40cm SL 前後になる。全体に黒く、模様ではなく色むらのようなものがある。涙骨には3つの棘があるが、外見上目立たないもの、棘の先端が丸みを帯びたものがある。眼窩下縁には棘がない。目の上、頭部には細長い頭頂棘(棘ではなく棒状のもの)がある。[写真は外見上明らかに3棘。山口県宇部産 41cm SL・1.8025kg]
クロソイの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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魚貝の物知り度
★★★★
知っていたら達人級食べ物としての重要度
★★★
一般的(流通量は普通)味の評価度
★★★
美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目カサゴ亜目メバル科メバル属外国名
学名
Sebastes schlegelii Hilgendorf, 1880漢字・学名由来
漢字 黒曹以 Kurosoi
由来・語源 〈くろそい 函館〉『帝国博物館天産部魚類標本目録.帝国博物館』(石川千代松・松浦歓一郎 1897)。
田中茂穂も北海道の呼び名で「クロゾイ」としている。
古い時代はソイ属であり、中でも黒みが強いという意味でもある。
ソイの由来・語源 磯魚のこと。「いそいお」が転訛したもの。
schlegelii 小種名の「schlegelii」はヘルマン・シュレーゲルにちなむ。
ソイ属(1938)→ 古くはソイ属があった。クロソイSebastes schlegelii Hilgendorf, 1880、キツネメバルSebastes vulpes Döderlein, 1884、コウライキツネメバルSebastes ijimae (Jordan & Metz, 1913)、ゴマソイSebastes nivosus Hilgendorf, 1880、シマゾイSebastes trivittatus Hilgendorf, 1880、タケノコメバルSebastes oblongus Günther,1880、ムラソイSebastes pachycephalus pachycephalus Temminck and Schlegel,1843、ヨロイメバルSebastes hubbsi (Matsubara, 1937)、コウライヨロイメバルSebastes longispinis (Matsubara, 1934)。『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)
〈硬骨魚綱カジカ目フサカサゴ科メバル属クロソイ亜属クロソイ Sebastes schlegelii Hilgendorf〉。この時点でクロソイ亜属はクロソイ、キツネメバル、コウライキツネメバルの3種。Hilgendorf
Franz Martin Hilgendorf(フランツ・ヒルゲンドルフ 1839-1904 ドイツ)。動物学者。お雇い外国人教師として来日。第一大学区医学校で日本で初めて博物学の講義を行う。魚類の採取を積極的に行い。魚河岸や江ノ島に通い。函館など日本各地を旅行した。
Schlegel
ヘルマン・シュレーゲル(Hermann Schlegel 1804-1884年)はドイツの動物学者。テミングとともにシーボルトの持ち帰った脊椎動物を整理、記載。『Fauna Japonica』(日本動物誌)を執筆。地方名・市場名
生息域
海水魚。水深50-100mの岩礁域。
北海道全域、青森県〜長崎県の日本海・東シナ海沿岸、青森県〜千葉県までの太平洋沿岸、瀬戸内海[兵庫県明石・山口県宇部]。駿河湾、三重県、土佐湾。
中国河北省・浙江省、朝鮮半島全域。生態
■ 卵胎生。
■ 交尾期は北海道では10月から1月。出産期は5月下旬から6月。
■ 小型の時には甲殻類や卵、大きくなると魚なども食べる。基本情報
北海道全域から日本海、瀬戸内海、東北太平洋側で水揚げされている。瀬戸内海や紀伊半島でも揚がる。北海道、東北でよく食べられていて、「北の鯛」などという。ただし北海道ではあまり評価が高いわけではない。この「北の鯛」という言語の出所がわからない。
関東でもお馴染みの魚で入荷量も多い。都内では比較的食堂などでも食べることができる。水産基本情報
選び方
背は盛り上がっているものを。腹は太っていないものがいい。腹が膨らんでいるものは稚魚が体に満ちているか、エサを消化していないで胃袋にためている状態である。身に張りがあり、黒いものは黒く、少ないながら模様のあるものはくっきりしたものを選ぶ。また鰓が鮮紅色のもの。締め方で鮮度落ちの早さは変わるが、落ちやすいもののひとつ。味わい
旬は冬から春 旬がわかりにくい魚でもあるが寒い時期が味わい深い。
鱗はあまり強くなく取りやすい。皮は厚く強い。骨はやや硬い。
透明感のある白身で血合いはあまりきれいではない。ほどよく繊維質で、身離れがいい。
あらからはいいだしが出る。肝、胃袋、卵巣などは美味。栄養
ー危険性など
リリアトレマ 扁形動物門吸虫綱。Liliatrema skrjabini。クロソイ、シマソイ、エゾメバルなどの筋肉にメタセルカリア幼生が寄生して黒いゴマ状の斑文を作る。見た目が悪いが人体には影響がないリリアトレマの最終宿主は海鳥。
アニサキス 袋形動物門線形動物綱ヘテロケイルス科アニサキス亜科の寄生が認められたことがある。アニサキスの寄生による症状には激症型と緩和型がある。症状は気分が悪くなり、胃腸の痛み、嘔吐、腹部膨満感があるが発熱はない。食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
クロソイの料理法・レシピ・食べ方/生食(刺身、焼霜造り、カルパッチョ)、汁(潮汁、みそ汁、鍋)、煮る(煮つけ、まーす煮)、焼く(塩焼き、幽庵焼き)クロソイの刺身 鮮度落ちが早く、食感もすぐに悪くなるが、近年活け締めしての入荷が多くなっている。これは刺身にもなる。水洗いして三枚に下腹骨を取り、中骨を切り取る(小型は血合い骨を抜く)。これを刺身状に切る。活け締めはほどよい食感があり、うま味成分からくる甘味も豊かだ。クリックで閉じます
クロソイの焼霜造り(あぶり) 厚みのある皮で比較的強度がある。皮にうま味があるので生かしたいが皮霜造りでは硬いので、焼霜造りにした。水洗いして三枚に下ろし血合い骨・腹骨を取る。皮目をあぶって氷水に落として粗熱を取り、少し皮目を落ち着かせて刺身状に切る。皮と皮の直下に豊かな味わいがある。クリックで閉じますクロソイのカルパッチョ 小振りのものや、鮮度はいいものの食感が失われたものを使うといい。三枚に下ろして皮を引き、できるだけ薄く切りつける。皿ににんにくをなすりつけ、オリーブオイル(油はお好みで)、塩を敷き、切身を並べて行く。並べ終わったら上からスプーンなどでとんとんと叩き上からもオリーブオイルと振り塩をする。野菜などはお好みで。クリックで閉じますクロソイのあら煮 頭部や中骨、胃袋、肝、卵巣などを集めて置く。湯通しして冷水に落として残ったぬめりや鱗を流す。水分をよくきり、酒・醤油・水で煮つけにしたもの。大振りのあらは実に味わい深い。また肝、卵巣が実にうまい。ご飯に合わせるならみりん、砂糖などで甘味を加えるといい。クリックで閉じますクロソイのチゲ(韓国風鍋) 少し淡泊な味わいで、ややインパクトに欠ける味わい。単にちり鍋にしてもまずくはないが、韓国風の鍋にしてより味わい深い。クロソイは適当に切る、湯通しして冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。これを煮干しだしで煮ながら食べる。カツオ節出しでもいい。唐辛子などで辛味をつけて食べると非常にうまい。クリックで閉じます好んで食べる地域・名物料理
スエの煮つけ 中型のクロソイの煮つけ。三陸ではあっさりした味つけで、白身の味わいを生かしたもの。『六大工(岩手県大槌町)』
北の鯛 上質の白身であり、北海道では人気が高いため。
祝い事 昔、宮城県気仙沼ではマダイがとれなかったので、お食い初めや地鎮祭、上棟式などの祝い事のときに塩焼きにして出された。神事での魚は神主さんに魚種を指定される事がほとんどなので、魚を持ち帰る持ち帰る神主さんの好みが反映されているのかも。主に金山吉次とよばれるユメカサゴ、マタナゴ(ウミタナゴ類)、マツダイなどが使われた。[佐藤誠さん(濱喜/宮城県気仙沼)]加工品・名産品
ー釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
高級魚 〈クロゾイ、シマソイは延縄漁業で漁獲されるが高級魚として庶民の口には入らない。〉『釧路のさかなと漁業』(桜井基博、山代昭三、尾身東美、阿部晃治 釧路叢書 1972) 〈ソイの中ではマゾイ、クロゾイ(ナガラゾイ)が最も多く、かつ美味で、他のソイよりも市場価格が高い。〉『北海道の自然2 海の魚』(上野達治 北海道新聞社 1977)参考文献・協力
協力/青山鮮魚(山口県宇部市) 明石浦漁業協同組合(兵庫県明石市)
『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『新北のさかなたち』(水島敏博、鳥澤雅他 北海道新聞社)、『島根のさかな』(島根県水産試験場 山陰中央新報社)、『魚介類に寄生する生物』(長澤和也 成山堂書店)地方名・市場名 ?