1m SL 前後になる。体色は背の部分が赤く、腹側は赤味を帯びて白い。目が大きく、側扁(左右に平たい)し、細長い。背鰭に欠刻がある。尾鰭がとても長い。
ハマダイの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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珍魚度・珍しさ
★★★
がんばって探せば手に入る魚貝の物知り度
★★★★
知っていたら達人級食べ物としての重要度
★★★
一般的(流通量は普通)味の評価度
★★★★★
究極の美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目フエダイ科ハマダイ属外国名
学名
Etelis coruscans Valenciennes,1862漢字・学名由来
漢字 浜鯛 Standard Japanese name / Hamadai
由来・語源 「浜鯛」と漢字を当てたのは阿部宗明だが、由来などはまったく不明である。「はま」はハマダツ、ハマトビイオなどがあるが、比較的大形の魚に当てている。大きいという意味があるのかも知れない。ただ田中茂穂はナマズの仲間なのに海にいるのでハマギギとつけたとしていて、こちらは「はま=海」である可能性がある。
〈フエダヒ科ハマダヒ属ハマダヒ Etelis carbunculus CUVIER et VALENCIENNES(現ハチジョウアカムツ) 東京近郊では稀であるが、東京市場へは夏季八丈島及び小笠原島等から入荷する。盬焼にすると美味〉『日本魚類圖説』(岡田彌一郎、内田惠太郎、松原喜代松 三省堂 初版1935)。東京では昔から馴染みのある魚だとしている。Valenciennes
アシル・バランシエンヌ(Achille Valencienne 1794-1865)はフランスの動物学者。ジョルジュ・キュビエとともに『魚類の自然誌』を刊行。国内で水揚げされる多くの魚を記載。地方名・市場名
生息域
海水魚。水深200m以上の深場。
茨城県、千葉県外房、伊豆諸島、西之島、小笠原諸島、北硫黄島、硫黄島、神奈川県三浦半島、和歌山県串本、高知県、宇治群島、屋久島、琉球列島、南大東島。
台湾、東沙諸島、インド-太平洋域(オーストラリア北西岸とマルケサス諸島をのぞく)生態
産卵期は7月〜10月。基本情報
相模湾伊豆諸島以南、西太平洋、インド洋、南半球にまで生息域する大型の魚だ。
伊豆諸島、小笠原など暖かい海域をかかえる東京都では古くから、高級白身として親しまれている。
国内だけではなく、世界的に重要な食用魚である。伊豆諸島で揚がるので東京周辺では古くから知られていたが、それ以上に高知県、鹿児島県、沖縄県などで漁が盛んに行われていた。この黒潮域のフエダイ科、ハチビキ科の深海魚をこの地域でマチ類という。そのもっとも代表的な魚である。沖縄でアカマチと呼ばれ、3大高級魚のひとつでもある。
クセのない白身で、嫌みがなく、誰にでも好まれるもの。
主に料理店、すしネタとして利用されるもので、非常に高価なので一般の小売店などにはまず並ばない。
珍魚度 食用魚だが、水揚げ量が少なく、また高価である。流通の場でお金をかけて探せば手に入る。水産基本情報
市場での評価 関東は産地の伊豆諸島を控えるので、高級魚という認識が定着している。キロあたり卸値2000円を切ることはほとんどない。
漁法 釣り
主な産地 鹿児島県、東京都(伊豆諸島、小笠原、小笠原海域産は鹿児島魚市場にも水揚げしている)、沖縄選び方
赤身の強いもの。鰓が鮮紅色のもの。味わい
栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
ハマダイの料理・レシピ・食べ方/生食(刺身、皮霜造り、カルパッチョ、セビチェ)、煮る(鍋、煮つけ、しゃぶしゃぶ)、揚げる(天ぷら、フライ、唐揚げ)、ソテー(ポワレ)、焼く(塩焼き、干もの)、汁(潮汁)ハマダイの刺身 水洗いして三枚に下ろし、腹骨・血合い骨を取る。皮を引き刺身に。関東では夏場の白身として刺身になる。血合いの色が時間がたってもくすまないのが優れた点。身に甘みがあり、魚らしいうま味に満ちている。見た目にも食べても絶品である。クリックで閉じますハマダイ幼魚の焼霜造り(焼き切り) 幼魚は初めて見たし、初めて料理した。小さいにもかかわらず身が締まっていて、身自体に味がある。皮も柔らかく、皮直下には少ないながら脂と身以上に豊かなうま味がある。水洗いして三枚に下ろし、腹骨・血合い骨を取る。皮をあぶって氷水に落として水分をよくきる。クリックで閉じますハマダイ幼魚の刺身 親のおいしさは知っていたが、子までもがここまでおいしいとは思わなかった。単純に刺身にして味がある。嫌みがなくたっぷり食べても飽きが来ない。水洗いして三枚に下ろして腹骨・血合い骨を取る。皮を引いて食べやすい大きさに切る。クリックで閉じますハマダイの皮霜造り 単に刺身にしても非常に美味であるが、ここでは皮のうま味をプラス。皮目にゆをかけて冷水に落とし、よく水分をきる。これを少し冷蔵庫などで寝かせて刺身状に切る。身の味わいは魚類中でもトップクラス。ここに皮目の食感が加わる。クリックで閉じますハマダイの皮霜造り
ハマダイのカルパッチョ 三枚に下ろして皮を引き、血合い骨を切り落とす。できるだけ薄く引く。皿ににんにくの風味をつけて塩コショウし、オリーブオイルをまぶす。ここに薄く切ったみを貼り付けていき、最後にスプーンなどでたたき馴染ませる。上に乗せる野菜などはお好みで。ここではトレビス、スイートバジル、キャビアライムをのせた。クリックで閉じますハマダイのカルパッチョ
ハマダイのセビチェ 腹部分や刺身の切り落としなどを集めて、大きさを揃えて切る。これを塩で和えて、ライムを搾り込む。ここに辛い青唐辛子、紫玉ねぎ(ここではベルエシャロット)を加えて和える。少し寝かせてお好みでライムを搾りながら食べる。スピリッツとよく合う。クリックで閉じますハマダイのセビチェ
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ハマダイのはりはり鍋(しゃぶしゃぶ) 大阪の「はりはり鍋」は有名ではない、普通の店で食べている。そのときはクジラだったが、想像以上においしかった。クジラがおいしいのではなく、食べ方が斬新でよく考えられているのだ、と思った。要するにどのようなもので作っても「はりはり鍋」はうまいということだ。当時、関東では水菜が珍しく、この食感に魅了されたのもある。
ハマダイは三枚に下ろして血合い骨・腹骨を取り、薄く切りつける。水菜は適当に切る。鍋汁は割り下であるが、ここでは酒・塩・醤油・カツオ節だしをあわせた。
つゆが沸騰してきたら水菜を浮かせて、切り身を少しずつ入れて、好みの火の通し加減になったら食べる。生で食べられる鮮度なので、火の通し加減はいろいろ変えてみるといい。
大型でも半身くらいはぺろりといける味である。
ハマダイのちり鍋 ハマダイの身やあらを昆布だしで煮ながら食べるもの。つゆの味つけは酒と塩のみ。白身の上品で繊細な味を堪能できて非常に美味。仕上げに素麺などを煮て食べるとこれまた実にうまい。一緒に煮る野菜などはお好みで。クリックで閉じますハマダイのちり鍋
煮つけ 切り身を湯にくぐらせて冷水に落とす。鱗などを取り去り、よく水切りをしておく。これを酒、少量のみりん、塩、薄口しょうゆで煮上げていく。味加減をみながら煮上がりにしょうがの搾り汁を落とす。あくまでも淡泊な味わいに仕上げて白身の味を堪能していただきたい。クリックで閉じますハマダイの煮つけ
ハマダイの天ぷら 皮は揚げると独特の風味がある。熱を通した身のうまさもあり、天ぷら種としても最高だ。ここでは水洗いし三枚に下ろす。腹側だけを使い、背側の皮を引き、くるりと身を包み込むようにして使った。軽く振り塩をして少し待つ。表面に出て来た水分を取り、全体に小麦粉をまぶし、皮で身を包み、衣をつけて高温で短時間揚げる。皮目のおいしさは無類。豊潤な身の味も抜群にいい。クリックで閉じますハマダイのフライ 上質の白身で身がしっととりて熱を通すと適度に身が締まる。問題は皮が厚くて強いことである。皮にはうま味があるが、引いてから塩コショウする。小麦粉をまぶして、溶き卵を潜らせてパン粉をつけて上げる。パン粉の香ばしさの中に豊潤な身がかくれていて、その染み出てきた液体にうま味がある。非常に美味。クリックで閉じますハマダイのポワレ 塩コショウして小麦粉をつけないでソテーするものをポワレという。焼くとぱりっとして、崩れない皮を持つ魚に向いている。本種を三枚に下ろして前半は皮を引き、後半は皮付きで前半の皮をくるみ込むように仕上げて塩コショウする。鍋に多めのオリーブオイルを入れてじっくり押さえながらソテー。皮が香ばしく上がったら取りだし、プライパンに少量のアサリ(必ずしも必要ではない)、白ワインを入れてデグラッセ。これをソースにする。クリックで閉じますハマダイのポワレ
ハマダイの塩焼き 水洗いして三枚に下ろして切り身に。塩をして1時間以上寝かせる。これをじっくりと焼き上げていく。なんと言っても皮が最高にうまい。身は焼いても硬く締まりすぎず、豊潤に仕上がる。うま味豊かなのに上品な味わいなので食べ飽きない。クリックで閉じますハマダイ幼魚の開き干し ちょうど尾鰭の先まで入れて手のひらサイズなので開いて、一夜干し上げてみた。青魚と比べると上品過ぎるが、皮に甘味、身に白身ならではのうまみがある。水洗いして背開きにする。立て塩に5分漬けて水分をよくきり、半日干す。クリックで閉じます好んで食べる地域・名物料理
東京都 伊豆諸島部があるので、産地でもあり、古くから高級魚として認識されている。
沖縄県 マクブー(マクブとも/シロクラベラ)、アカジンミーバイ(アカジンとも/スジアラ)、アカマチ(ハマダイ)は沖縄三大高級魚とされる。加工品・名産品
ー釣り情報
伊豆諸島では中深場釣りの対象魚。歴史・ことわざ・雑学など
沖縄3大高級魚 3大高級魚とはアカマチ、マブク(シロクラベラ)、アカジンミーバイ(スジアラ)、本種。マクブーがタマン(ハマフエフキ)に代わることがある。参考文献・協力
協力/星野健一郎さん(株式会社フーディソン)
『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)