60cm SL を超える。体高はあまり高くない(アコウダイと比べると低くスマート)。尾鰭は二叉する(前方に切れ込む)。目の下・眼窩下縁に棘はない(アコウダイには棘がある)。頭頂棘がある。涙骨は刺々しくなく丸い。背鰭棘は13(ホウズキは12)。[相模湾 51cm SL・3.426kg]
オオサガの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
![60cm SL を超える。体高はあまり高くない(アコウダイと比べると低くスマート)。尾鰭は二叉する(前方に切れ込む)。目の下・眼窩下縁に棘はない(アコウダイには棘がある)。頭頂棘がある。涙骨は刺々しくなく丸い。背鰭棘は13(ホウズキは12)。[相模湾 51cm SL・3.426kg]](https://www.zukan-bouz.com/public_image/Fish/40/Thumb630/20250116607.jpg)
![60cm SL を超える。体高はあまり高くない(アコウダイと比べると低くスマート)。尾鰭は二叉する(前方に切れ込む)。目の下・眼窩下縁に棘はない(アコウダイには棘がある)。頭頂棘がある。涙骨は刺々しくなく丸い。背鰭棘は13(ホウズキは12)。[岩手県宮古沖]](https://www.zukan-bouz.com/public_image/Fish/40/Thumb630/20120303624.jpg)


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珍魚度・珍しさ
★★★
がんばって探せば手に入る魚貝の物知り度
★★★★
知っていたら達人級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★★★★
究極の美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目カサゴ亜目メバル科メバル属外国名
学名
Sebastes iracundus (Jordan and Starks, 1904)漢字・学名由来
漢字 大佐賀 Standard Japanese name / Oosaga
由来・語源 北海道での呼び名。「佐賀」は田中茂穂の当てた漢字だと思う。三陸で深海性の赤いカサゴを「さが」といい。「おおさが」は「大きなサガ」という意味「さが」はサンコウメヌケ(オオサガのジュニアシノニム)のことだとも。Jordan
David Starr Jordan〈デイビッド・スター・ジョーダン(ジョルダン) 1851-1931 アメリカ〉。魚類学者。日本の魚類学の創始者とされる田中茂穂とスナイダーとの共著『日本魚類目録』を出版。
Starks
エドウィン・チャピン・スタークス(Edwin Chapin Starks 1867-1932)。アメリカの魚類学者。スタンフォード大学、デイビッド・スター・ジョーダンのもとで魚類学を学ぶ。ジョーダンとともに国内の魚を多数記載。地方名・市場名
生息域
海水魚。水深200〜1300m。400〜800mに多い。
北海道オホーツク海沿岸、北海道太平洋沿岸〜銚子の太平洋沿岸、相模湾。
千島、天皇海山。生態
ー基本情報
北海道から相模湾までの深海にいるが、漁業的には茨城県以北だと思っている。日本近海に多いメヌケ類といった存在だ。ヒレグロメヌケとともに関東でも「目抜け」と呼ばれることが多い。
古くはメヌケ類の中でももっとも漁獲業の多いものであった。大型で赤い魚で脂が豊かなので、長年、安い総菜魚として関東ではよく食べられていたようだ。また漬け魚などに加工されたり、安い切身としても人気があった。
北洋のヒレグロメヌケも非常に高価だが、本種はそれを遙かに凌いで値が高い。
北洋での漁ができなくなると、値を上げはじめ、今や近海で揚がったものは非常に高価である。
昔のように煮つけに、漬け魚にするというわけにはいかなくなっている。
珍魚度 食用魚なので珍魚ではない。ただし漁獲量が激減しているので手に入れるのはとても難しい。水産基本情報
市場での評価 入荷量は少ない。1尾単位で箱に入っていることが多く、超高級魚。
漁法 延縄
主な産地 北海道、三陸選び方
赤の鮮やかなもの。触って張りのあるもの。味わい
旬は秋から春。ただ春に盛漁期を迎えるが、脂がのっているのは11月くらいから2月まで。
鱗は薄く取りやすいが赤い破片が残りやすい。皮は薄くて弱い。皮、皮下に脂と旨みがあり、ゼラチン質の層をなしている。骨は柔らかい。
白身で脂が混在して白濁してとても柔らかい。熱を通しても硬く締まらない。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
オオサガの料理・レシピ・食べ方/煮る(しゃぶしゃぶ、煮つけ)、焼く(塩焼き、みそ漬け)、汁(みそ汁、潮汁)、生食(霜皮造り)、揚げる(唐揚げ)クリックで閉じます
オオサガのしゃぶしゃぶ(昆布だし) だしに酒と少量の塩だけの味つけである。ほとんど汁にはうま味がない。しゃぶしゃぶするのは強い脂を適度に落とすためと、表面に熱を通して食感をよくするためである。比較的重い味を緩和してたっぷり食べられる。
水洗いして三枚に下ろす。腹骨・血合い骨を取り、皮付きのまま薄く切る。昆布だしに酒・塩で味つけ。
オオサガのしゃぶしゃぶ (中骨と昆布のだし) 中骨でとっただしの中で、自分の好みの火を通し加減で食べる。だしにも強いうま味があるので、食べていて満足度が強い。火の通し加減を自分好みに出来るのもいい。クリックで閉じます
水洗いして三枚に下ろす。腹骨・血合い骨を取り、皮付きのまま薄く切る。ここでは中骨を焼き、昆布だしで煮だして、だしをとった。酒・塩で味つけ。オオサガの湯煮 昆布を入れた水の中でゆっくり煮上げたもの。見ながら煮たのに皮がとけて無残な姿になってしまった。ただし非常においしい。頬などにある身もいいが骨に付着した皮が信じられないほどの美味だ。クリックで閉じます
水洗いし頭部を半割にする。湯をかけて氷水に落とし残った鱗をこそげ取る。水分をよくきり、水・昆布・塩・酒のなかで弱火で火を通す。オオサガの鍋 水洗いして頭部や鰭下、切り落としなどを集めて湯通しする。冷水に落として鱗やぬめりを落として、昆布だしで煮ながら食べる。オオサガは煮過ぎても味が落ちない。皮に強い甘味とうま味があり、目玉、胃袋や肝なども絶品。贅沢ではあるが、寒い時季にはぜひとも食べたいもの。クリックで閉じます目抜けの鍋
オオサガのあら煮 オオサガの胸鰭の部分を湯通しして、冷水に取り、鱗やぬめりを落とす。よく水きりして酒、砂糖、しょうゆ、水で甘辛く煮上げたもの。オオサガにはこの甘辛い味つけがよく合う。酒・塩、酒・みりん・しょうゆなどの味つけも美味。クリックで閉じます目抜けのあら煮
オオサガの酒蒸 そんなに長く蒸したわけでもないのに皮がとろけてしまった。身の甘さが強く、骨についた皮をしゃぶると際限がなくなる。この薄い皮と、皮の周りの粘液のうまさは例えようもない。クリックで閉じます
頭部を梨子割りにする。湯をかけて氷水に落とし、細かい鱗などを流す。水分をよく切り、戻した昆布の上にのせ、清酒を振り10分前後蒸す。オオサガのみそ汁 焼き物、刺身などにした残りのあら、肝、胃袋などを集める。食べやすい大きさに切り、湯通しして、冷水に落として鱗、ぬめり流す。これを水から煮出してみそをとく。野菜はお好みのものを。うま味の強い汁になり、皮に甘味がある。クリックで閉じます目抜けのみそ汁
オオサガの西京焼き 古くは漬け魚酒とされたこともある。安かったからだが、それ以上に酒粕やみそに漬けておいしかったからだ。今では高すぎてとてもそんなことはできないが、自分で作って食べると、やたらにうまい。ご飯に合うのもいい。クリックで閉じます
三枚に下ろし切り身に。弱めの振り塩をして少し置き、出て来た水分を取る。白みそ、みりんを合わせた中に1日以上漬ける。オオサガの障子焼き 中骨周りの身は非常に味わい深い。しかも骨にも脂があるのか染み出してきて、表面から揚げたようで、とても香ばしい。たいした量ではないが味は大きいといった感じである。水洗いして刺身などのために三枚に下ろす。振り塩をして1時間以上置き、出て来た水分をとり、焼き上げる。クリックで閉じますオオサガの塩焼き(かまの塩焼き) 皮目に独特の甘味を伴った風味がある。香ばしさもある。身は上品でいながら、豊潤である。水洗いして適当に切って振り塩をする。1時間以上寝かせて、じっくり焼き上げる。オオサガは少し寝かせてから振り塩をする。新しいと身が強く反るクリックで閉じますオオサガの皮霜造り 皮に味があり、身の味は単調である。皮はあぶると鋭角的にうま味が舌に来るが、あぶった風味が強くなり、全体を支配する。身の穏やかなうま味も皮の豊かなおいしさも、ともに生かせる。三枚に下ろして、適宜に皮目に包丁を入れ、湯をかけて氷水に落とす。水分をよく切り、刺身状に切る。クリックで閉じますオオサガの焼霜造り あぶった皮の香ばしさがいい。直下にある脂、ゼラチン質が溶けて、また固まりかけている。その食感も好ましい。非常にインパクトのある味わいで、香ばしさが全体を支配する。水洗いして三枚に下ろす。腹骨・血合い骨を取り、皮をあぶって氷水に落とす。水分をよくきり刺身状に切る。クリックで閉じますオオサガの刺身 非常に脂が強く、この脂の直の味わいが舌に残る。マグロのような酸味がないので、単調な味である。脂の豊かさを味わうものかも。水洗いして三枚に下ろす。皮を引いて、刺身状に切る。やや薄く切りつけた方が食べやすい。クリックで閉じます好んで食べる地域・名物料理
あざら 白菜の漬け物(古漬け)とメヌケ(オオサガ、バラメヌケ)、酒粕、みそを使う。粕汁であるが煮返すと総菜的な要素が強くなる。かなり個性的な味で好き嫌いがはっきりする。
祝儀に食べる 北海道ではマダイの代わりに、めでたいっことがあると、食べた。『新 北のさかなたち』(水島敏博、鳥澤雅他 北海道新聞社 2003)
さがの吸いもの 「東北地方一帯では、昔から鯛の代用品として祝い魚に使われている。特に祝儀などには、生魚で一ぴき丸ごとお膳につけられるほか、切り身は吸いものとなる。」[聞き書 岩手の食事(農文協)]
おめでたい時の魚 赤物。体色が赤いキチジ(メンメン)とメヌケ(オオサガ、ヒレグロメヌケ、バラメヌケなど)は〈タイの獲れない北国ではおめでたい時の魚として建て前や祝事におかしらつきとして出てくる魚である〉。加工品・名産品
ー釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)、『ごっつぉうさんー伝えたい宮城の郷土食』(みやぎの食を伝える会編著 河北新報出版センター)