上げは塩で揉み、切りつける


今度は塩を加えてもみ上げる。
出て来たぬめりと塩を洗い流す。

水分を拭き取って薄く切りつける。
わたは塩ゆでにする。


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