体長1.2m、重さ50kgを超える。ハタ科では体高が低く、頭部はとんがっている。茶褐色の体色に濃い斜めに走る帯があるが、この模様は大きくなるほどはっきりしなくなる。ある程度以上になると消えて全身褐色になる。また変異もある。[天然/35cm SL ・0.86kg]
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![体長1.2m、重さ50kgを超える。ハタ科では体高が低く、頭部はとんがっている。茶褐色の体色に濃い斜めに走る帯があるが、この模様は大きくなるほどはっきりしなくなる。ある程度以上になると消えて全身褐色になる。また変異もある。[天然/35cm SL ・0.86kg]](https://www.zukan-bouz.com/public_image/Fish/382/Thumb630/20221211639.jpg)
![体長1.2m、重さ50kgを超える。ハタ科では体高が低く、頭部はとんがっている。茶褐色の体色に濃い斜めに走る帯があるが、この模様は大きくなるほどはっきりしなくなる。ある程度以上になると消えて全身褐色になる。また変異もある。[天然斑紋がない個体/49cm SL ・4.8348kg]](https://www.zukan-bouz.com/public_image/Fish/382/Thumb630/20230109006.jpg)
![体長1.2m、重さ50kgを超える。ハタ科では体高が低く、頭部はとんがっている。茶褐色の体色に濃い斜めに走る帯があるが、この模様は大きくなるほどはっきりしなくなる。ある程度以上になると消えて全身褐色になる。また変異もある。[天然/46cm SL ・1.938kg]](https://www.zukan-bouz.com/public_image/Fish/382/Thumb630/kuee.jpg)
![体長1.2m、重さ50kgを超える。ハタ科では体高が低く、頭部はとんがっている。茶褐色の体色に濃い斜めに走る帯があるが、この模様は大きくなるほどはっきりしなくなる。ある程度以上になると消えて全身褐色になる。また変異もある。[天然/46cm SL ・1.938kg]](https://www.zukan-bouz.com/public_image/Fish/382/Thumb630/kuee00.jpg)

![体長1.2m、重さ50kgを超える。ハタ科では体高が低く、茶褐色の体色に濃い斜めに走る帯がある。この模様は大きくなるほどはっきりしなくなる。[養殖]](https://www.zukan-bouz.com/public_image/Fish/382/Thumb630/kue0.jpg)
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珍魚度・珍しさ
★★
少し努力すれば手に入る魚貝の物知り度
★★★
知っていたら通人級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★★★★
究極の美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目ハタ科ハタ亜科アカハタ属外国名
学名
Epinephelus bruneus Bloch, 1793漢字・学名由来
漢字 九絵、垢穢 Kue
由来・語源 延喜式にある古い呼び名である。
「こいぇり、こやす」の「こや」の転呼で「臥す」の転義。
「垢穢」で垢がついて汚れていること。
若魚の身体に不規則な数条の紋があるので「九絵」。
〈スズキ科ハタ亞科マハタ屬 クエ Epinephelus moara (TEMMINCK et SCHLEGEL)〉。『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)
『帝国博物館天産部魚類標本目録.帝国博物館』(石川千代松・松浦歓一郎 1897/明治30年)にはなし。Bloch
Marcus Élieser Bloch(マルクス・エリエゼル・ブロッホ 1723-1799 ドイツ)。医師、博物学者。ヨハン・ゴットロープ・テアエヌス・シュナイダー(Johann Gottlob Theaenus Schneider)とともに『110の画像付分類魚類学』を刊行。地方名・市場名
生息域
海水魚。沿岸や大陸棚周辺の岩礁域、アマモ場。
少ない/青森県牛滝、新潟県佐渡〜島根県、九州東シナ海沿岸。
山口県〜九州北西岸、伊豆諸島、千葉県興津〜屋久島の太平洋沿岸、瀬戸内海の外海周辺の水道、トカラ列島、沖縄島。
朝鮮半島南岸、台湾、浙江省〜トンキン湾の中国沿岸、海南島。生態
産卵期は夏、6月〜8月頃。
雌から雄に性転換する可能性がありと予想されている。基本情報
本州以南の100m以浅に生息している。古くは西日本の魚であったが、生息域が北上傾向にあることなどで関東でも水揚げがあり、全国的な超高級魚となっている。また各地で放流されていて、漁獲量的には減っていないこともあって、全国的な魚、全国的な超高級魚となっている。またこの高騰にはマスコミなどの影響もあると思う。味的には大型のハタはあまり違いがない。
国内でもっとも大型になるハタ類のひとつ。偽装問題が起こるほどの超高級魚。多くが活魚、活け締めで流通する。野締めはあまり見かけない。
九州では「あら」といい、九州場所のある冬場に鍋などで供され、非常に人気が高い。また、三重県、和歌山県などでも観光資源となっている。
天然ものは少なく、高価だが養殖されるようになっているが、天然ものの値段は一向に下がらない。
一般家庭の食卓に上る魚ではなく、高級料理店でのみ楽しめるものだ。
珍魚度 普通の食用だが非常に高額である。お金さえ出せば手に入る。水産基本情報
市場での評価 九州など日本各地から天然物がくる。基本的に活魚、活け締めで流通する。2㎏を超えると超高級魚。それ以下でも非常に高い。キロあたり1万円以上は当たり前である。まれに野締めも入荷してくるが、これですら高値がつく。
養殖ものの入荷も多いが、価格は安定してキロあたり3000円前後。
漁法 釣り、定置網
近年養殖されたものが目立つ。
主な産地 長崎県、三重県、和歌山県などとれる量は少ない
養殖は和歌山県選び方
活け締め、活けがおすすめ。刺身にしたときに美しい。目が澄んでいるもの。鰓が鮮紅色のもの。味わい
旬は秋から夏。産卵後の夏から初秋以外は安定的に味がいい。
鱗は皮に埋もれていて取りにくいのですき引きする。皮は厚みがあって強い。骨は硬い。
透明感のある白身で血合いは弱い。熱を通しても硬く締まらず、皮はゼラチン質になる。
本種が高級魚であるのは、身質のよさ、鮮度落ちが遅いなどからだ。
料理の方向性基本的には液体をかいした料理に合っていると思う。煮つけ、鍋などは絶品中の絶品。生食は味よりも食感のよさを楽しむもので、うま味などは豊かとは言えない。活魚を選んだ方がいいのかも。また唐揚げはゼラチン質の皮がもっちりとした独特の食感になり、美味である。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
クエの料理・レシピ・食べ方/蒸す(蒸し魚)、汁(ちり鍋、みそ汁、潮汁)、煮る(煮つけ、塩ゆで)、生食(刺身、セビチェ、湯引き)、焼く(ロティ、塩焼き)、揚げる(唐揚げ)クリックで閉じます
クエの蒸し魚(清蒸) ハタ科の魚の定番料理である。水洗いする。頭部の鱗は包丁でこそげ落とす。表面の水分とよごれを布巾などでよく取る。皿に長ネギなをを渡し、その上に兜を置き、酒を振る。これを10分から15分蒸す。大きいものはもっと時間がかかる。蒸し上がったらタレ(醤油・少量の魚醬・砂糖・紹興酒を合わせて一煮立ちさせたもの。中国の甘い醤油でもいい)をかけ、香りのある野菜を乗せて煙が出るくらいに熱した油をかける。
クエ鍋 クエは鱗をすき引きして水洗い三枚に下ろす。中骨、身などを湯引きして冷水に落として鱗などを取り、水切りをし、煮ながら食べる。最初に中骨の部分を昆布だしで煮てだしを取り、中骨・昆布を取りだし酒塩で味つけし、身を煮ながら食べてもいい。肝や胃袋などもおいしい。野菜はお好みで。クリックで閉じますクエの醤油汁 水洗いして刺身などにしたときのあらを集めて置く。湯通しして氷水に落として残った鱗やぬめりを流す。水分をよくきり、昆布だしで煮て、醤油・塩・酒で味つけ。少し煮込んで食べる。鰭下にある鰭筋の束が非常に味わい深い。汁も絶品。ご飯に汁をかけて食べてもおいしい。クリックで閉じますクエのおでん風 中骨を湯通しして氷水に落として表面のぬめりを流す。水分をよくきり、昆布と一緒にだしを取る。酒・塩・薄口醤油で味つけして、湯通しした身や下煮した大根、豆腐を煮ながら食べる。身も豆腐も大根もごちそうになる。冬の夜などにいい。クリックで閉じますクエの潮汁 塩味のあら汁である。頭部や中骨などの部分を湯通しして冷水に落とし、鱗や血液などを流す。これを昆布だし(水でも可)で煮だして酒と塩で味つけする。青みはお好みで。実に濃厚な味のだしが出て、とても味わい深い。ご飯にも合う。クリックで閉じますクエの潮汁 塩味のあら汁である。頭部や中骨などの部分を湯通しして冷水に落とし、鱗や血液などを流す。これを昆布だし(水でも可)で煮だして酒と塩で味つけする。青みはお好みで。実に濃厚な味のだしが出て、とても味わい深い。クリックで閉じますクエの煮つけ クエの頭部やかまの部分を適宜に切る。湯引きして冷水に落として鱗などをこそげ取り、よく水切りして酒、砂糖、しょうゆ、水の地でこってり甘辛く煮上げる。煮汁はこってり甘辛だが、筋肉までは煮汁が浸透していない。身を煮汁に浸しながら食べると非常に味わい深い。クリックで閉じますクエのあら煮(煮凝り) 中骨などあらを集めて置く。湯通しして冷水に落としてぬめりや鱗を流す。水分をよくきり、水・酒・塩でじっくり煮る。みりん、砂糖で甘味をつけてもいい。やや長めに煮ると身が柔らかく、実にいい煮汁になる。このまま食べてもいいが、冷やすといい煮凝りができる。クリックで閉じますクエのわたの塩ゆで 長崎県、北九州地区ではクエのわたを塩ゆでにして食べる。これを「あらわた」として魚屋さんなどでも売っているのだけど、実にうまい。別に難しい料理ではなく、胃袋、肝、腸などを塩ゆでして冷水に落としてあら熱を取る。食べやすく切ると出来上がりだ。クリックで閉じますクエの塩焼き 兜(頭部)でも、かま、体幹部でもどこでもいい。水洗いして三枚に下ろす。かまなど焼鯛部分をペーパータオルでくるみ1週間くらい寝かせる。振り塩をして1時間くらい寝かせてじっくりと焼き上げる。皮目の香ばしさと身のジューシーさの対比がいい。熟成をかけて焼き上げるとうま味が豊かで皮がねっとりして非常に美味である。クリックで閉じますクエのロティ クエの鱗をすき引きにして、三枚に下ろし、適宜に切る。これをオリーブオイルと塩でマリネーする。半日ほど寝かせて、オリーブオイルを敷いた小振りのパンに入れて、ローズマリー、セージなどをのせて焼き上げる。表面は香ばしく、ハーブの香りがして、身は実にジューシーに焼き上がる。ワインに合う。クリックで閉じます
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クエの刺身渦巻き処理 天然ものの熊本県天草産の中型個体を桂計助さんなどが編み出した渦巻処理を施したもの。活け締め、神経締めはもちろん血液が体幹部分に残っていない。これを1週間に渡って食べてみた。写真は天草に上がって4日目の刺身だが、非常にうま味が強く、食感も心地よかった。
クエなどハタ科の魚は仕立てでの味の違いが大きいということがわかる。
クエの刺身(背の部分) 鮮度がいいと透明感があり、血合いが薄く、とても美しい。口に入れるとすぐに甘味が来て、淡いうま味が感じられる。非常に上品、かつ食べ飽きぬ味わいである。柑橘類を使ってもうまい。クリックで閉じますクリックで閉じます
クエの湯引き(「ゆぶき」とも) 長崎県などでは単に刺身にもするが、この軽くゆでたものをよく見かける。皮つきのまま短時間塩ゆでしてもいいし、皮付きのまま刺身状に切り湯通ししてもいい。冷水に落としてあら熱を取る。中心部分はまだ生の状態であるのがベストだ。やや淡泊な味なのが皮下のゼラチンの甘味が加わっていい味わいになる。酢みそ、わさび醤油で食べる。
好んで食べる地域・名物料理
唐津くんちのあら姿煮 10月29日に行われる「唐津くんち」に大きなアラ(クエ)を丸ごと煮る。
アラ鍋(あらなべ) 福岡県福岡市(博多)ではアラ鍋が有名。紀伊半島、和歌山県、三重県
湯引き 九州の福岡、熊本、長崎などで作られ、市販されてもいる。身(筋肉)以外にも内臓の胃や肝なども利用する。刺身よりも味わい深く美味。また長崎などでハレの日に食べるもの。
あらわた クエのわたである胃、肝、幽門垂などを湯引きにしたもの。加工品・名産品
ー釣り情報
伊豆諸島では活きエサのモロコ(クエ)釣りが有名。歴史・ことわざ・雑学など
クエの偽装 アブラボウズをクエと偽って福岡市や大阪府堺市の業者が販売していた。(2008年)参考文献・協力
協力/渦巻/川津義雄商店(日本渦巻協会 熊本県熊本市)
『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『高知の魚名集』(岡林正十郎 リーブル出版)、『原色魚類大図鑑』(安倍宗明 北隆館)、『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)、『聞き書 佐賀の食事』(農文協)、『長崎料理史』(和田常子 柴田書店 1958