体長50cm前後になる。体高があるが頭部は尖り、左右はどのメヌケ類よりも平たい。眼窩下縁に棘があるが非常に小さいので要注意。背鰭棘は13、尾鰭は浅く湾入。全体に沈んだ赤で体側に黒い斑紋が散らばる。背鰭、腹鰭、尻鰭、尾鰭の縁周辺は黒い。頭部背面に8対の刺と褐色の帯が3本ある。はっきりしない個体も多く、鮮度が落ちると不鮮明になる。[32cm SL・0.83kg]
アラメヌケの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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珍魚度・珍しさ
★★★★
めったに出合えない魚貝の物知り度
★★★★★
知っていたら学者級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★★★
非常に美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目カサゴ亜目メバル科メバル属外国名
学名
Sebastes melanostictus (Matsubara,1934)漢字・学名由来
漢字 荒目抜 Aramenuke
由来・語源 古くはゴマアカウが標準和名だった。現和名は上野輝彌の命名。鱗がやや薄汚れて黒いところが荒々しく見えるためだろう。
〈カサゴ科メバル屬ゴマアカウ Sebastes melanostictus MATSUBARA 體及び諸鰭に黒色斑紋及び小黒点が散布されてゐる〉。『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)
〈フサカサゴ科メバル属ゴマアカウ Sebastes melanostictus (MATSUBARA)〉。『魚類の形態と検索』(松原喜代松 岩崎書店 1955)
〈アラメヌケ Sebastes aleutianus (Jordan et Evermann) カワラダアコウおよびゴマアコウは本種の異名である〉『日本産魚類大図鑑』(益田一、荒賀忠一、尼岡邦夫、上野輝彌、吉野哲夫 東海大学出版会 1984)。Sebastes aleutianus (Jordan et Evermann) は 英名 Rougheye rockfish で国内海域では見つかっていない。地方名・市場名 ?
生息域
海水魚。水深84〜490メートル。
北海道〜千葉県銚子市の太平洋沿岸、丹後半島沖。
千島列島北部、カムチャツカ半島〜ベーリング海・アリューシャン列島、アラスカ湾からカリフォルニア州南部。生態
ー基本情報
日本海よりも太平洋側の冷水域に多い大型の赤いメバル類である。水揚げ量は極端に少なく。流通上は年に数える程度しか見ることがない。またオオサガ(コウジンメヌケ)やアコウと違い、バラメヌケ、ヒレグロメヌケとともにあくまでも少しだけだが低い評価で、「本メヌケ」に対して「その他メヌケ」という認識ががある。
実際にメヌケ類のなかでは味の点でオオサガなどと比べると落ちる。ただ現今の「目抜け・アコウ類」の高騰を受けて非常に高値となっている。
珍魚度 冷水域の大型の赤いメバル類(メヌケ類)の中でももっとも入荷量が少なく、探しても手に入れることは難しい。水産基本情報
市場での評価 関東では非常に希に見かける程度。やや高値。
漁法 底曳き網、延縄
産地 北海道、ロシア選び方
ー味わい
旬は秋から春だと思われる。
鱗は薄くやや大きいので取りやすい。皮は厚みがあって強く熱を通すとゼラチン質になる。骨はあまり硬くない。
赤みがかった白身。筋繊維を感じないスポンジに近い身質で、脂は細かく身の中に混在する。熱を通しても硬くならない。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
アラメヌケの料理・レシピ・食べ方/煮る(煮つけ、塩ゆで)、汁(みそ汁、潮汁、ちり鍋)、焼く(西京漬け、幽庵焼き、粕漬け、塩焼き)、生食(刺身、皮霜造り)、ソテー(ポワレ)、揚げる(唐揚げ)クリックで閉じます
アラメヌケの煮つけ 切り身を煮つけてもいいが、あまりにも高価なのでここでは「あら煮」にしてみた。煮てもあまり硬く締まらず、皮はゼラチン質になる。皮も身にも甘みがあり、身離れがよくて非常においしい。「目抜け・アコウ類」ならではの上品さも素敵だ。
アラメヌケのちり鍋 あらと切り身を鍋に仕立てたもの。湯通しした身を冷水に落として鱗などを取り、よく水を切っておく。昆布だしに酒、塩で味つけして、豆腐や野菜と煮ながら食べる。あらなどから実にうまいだしが出て、身は熱を通しても硬く締まらず、甘味があり美味。なによりも皮がうまい。クリックで閉じますアラメヌケの湯煮(湯あげ) 水洗いしたときの胸鰭周りや、頭部の骨張った部分を使うといい。真水でゆっくりと煮立てないゆでる。これを柑橘類としょうゆ、ポン酢、ドレッシングなどで食べる。食べ方は自由だ。上質の白身のおいしさが堪能できる。ゆで汁と一緒に食べるとおいしい。クリックで閉じますみそ汁 あらを湯通しして冷水に落として水切りをする。これを昆布だし(水でも十分)に少量の酒で煮出す。みそをとくと出来上がりだ。これが実にご飯に合う。個人的にはあらのみそ汁の汁だけでご飯をかき込むのが大好きだ。お好みで唐辛子、山椒、コーレーグスなどを。クリックで閉じますアラメヌケのみそ汁
みそ漬け ここでは京都産の西京味噌を使ったが、みそはお好みで。三枚に下ろして適宜に切った身をみそ、みりん、酒を合わせたものに1日以上漬け込んでじっくりと焼き上げる。甘めが好きなら漬け地に砂糖を加えてもいいし、ゆずや山椒の風味づけをしてもいい。クリックで閉じますアラメヌケの塩焼き 比較的上品で淡泊な味なので漬け魚になることが多いが、塩焼きにしてもかなり上の味になる。皮目の表面が香ばしく、皮目下にうま味と脂の溜まりがあって甘い。このまま食べてもいいし、柑橘類を合わせてもいい。素焼きにしてしょうがじょうゆもうまい。クリックで閉じますアラメヌケの唐揚げ 腹の身の薄い部分やカマの部分に片栗粉をまぶして、じっくりと二度揚げしたもの。仕上がりに塩コショウ、塩とガラムマサラとか、チリパウダーなどを振る。皮目がかりっと香ばしくてとても味がいい。クリックで閉じますアラメヌケの皮霜造り 皮が厚みがあって少し硬いので、皮霜は難しいとは思ったものの、いちばんうまい部分でもあるのであえて作って見た。アラメヌケの皮目はところどころが褐色なのが残念だが、思ったほどは硬くなく、皮のゼラチン質の甘味も楽しめて、実に味わい深いものだった。クリックで閉じます好んで食べる地域・名物料理
ー加工品・名産品
ー釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
協力/丸西西出商店(北海道釧路市)
『北海道の全魚種図鑑』(尼岡邦夫、仲谷一宏、矢部衛 北海道新聞社)、『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会 20130226)