カサゴ

Scientific Name / Sebastiscus marmoratus (Cuvier, 1829)

カサゴの形態写真

SL(体長)25cm前後になる。やや側扁形。色は黒、赤など微妙な変化がある。斑紋は下方に多く、上方にあるものは不明瞭もしくは、ない。背鰭、腹鰭、尻鰭などに強い棘があり、頭部にも棘が発達している。[下北半島産 18.5cm SL・176g]
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SL(体長)25cm前後になる。やや側扁形。色は黒、赤など微妙な変化がある。斑紋は下方に多く、上方にあるものは不明瞭もしくは、ない。背鰭、腹鰭、尻鰭などに強い棘があり、頭部にも棘が発達している。[下北半島産 18.5cm SL・176g]SL(体長)25cm前後になる。やや側扁形。色は黒、赤など微妙な変化がある。斑紋は下方に多く、上方にあるものは不明瞭もしくは、ない。背鰭、腹鰭、尻鰭などに強い棘があり、頭部にも棘が発達している。[京都府産 16.3cm・121g]SL(体長)25cm前後になる。やや側扁形。色は黒、赤など微妙な変化がある。斑紋は下方に多く、上方にあるものは不明瞭もしくは、ない。背鰭、腹鰭、尻鰭などに強い棘があり、頭部にも棘が発達している。[京都府産 16.3cm・121g]SL(体長)25cm前後になる。やや側扁形。色は黒、赤など微妙な変化がある。斑紋は下方に多く、上方にあるものは不明瞭もしくは、ない。背鰭、腹鰭、尻鰭などに強い棘があり、頭部にも棘が発達している。[三重県鳥羽市答志島 ]SL(体長)25cm前後になる。やや側扁形。色は黒、赤など微妙な変化がある。斑紋は下方に多く、上方にあるものは不明瞭もしくは、ない。背鰭、腹鰭、尻鰭などに強い棘があり、頭部にも棘が発達している。[神奈川県茅ヶ崎産 ]口は大きく獲物を丸呑みするタイプ。上下顎には犬歯はなく細かい臼歯が並ぶ。触ってもざらつくくらいだ。
    • 珍魚度・珍しさ

      ★★
      少し努力すれば手に入る
    • 魚貝の物知り度

      ★★★
      知っていたら通人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★★
      一般的(流通量は普通)
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目カサゴ亜目メバル科カサゴ属

    外国名

    学名

    Sebastiscus marmoratus (Cuvier, 1829)

    漢字・学名由来

    漢字 瘡魚、笠子 Kasago
    由来 「かさご」は東京、神奈川などでの呼び名。皮膚病(瘡ができた)にかかったように見えるため。
    笠子魚 〈藻魚に似ていて頭は円く大きい。口は尖り長く、鱗はあらく灰色。味はやや劣る〉。『和漢三才図会』(寺島良安 東洋文庫 平凡社 正徳2年 1712)・『物類称呼』(越谷吾山著 安永4/1775 解説/杉本つとむ 八坂書房 1976)
    かさご 〈俗にあんぽんたんといふ、伏もうをに似て頭円く大く嘴尖り鱗あらく味下劣れり〉『魚鑑』(武井周作 天保辛卯 1831)
    〈marmoratus, C. & V, カサゴ 福島縣下 …武蔵神奈川 …紀伊〉。『帝国博物館天産部魚類標本目録.帝国博物館』(石川千代松・松浦歓一郎 1897/明治30年)
    〈頬甲族カサゴ科カサゴ屬カサゴ Sebastiscus marmoratus (CUVIER et VALENCIENNES)〉。『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)

    笠子魚 〈俗にあんぽんたんという、状もうおに似て頭円く大く嘴尖り鱗あらく味下劣(おと)れり〉『魚鑑』(武井周作天保辛卯 1831)
    Cuvier
    バロン・ジョルジュ・レオポルド・クレティアン・フレデリック・ダゴベール・キュヴィエ(Baron Georges Léopold Chrétien Frédéric Dagobert Cuvier 1769-1832)。フランスの分類学者。キュビエとされることが多い。スエーデンのリンネ、フランスのビュフォンの分類体系に解剖学や古生物学などを加味して現在の形の礎を作った巨人のひとり。

    地方名・市場名

    生息域

    海水魚。水深2-43mの岩礁域、転石・砂地・砂泥地の石の周辺。
    北海道〜九州南岸の大平洋沿岸、[鹿児島県種子島]、北海道〜九州南岸の日本海・東シナ海、瀬戸内海、八丈島。
    朝鮮半島南岸・東岸、済州島、中国渤海・東シナ海・南シナ海沿岸、台湾。
    オーストラリアシドニー湾は移入。

    生態

    卵胎生。
    10月〜11月に交尾、そして卵の成熟を待って受精。
    体内で孵化した仔魚(生まれたばかりの子供)は11月から4月の間に体外に産出される。
    浅い磯回り、港回りなどの岩の窪みやテトラの間などにいる。

    カサゴ 身体の上部分には斑紋がないか、あっても不明瞭。
    ウッカリカサゴ 上半分の斑紋は多く、はっきりして、褐色に縁取られる。

    基本情報

    琉球列島を除く日本全国の浅い岩礁域に普通にいる魚だが、まとまってとれない。古くは安かったという情報もあるが、現在では高値で安定している。時に高級魚となることもある。これは資源が減少しているのではなく、本種をとる漁の後継者不足が原因である可能性も高い。
    磯魚は年々値段を上げているが、本種はその代表格だろう。釣りの対象魚としても人気が高い。
    刺身などにもなるが、関東では長年、煮つけ用の魚として人気が高かった。『エコロン 自然シリーズ 魚』(蒲原稔治、岡村収 保育社)にも〈煮つけになるなどして冬にはそうとう味がよい〉とある。
    値段からしてスーパーや一般的な魚屋には置いていない。都内の特殊な場所であるデパートなどではときどき見かける。
    珍魚度 いたってありふれた魚だが、消費地、特に東日本では小売店やスーパーでは買えない。

    水産基本情報

    市場での評価/市場ではウッカリカサゴとともに単に「かさご」として売られている。ウッカリカサゴよりも味がいいので魚をよく知っている店などでは「本かさご」という呼び方もされる。年間を通して入荷するが高価。
    漁法/刺し網、釣り(延縄)
    産地/

    選び方

    触って硬いもの。刺身にするなら活けがいい。鰓が鮮紅色のもの。

    味わい

    旬は秋から春。
    漁の最盛期は春だが、いちばんおいしいのは冬だと思う。
    鱗は細かく取りやすい。皮は厚みがあって強い。骨はあまり硬くはない。
    透明感のある白身で血合いは非常に弱い。熱を通しても硬く締まらない。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    カサゴの料理・レシピ・食べ方/煮る(煮つけ、まーす煮、トマト煮込み)、揚げる(唐揚げ)、焼く(塩焼き)、生食(刺身、たたき・焼切り)

    カサゴの煮つけ 本種の定番的な料理法だ。クセのない白身で皮や骨からうまいだしが出る。水洗いして湯通しして冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。水分をよくきり、酒、しょうゆ、水を合わせて煮る。しょうゆは控えめにして2〜3度に分けて味つけする。砂糖やみりんを加えてこってり煮てもうまい。

    カサゴと若竹 薄味で季節の野菜や海藻とたき合わせてもおいしい。水洗いして湯通しする。冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。酒・水を煮立てた中にカサゴを入れて、塩と薄口醤油で加減する。7分通り火が通ったら竹の子を加えて煮、仕上げに若布を加えて火をとめる。
    カサゴの肝と胃袋の湯引き 大型のカサゴを刺身などにしたときにだけ作る。水洗いして肝と胃袋を取り分けて置く。胃袋は開いて水洗いして湯通し、冷水に落としてもう一度揉み洗いする。肝も塩ゆでにする。水分をよくきり、食べやすい大きさの切る。酢みそ、わさび醤油で食べてもおいしい。
    カサゴのみそ汁 1尾丸ごとみそ汁にする。水洗いして二等分する。必ず肝は取っておくこと。これを湯通しして冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。水分をよくきって水(昆布だしでも)から煮出してみそをとく。ごぼう、だいこん、玉ねぎなど野菜と一緒に煮ると一層味がよくなる。あらで作ると合理的。
    カサゴの唐揚げ 小振りのものは丸のまま、大型のものは開いて揚げたい。水洗い下ごしらえして水分をよくきる。これに片栗粉をまぶして二度揚げする。香ばしくかりっとする部分と適度にしまり甘味のある魚の味わいそのものの部分がある。これもカサゴの定番料理のひとつ。
    カサゴの塩焼き 小振りのものは丸のままで、大型のものは開いてから塩を振る。1時間以上置いて、じっくりと焼き上げる。皮の香りが際立ち、身は適度にしまり甘味がある。
    カサゴの干もの 干ものの利点は冷凍しても劣化しないことだ。しかもカサゴの干ものは非常にうまい。水洗いして開く。塩辛い水に10〜15分浸して水分をきり、半日から1日干す。焼いた時の香りは単に塩焼きにしたとき以上にいい。
    カサゴの刺身 できれば活魚を使いたい。水洗いして3枚におろし、血合い骨を抜き皮を引いて刺身にする。身は適度にしまって好ましい食感があり甘味がある。上質な白身なのでついつい箸が進む。

    好んで食べる地域・名物料理

    瀬戸内海沿岸。
    ががねとあんろくの煮もの<
    ががねとあんろくの煮もの 春になると「あんろく(ヒロメ)」が取れる。これとこちらも漁の最盛期を迎えた「ががね(カサゴ)」と一緒に薄口しょうゆ、みりん、酒で煮る。あれば竹の子、ゼンマイと煮ることもあるし、何種類か合わせることも。要するにカサゴのうまいだしで野菜や海藻を煮るのだ。春になると宍喰ではこればかりが食卓に上ったとも。[長尾桂一郎さん 徳島県海部郡海陽町]

    関連コラム(郷土料理)

    記事のサムネイル写真煮つけの汁でおからをたく
    煮つけの煮汁でおからを炒り煮する。この煮汁でおからの煮る、は日本各地で行われている、家庭料理だ。 関東などでは煮汁を保存して、魚の煮つけに何度も使うが、これをと・・・ 続きを開く

    加工品・名産品

    釣り情報

    伊豆半島などでは浅い磯辺でイカやサバの切り身を餌にゆらゆらさせていると、まっ先に食いついてくる。
    テトラポットからの穴釣りが手頃で、非常に面白い。カサゴは子供にとっても馴染み深い遊び相手であるようだ。
    釣り船で岩礁域をめぐり、拾い釣りなんていうのも東京湾、相模湾、神奈川県真鶴から東伊豆方面では人気がある。小は10センチ足らず、大は30センチ上までの言わば小魚釣りであるが、それに反した大振りの片天秤仕掛けで、根掛かりに苦心しながらのせわしない釣りである。

    歴史・ことわざ・雑学など

    ■ 季語歳時記では夏。
    ■ 無骨な武士を思わせる外見から、端午の節句の祝いの膳にのせられる。
    ■ 武骨な面構えから江戸時代、端午の節句の祝魚として用いられた。
    ■ 佐渡ではカサゴの干物を軒先に魔除けとして吊るした。
    ■ 「磯の笠子は口ばかり」:ことわざ。カサゴは口が大きく、身体が小さい。食べる部分が少ないことから、「口先ばかりで実行力のないこと」。
    ■ 顔が不細工であることから「かさごの面洗わず」というのもる。

    参考文献・協力

    協力/長尾桂一郎さん(徳島県海部郡海陽町宍喰・宍喰漁協)
    『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『さかな異名抄』(内田恵太郎 朝日文庫)、『魚と貝の事典』(望月賢二 柏書房)、『魚の文化史』(矢野憲一 講談社)、『種子島の釣魚図鑑』(鏑木紘一 たましだ舎 2016年)

    地方名・市場名

    アンポンタン
    場所『魚鑑』(武井周作天保辛卯 1831) 備考俗にとある。魚河岸などに並んでいるとき、大きく口を開けているからだろう。 参考『魚鑑』(武井周作天保辛卯 1831) 
    アカゴロ
    場所三重県志摩市志摩町和具 参考日比野友亮さん 
    ガシ
    場所三重県東紀州 参考三重県『東紀州のお魚リスト』 
    イソガシラ
    場所三重県熊野 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 
    アタガシ
    場所三重県熊野浦、和歌山県太地・三輪崎・新宮・木ノ本・和歌山 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 
    アカホコ
    場所京都府宮津 参考文献 
    アナカァ
    場所兵庫県香美町香住 参考Nishimuraさん 
    アラカズ アラガツ
    場所千葉県館山 参考文献 
    アカマス
    場所和歌山県新宮 参考文献 
    ガガミ
    場所和歌山県湯浅・和深 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 
    クロガシラ
    場所和歌山県田辺 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 
    アカガシラ
    場所和歌山県田辺 参考文献 
    ヂガシラ
    場所和歌山県田辺 参考聞取 
    カガネ
    場所和歌山県田辺・塩屋・切目・三尾・辰ヶ浜、徳島県海部郡海陽町竹ヶ島 参考聞取、『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 
    クロゴッチョウ ゴツチョウ ゴッチョウ
    場所和歌山県白崎 参考聞取、『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 
    モガガネ
    場所和歌山県網代浦 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 
    アカメバル[赤目張]
    場所大阪、兵庫県駒ヶ林・御影・淡路福良、岡山県岡山市 備考スーパー。 参考聞取 
    カラコ
    場所山口県下関 参考『エコロン 自然シリーズ 魚』(蒲原稔治、岡村収 保育社) 
    ウドホーゴー ホーゴー
    場所山口県周防大島沖家室 参考文献 
    ガラ ガラメバル
    場所山口県宇部市 参考青山時彦さん(宇部市青山鮮魚) 
    カラコ
    場所山口県宇部市・下関 参考青山時彦さん(宇部市青山鮮魚) 
    ガラカゴ
    場所山口県小野田 参考文献 
    アカソイ
    場所岩手県 参考岩手県水産技術センター 
    イソメバリ
    場所島根県松江 参考文献 
    ガガナ
    場所広島県鞆 参考文献 
    アカウオ[赤魚]
    場所愛知県熱田・知多、三重県鳥羽市安楽島 参考文献、安楽島フードセンター 
    カサゴ
    場所東京都、神奈川県江ノ島・三﨑、山口県小野田 参考文献 
    カラカブ
    場所熊本 参考聞取 
    カラカブ
    場所熊本、有明海 参考文献 
    カイルメバチ ガットバチメ ガツトバチメ
    場所石川県宇出津 参考文献 
    ツラアラワズ[面洗わず] ツユアラワズ
    場所神奈川県三崎 備考俗に「笠子の面洗わず」という。 参考文献 
    アカゲ
    場所茨城県水戸 参考文献 
    アコウ アコオ
    場所茨城県水戸、静岡県浜松 参考文献 
    ホシカリ
    場所長崎県対馬 参考長田琉生さん 
    アカゾイ
    場所青森県 参考文献 
    アカズイ
    場所青森県八戸 参考文献 
    アカモノ
    場所静岡県妻良 参考静岡県水産・海洋技術研究所・伊豆分場 
    アカ
    場所静岡県富戸、三重県鳥羽 参考静岡県水産・海洋技術研究所・伊豆分場、文献 
    アカカサゴ
    場所静岡県戸田 参考静岡県水産・海洋技術研究所・伊豆分場 
    ガガニ フゴ
    場所高知 参考文献 
    ガリ アカナ
    場所鳥取 参考文献 
    ガーブジョー
    場所鹿児島県種子島 参考『種子島の釣魚図鑑』(鏑木紘一 たましだ舎 2016年) 
    イソアラカブ
    場所鹿児島県阿久根 参考文献 
    アラカブ
    場所福岡県福岡市、長崎県雲仙市小浜、鹿児島県種子島 参考佐藤厚さん、『種子島の釣魚図鑑』(鏑木紘一 たましだ舎 2016年) 
    ハツメ
    場所山形県酒田市由良漁港 参考聞取 
    ガガネ
    場所徳島県伊座利・美波町・海部郡海陽町・阿南市、高知県安芸郡東洋町甲浦 参考聞取 
    ガシ
    場所三重県志摩市和具・尾鷲市 参考聞取、岩田昭人さん 
    ガシラ
    場所和歌山県和歌浦・湯浅・田辺・周参見・串本、徳島県北灘・伊座利・美波町・日和佐・宍喰、高知県三津・中土佐町 参考聞取、『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 
    ガラカブ
    場所熊本県上天草市・熊本市、福岡県有明海 参考聞取 
    ガンガラハチメ ガンガラバチメ
    場所石川県宇出津・穴水町 参考スーパー 
    ホゴ
    場所広島、愛媛、高知県宿毛市田ノ浦すくも湾漁協 参考聞取、『エコロン 自然シリーズ 魚』(蒲原稔治、岡村収 保育社) 
    ホゴメバル
    場所広島県三原市 
    ボコ ボッカ ボッコ
    場所島根県 参考聞取 
    ボテコ
    場所山口県萩市 参考聞取 
    メバル[目張]
    場所岡山など瀬戸内海周辺 備考岡山など瀬戸内海周辺では標準和名メバル3種とともに。 参考聞取 
  • 主食材として「カサゴ」を使用したレシピ一覧

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