キツネメバル

Scientific Name / Sebastes vulpes Döderlein, 1884

代表的な呼び名マゾイ

キツネメバルの形態写真

40cm SL 前後になる。体高が高い。体側の模様はまだらで、白い横帯は褐色の濃い帯とのメリハリがなくはっきりしない。尾鰭は丸く、後縁に白い縁取りがあるがはっきりしないか細い。類骨の下縁は棘状ではなく丸みを帯びている。眼隔域は平坦で頭頂棘がある。[島根県大田産 35cm SL ・1.178kg]
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40cm SL 前後になる。体高が高い。体側の模様はまだらで、白い横帯は褐色の濃い帯とのメリハリがなくはっきりしない。尾鰭は丸く、後縁に白い縁取りがあるがはっきりしないか細い。類骨の下縁は棘状ではなく丸みを帯びている。眼隔域は平坦で頭頂棘がある。[島根県大田産 35cm SL ・1.178kg]40cm SL 前後になる。体高が高い。体側の模様はまだらで、白い横帯は褐色の濃い帯とのメリハリがなくはっきりしない。尾鰭は丸く、後縁に白い縁取りがあるがはっきりしないか細い。類骨の下縁は棘状ではなく丸みを帯びている。眼隔域は平坦で頭頂棘がある。[青森県下北産 40cm SL ・1.97kg]眼隔域は平坦で頭頂棘がある。尾鰭は丸く、後縁に白い縁取りがあるがはっきりしないか細い。
    • 珍魚度・珍しさ

      ★★★
      がんばって探せば手に入る
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★
      知っていたら達人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★★
      一般的(流通量は普通)
    • 味の評価度

      ★★★
      美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目カサゴ亜目メバル科メバル属

    外国名

    学名

    Sebastes vulpes Döderlein, 1884

    漢字・学名由来

    漢字 狐目張 Standard Japanese name / Kitunemebaru
    由来・語源 田中茂穂の命名。顔つきをキツネに見立てた英名をそのまま和名にした可能性大。ただタヌキメバルの方がキツネ顔に近く、キツネメバルがどちらかというとタヌキ顔に近い。全体に意味不明だが、タヌキメバルと見分けがつかない。タヌキキツネのたぐいで狐狸という意味合いか?
    過去のソイ属、メバル属の変遷
    ソイ属(1938)→ 古くはソイ属があった。クロソイSebastes schlegelii Hilgendorf, 1880、キツネメバルSebastes vulpes Döderlein, 1884、コウライキツネメバル Sebastes ijimae (Jordan & Metz, 1913)、ゴマソイ Sebastes nivosus Hilgendorf, 1880、シマゾイSebastes trivittatus Hilgendorf, 1880、タケノコメバル Sebastes oblongus Günther,1880、ムラソイ Sebastes pachycephalus pachycephalus Temminck and Schlegel,1843、ヨロイメバル Sebastes hubbsi (Matsubara, 1937)、コウライヨロイメバル Sebastes longispinis (Matsubara, 1934)。『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)
    メバル属クロソイ亞属(1955)→/ オウゴンムラソイ Sebastes pachycephalus nudus Matsubara, 1943、ホシナシムラソイ(シノニム)、アカブチムラソイ(シノニム)を追加。『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)
    フサカサゴ科メバル属 タヌキメバル Sebastes zonatus Chen and Barsukov, 1976 を追加 『図鑑 北日本の魚と海藻』(尼岡邦夫、中谷一宏、籔凞、山本弘敏 北日本海洋センター 1983)に標準和名、タヌキメバルがある。『日本産魚類大図鑑』(益田一、荒賀忠一、尼岡邦夫、上野輝弥彌、吉野哲夫 東海大学出版会 1984)
    Döderlein
    ルートヴィヒ・デーデルライン(Ludwig H. P. Döderlein/1839-1936)。ドイツの動物学者。1879/明治12-1881/明治14、東京大学のお雇い教師として日本滞在。神奈川県江ノ島や三崎で水産生物を採取。

    地方名・市場名

    生息域

    海水魚。水深50-100mの岩礁域。
    北海道小樽〜函館、佐渡島、青森県〜相模湾の太平洋沿岸、山形県〜九州北部の日本海沿岸、大阪湾、愛媛県八幡浜。
    朝鮮半島。

    生態

    水深50〜100メートルの岩礁域に生息。
    卵胎生。
    交尾期は秋から冬。出産期は初夏。

    基本情報

    北海道南部ではタヌキメバルとともに「マゾイ」と呼ばれている。関東などでも北海道での呼び名を使うことが多い。
    ソイの代表的なものという意味で、またもっとも味がよいと思われている。
    消費地では評価が低く、大型以外は庶民的な値段の魚となっている。
    白身魚で、クセがなく、上品な味わい。もっと評価が高くなってもよい。
    クロソイとタヌキメバル・キツネメバルは見分け方が難しい。ただ比べてみるとキツネメバルの方が多い。
    単にソイと呼ばれている地域も多い。
    珍魚度 一般的な食用魚で、マゾイで流通している。比較的マゾイの中でも本種の比率が高い。
    タヌキメバル・キツネメバル
    涙骨(目の下の骨)にはっきりした棘がない
    クロソイ
    涙骨(目の下の骨)にはっきりした棘がある

    水産基本情報

    市場での評価 北海道ではソイ類でもっとも高いもの。関東ではソイ類は総てやや安値安定。
    漁法 釣り、刺し網、定置網
    主な産地 北海道、岩手県

    選び方

    触って高いもの。退色していないもの。鰓が鮮紅色のもの。

    味わい

    旬は不明。非常にわかりにくい。秋から冬にかけてはあまりハズレがない。
    鱗は薄いが取りやすい。皮は厚みがあるが熱で柔らかくなる。骨はあまり硬くない。
    白身魚でほどよく繊維質。煮る、焼くなどして身離れがいい。
    汁にしてうまいだしが出る。

    栄養

    危険性など

    リリアトレマ 扁形動物門吸虫綱。Liliatrema skrjabini。クロソイ、シマソイ、エゾメバルなどの筋肉にメタセルカリア幼生が寄生して黒いゴマ状の斑文を作る。見た目が悪いが人体には影響がないリリアトレマの最終宿主は海鳥。
    アニサキス 袋形動物門線形動物綱ヘテロケイルス科アニサキス亜科の寄生が認められたことがある。アニサキスの寄生による症状には激症型と緩和型がある。症状は気分が悪くなり、胃腸の痛み、嘔吐、腹部膨満感があるが発熱はない。
    アニサキスだと思われるものを眼で確認している。生食は自己責任で。

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    キツネメバルの料理・レシピ・食べ方/汁(潮汁、みそ汁、鍋)、煮つけ、塩焼き、刺身(カルパッチョ)

    キツネメバルの(マゾイの)ちり鍋 基本的に水分を使った料理が合う。骨格が複雑なのでいいだしが出る。昆布だしに酒・塩のもっとも単純な味つけで食べるのがちり鍋である。本種の皮周辺の濃厚な味わい、身の上品な味わいなど多様に楽しめる。
    頭部などだしの出るところを食べやすい大きさに切る。湯通しして冷水に落として表面のぬめりと残った鱗を流す。水分をよくきる。昆布だしに酒・塩のつゆの中で野菜や豆腐と一緒に煮ながら食べる。

    キツネメバルの煮つけ(マゾイの煮つけ) 本種のもっとも一般的な料理が煮つけである。煮ることで骨以外余すところなく食べられて、本種のいろんな部分の味を楽しめる。肝と卵巣などは取り分けて置く。水洗いして鍋に入る大きさに切る。水分をよくきり、酒・みりん・醤油・水、しょうがで煮る。好みで砂糖を加えてもいい。肝は絶品である。
    キツネメバルの焼霜造り(マゾイの焼霜造り) 脂が内時季は身は淡泊で単調な味わいだが、皮と皮下には厚みがあって豊かな味がある。皮下には時期外れの固体にも、脂の薄い層があるのも魅力だ。三枚に下ろして腹骨・血合い骨を取る。皮目をあぶって氷水に落として水分をきる。これを刺身状に切る。
    キツネメバルの刺身(マゾイの刺身) 脂がある時季は身が柔らかく、身に味がある。旬は秋から春にかけてだと思っているが、自信がない。食感が心地よく、脂のあるものの刺身は脂から来る甘味があり、うま味が豊かである。メバル属の旬は難しい。水洗いして三枚に下ろす。腹骨・血合い骨を取り、皮を引いて薄めに切りつける。
    キツネメバルの(マゾイの)唐揚げ 刺身などにすると非常に歩留まりが悪い。このときのかまや鰭下の部分などは唐揚げにすると非常に美味だ。身が鶏肉のように締まり、皮が香ばしい。かまなどは食べやすい大きさに切る。片栗粉をまぶして最初は低温で、次ぎに高温で二度揚げにする。
    キツネメバルの(マゾイの)塩焼き 脂のない時季、熱を通すと硬く締まってしまう。温かい内に食べるとおいしいが、冷めると硬くなる。ただしうま味は豊かだ。水洗いして焼きやすい大きさに切る。振り塩をして1時間以上多く。これをじっくり香ばしく焼き上げる。
    キツネメバルのみそ汁(マゾイのみそ汁) 刺身などで出たあらや、小型を使うといい。骨格が複雑なので実に味わい深い出しが出る。みそとの相性がよく煮えた身がまたとてもおいしい。あらなどは集めて置き、食べやすい大きさに切る。湯通しして冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。水分をよくきり、水から煮出してみそを溶く。
    キツネメバルの(マゾイの)オリーブオイル焼き 三枚に下ろして骨を取り去ると非常に歩留まりが悪い。切り身にする魚ではないが、大型などが手に入ったらソテーに使ってもいい。にんにく風味のオリーブオイルでじっくりソテーしたので身はあまり硬くならず、豊かなうま味がある。トマトなどと一緒にパンを合わせると満足度の高い食事になる。

    好んで食べる地域・名物料理

    北海道ではソイ類でもっとも評価が高い。

    加工品・名産品

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    協力/近藤亮さん(第八松宝丸 秋田県男鹿市)
    『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年)、『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)

    地方名・市場名

    ソイ
    場所兵庫県香美町香住 参考聞取 
    ハツメ
    場所富山県新湊 参考文献 
    タケノコメバル
    場所山口県下関 参考文献 
    マスイ
    場所岩手県 参考岩手県水産技術センター 
    スイ
    場所岩手県、茨城県水戸市 参考文献 
    ゴマバチメ
    場所新潟県佐渡・新潟市 参考20240227市場 
    モンコク
    場所福井県 
    キツコオホゴ
    場所鹿児島 参考文献 
    マゾイ
    場所北海道 備考※タヌキメバル型など混同している。 
    ドコ マゾイ
    場所山形県酒田市酒田漁港、鶴岡市由良漁港、山形県漁業協同組合 備考※タヌキメバル型など混同している。 
    バドウ
    場所兵庫県淡路島福良 備考ソイというところとスイというところがある。※タヌキメバル型など混同している。 
    クロボッコ ソイ ヒキ モロタビ オキメバル クロス ツヅリ ナダツヅリ メバツヅリ クロボッカ
    場所島根県 備考※タヌキメバル型など混同している。 
  • 主食材として「キツネメバル」を使用したレシピ一覧

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