10cm SL 前後になる。貝殻は厚く、貝殻はほんの少し赤味を帯びた灰色。膨らみはホンビノスと比べると弱い。貝殻の表面にざらざらした板状に立ち上がった輪肋がある。小月面は少しくぼむ。
ビノスガイの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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珍魚度・珍しさ
★★★
がんばって探せば手に入る魚貝の物知り度
★★★★
知っていたら達人級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★
まずくはない
分類
軟体動物門二枚貝綱異歯亜綱マルスダレガイ目マルスダレガイ超科マルスダレガイ科カノコアサリ亜科Mercenaria属外国名
学名
Mercenaria stimpsoni (Gould,1861)漢字・学名由来
漢字 美之主貝 Standard Japanese name / Binosugai
由来・語源 本種はもともと国内に生息する在来種である。平瀬與一郎の命名。属名が Venus であったために「Venus貝」、ラテン語読みでビノスガイにしたものと思われる。Venus ギリシャ神話美の神、ビーナスのこと。
「Venus」はギリシャ神話の愛と美の女神・ビーナスのことだが、この旧ビノスガイ属の二枚貝はぜんぜん美しくない。
模式産地は函館。
ビノスガイ・ホンビノスガイについて在来種/ビノスガイ 平瀬與一郎が1909年に国内北海道に生息する二枚貝、Venus stimpsoni (現シノニム)に、当時の属名、Venus の二枚貝であることから、ラテン語読みで、「ビノスガイ」という標準和名をつける。属名もそのまま「ビノスガイ属」とする。
これを黒田徳米が1935年に、属名は正しくは、Mercenaria であるとして、「Venus」を「Mercenaria」に変えた。そしてこのMercenaria にもビノス属(和名)をそのまま当てる。国内産の、ビノスガイは、Mercenaria stimpsoni (Gould,1861) という学名に変わる。
移入種/ホンビノスガイ 同じ Mercenaria属(国内ではビノス属だった) でアメリカにいる二枚貝、 Mercenaria mercenaria (Linnaeus, 1758) にビノスガイ属の貝であり、国内にいるビノスガイよりも先に記載された(学名がついた)ことから、鹿間時夫が1964年にホンビノスガイとつけた。この海外の貝につけた標準和名が国内で発見されてからも使われている。ちなみに最初の学名は、Venus mercenaria Linnaeus, 1758 だ。
「本」はこの場合に、当時、ビノス属で、しかも見た目が似ている貝で、先に学名がついたという意味ではないかと思っている。Stimpson
William Stimpson(ウイリアム・スティンプソン 1832-1872 アメリカ)。動物分類学・海洋生物学。スナガニ、ババガゼ、サルエビなど。「stimpsoni 」は献名されたもの。
平瀬與一郎
hirasei, hiraseana, Neohirasea(平瀬與一郎 安政6-大正14 1859-1925 兵庫県淡路島福良)。京都で『平瀬商店(平瀬種禽園)』をいとなみ標本、特に貝殻を商い海外に輸出。貝類学の嚆矢。同郷の黒田徳米は同商店で丁稚をしながら貝類学を学ぶ。地方名・市場名
生息域
海水生。外洋性。水深5m〜30mの砂地。
東北以北。生態
ー基本情報
福島県から北海道の太平洋側でホッキガイ漁(ウバガイ漁)などのときに混ざる。貝殻が厚く、熱を通すと硬くなるので人気がない。ぴりぴりした刺激や渋味がある固体があるので安い。
国内原産だが最近、アメリカ東海岸原産で千葉県などで上がっているホンビノスガイにあやかって「ホンビノスガイ」で流通したこともある。ビノスガイはビノスガイでいいのではないか?
珍しさ度 めったに流通しないので、買い求めるのはかなり難しい。ウバガイ(ホッキガイ)などの産地で探すといいかも。水産基本情報
選び方
貝殻の表面に微かながらも滑りのあるもの。貝殻がしっかり閉じているもの。味わい
旬は不明。
貝殻が分厚く、非常に歩留まりが悪い。
旨みは少なく、熱を通すと硬くなる。ときにぴりぴりとする個体がいる。この刺激のために産地では食べない人が多い。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
ビノスガイの料理・レシピ・食べ方/焼く(貝焼き)、ソテー(オリーブオイル焼)、煮る(しょうゆ煮)、生食(湯引き)好んで食べる地域・名物料理
ー加工品・名産品
ー釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
『日本近海産貝類図鑑』(奥谷喬司編著 東海大学出版局)、『日本及び周辺地域産軟体動物総目録』(肥後俊一、後藤芳央 エル貝類出版局)