イヤゴハタ

Scientific Name / Epinephelus poecilonotus (Temminck and Schlegel, 1842)

イヤゴハタの形態写真

52cm SL 前後になる。体側に逆弓なりの褐色の斑紋がある。この斑紋はすべて同心円状の弧を描く。若い個体の斑紋は連続的で成長するに従い連続的ではなくリーダー系状になり、不明瞭になる。尾鰭は丸い。[40cm SL・1.394kg]
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52cm SL 前後になる。体側に逆弓なりの褐色の斑紋がある。この斑紋はすべて同心円状の弧を描く。若い個体の斑紋は連続的で成長するに従い連続的ではなくリーダー系状になり、不明瞭になる。尾鰭は丸い。[40cm SL・1.394kg]52cm SL 前後になる。体側に逆弓なりの褐色の斑紋がある。この斑紋はすべて同心円状の弧を描く。若い個体の斑紋は連続的で成長するに従い連続的ではなくリーダー系状になり、不明瞭になる。尾鰭は丸い。
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★★
      知っていたら学者級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目ハタ科ハタ亜科アカハタ属

    外国名

    学名

    Epinephelus poecilonotus (Temminck and Schlegel, 1842)

    漢字・学名由来

    漢字/不明
    由来・語源/漢字も由来も不明。水揚げ量の非常に水揚げの少ないハタだが、流通上見る限り、長崎県産が多い。長崎市の地名、もしくは方言ではないかと考えているが、語源は謎。また記載はシーボルトが採取しオランダに持ち帰り、テミングとシュレーゲルが研究したもので、やはり長崎との関わりがうかがえる。
    倉場富三郎(Tomisaburo Awajiya Glover)が明治の末から昭和初期に作った『グラバー図譜(日本西部及び南部魚類図譜)』で最初にイヤゴハタを採用したのではないかと思うが不明。
    田中茂穂は宇井縫蔵との関わりから標準和名を「アオナ」としていたが、ホウキハタとの混同から変更したのではないか。
    『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)には「イヤゴハタ(アオナ)」。
    Temminck
    コンラート・ヤコブ・テミンク Coenraad Jacob Temminck(1778-1858 オランダ) シュレーゲルとともにシーボルトの持ち帰った脊椎動物を整理、記載。『Fauna Japonica』(日本動物誌)を執筆。
    Schlegel
    ヘルマン・シュレーゲル(Hermann Schlegel 1804-1884年)はドイツの動物学者。テミングとともにシーボルトの持ち帰った脊椎動物を整理、記載。『Fauna Japonica』(日本動物誌)を執筆。
    倉場富三郎
    Tomisaburo Awajiya Glover or Thomas Albert Glover 長崎生まれ。(1871年〜1945年)。日本名、倉場富三郎。イギリス人貿易商、トーマス・グラバーの長男。長崎魚市場で得た魚の図譜『日本西部及び南部魚類図譜』(グラバー図譜)を編纂する。

    地方名・市場名

    キマス
    場所三重県鳥羽 参考文献 
    アオナ アヲナ
    場所和歌山県田辺・塩屋 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 
    カッパマス
    場所三重県熊野市 
    シマイノコ
    場所鹿児島 参考文献 

    生息域

    海水魚。沿岸の水深2-375mの岩礁域。
    富山湾〜[島根県隠岐]・長崎県の日本海沿岸、伊豆諸島、小笠原諸島、[千葉県勝浦市松部・南房総市乙浜港・富津(幼魚)]、相模湾[神奈川県小田原・葉山沖]〜九州南岸の太平洋沿岸。
    朝鮮半島南岸、台湾、西インド洋、スリランカ、インド東岸、フィジー島。

    生態

    基本情報

    国内の暖かい海域で揚がる。水揚げ量はハタ科の中にあっても少なく、単にハタとして流通することが多く種名の認知度は非常に低い。都内市場などではホウキハタとの混同がみられる。
    もちろんハタ科なので非常に味がよく、高値で流通する。

    水産基本情報

    市場での評価 入荷は非常に希。ハタなので高い。
    漁法 刺し網、釣り、定置網
    産地 長崎県、鹿児島県

    選び方

    身がしっかり硬いもの。筋模様のはっきりしているもの。

    味わい

    旬は冬から初夏。
    鱗は細かく取りにくい。皮は厚みがあり硬い。骨はやや硬め。
    透明感のある白身で血合いが弱い。熱を通してもあまり硬くは締まらない。
    焼くよりも液体、油分を使った料理法が向いている。
    肝・胃袋も美味。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    イヤゴハタの料理法・レシピ・食べ方/煮る(鍋、煮つけ)、汁(みそ汁)、生食(刺身、セビチェ)、汁(みそ汁)、揚げる(唐揚げ)

    イヤゴハタの煮つけ(兜煮) 大形は兜(頭部)やあらで、小形は丸のまま煮つけてもいい。水洗いして頭部は梨子割り。湯通しして冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。水分をよくきり、酒・醤油・水のなかで煮る。砂糖、みりんなど甘味を加えてもいい。煮ると皮が膨らんでゼラチン質になり甘味がある。身にも甘みがあり、身離れがよくおいしい。

    イヤゴハタの鍋 ここではあらを使った。水洗いして刺身などにした残りのあらを集めて置く。湯通しして冷水に落とし、残った鱗やぬめりを流す。水分をよくきり、昆布だしに酒・塩で煮ながら食べる。実にうま味豊かなだしが出て、一緒に煮た野菜や豆腐などに染みる。あらについた皮や身もとてもおいしい。
    イヤゴハタのまーす煮(塩煮) 小型を沖縄の郷土料理「まーす煮」にしてみた。小型を水洗い、ていねいに鱗を取る。これを少量の塩水の中で短時間煮上げる。少量の液体で蒸し上げるように煮るので、魚本来の味が楽しめる。豆腐と一緒に煮ると、本体以上においしい。
    イヤゴハタの肝・胃袋湯引き 肝と胃袋もとてもおいしい。ともにていねいに取りだし、胃袋は流水で、肝は塩水の中で血液などを流す。これを塩水で湯通しする。肝はうま味豊かな味にこくがある。胃袋の食感のよさと相まって非常においしい。
    イヤゴハタの刺身 水洗いして三枚に下ろし皮を引き刺身にする。本種は比較的珍しい魚なので旬がわからないが、脂が少なくてもうま味が強く、後味に甘味を感じる。大形は味に奥行きがある。
    イヤゴハタのみそ汁 水洗いして出たあらを集めて置く。湯通しして冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。水分をよくきり、水から煮出してみそを溶く。青みなどはお好みで。実にうま味豊かな汁であらについた身もおいしい。みそを多めにするとご飯に合う。
    イヤゴハタの唐揚げ 水洗いしてかまや頭部を適当に切る。水分をよくきり、片栗粉をまぶして置く。これをじっくりと二度揚げにする。鰭などは香ばしく、皮はねっとりした舌触り。筋肉は鶏肉のようにしまる。非常のおいしい。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『原色魚類大図鑑』(安倍宗明 北隆館)
  • 主食材として「イヤゴハタ」を使用したレシピ一覧

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