ツチホゼリ

Scientific Name / Epinephelus cyanopodus (Richardson, 1846)

ツチホゼリの形態写真

SL100cm前後になる。マハタ属のなかでは体高があり鯛型をしている。体側の斑紋は小さく散らばる。尾鰭は截形で、後縁が黒い個体がいる。[尻鰭後縁・尾鰭後縁が黒い個体]
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SL100cm前後になる。マハタ属のなかでは体高があり鯛型をしている。体側の斑紋は小さく散らばる。尾鰭は截形で、後縁が黒い個体がいる。[尻鰭後縁・尾鰭後縁が黒い個体]SL100cm前後になる。マハタ属のなかでは体高があり鯛型をしている。体側の斑紋は小さく散らばる。尾鰭は截形で、後縁が黒い個体がいる。
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★
      知っていたら達人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目ハタ科ハタ亜科アカハタ属

    外国名

    学名

    Epinephelus cyanopodus (Richardson, 1846)

    漢字・学名由来

    漢字 土穿(Tutihozeri)
    由来・語源 大分県佐伯での呼び名。浅場の砂地などを掘り、自分のすみかを作る習性から。
    モロコ/東京都小笠原
    Richardson
    ジョン・リチャードソン(Sir John Richardson 1787-1865 スコットランド)、博物学者、魚類学者(ichthyology)。

    地方名・市場名

    モロコ
    場所東京都小笠原 参考『伊豆・小笠原諸島の魚たち 改訂2版』(東京都水産試験場 2004) 
    タカバー
    場所沖縄本島 

    生息域

    海水魚。南日本。沿岸の環礁・サンゴ礁域。水深2-150m。
    小笠原諸島、硫黄島、沖縄諸島以南の琉球列島。
    希/相模湾〜屋久島の太平洋沿岸。
    台湾南部、香港、西沙諸島、南沙諸島、西太平洋、ミクロネシア。

    生態

    海底を掘ってすみかを作る。

    基本情報

    主に琉球列島、小笠原などで水揚げされている大型のハタ。外見的にハタらしくないと感じる人も多い。熱帯に多く相模湾、駿河湾などでも見ているが希。
    ハタ類として非常に高価で、関東には主に小笠原からの入荷が多い。

    水産基本情報

    市場での評価 珍しい種。入荷も希。ハタなので値段はとても高い。
    漁法 釣り、定置網、刺突漁
    主な産地 東京都小笠原、沖縄県

    選び方

    触って硬いもので、鰓が鮮紅色のもの。

    味わい

    旬は不明。
    大型のハタだが、比較的小さなものしか料理していない。マハタ属全般に言えることだが、できるだけ大きな個体を選んだ方がいいだろうと思っている。
    鮮度落ちはハタにしては早い。
    鱗は小さくて取りにくい。包丁ですき引きするといい。皮は厚みがあって強い。
    白身で血合いも美しいが身割れしやすい。熱を通しても硬く締まらない。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    ツチホゼリの料理法/生食(刺身、湯引き、セビチェ)、煮る(煮つけ、鍋、まーす煮)、汁(みそ汁)、焼く(ロースト)

    ツチホゼリの刺身 ハタらしい血合いの弱いきれいな白身。口に入れると甘味が浮き上がってくる。このうま味成分からくる甘味の後に魚らしいうま味が、まるで追いかけてくるように感じられる。適度に食感もあり、非常にうまい。後味がいいのでついつい箸が伸びる。

    ツチホゼリのゆびき 切り身を塩水のなかで表面にだけ火を通す。冷水に落として粗熱をとり、水分をよくきり、刺身状に切る。皮目にうま味がある。食感も面白く、刺身らしい味わいと、また別種のおいしさが楽しめる。これをわさびじょうゆで食べてもいいし、辛子酢みそで食べてもいい。
    タカバーの煮つけ(ツチホゼリの煮つけ) ハタ類は液体を使った料理がいい。その最たるものが煮つけである。骨つきの身を湯通しする。冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。これを酒・しょうゆで煮る。酒・砂糖・しょうゆの味つけでも、酒・みりん・しょうゆの味つけをしてもいい。臭い消しにはしょうがでもハッカクを使ってもいい。皮はゼラチン質でぷるんとし、身は適度にしまり甘味とうま味が感じられる。舌の上で身がほどけるその感じもいい。

    ツチホゼリのちり(鍋) 昆布だしに酒・塩の汁で煮ながら食べるのを「ちり」という。適宜に切った骨つきの身を一度湯通しして冷水に取り、ぬめりと残った鱗などを流す。それを煮ながら食べるのだが、煮ると適度に身が締まり、うま味豊かで実にうまい。ぜいたくな味である。
    タカバーの魚汁(ツチホゼリのみそ汁) あらを集めて湯通しする。冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。これを水から煮てみそを溶く。ハタ科の魚のあらは、なぜにこれほどウマシだしが出るのだろう。感心するほどに汁がうまい。そしてせっせと食べる皮と身のうまさよ。
    ツチホゼリの唐揚げ 皮に厚みがあり、揚げると硬くかりっとするところが魅力だと思う。その香ばしさの中心にはハタ類の皮を特徴づける、ゼラチン質のエキスが確実に感じられる。身(筋肉)は鶏肉のように筋繊維が強く、噛みしめるとほどよいうま味が感じられる。ハタ類の唐揚げはメインディッシュになると思う。

    ツチホゼリのグリル 小振りのツチホゼリの片身を適宜に切る。これを塩コショウ、オリーブオイル、白ワイン、ニンニクでマリネする。じっくり半日以上寝かせてじっくりグリルパンで焼き上げる。単に塩焼きにすると硬くしまり、淡泊に過ぎる。これをオイルやハーブで補う。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)、『商用魚介名ハンドブック』(日本水産物貿易協会編 成山堂)、『伊豆・小笠原諸島の魚たち 改訂2版』(東京都水産試験場 2004)
  • 主食材として「ツチホゼリ」を使用したレシピ一覧

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