ヒメエゾボラ

Scientific Name / Neptunea (Barbitonia) arthritica (Bernardi,1857)

ヒメエゾボラの形態写真

8cm SL前後になる。食用エゾボラ類ではもっとも小さいもののひとつ。色合いは多彩。真っ黒なものから白いもの、また焦げ茶、黒緑など。貝殻は厚い。螺肋(貝殻にある筋)は目立たない。螺肋と成長脈(縦に走る筋)の交わる部分がコブ状になるものがある。[北海道稚内産]
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8cm SL前後になる。食用エゾボラ類ではもっとも小さいもののひとつ。色合いは多彩。真っ黒なものから白いもの、また焦げ茶、黒緑など。貝殻は厚い。螺肋(貝殻にある筋)は目立たない。螺肋と成長脈(縦に走る筋)の交わる部分がコブ状になるものがある。[北海道稚内産]8cm SL前後になる。食用エゾボラ類ではもっとも小さいもののひとつ。色合いは多彩。真っ黒なものから白いもの、また焦げ茶、黒緑など。貝殻は厚い。螺肋(貝殻にある筋)は目立たない。螺肋と成長脈(縦に走る筋)の交わる部分がコブ状になるものがある。[宮城県石巻産]8cm SL前後になる。食用エゾボラ類ではもっとも小さいもののひとつ。色合いは多彩。真っ黒なものから白いもの、また焦げ茶、黒緑など。貝殻は厚い。螺肋(貝殻にある筋)は目立たない。螺肋と成長脈(縦に走る筋)の交わる部分がコブ状になるものがある。[宮城県石巻産]8cm SL前後になる。食用エゾボラ類ではもっとも小さいもののひとつ。色合いは多彩。真っ黒なものから白いもの、また焦げ茶、黒緑など。貝殻は厚い。螺肋(貝殻にある筋)は目立たない。螺肋と成長脈(縦に走る筋)の交わる部分がコブ状になるものがある。
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★
      知っていたら達人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    軟体動物門腹足綱前鰓亜綱真腹足目エゾバイ科エゾボラ属ヒメエゾボラ亜属

    外国名

    学名

    Neptunea (Barbitonia) arthritica (Bernardi,1857)

    漢字・学名由来

    漢字 姫蝦夷法螺
    由来・語源 「蝦夷法螺」も「姫蝦夷法螺」も平瀬與一郎の命名。「法螺」は巻き貝のこと。「蝦夷」は現在の北海道など北国を表す。「姫」は動物の命名としては「小さい」ということ。北国にいるエゾボラの仲間(巻き貝)で「姫」すなわち小さいものという意味。
    平瀬與一郎
    hirasei, hiraseana, Neohirasea(平瀬與一郎 安政6-大正14 1859-1925 兵庫県淡路島福良)。京都で『平瀬商店(平瀬種禽園)』をいとなみ標本、特に貝殻を商い海外に輸出。貝類学の嚆矢。同郷の黒田徳米は同商店で丁稚をしながら貝類学を学ぶ。

    地方名・市場名

    生息域

    海水生。潮間帯から水深100メートルくらいの浅場。
    千葉県、茨城県、日本海以北。

    生態

    雌雄異体。
    交尾により体内受精。
    北海道では春から夏に産卵。
    魚貝類の死体や小型の動物を食べている。

    基本情報

    関東にも、東北などから入荷してくるもので量的にも少なくない。流通上は「あおつぶ」だ。もともとは北海道道東などでの呼び名だが関東では完全に「青つぶ」でわかる。北海道で名物とされている「焼きつぶ」の材料は本種である。
    味にいい巻貝で刺身に煮物に焼き物にといろいろ使える。その上、「まつぶ」と比べて安いのもうれしい。刺身はエゾボラより粘液が多いように感じるが味は遜色ない。剥き身にして、もしくは殻のまま茹でて取り出し、唾液腺(テトラミン)を除いてから殻に戻す。これを殻のまま焼いてしょうゆを垂らすのが「焼きつぶ」である。しょうゆの焦げた匂いに食欲をそそられる。

    水産基本情報

    市場での評価 都市部に入荷してくるツブの仲間では安いもののひとつ。関東などでは常磐三陸など産地が近いので市場で見かける回数は多い。
    漁法 カゴ漁
    主な産地 北海道、福島県、宮城県、岩手県

    選び方

    原則的に生きているもの。持ち重りして、蓋などを触ってよく動く、もしくは急激に引っ込むもの。

    味わい

    旬は夏
    足(刺身にする部分)はクセがなく、貝特有の臭みもない。
    甘みがあり、食感もいい。
    ワタなどから濃厚なだしがでる。
    ヒメエゾボラの下処理
    1:殻ごと茹でる。または貝殻に小さな穴をあけて取り出す。サザエ用の貝棒をつかってもいい。
    2:殻から身をとりだし、唾液腺を外す(画像はクリーム色の唾液腺をとっているところ)。焼きツブを作るとき、見た目を考えるなら蓋を外さない方がいいかも。

    栄養

    危険性など

    テトラミンは主にNeptunea(エゾボラ属)の巻き貝の唾液腺に含まれる。足を割るとクリーム色の柔らかなゼリー状の物体がある。これが唾液腺。ここにテトラミンが含まれている。Neptunea(エゾボラ属)以外にはスルガバイ(エゾバイ科エゾバイ属Buccinumのスルガバイ、フジツガイ科のアヤボラなどにも含まれる。発症する唾液腺の量は個人差がある。食べると後頭部の激しい痛み、目眩、酒に酔ったような状態になり、吐き気、眼底の痛みをともなう。

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    ヒメエゾボラの料理法・調理法・食べ方/焼く(焼きツブ)、生食(刺身)、煮る(煮つぶ)



    ヒメエゾボラの テトラミンを取り出した状態で足、ワタも身も元通りに貝殻にもどして焼く。できるだけ強火で短時間に焼き上げるといい。炭火を使うときは網に乗せるのではなく、炭に直接置くとすぐに焼き上がる。焼き上がりに醤油・酒を入れて沸騰したら出来上がりだ。短時間で焼いたツブはあまり硬くなく、磯の香りが強い。非常にうまい。

    ヒメエゾボラの刺身 エゾボラ属の仕込みをみていただきたい。テトラミンなどを除去したものをもんでヌメリを出す。ていねいにもんだら一度水洗いして、仕上げに塩を振って揉む。これを食べやすい大きさに切る。適度にしまるが、あまり硬くはない。貝らしいほのかな苦み、風味が感じられてとてもおいしい。
    ヒメエゾボラの煮浸し エゾボラ属の下処理を行い、ていねいにぬめりをもみ出す。仕上げに塩でもみ、水洗いして適当な大きさに切る。昆布だしに酒・醤油を煮立たせた中に入れて(鮮度が悪いときは20秒前後煮てから)火を止める。鍋止め。味が染みたら出来上がりだ。硬くならず、本種の味わいも損なわれない。
    ヒメエゾボラの煮つけ エゾボラ属の処理をする。一度湯通しして冷水に落としてぬめりを流す。鍋に酒・醤油・砂糖・しょうがを煮立たせた中に下ごしらえした貝を入れて軽く煮上げる。水を使っていないので当座食べられる。ご飯にも合う。

    関連コラム(料理法・レシピ)

    記事のサムネイル写真マツブなどテトラミンのあるエゾボラ属の仕込み
    ツブなど(エゾボラ属)は基本的に剥き身にして、足の中心部分にある唾液腺をとってから料理する。 唾液腺にはテトラミンが含まれる。 テトラミンは死亡例はないものの・・・ 続きを開く

    好んで食べる地域・名物料理

    焼きつぶ 北海道。ゆでてテトラミンをのぞいたものを、貝殻に戻してタレを入れて焼いたもの。年間を通して安定的な漁獲量があるので、値が安く。道民の日常的な味となっている。

    加工品・名産品

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    第二次世界大戦中、酒が手に入らなくなり、代わりに本種の唾液腺を食べて酔いを楽しんだと言われている。本種をたくさん食べるとテトラミンのために酒に酔ったような状態になる。

    参考文献・協力

    『新北のさかなたち』(水島敏博、鳥澤雅他 北海道新聞社)、『水産無脊椎動物Ⅱ 有用・有害種各論』(奥谷喬 恒星社厚生閣)、『日本近海産貝類図鑑』(奥谷喬司編著 東海大学出版局)

    地方名・市場名

    ツブ
    場所北海道、岩手県、陸奥湾 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 
    マツブ
    場所北海道函館・稚内 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 
    デロリン(デロリンツブ)
    場所北海道増毛 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 
    ホツブ
    場所北海道奥尻島 
    ネネツブ
    場所北海道岩内 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 
    デレデンツブ
    場所北海道道南 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 
    デレレンツブ
    場所北海道道南・小樽 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 
    ネグリツブ
    場所北海道道南・岩内・利尻 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 
    ネムリツブ(ネムリツンブ)[眠りツブ]
    場所北海道道南・渡島・福島、青森県下北半島・八戸 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 
    ネモリツブ
    場所北海道道南地方 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 
    ニモリツブ
    場所北海道道南渡島・福島 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 
    イソツブ
    場所宮城県 参考荷 
    エゴバイ
    場所富山県富山市 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 
    ニッチ
    場所岩手県陸前高田市小友町・米崎町・高田町 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 
    アオツブ[青ツブ]
    場所東京都、青森県佐井村・むつ市大畑、北海道などで 
    タコツブ
    場所青森県 
    ベロツブ
    場所青森県下北半島 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 
    ベロベロツブ
    場所青森県下北郡佐井村矢越 参考20191218木下 
    モモコリ
    場所アイヌ語 参考『新北のさかなたち』(水島敏博、鳥澤雅他 北海道新聞社) 
  • 主食材として「ヒメエゾボラ」を使用したレシピ一覧

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