サラサハタ

Scientific Name / Chromileptes altivelis (Valenciennes, 1828)

サラサハタの形態写真

50cm SL(体長)前後になる。鰭なども含めて体全体に褐色の斑紋がある。

    • 珍魚度・珍しさ

      ★★★★
      めったに出合えない
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★
      知っていたら達人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★★★
      究極の美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目ハタ科ハタ亜科サラサハタ属

    外国名

    Humpback grouper
    言語英語 備考猫背をしているハタ。 
    駝背鱸
    言語中国語 場所台湾 備考ラクダの背中のような形のハタ。 

    学名

    Chromileptes altivelis (Valenciennes, 1828)

    漢字・学名由来

    漢字/更紗羽太 Sarasahata
    由来・語源/蒲原稔治が、1942年、和歌山県東牟婁郡串本町で揚がった若魚を発見した。これによって和名サラサハタをつけたのだと思う。若い個体には眼点状の斑紋があるなど見た目の印象からだと思う。『原色日本魚類図鑑』(蒲原稔治 1955年初版 1975年改訂22刷)
    Valenciennes
    アシル・バランシエンヌ(Achille Valencienne 1794-1865)はフランスの動物学者。ジョルジュ・キュビエとともに『魚類の自然誌』を刊行。国内で水揚げされる多くの魚を記載。
    蒲原稔治
    Toshiji Kamohara(1901-1972 高知県生まれ。高知大学)。魚類学者。52種の新種を記載。日本初記録種209種を報告。

    地方名・市場名

    ナガウツニバラ
    場所沖縄県伊良部島 参考『魚名からみる自然認識:沖縄・伊良部島の素潜り漁師の事例から』(高橋そよ 2014年03) 
    ガチョーウニバラ
    場所沖縄宮古 
    クチグワーミーバイ
    場所沖縄八重山 備考「クチグワー」は口が小さいという意味合い。 
    クチグヮーミーバイ
    場所沖縄本島 備考「クチグヮーミーバイ」は口が小さいという意味合い。 

    生息域

    海水魚。水深1-40mのサンゴ礁。
    [鹿児島県種子島]、沖縄諸島、八重山諸島に生息。
    相模湾、駿河湾、和歌山県、高知県、山口県日本海沿岸、小笠原諸島、沖縄諸島。
    台湾南部、香港、東沙諸島、南沙諸島、東インド-西太平洋。

    生態

    基本情報

    インド洋、西太平洋の熱帯域に多い。国内では本州などでも見つかっているが沖縄の魚と考えてもいい。その沖縄県でももっとも水揚げの少ない魚のひとつ。国内的に見ると食用魚では超がつくほどの珍魚だと思う。非常に高価。香港や東南アジアなどでも非常に高価で、人気が高い。
    珍魚度 国内では珍魚と言っても過言ではない。古くは多少なりとも沖縄県などで水揚げがあったが、今ではほとんととれない。

    水産基本情報

    市場での評価/主に沖縄県で見られる。非常に高価。
    漁法/刺突漁、刺し網
    産地/沖縄県

    選び方

    触って張りのあるもの。目が澄んでいて鰓が赤いもの。

    味わい

    旬は不明。
    鱗は細かく鱗引きではとれない。包丁ですき引きする。骨はハタ類としては小型であるためかあまり硬くない。
    透明感のある血合いの弱い白身。熱を通すと適度に柔らかくなる。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    サラサハタの料理法/蒸す(清蒸、酒蒸)、生食(刺身)、煮る(まーす煮、しょうゆ煮)、汁(魚汁、潮汁)、揚げる(唐揚げ)
    サラサハタの清蒸
    サラサハタの清蒸 水洗いして三枚に下ろした切り身を、ねぎ、しょうがなどを乗せて蒸す。タレは紹興酒、しょうゆ、少量の砂糖、魚醬を合わせて鶏ガラスープ少量を加えて加熱したもの。蒸したときに出る汁も加えて温めておく。蒸し上がったらタレをかけて上にねぎ、香菜などを乗せ、煙が出るほど熱してピーナッツオイルをかける。切り身は蒸すことでほどよい軟らかさになり、上品な味わいのなかに甘味、うま味が感じられ、口のなかでほどよくほどける。官能的なうまさかも。

    白身の刺身サラサハタの刺身 どちらかというと淡泊な味わいのハタ科にあって強い甘味とうま味が感じられる。鮮度がいいと少し硬く感じるので刺身は薄めに引くといいだろう。ハタ科でもなく、他のスズキ目の白身でもない味。絶品である。
    サラサハタのしょうゆ煮サラサハタのしょうゆ煮(兜煮) 頭部を湯通ししないで水分をよくきって、しょうゆ、酒、水で煮上げたもの。筋肉は適度にしまり、皮はほどよくゼラチン質でぷるんとして柔らかい。身にも皮にも豊かなうま味がある。仕上げの骨湯もすばらしい味だ。
    サラサハタの塩煮サラサハタのまーす煮 頭部半分を塩煮(塩味だけで煮る)にする。水、少量の泡盛、塩に頭部を入れて強火で水分を飛ばしながら煮上げていく。頭部からうまいエキスが煮汁に出て、それをもう一度取り込む、そんな感じ。このうま味豊かな汁で煮る頭部はもちろん、一緒に煮た豆腐(沖縄の硬い豆腐。なければ木綿豆腐でもいいが硬めのもの)がなんともいえず美味だ。沖縄ではまーす煮に添えた豆腐は取り合いになるほどだというのがうなずける。

    サラサハタのみそ汁サラサハタの魚汁 魚汁(さかなしる)は沖縄の郷土料理で魚のみそ汁のこと。中骨やあらは水分をよく拭き取り、水(昆布だし、さし昆布をしても)から煮てみそを溶く。骨に付着している身が柔らかく甘味とうま味がある。汁も濃厚な味わいでいながら後口がいい。ご飯に合う。
    サラサハタの潮汁サラサハタの潮汁 かまの部分、腹骨、尾に近い部分などを集めて、湯通し。冷水に落として残った鱗や血液などを流す。これを昆布だし(水でも十分いける)、酒を合わせたもので煮る。あらの身自体が非常においしい。汁がこんなにご馳走だというのもすごいと思う。ここでは青みにハンダマ(水前寺菜とも)、薬味にはコショウが合う。

    サラサハタの唐揚げサラサハタの唐揚げ 腹骨、かま、刺身などにしたときに出た半端な部分を集めて水分をよく拭き取る。片栗粉をまぶして少し置き、じっくりと揚げる。揚げ上がりに塩、コショウを振る。塩だけでも、塩とヒバーツ、塩とガラムマサラなどお好みで。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    郡山水産(福島県郡山市) http://www.ko-suisan.co.jp/
    『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『種子島の釣魚図鑑』(鏑木紘一 たましだ舎 2016年)
  • 主食材として「サラサハタ」を使用したレシピ一覧

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