
最大1.2m SL 前後になる。全体に赤く、赤褐色、もしくは青い小さな斑文が無数にある。胸鰭は淡い単色。D(Dorsal fin)/Ⅷ、11 A(Anal fin)/Ⅲ、8 P1(Pectoral fin)/14-17
スジアラの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
-
魚貝の物知り度 |
食べ物としての重要度 |
味の評価度 |
★★★★ 知っていたら達人級 |
★★★ 一般的(流通量は多くも少なくもない) |
★★★★★ 究極の美味 |
分類 |
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目ハタ科ハタ亜科ハタ族スジアラ属
|
外国名 |
Leopard coralgrouper
|
学名 |
Plectropomus leopardus (Lacepède, 1802)
|
漢字・学名由来 |
漢字 筋荒(魚へんに荒) Sujiara
由来・語源 1945年以前には本州では若魚だけが発見されていたのだと思う。田中茂穂はたぶん縦縞のある幼魚を見て、Paracanthistius suji Tanaka, 1916 という学名をつけ、縦筋のあるハタという意味で「スジアラ」とつけたのだ。ただしこの田中茂穂の学名はシノニムである。
また古くは国内にはいない Plectropomus maculatus (Bloch, 1790) にスジアラという和名を当てていた。そして本種は1955年くらいまではニセスジアラという和名だった。 Lacepède Bernard Germain Lacepède(ベルナール・ジェルマン・ド・ラセペード 1756-1825 博物学者、音楽家。フランス)はビュフォン(Georges-Louis Leclerc de Buffon 博物学者。リンネとは違った配列を試みた)の後継者。
|
地方名・市場名 |
地方名・市場名は長いため下部に移動しました。クリックでジャンプします。
|
生息域 |
海水魚。沿岸の岩礁やサンゴ礁外縁。
山口県、長崎県、鹿児島県南さつま市笠沙、相模湾〜三重県熊野市〜屋久島の太平洋沿岸、伊豆大島、硫黄島・南硫黄島、琉球列島。
朝鮮半島南岸、台湾南部、香港、海南島、西沙諸島、南沙諸島、西太平洋、カロリン諸島、マジュロ環礁(マーシャル諸島)、オーストラリア北西岸。 |
生態 |
産卵期は春から夏。 |
基本情報 |
沖縄、西南諸島、鹿児島をはじめ、長崎などであがる。
大型のハタで、体色が赤いことから沖縄三大高級魚のひとつとして有名。
高価に取引されている。
水揚げ量が少なく、九州、沖縄などで養殖が始まっている。
産地では汁、刺身、ゆびきなど料理法も多彩。
養殖、増殖がすすむと産地以外での知名度も上がりそう。
|
水産基本情報 |
市場での評価 関東にも鹿児島県、長崎県などから少ないながら入荷してくる。高級魚。
漁法 釣り
主な産地 沖縄県、長崎県など。養殖も行われている。 |
選び方 |
赤味の強いもの。身に張りがあり、目が澄んでいるもの。鰓が鮮紅色のものがいい。 |
味わい |
旬は秋から初夏。年間を通して味がいい。
 スジアラの鱗のすき引き
鱗は小さくて、取りにくい。大型のものはすき引きする。
皮は厚く、熱を通すと一部がゼラチン質にブルンとして透明。
白身で新しいと透明感が強く、時間がたつと乳白色になるが、透明感は長続きする。
新しいものは熱を通すと強く締まる。数日おいた方がほどよく収縮し、ほどよく繊維質で身離れもいい。
皮、アラ、骨、筋肉などからうま味の強いだし、脂が出る。 |
栄養 |
ー |
寄生虫 |
ー |
食べ方・料理法・作り方 |
スジアラの料理法・調理法・食べ方/清蒸(チンジョン)、煮る(まーす煮)、汁(みそ汁、鍋、潮汁)、生食(刺身)、ソテー(ポアレ、ムニエル)、ゆびき、焼く(幽庵焼き、みそ漬け、塩焼き)、揚げる(唐揚げ)  スジアラの中華風蒸しもの
スジアラの清蒸(ちんじょん) 強火で蒸し、魚醬、醤油、酒などを合わせたタレをかけ回し、ネギなどをのせて、熱したピーナッツ油をかける。ネギなど香りに、皮のゼラチン質の甘み、しみ出したエキスにタレの味が加わり、濃厚で強い味になる。
 スジアラのマース煮
スジアラのまーす煮 少量の塩水を使い強火で蒸し煮する沖縄の料理。身はふっくらと絹のようになめらかになり、皮はゼラチン質に。口に含むとゼラチン質が甘く、ねっとりとしている。  スジアラのみそ汁
スジアラのみそ汁(魚汁) 液体を使って、うま味を引き出すというのがいい。沖縄料理の魚汁は、要するに鰹節を使わない、魚のうま味だけで作るみそ汁だが、さすが産地だけあり、最上級の味。寒い時期の鍋材料としても優れているが、おすすめは昆布だしで作る、ちり。あらで潮汁を作ってもうまい。  スジアラの刺身
スジアラの刺身 水洗いして三枚に下ろして、刺身に切ったもの。鋭角的な味ではなくおおらかな味わい。じっくり味わえば味わうほど、うまく感じる味。新しいとやや硬い。  スジアラのソテー
スジアラのソテー 皮はねっとりとしてソテーした面は香ばしくかりっとあがる。身の方はなめらかに、甘みがあり非常に美味。身からじわりとうま味がしみ出してくるのに快感を感じるはず。ムニエルにしてもいい。  スジアラのゆびき
スジアラのゆびき 九州などで作られている、皮付きのゆびきはハタ類に相性のいい料理。酢みそや梅肉酢が合う。  スジアラの西京焼き
スジアラの幽庵焼き 塩焼きなどよりも漬け魚の方が向いているように思う。幽庵焼き、西京漬けは見事な味。皮がむっちりして、身に香りがある。  スジアラの唐揚げ
スジアラの揚げる 唐揚げにすると、皮の表面がかりっと香ばしく、内側はむっちりとして甘い。身はほどよく繊維質で甘い香りがして美味。 |
好んで食べる地域・名物料理 |
長崎県、鹿児島県、沖縄県
マクブー(マクブとも)、シロクラベラ、アカジンミーバイ(アカジンとも、スジアラ)、アカマチ(ハマダイ)は沖縄三大高級魚とされる。 |
加工品・名産品 |
ー |
釣り情報 |
グルクン(タカサゴ類)をエサにして釣る。 |
歴史・ことわざ・雑学など |
ー |
参考文献・協力 |
『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年)、『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『九州発 食べる地魚図鑑』(大富潤 南方新社 2011)、『沖縄魚図鑑』(悦秀満 沖縄マリン出版)、『沖縄の釣り魚』(城一人 フィッシング沖縄社) |
-
-
関連コンテンツ