カケハシハタ

Scientific Name / Epinephelus radiatus (Day, 1867)

カケハシハタの形態写真

56cm SL 前後になる。体高はやや高く薄い褐色の虫食いを思わせる太い帯が斜め下に真横に走る。尻鰭軟条は8、尾鰭は丸い。[48cm SL・2.38kg]
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56cm SL 前後になる。体高はやや高く薄い褐色の虫食いを思わせる太い帯が斜め下に真横に走る。尻鰭軟条は8、尾鰭は丸い。[48cm SL・2.38kg]56cm SL 前後になる。体高はやや高く薄い褐色の虫食いを思わせる太い帯が斜め下に真横に走る。尻鰭軟条は8、尾鰭は丸い。
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★★
      知っていたら学者級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★★★
      究極の美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目ハタ科ハタ亜科アカハタ属

    外国名

    学名

    Epinephelus radiatus (Day, 1867)

    漢字・学名由来

    漢字 架橋羽太? 欠橋羽太? Kakehashihata
    由来・語源 不明だが、虫食い状の筋状の斑紋を架け橋に見立てている。
    もしくは完全なる弧を描いていない、橋としては繋がっていない欠けがあるという意味か。
    学名の英名は斜めの帯があるハタ。
    『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)には「カケハシハタ(タケアラ)」とある。
    田中茂穂は和歌山の名前を標準和名で採用、「タケアラ」としている。
    『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929)にはカケハシハタとして、和歌山県田辺での呼び名を「たけあら」としている。
    Day
    Francis Day。イギリスの医者で、魚類学者。『The Fauna of British India, Including Ceylon and Burma』。

    地方名・市場名

    生息域

    海水魚。沿岸の岩礁域、水深17m-383m。
    相模湾、小笠原諸島、和駿河湾、歌山県田辺・串本、土佐湾、愛媛県深浦、[鹿児島県種子島]、奄美大島、沖縄本島。
    台湾南部、フィリピン諸島、インド-西太平洋、紅海。

    生態

    基本情報

    比較的暖かい海域から熱帯域にいるが漁獲量はハタ科の中でももっとも少ない種のひとつ。漁獲量が極端に少ないので生息域など不明な点が多い。沖縄県や鹿児島県では深場の漁で揚がる。南に行くほど生息水深が深いのかも知れない。
    流通上ではときにハタとしか書かれないまま売り買いされていることがある。たぶん九州では「あら」、沖縄県では「みーばい」だと思われる。ハタ類の中でも取り分け認知度が低いのはホウキハタ、イヤゴハタに似ているからだと思っている。
    値段は他のハタ類と同じで非常に高い。大きいと超高級魚でもある。

    水産基本情報

    市場での評価 ハタ類の中でも入荷は非常に希。2㎏以上非常に高価。小型は高価だ。
    漁法 釣り
    産地 東京都、鹿児島県、高知県、三重県ほか

    選び方

    味わい

    旬は不明。
    鱗は細かく取りにくい。すき引きで取るべきだ。皮は厚い。骨は硬い。
    透明感のある白身で、透明感が長く続く。熱を通すとほどよく締まる。
    寄生虫を持っている個体が多いように思われる。

    栄養

    危険性など

    背鰭や腹鰭、臀鰭などの棘が非常に強く尖っているので要注意。歯もするどく向かってくることはないが嚙まれたり、手を入れたりしてはいけない。

    非常に歯が鋭く、水槽で生かしている個体など不用意に触ると危険である。もちろん口に指を入れたりするとケガをする。

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    カケハシハタの料理・レシピ・食べ方/蒸す(蒸し魚)、煮る(煮つけ)、汁(みそ汁)、生食(刺身、マリネ、湯引き)、揚げる(唐揚げ)

    カケハシハタの蒸し魚(清蒸) 西太平洋でハタ類の資源を脅かしているとされているのが、中華料理の清蒸である。液体を直に使った煮物以上に蒸気で熱を通した方がうまいと思う。
    水洗いして頭部は梨子割りに。鱗は包丁で削り取るように取る。皿に長ネギなどを敷、上にのせてネギとショウガを乗せて10分〜15分蒸す。蒸し上がったらたれ(醤油・魚醬・紹興酒・砂糖を合わせて一煮立ちさせたもの。ここでは香りづけに八角、辛味に鷹の爪を使った。甘い中華醤油でもいい)をかけ、ネギなどを乗せて煙が立つくらいに熱した油をかける。
    箸でつまんだ一口一口がやたらにうまい。飽きの来ない味で、酒よりもご飯に合う。

    カケハシハタの鍋 本種も本はつかないが九州では「あら」である。当然、鍋となる。水洗いして骨の多い部分、かまなどを集めて置く。湯通しして冷水に落として残った鱗などをこそげ落とす。水分をよくきり、昆布だしに酒・塩の地で煮ながら食べる。本種のハタ類の特徴は白身なのに煮てほどよい食感と味があることだ。
    カケハシハタの兜煮(煮つけ) ハタ類は液体を使った料理に向いている。もっとも基本的な料理法が煮つけである。水洗いして頭を梨子割りにする。頭部の鱗はていねいに包丁でけずりとっておく。湯通しして冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。水分をよくきり、酒・砂糖・醤油・水で煮る。ややこってり甘辛く煮たが、甘さ控えめに煮てもうまい。食べた後は骨湯(医者殺し)に。
    カケハシハタの胃袋の湯引き ハタ類の胃袋は大きく皮膜が厚い。これは明らかに甲殻類や小魚などを丸のみにするためだ。そしてこの胃袋が実においしい。胃袋は開いて流水でよく洗う。軽くゆでて冷水に落としてぬめりをていねいに取る。ゆで時間がある一定以上長いと柔らかくなりすぎる。水分をよくきり薄く切って酢みそなどで食べる。
    カケハシハタの皮湯引き 皮に厚みがあり、熱を通すとぷるんとゼラチン質を感じる。水洗いをして三枚に下ろし皮を引く。これを塩を加え湯引きにする。氷水に落として付着している筋肉などをていねいにこそげ落とす。水分をよくきり、まな板に貼り付けるようにして細く切る。これをポン酢、わさび醤油で食べる。
    カケハシハタのみそ汁(みーばい汁) 沖縄県ではみーばい汁(ハタのみそ汁)が盛んに作られている。大きくなる魚なので中骨だけでもみそ汁になる。水洗いし、あらを集めて置く、湯通しして冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。水分をよくきり、水から煮出してみそを溶く。濃厚かつ後味のいい汁で、ついた身が非常にうまい。ご飯のおかずになる。
    カケハシハタの刺身 ハタ類の刺身もうまいものである。水洗いして三枚に下ろし、腹骨・血合い骨を取る。皮を引いて薄く切りつける。新しいほど薄く切りつけたい。見た目にもきれいで、味は淡泊、うま味はじわじわとくる。飽きの来ない上品な味だ。
    カケハシハタのマリネ 刺身にするとどうしても切れ端や刺身にしてきれいではないところが出る。これを集めて置き、クラッシュ黒コショウ、塩で締める。半日以上置いてオリーブオイル、ニンニク、ライムと和えて1時間程度寝かせたもの。ここでは柑橘類にライム、ハーブはディルを使ったがお好みで。オリーブオイルを使うと俄然、白ワインとなる。
    カケハシハタの湯引き 九州では完全な生よりも湯引きにすることが多い。冊で湯引くこともあるがここでは皮付きのまま刺身状に切り、湯通しにした。三枚に下ろし皮付きのまま食べやすい大きさに切る。これを塩を加えた湯に数秒通して氷水に落とす。わさび醤油でもいいが辛子酢みそが合う。
    カケハシハタの唐揚げ かまや腹骨のついた部分、刺身の切れ端を集めて置く。水分をよくきり、片栗粉をまぶして低温で揚げ、一度取りだし、高温でもう一度揚げる。鶏肉のように締まった身質で筋繊維の間から出てくる肉汁に味がある。
    カケハシハタの

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    協力/タカスイ(鹿児島県鹿児島市)
    『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)、『美ら海市場図鑑 知念市場の魚たち』(三浦信男 ぬにふぁ星 2012)

    地方名・市場名

    キカナ
    場所不明 参考荷 
    クエ
    場所愛媛県 参考文献 
    タカバ
    場所鹿児島 参考文献 
    イモアラ ホアラ
    場所鹿児島県種子島 参考『種子島の釣魚図鑑』(鏑木紘一 たましだ舎 2016年) 
    タケアラ
    場所和歌山県田辺 備考田中茂穂の提唱した標準和名だった。 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 
    アオナイ
    場所高知県宿毛市田ノ浦すくも湾漁協 
    カッパマス
    場所三重県熊野市 
    トラネバリ
    場所鹿児島県奄美大島 参考文献 
  • 主食材として「カケハシハタ」を使用したレシピ一覧

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