体長1m前後・重さ15kg前後になる。側扁(左右に平たい)し、背鰭とその基部に顕著な黒い斑文がある。
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魚貝の物知り度
★★★★★
知っていたら学者級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★★★
非常に美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系ベラ亜目ベラ科イラ属外国名
学名
Choerodon schoenleinii (Valenciennes, 1839)漢字・学名由来
漢字 白鞍倍良 Shirokurabera
由来・語源 若い固体の尾鰭の前に白い鞍掛の斑紋(鞍をかけたように左右に振り分けた)があるためだと思う。『魚類の形態と検索』(松原喜代松 岩崎書店 1955)に新称とある。この頃、成魚は入手困難だったのだと思う。成魚には白い鞍掛の斑紋はない。
「べら」の語源 篦から来るのだと考えている。キュウセン、ニシキベラなど細長い形態の魚種に対する総称。Valenciennes
アシル・バランシエンヌ(Achille Valencienne 1794-1865)はフランスの動物学者。ジョルジュ・キュビエとともに『魚類の自然誌』を刊行。国内で水揚げされる多くの魚を記載。地方名・市場名 ?
生息域
海水魚。浅い岩礁・サンゴ礁域の砂礫地。
奄美大島以南の琉球列島。台湾、福建省、香港、海南島、東沙諸島、南沙諸島、タイランド湾、オーストラリア西岸・北西岸、ニューカレドニア・フィジーを除く西太平洋、カロリン諸島。生態
生まれて、ある大きさまでは雌、もっと大きくなると雄に性転換する(雌性先熟)。
浅いサンゴ礁域で貝、甲殻類、棘皮動物類などをエサとしている。基本情報
国内では沖縄県、鹿児島県島嶼部の特産魚で「沖縄三大高級魚」のひとつとされている。浅場に多く、1メートルを超える大型魚。
とても美しい白身で、まったくクセがない。比較的薄味の沖縄料理に相性のいい魚でもある。水産基本情報
市場での評価 沖縄の特産魚で「沖縄三大高級魚」のひとつ。沖縄県内での取引に限定されており、高級なもの。
漁法 釣り、刺し網、刺突漁
産地 沖縄選び方
体色のしっかり濃いもの、鰭の赤味、青い筋などがくっきりして、目が澄んでいるもの。味わい
旬は不明
非常に大型になる。鱗は柔らかく大きく、手でも剥がすことができる。皮は適度に丈夫。
パールホワイトの身で、肉はやや締まっている。まったくクセがなく、微かに甘みがある。
熱を通すと、ふっくらとふくらむ。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
調理法生食(皮霜造り、刺身)、汁(みそ汁、潮汁)、煮る(煮つけ、まーす煮)、ソテー(バター焼き)、揚げる(唐揚げ)クリックで閉じますシロクラベラの皮霜造り
マクブの皮霜造り 沖縄で刺身というと「皮をいかして」造る。特にサンゴ礁などの浅場にいるブダイ・ベラ類は皮を引かない、が基本的なものだろう。皮の歯触り、噛みしめたときに味わいに、身の甘さがあってとてもおいしい。マクブの魚汁 沖縄ではハタやベラ類などを魚汁にする。ようするに魚のみそ汁であるが、汁も魚自体も楽しむもので、魚の旨みのあるなしで味の良し悪しが左右される。この魚汁に用いてもっとも美味なもののひとつ。クリックで閉じますマクブのまーす煮 少量の塩水で強火にして短時間で煮あげたもの。熱で皮がふくらみ、この皮がまことにうまい。身には甘みがあり、うまく箸でとれてこれまた美味。「まーす煮」の最高峰だと思う。クリックで閉じます好んで食べる地域・名物料理
マクブー(マクブともシロクラベラ)、アカジンミーバイ(アカジンとも/スジアラ)、アカマチ(ハマダイ)は沖縄三大高級魚とされる。加工品・名産品
ー釣り情報
沖縄では人気のある釣魚。ぶっ込み釣りでエサはエビ、カニ。歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『日本の海水魚』(岡村収、尼岡邦夫編・監修 山と渓谷社)、『沖縄の釣り魚』(城一人 フィッシング沖縄社)、『沖縄の漁具・漁法』(沖縄県漁業振興基金 編集沖縄県水産試験場)