アヤメカサゴ

Scientific Name / Sebastiscus albofasciatus (Lacepède,1802)

アヤメカサゴの形態写真

25cm SL 前後になる。形はカサゴに似ているが、眼の真下、頬部分に刺があり、鮮やかな赤色で黄色い網目状の模様がある。尾鰭は截形に近くて少しだけ丸い。
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25cm SL 前後になる。形はカサゴに似ているが、眼の真下、頬部分に刺があり、鮮やかな赤色で黄色い網目状の模様がある。尾鰭は截形に近くて少しだけ丸い。25cm SL 前後になる。形はカサゴに似ているが、眼の真下、頬部分に刺があり、鮮やかな赤色で黄色い網目状の模様がある。尾鰭は截形に近くて少しだけ丸い。眼の真下、頬部分に刺がある。
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★
      知っていたら達人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★★
      一般的(流通量は普通)
    • 味の評価度

      ★★★
      美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目カサゴ亜目メバル科カサゴ属

    外国名

    学名

    Sebastiscus albofasciatus (Lacepède,1802)

    漢字・学名由来

    漢字 文目笠子、文目瘡子 Ayamekasago
    由来・語源 神奈川県三崎での呼び名。カサゴ(ウッカリカサゴも含めて)と比べると、赤と黄色の文目(模様)が印象的だから。
    また、植物のアヤメも、その花弁の根元から中間までに見られる複雑な文様から、文目、綾目とかくことからまったく縁がないとはいいきれない。


    文目 神奈川県相模湾では深場でウッカリカサゴと一緒にとれる。ウッカリカサゴと比べると模様が複雑で鮮やかできれいだからついた呼び名である。
    Lacepède
    Bernard Germain Lacepède(ベルナール・ジェルマン・ド・ラセペード 1756-1825 博物学者、音楽家。フランス)はビュフォン(Georges-Louis Leclerc de Buffon 博物学者。リンネとは違った配列を試みた)の後継者。

    地方名・市場名

    生息域

    海水魚。水深110〜210m(通常150m附近)の岩礁域。
    岩手県洋野町角ノ浜〜九州南岸の大平洋沿岸(茨城県以北は少ない)。瀬戸内海西部(少ない)、新潟県〜山口県の日本海沿岸(少ない)、九州北岸・西岸、屋久島沖、東シナ海大陸棚縁辺。
    済州島、台湾北部、澎湖諸島、香港。

    生態

    卵胎生。

    基本情報

    比較的知られているカサゴなどと比べるとやや深場にいる。主に太平洋側、九州などで上がる魚で、単にカサゴとして取引されている。ウッカリカサゴとともに、浅場にいるカサゴよりも味が落ちるもののやや高値をつける。
    あまりたくさん入荷してくるものではないが、関東の市場などでは普通。
    単にカサゴとして料理され、料理店などでも提供されている。

    水産基本情報

    市場での評価 九州などからときにまとまって入荷してくる。色合いもきれいなので、やや高値で取引されている。ウッカリカサゴと入合でくることも少なくない。
    漁法 釣り
    主な産地 福岡県、長崎県、愛媛県

    選び方

    赤い色合いの鮮やかで黄色い筋がくっきりしているもの。鰓が鮮紅色のもの。

    味わい

    旬は夏から春だと思う。年間を通してあまり味は変わらない。
    鮮度落ちは比較的早く、食感などはすぐに失われる。
    鱗は細かく薄く取りやすい。皮は厚みがあり強い。骨はあまり硬くない。
    透明感のある白身で熱を通しても硬く締まらない。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    アヤメカサゴの料理法・レシピ・食べ方/蒸す(蒸し魚)、煮る(鍋、煮つけ)、揚げる(唐揚げ)、焼く(塩焼き)、汁(みそ汁、潮汁)、生食(焼き切り・焼霜造、刺身)

    アヤメカサゴの蒸し魚(清蒸) 鱗をブラシなどで徹底的に取り、水洗いする。水分をよくきり、皿に長ネギなどを並べ、その上に乗せ、酒を振る。これを10分前後蒸し上げる。たれ(中国醤油・魚醬・酒)のをかけて香りのある野菜をのせて煙が出るくらいに熱した油をかける。酒よりもご飯にとても合う。

    アヤメカサゴの鍋 ていねいに鱗を取り、水洗いして適当に切る。熱湯に通して冷水に落として残った鱗とぬめりを流す。水分をよく切っておく。昆布だしに酒・塩で味つけする。ここで野菜や豆腐などと煮ながら食べる。実に味わい深いだしが出て、身も皮も非常にうまい。仕上げの雑炊も絶品。
    アヤメカサゴの煮つけ 水洗いして、水分をよくきる。これを湯通しし、冷水に落として残った鱗やぬめりととる。酒、みりん、しょうゆの味つけであっさりと煮上げたもの。酒・塩、酒・砂糖・しょうゆなどの味つけでもいい。要するに自分の好みを大切に。脂のあるものは身がふっくらと仕上がり、ないものは痩せて締まる。脂ののったものは甘味が強く軟らかくておいしい。
    アヤメカサゴの塩焼き 大振りのものは適宜に切り、ときには二枚に下ろしたものを使う。水洗いして切れ目を入れて振り塩。半日ほど寝かせてじっくりと焼き上げる。皮目に甘味があっていい味である。脂の少ない個体はやや硬く締まる傾向がある。
    アヤメカサゴの唐揚げ 大振りなものを使ったので三枚に下ろして片栗粉をまぶしてじっくりと二度揚げ。中骨を皿にして盛りつける。時間はかかるものの実に香ばしくて美味である。
    アヤメカサゴのみそ汁 小振りのものを水洗いして胃袋や肝などを分けておく。これを適宜に切り、胃袋や肝も一緒に湯通しし、冷水に落として残った鱗やぬめりと流す(必須ではない)。これを水から煮だし、みそを溶く。豊かなうま味を持つ汁であらに付着した身にも甘味があってうまい。ご飯に合う。
    アヤメカサゴの潮汁 水洗いして大振りのものはあらだけでもいい。小型は適当にぶつ切りに。湯通しして冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。水分をよくきり、冷たい状態から昆布だしに入れてアクを取りながら煮出す。酒・塩で味つけする。
    アヤメカサゴの焼霜造(焼き切り) ていねいに鱗をとり、水洗いして三枚に下ろす。腹骨と血合い骨を取り、水分をよく拭き取る。皮目をバーナーなどであぶり、冷水に落として水分をよくきり。身よりも皮と皮直下にうま味がある。身は嫌みがなく微かに甘味がある。
    アヤメカサゴの刺身 ていねいに鱗を取り、三枚に下ろして腹骨、血合い骨を取る。水分をよくきり、皮を引いて刺身状に切る。旬のはっきりしない魚で、脂もあまり豊かであるとは言えない。比較的穏やかな丸みのある味わいでほどほどに美味。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年)、『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)、『魚と貝の事典』(望月賢二 柏書房)

    地方名・市場名

    ハナアタガシ
    場所三重県九鬼浦(九木浦) 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929)・水族志 
    メッコ
    場所三重県志摩市和具 参考日比野友亮さん 
    アカビロ
    場所京都府丹後地方 参考京都府 
    カサゴ
    場所兵庫県香美町香住漁港 参考聞取 
    カキ
    場所和歌山県周参見・串本 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 
    アカガシ アタガシ
    場所和歌山県和歌山市木ノ本 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 
    アカゴロ メツコウ メッコウ
    場所和歌山県太地 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 
    オキガシラ アカガシラ
    場所和歌山県田辺 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 
    ノドグロ
    場所宮城県 参考福島水試研報第11号 
    オキゴウチ
    場所山口県下関 参考文献 
    ガラ ガラメバル カラコ
    場所山口県宇部市 参考青山時彦さん(宇部市青山鮮魚) 
    ガラカブ
    場所熊本 参考文献 
    アラメカサゴ
    場所神奈川県江ノ島 参考文献 
    アカメバル
    場所福島県 参考福島水試研報第11号 
    アカウ
    場所茨城県 
    アコウ
    場所茨城県 参考文献 
    アカゲ
    場所茨城県水戸 参考福島水試研報第11号 
    オキアラカブ[沖あらかぶ]
    場所長崎県平戸市度島 参考福畑敏光さん、文献 
    アヤメ
    場所静岡県伊豆半島 参考静岡県水産・海洋技術研究所・伊豆分場 
    ガガネ ガシラ デガネ
    場所高知県 参考文献 
    アラカブ
    場所長崎県 備考荷(発泡の箱)などに書かれている。 
    マダラホゴ
    場所鹿児島 参考文献 
  • 主食材として「アヤメカサゴ」を使用したレシピ一覧

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