キジハタ

Scientific Name / Epinephelus akaara (Temminck and Schlegel, 1842)

代表的な呼び名アコウ

キジハタの形態写真

40cm前後になる。背鰭棘は11本、全身に斑紋(小豆色から明るい黄色まで様々)がある。背中に薄い暗色斑が1つある。尾鰭に網目状の斑紋がない。尾鰭の橋は丸い。[体長28cm]
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40cm前後になる。背鰭棘は11本、全身に斑紋(小豆色から明るい黄色まで様々)がある。背中に薄い暗色斑が1つある。尾鰭に網目状の斑紋がない。尾鰭の橋は丸い。[体長28cm]40cm前後になる。背鰭棘は11本、全身に斑紋(小豆色から明るい黄色まで様々)がある。背中に薄い暗色斑が1つある。尾鰭に網目状の斑紋がない。尾鰭の橋は丸い。[42cm SL・1.896kg]40cm前後になる。背鰭棘は11本、全身に斑紋(小豆色から明るい黄色まで様々)がある。背中に薄い暗色斑が1つある。尾鰭に網目状の斑紋がない。尾鰭の橋は丸い。[体長18cm]尾鰭に網目状の斑紋がない。
    • 珍魚度・珍しさ

      ★★
      少し努力すれば手に入る
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★
      知っていたら達人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★★
      一般的(流通量は普通)
    • 味の評価度

      ★★★★★
      究極の美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目ハタ科ハタ亜科アカハタ属

    外国名

    学名

    Epinephelus akaara (Temminck and Schlegel, 1842)

    漢字・学名由来

    漢字 雉子羽太 Standard Japanese name / Kijihata
    由来・語源 田中茂穂は東京での呼び名としている。キジ(鳥)のような文様を持つハタの意味。
    アヅキハタ(アズキハタ)とも。アヅキハタは紀州魚譜にもある。
    〈akaara, Schleg. あづきはた (あかあら) 東京市場〉『帝国博物館天産部魚類標本目録.帝国博物館』(石川千代松・松浦歓一郎 1897/明治30年)
    日本動物誌/ファウナ・ヤポニカ(Fauna Japonica ) フィリップ・フランツ・フォン・シーボルトとその後継者、ハインリヒ・ビュルゲルなどが標本を持ち帰り、川原慶賀(江戸時代の長崎の絵師)が図を書いたもののひとつ。オランダライデン王立自然史博物館のシュレーゲルとテミンクが記載。
    Temminck
    コンラート・ヤコブ・テミンク Coenraad Jacob Temminck(1778-1858 オランダ) シュレーゲルとともにシーボルトの持ち帰った脊椎動物を整理、記載。『Fauna Japonica』(日本動物誌)を執筆。
    Schlegel
    ヘルマン・シュレーゲル(Hermann Schlegel 1804-1884年)はドイツの動物学者。テミングとともにシーボルトの持ち帰った脊椎動物を整理、記載。『Fauna Japonica』(日本動物誌)を執筆。

    地方名・市場名

    生息域

    海水魚。沿岸の水深5-25mの岩礁域。
    北海道寿都、津軽海峡、青森県・[山形県鼠ヶ関]〜九州南岸の日本海、東シナ海沿岸、瀬戸内海、相模湾〜九州南岸の太平洋沿岸。朝鮮半島南岸、済州島、台湾南部、福建省〜トンキン湾の中国沿岸。
    比較的日本海、瀬戸内海に多い。

    生態

    産卵期は夏。
    性転換する。雌性先熟で小さい時は雌で成長すると雄になる。

    基本情報

    北海道南部から九州全域に生息している小型のハタである。本来、北陸・相模湾以北にはあまりいなかったが今や普通、陸奥湾でも揚がるようになってきている。
    もともとは西の魚というイメージであったものが主産地も瀬戸内海から、むしろ日本海に多い魚になってきている。近年、日本海での水揚げの多さには驚かされる。
    キジハタはあまり水揚げがなかった関東周辺での呼び名で、むしろ西日本の「あこう」の方が一般的。今もどちらかというと標準和名よりも「あこう」と呼ばれることが多い。
    古く、夏の「あこう」などといい、瀬戸内海周辺での食文化の一端を担う存在だったが、水揚げされる地域が広がり、ありふれた存在となってきている。
    瀬戸内海では種苗生産などが盛んに行われているが、本当に必要なのだろうか。
    ただし今でも関西では「あこう」として人気がある。大阪などでは「冬のフグ、夏のあこう」などともいわれて風物詩的な存在であることには変わりない。
    活魚は今でも高いが、ハタ科の中では取り立てて高いとはいえなくなっている。先々値崩れするのではないか、と思う。
    珍魚度 普通の食用魚だが、高価だ。お高いのを我慢すると漁獲量が増えているのでたやすく手に入る。

    水産基本情報

    市場での評価 本来西日本で高い魚であったが、近年は関東でも同様となってきている。食べ方、味わいのよさが浸透してきている。野締めはやや高値、活けは超高級魚。
    漁法 釣り、定置網、刺し網
    主な産地

    選び方

    最高級のものは活け。活け締めで死後硬直していないもの。締めたものは死後硬直のもの。体に張りがあり、鰓が鮮紅色のものがいい。

    味わい

    旬は春から夏。ただ寒い時季のものもおいしく、産卵後以外は味があまり落ちない。
    鱗は小さくて皮に埋まっているのでやっかい。すき引きするときれいにとれる。皮は厚くて硬い。骨はあまり硬くない。
    透明感のある白身で血合いが弱い。熱を通しても硬く締まらない。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    キジハタの料理・レシピ・食べ方/蒸す(蒸し魚)、煮る(煮つけ、まーす煮)、生食(薄造り、カルパッチョ、セビチェ)、汁(みそ汁、潮汁)、揚げる(唐揚げ)

    キジハタの蒸し魚(清蒸) ハタ科がなぜ世界的に高いのか? その理由は「蒸し魚」にしてうまいからではないかと思っている。日本流に酒をふって上品に蒸すのではなく、中華風に濃厚なタレをかけてご飯のともにする。これを作ってみると、刺身や唐揚げなどを作るのがバカらしくなるくらいにうまい。
    作り方は簡単。中華風のタレを作る。中華のしょうゆ(日本のものでもいい)・老酒(日本酒でも)・魚醬少々・砂糖少々・にんにくを合わせて一煮立ちする。振り塩をして蒸し上げた魚にかける。蒸し魚にネギや香菜を乗せた蒸し魚に乗せて、上から煙がでるくらい熱した油をかけるだけ。

    キジハタの刺身 水揚げ後4日目の大型である。活け締めでこの日からやっと味がでてきた。6日目がピークだった。1切れの味の量が多いというかインパクトが強い。しかもこの時点でも食感がある。
    水洗いして三枚に下ろす。腹骨・血合い骨を取り、皮を引いて刺身にする。
    キジハタの薄作り 活け締めや活魚は下ろしてすぐだとやや固いので、薄作りにすべきである。向こうが透けて見えるほど薄く切りつけても強い食感とうま味、そして微かな甘味が楽しめる。ただし身自体のうま味は少なめである。
    三枚に下ろし、腹骨・血合い骨を取る。皮を引き薄く切りつける。
    キジハタのカルパッチョ 小振りな個体でも脂のない個体でもおいしく作れる。三枚に下ろし皮を引き、できる限り薄く引く。皿ににんにくの香りをつけ、オリーブオイル・塩を敷き身を並べて行く。上からとんとんとたたいて馴染ませ上からも好みの野菜や柑橘類をのせ、塩コショウしてオリーブオイルをかける。
    キジハタのセビチェ ペルーの魚介類のマリネである。刺身などを作ったときの中途半端な身を集めて置く。細かく切り、青唐辛子・塩・紫玉ねぎ・ライムで締める。1時間以上たったら食べられる。非常に辛味が強く塩辛いが独特のおいしさがある。スピリッツにとても合う。
    キジハタのちり(水炊き) 上品な白身の味が堪能出来る。軽く煮ただけでは硬い。この煮え加減をみながら食べるというのがいい。皮のねばっこさ、甘味と身のほぐれ感など舌が喜ぶ要素がいっぱいある。
    頭部や腹の身などを食べやすい大きさに切る。湯通しして残った鱗やぬめりを流す。水分をよくきり、少量のカツオ節出し、昆布だし、酒・塩味の中で煮ながら食べる。
    キジハタの湯引き 刺身とはまったく違った味である。明らかに火が通っているものの、柔らかくなるほどではなく、硬く締まった状態で食べる。辛子酢みそで食べると、箸が止まらなくなる。
    水洗いして三枚に下ろす。腹骨・血合い骨を取り、皮付きの刺身状に切る。これを少し塩を加えた湯の中で振る。氷水に落として水分を切る。辛子酢みそを添える。
    キジハタの兜煮(かぶとに) あらでも、小さなものはそのままでもいい。ここでは兜煮にしてみた。合わせたのは豆腐とナスだ。水洗いして頭部を半割に割る。これを湯通しして冷水に落として鱗などをこそげ取る。これを水・酒・みりん・濃口醤油で煮上げ、仕上げに豆腐となすをくわえ少し煮る。また砂糖などの甘味を加えてもいい。煮ても硬く締まりすぎず、皮も身もひじょうにうまい。
    キジハタの魚汁(みそ汁) 大型はあらを、小振りなものは丸ごと使うといい。水洗いして適宜に切る。湯通しして冷水に落とし、残った鱗やぬめりを流す。水分をよくきり、水から煮出してみそをとく。単純な料理ながら実にうま味豊かな味わいが楽しめ、また皮や身がとてもおいしい。ご飯のおかずにもなる。
    キジハタの潮汁 あらを湯通しし、冷水に落として鱗などをこそげ落とす。よく水を切り、昆布だしで煮だして酒、塩で味つけする。上品でいながらうま味豊かな汁で。あらについた皮、身も実にうまい。柑橘類を搾りながら食べると、より味わい深くなる。
    キジハタの塩焼き 水洗いして頭部を真半分に切る。振り塩をして冷蔵庫で数日寝かせる。これを時間をかけてじっくりと焼き上げる。塩をして寝かせることで余分な水分が抜ける。焼くと表面がぱりっと香ばしくなり、身は鶏肉のように締まる。
    キジハタの天ぷら 尾に近い部分にはうま味があるが筋っぽいところがある。この筋は揚げるとやけに味がある。身の方もさくっとして香ばしい。皮の部分が広いので皮の甘味と風味も楽しめる。
    尾に近い部分を切り身にして厚みを半分に開く。軽く振り塩をして少し置き、出て来た水分を取り小麦粉をまぶして衣をつけて高温で揚げる。
    キジハタの唐揚げ 小振りのものを水洗いする。これを適当に切り、片栗粉をまぶして最初は低温でじっくり時間をかけて揚げ、二度目は高温で揚げる。こうすると小骨などは香ばしく食べることができる。身は鶏肉を思わせて繊維質で甘みがある。

    好んで食べる地域・名物料理

    夏の河豚(フグ) 関西では夏、薄造りにする。これを冬のフグの薄造りに対して、「夏のフグ」という。

    加工品・名産品

    釣り情報

    新潟県では海岸波打ち際で釣る。ルアーを振ってねらえるのは30センチ前後。
    関東では沖釣りで希に上がる。

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)、『島根のさかな』(島根県水産試験場 山陰中央新報社)、『日本語源大辞典』(小学館)、『魚』(1940 田中茂穂 創元社)、『たべもの語源辞典』(清水桂一 東京堂出版)

    地方名・市場名

    アカマス
    場所三重県志摩市志摩町和具 参考日比野友亮さん/和具の方言 
    タナンダラ
    場所三重県熊野浦 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 
    アカアコラ
    場所京都府丹後半島 参考京都府農林水産技術センター海洋センター 
    アゴ
    場所京都府丹後地方 参考京都府 
    イネズ
    場所京都府宮津 参考文献 
    アカミズ[赤水]
    場所兵庫県浜坂、島根県島根半島 
    コウラギ コオラギ
    場所和歌山県周参見 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 
    オラギ
    場所和歌山県周参見 参考文献 
    アク
    場所和歌山県和歌浦 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 
    アズキアコウ
    場所和歌山県田辺 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 
    アズキ
    場所大阪 参考文献 
    アコ
    場所大阪、広島県尾道、徳島県北灘、愛媛県宇和島、長崎県平戸市度島 参考福畑敏光さん、文献、聞取 
    アズキハタ
    場所大阪、長崎県五島 参考文献 
    キョウガラ
    場所大阪府堺 参考文献 
    ヤマドリ
    場所富山県生地・黒部 参考聞取、文献 
    アカラ
    場所富山県魚津・四方 参考文献 
    アッコ
    場所徳島県鳴門など 参考20200519 
    アコマス
    場所愛媛県宇和島 参考文献 
    カケバカマ
    場所新潟県佐渡島 参考文献 
    キジハタ
    場所東京都など関東周辺、神奈川県三崎 備考標準和名。 参考聞取 
    ナメリバチメ ナメノコバチメ
    場所石川県宇出津 参考文献 
    ナメラハチメ
    場所石川県穴水町 参考スーパー 
    セモン
    場所福岡県志賀島 参考文献 
    アズキボ
    場所秋田県男鹿船川地区 参考松宝丸 
    ホウソイヲ ホウソイオ
    場所紀州水族志 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 
    アカアゴ
    場所長崎 参考文献 
    アカアラ
    場所長崎県、福岡県 
    キジアコウ
    場所長崎県雲仙市富津 参考佐藤厚さん 
    モゾイ
    場所青森県下北郡佐井村矢越 参考20191218木下 
    クロハタ
    場所静岡県静浦 参考文献 
    クエ
    場所高知 参考文献 
    クロタカバアラ モイオ モイオ モイヲ モクズ
    場所鹿児島 参考文献 
    アオナ
    場所福岡県福岡市 
    アカイギス
    場所鹿児島県鹿児島市鹿児島中央市場水産棟 
    アコウ[茂魚/赤魚]
    場所大阪府、兵庫県瀬戸内海、京都府舞鶴市舞鶴魚市場、鳥取県倉吉市、広島県三原市、徳島県海部郡海陽町宍喰・竹ヶ島、大分県中津市、福岡県福岡市 参考聞取 
    アズキマス
    場所三重県志摩市・尾鷲市 参考林一兵衛さん、聞取 
    ゴマアラ
    場所鹿児島県日置市東市来 
    スジアラ
    場所鹿児島県阿久根 
    ナメラバチメ
    場所富山県高岡市、石川県宇出津 
    ヨネズ
    場所京都府舞鶴市舞鶴魚市場 
    モヨ
    場所山形県鶴岡市由良漁港 
    ヤク
    参考文献 
  • 主食材として「キジハタ」を使用したレシピ一覧

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