体長37cm前後になる。紡錘形で頭部は普通で尖った印象を受けない。尻鰭軟条は8、尾鰭は丸い。体側の斑紋は網目状ではなく丸くドットで側面に均等に散らばる。背鰭中央部下に1つ、尾柄部に1つ黒い斑紋がある。背鰭軟条部分・腹鰭、尾鰭の周縁部分が黒い。[42cm TL ・1kg]
ヒレグロハタの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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魚貝の物知り度
★★★★★
知っていたら学者級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★★★
非常に美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目ハタ科ハタ亜科アカハタ属外国名
学名
Epinephelus howlandi (Günther, 1873)漢字・学名由来
漢字 鰭黒羽太 Hiregurohata
由来・語源/背鰭軟条部、胸鰭、腹鰭、尻鰭、尾鰭の端が黒いため。
〈スズキ目スズキ科マハタ属ヒレグロハタ Epinephelus corallicola (CUVIER et VALENCIENNS)〉、新称とある。Epinephelus corallicola (Valenciennes, 1828) は今現在ではホシヒレグロハタ。『魚類の形態と検索』(松原喜代松 岩崎書店 1955)
小種名、howlandi は中部太平洋にあるアメリカ合衆国の無人島、Howland Island(ハウランド島)にちなむ。Günther,
Albert Karl Ludwig Gotthilf Günther (アルベルト・ギュンター 1830-1914 ドイツ→イギリス)。動物学者。地方名・市場名 ?
生息域
海水魚。沿岸の岩礁域・サンゴ礁域。(水深1-37m)
[三重県熊野]、愛媛県深浦、屋久島、沖縄諸島以南の琉球列島、小笠原諸島。
西太平洋、サモア諸島、ミクロネシア。生態
ー基本情報
主に琉球列島、沖縄県で食べられている小型のハタ。石垣島でハヤーと呼ばれているのは小型でドット状の斑紋のあるハタ類のこと。ハタ類なので高価だが、アカジンミーバイ(スジアラ)など大型のハタと比べると安く、庶民的なものに思える。水産基本情報
市場での評価/沖縄県では比較的よく見かけるハタ類であるようだ。高価。
漁法/刺突漁、釣り
産地/沖縄県選び方
触って張りのあるもの。色合いの濃いもの(退色していないもの)。味わい
旬は不明だが、春から夏にかけての産卵期はおいしくないと思う。
鱗は細かく皮膚に埋もれていて取りにくいのですき引きする。皮は厚く強い。骨はやや硬い。
透明感のある白身で熱を通すと硬く締まる。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
ヒレグロハタの料理法・レシピ・食べ方/汁(みそ汁)、煮る(煮つけ、まーす煮)、生食(刺身、セビチェ)、揚げる(唐揚げ)、ソテー(オイル焼き)クリックで閉じます
ヒレグロハタのみそ汁(みーばい汁) 「魚汁」とは沖縄の郷土料理で魚のみそ汁のことだ。魚はなんでもいいが、ハタ類で作ると特に「みーばい(ハタ類)汁」と呼ばれて、他の魚で作るものとは別格とされている。小振りのハタなら水洗いしてぶつ切りにする。大きければあらを使うといい。水(昆布だしでも)から煮出してみそを溶くだけ。野菜、豆腐などはお好みで。フーチバー(ヨモギ)やんじゃな(苦菜)が合う。カツオ節などのだしは不要。
ヒレグロハタのあら煮 中骨や刺身にしてときの切れ端などを集めて湯通し。冷水に落として残った鱗などを流し、水分をよくきる。ハタ類は鱗が残りやすい。これを酒、砂糖、しょうゆで煮る。酒、塩だけの味つけにしても、酒、みりん、しょうゆで煮てもおいしい。クリックで閉じますヒレグロハタの刺身 三枚に下ろして刺身にする。淡泊ななかに甘味とうま味があって食べ飽きない味である。死後すぐに食べてもいいが少し寝かせると味が出てくる。しょうゆとわさびでもおいしいが、塩と柑橘類が好相性。クリックで閉じますヒレグロハタのセビチェ ハタ類を刺身にするとどうしても切れ端や使い切れない部分が出てしまう。対してセビチェにすると無駄がなく、柑橘類との相性がいいので、最適な料理法である。皮を引いた身を細かく切り、ライムジュースと塩でしめる。これに辛い青唐辛子、紫玉ねぎなどを加える。スピリッツに合う。クリックで閉じます好んで食べる地域・名物料理
ー加工品・名産品
ー釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
協力/河村雄太さん(沖縄県石垣市)
『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会 20130226)、『日本産魚類全種の学名 語源と解説』(中坊徹次・平嶋義宏 東海大学出版部 2015)