SL 42cm前後になる。ハタ科としては小型種。ずんぐりして、あまり側扁しない(左右に平たくない)。鰭の外縁が黄色く、体に黄色い斑紋が散らばる。うっすらと緑褐色の横帯が身体にあるが大きくなると薄くなる。[全長45.5cm]
アオハタの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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珍魚度・珍しさ
★★★
がんばって探せば手に入る魚貝の物知り度
★★★★
知っていたら達人級食べ物としての重要度
★★★
一般的(流通量は普通)味の評価度
★★★★
非常に美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目ハタ科ハタ亜科アカハタ属外国名
学名
Epinephelus awoara (Temminck and Schlegel, 1842)漢字・学名由来
漢字 青羽太、青鰭 Aohata
由来 田中茂穂の命名。小種名「awoara(あおあら)」は青い「あら(九州でハタのこと)」と福岡県など九州北部での呼び名からつけていて、そこにヒントを得ての命名かも。色合いからだろうが、青くない。Temminck
コンラート・ヤコブ・テミンク Coenraad Jacob Temminck(1778-1858 オランダ) シュレーゲルとともにシーボルトの持ち帰った脊椎動物を整理、記載。『Fauna Japonica』(日本動物誌)を執筆。
Schlegel
ヘルマン・シュレーゲル(Hermann Schlegel 1804-1884年)はドイツの動物学者。テミングとともにシーボルトの持ち帰った脊椎動物を整理、記載。『Fauna Japonica』(日本動物誌)を執筆。地方名・市場名
生息域
海水魚。沿岸の水深3-50mの岩礁域、砂泥底。
山形県〜[富山湾]〜山口県の日本海沿岸、長崎県佐世保、[陸奥湾佐井村]、千葉県外房、東京湾内房、相模湾〜宿毛湾、屋久島。
瀬戸内海・愛媛県内海の太平洋沿岸には希。
朝鮮半島南岸、済州島、台湾、浙江省〜広東省の中国沿岸、西沙諸島、南沙諸島、フィリピン諸島。生態
産卵期は夏。
浅い岩礁域に生息。基本情報
小型のハタで比較的北にも生息するもの。日本海でまとまって揚がることも多い。
最近増えているのか関東の市場でもいたって普通に見かける。
鰭などが黄色みを帯びているので、「黄羽太」、「黄かな」などと呼び。
アオハタという標準和名はあまり馴染みがない。
ハタ類としては比較的安いが、それでも都会では小売店での取り扱いはあまりない。
珍魚度 古くは珍しい部類の魚だったが、国内で揚がる量が増えている。産地も北上傾向にあり、古くは九州や四国の魚だったものが東北でもとれるようになった。温暖化で珍魚度が下がった魚の代表的なものだ。問題はハタ科で高いので消費地のスーパーなどには並ばないことだ。水産基本情報
市場での評価 小型のハタ類でもっとも入荷量の多い種のひとつ。ハタ類の中では比較的手頃。漁法 釣り、定置網
産地(漁獲量の多い順) 長崎県、大分、山陰、若狭、北陸など選び方
触って柔らかいものはダメ。鰓が鮮紅色のもの。活け締め、できれば活魚がいい。味わい
旬は秋から初夏まで
小型のハタで鮮度落ちは早いほう。最低でも活け締め、活魚の方が質がいい。
鱗は細かく取りにくい。皮は厚くしっかりしている。骨はあまり硬くない。
透明感のある白身で鮮度がよくてもあまり硬くはない。熱を通すとやや硬く締まる。身離れはいい。
あらなどから実にいいだしが出る。
料理の方向性筋繊維が強いので、水を使って熱を通す料理に向いている。蒸す、煮るで、蒸し物にすると筋繊維が高温で破壊されて柔らかく仕上がる。煮るときも軽く火を通すのではなく、しっかり時間をかけて通すべきだ。
焼く(単に熱を加える)、ソテー・揚げる(油をかいして熱を加える)と硬くしまる。
刺身はそれなりにうまい。栄養
ー危険性など
食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
アオハタの料理法・調理法・食べ方/煮る(煮つけ)、汁(みそ汁、潮汁、鍋)、生食(刺身、セビチェ)、揚げる(唐揚げ)、焼く(塩焼き)クリックで閉じます
アオハタの蒸し魚 中華の世界の料理である。本来は鹹水魚から始まった料理だが、今はハタ類を使うことが多い。また白身魚ならなんでも利用でき、簡単でおいしい料理だ。水洗いしてていねいに鱗を取る。皿に割り箸などを敷き、魚を浮かして魚の上にねぎ、ショウガなどをのせてだいたい15分前後むす。蒸し上がりにタレ(醤油・魚醬・紹興酒を合わせたもの)を加え、少し蒸し取り出す。タレは蒸し上がってからかけてもいい。ネギなどを乗せて上から煙がでるほど熱した油をかける。非常にご飯に合う。
アオハタの煮つけ 頭部や中骨などに味のある魚である。頭部、あらなどを湯通しして、冷水に落として鱗などをこそげ落とす。水分をよく切り、水、酒、砂糖、しょうゆで煮る。厚みのある皮がゼラチン質になり甘みがある。身は適度にしまり身離れもいい。クリックで閉じますアオハタの鍋 アオハタの中骨などを集めて、湯通しする。冷水に落として鱗やぬめりなどを落としてよく水切りをする。これを昆布だしで煮ながら食べる。厚みのある皮はゼラチン質で甘く、うま味が強い。野菜はお好みで。クリックで閉じますアオハタの鍋
アオハタのみそ汁 あらを湯通しして冷水に落として鱗やぬめりなどを落とす。よく水切りをして水から煮てみそを溶く。うま味は強いわりに後味のいい汁になる。みそを使うことでご飯に合う。クリックで閉じますアオハタのみそ汁
アオハタの刺身 鮮度がいいとやや硬い。上身にして晒しやペーパータオルなどにくるみ寝かせるといい。ここでは締めた当日にできるだけ薄く造ったもの。胃袋はゆでると独特の食感が楽しめ味もいい。肝もゆでて添えると味が深い。身に甘みがあっていい味である。クリックで閉じますアオハタの刺身
アオハタのセビチェ 身割れしやすいので、セビチェのように細かく切って作る料理が無駄がなく向いている。皮を引いて細かく切り、塩、ライムで締める。少し置き、青唐辛子、紫玉ねぎ、黒トマトと和えた。テキーラなどが合う。クリックで閉じますアオハタのセビチェ
好んで食べる地域・名物料理
ー加工品・名産品
加工品はほとんどない釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)、『島根のさかな』(島根県水産試験場 山陰中央新報社)、『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)