ウチムラサキ

Scientific Name / Saxidomus purpurata (Sowerby,1852)

ウチムラサキの形態写真

殻長10cm前後になる。貝殻は厚く、形は丸味が強く、よく膨らむ。殻表は不規則な成長線で覆われる。貝殻の内側は濃い紫。
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殻長10cm前後になる。貝殻は厚く、形は丸味が強く、よく膨らむ。殻表は不規則な成長線で覆われる。貝殻の内側は濃い紫。殻長10cm前後になる。貝殻は厚く、形は丸味が強く、よく膨らむ。殻表は不規則な成長線で覆われる。貝殻の内側は濃い紫。殻長10cm前後になる。貝殻は厚く、形は丸味が強く、よく膨らむ。殻表は不規則な成長線で覆われる。貝殻の内側は濃い紫。殻長10cm前後になる。貝殻は厚く、形は丸味が強く、よく膨らむ。殻表は不規則な成長線で覆われる。貝殻の内側は濃い紫。貝殻の内側は濃い紫色をしている。
    • 珍魚度・珍しさ

      ★★★
      がんばって探せば手に入る
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★
      知っていたら達人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★★
      一般的(流通量は普通)
    • 味の評価度

      ★★★
      美味

    分類

    軟体動物門二枚貝綱マルスダレガイ目マルスダレガイ科マツヤマワスレ亜科ウチムラサキ属

    外国名

    学名

    Saxidomus purpurata (Sowerby,1852)

    漢字・学名由来

    漢字 内紫 Uchimurasaki
    由来 『目八譜』から。貝殻の内側が紫色をしているため。

    内紫 非常に無骨な貝であるが、貝の裏側はとても美しい。この美しい内側の紫から見立てて、武蔵石寿などが名をつけた。もしくはもっと古くからこの名があったのかも知れない。
    目八譜
    1843(天保14)、武蔵石寿(武蔵孫左衛門)が編んだ貝の図譜のひとつ。図は服部雪斎が描く。武蔵石寿は貝類を形態的に類別。1064種を掲載する。現在使われている標準和名の多くが本書からのもの。貝類学的に非常に重要。

    地方名・市場名

    生息域

    海水生。潮間帯から水深20mくらいの砂礫地。
    北海道南部から九州。朝鮮半島、中国大陸。

    生態

    産卵期は秋。

    基本情報

    北海道から九州までの比較的浅場に生息している大型の二枚貝。
    三河湾周辺や伊勢志摩などで「大アサリ」として焼いて売っているところが多く、宿にとまっても必ず出てくるなど観光資源ともなっている。大型で食べる部分が多いので、魅力的なのかも知れない。北海道以南でとれる貝だが、食用貝として重要なのは愛知県、三重県だと思う。
    基本的な食べ方は焼く、だが意外に一般家庭では難しい。また軟体は熱を通すと硬くなるなどもあって、なかなか需要が生まれない。関東で値が安いのはこの料理法の難しさからだ。
    海獣のラッコの餌としても有名。
    珍しさ度 珍しくはないが、好不漁があり、一般的な食用貝ではないので探さないと手に入らない。

    水産基本情報

    市場での評価 入荷量は少なくはない。貝殻が厚く、重いため、あまり高くなく、ときに安値となる。
    漁法 潜水漁
    産地 愛知県

    選び方

    原則的に生きていて、貝殻がしっかり閉じているもの。

    味わい

    旬は夏から初秋だろうか?
    貝殻が厚く、歩留まりはやや悪い。足の生、熱を通しての色合いはきれいではない。
    足、水管は熱を通すと硬くなる。ひも、貝柱は煮ても焼いてもあまり硬くならない。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    ウチムラサキの料理・レシピ・食べ方/焼く(焼き貝)、ソテー(バター焼き)、汁(みそ汁、トマトスープ)、生食(湯引き)

    ウチムラサキの焼き貝 もっとも基本的な料理法。直火で焼き上げて酒、しょうゆなどで焼き上げるもの。貝から出る汁としょうゆが焦げて、まずは香りが魅力的。大きな軟体はやや硬いが、甘味うま味とも強く、これまた美味である。焼きたてを食べないと味が落ちる。

    ウチムラサキのバター焼き
    ウチムラサキのトマトスープ ウチムラサキは剥き身にして塩水などで軽く洗い、適宜に切る。フライパンにオリーブオイル、にんにくを入れて火をつける。玉ねぎみじん切りとトマトの乱切りを炒めて水分が出て来たらローリエの葉と、ウチムラサキを加えて火を通す。仕上げに白ワインを加えて、塩コショウで味つけ、少し煮て火を止めて出来上がり。
    ウチムラサキのみそ汁 貝殻が大きいので、必ず剥き、塩水などで軽く洗って適宜に切る。これを水から煮出してみそを溶く。みそを溶いたらすぐに火を消して熱を通しすぎない。また沸騰したらみそを溶き、切ったウチムラサキの身を加えてすぐに火を消してもいい。だしを楽しむか、身を味わうかでやり方を変えるとよい。
    ウチムラサキの湯引き 剥き身にして塩水などで軽く洗い、内臓を取り、足は開いて、ヒモと貝柱とともに水分をよく切って置く。湯にくぐらせて氷水などに落とす。あら熱がとれたら水分をよく切り、貝殻などを器にして盛る。微かに渋みがあるが、まずくはない。

    好んで食べる地域・名物料理

    愛知県 「オオアサリ(大あさり)」として売られている。片方の貝を剥き取り、スーパーに並んでいる。
    三重県 「オオアサリ(大あさり)」としてスーパーに並んでいる。
    大貝の炊きこみ 〈晩飯 ー貝の炊きこみごはん、豆腐の澄まし汁、こうこ 寒い冬の時期には、大貝など生貝が手に入る。その貝を利用した炊きこみごはんは、冬の晩飯としてからだが温まって喜ばれる。殻から出した貝の身はきれいに洗って砂をとり、きざんで、米と水と醤油と一緒に薄味に炊く。豆腐の澄まし汁をつける。〉[P68 『聞書き 兵庫の食事』(農山漁村文化協会)1992]
    名物 愛知県三河湾周辺、三重県伊勢志摩地方では名物として土産屋で焼かれ、食堂などでも提供されている。スーパーなどにも焼きもの用が並んでいる。「大あさり」という呼び名もこの地域もののだ。

    加工品・名産品

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    鮹貝の由来 〈横須賀の近辺で漁(と)れるわけであるが、水管が長くかつ赤みを帯びているので“たこ貝”などという〉。『原色・自然の手帳 日本の貝』(奥谷喬司、竹村嘉夫 講談社 1967) 〈千葉県稲毛氏笹毛(イイダコを取る)〉。『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 鮹貝とは違うが〈いまでも、巻き貝のニシ(アカニシ)の殻やダボ貝と呼ばれるウチムラサキ貝の殻を繩に連ねて仕掛け、卵を産みにくるイイダコを捕らえます〉。『明石海峡魚景色』(鷲尾圭司 長征社 1989)
    橋立貝 〈殻の内側の筋肉のついていたあとを見ると、外套膜のはしにあたるところは長くつき出ているので、与謝内海(よさうちうみ/天橋立の内側の内湖で、阿蘇海ともいう)では、この部分を天の橋立の風景に見たてて“橋立貝”と呼んでいる〉『原色・自然の手帳 日本の貝』(奥谷喬司、竹村嘉夫 講談社)

    関連コラム(歴史)

    記事のサムネイル写真天橋立に見立てて橋立貝
    江戸時代以前から貝の世界には見立てるということがある。数寄者と言われる人達のネットワークの中から見立てた名前が生まれてくる。 ハルカゼガイ(春風貝)などは台湾以・・・ 続きを開く

    参考文献・協力

    『日本近海産貝類図鑑』(奥谷喬司編著 東海大学出版局)、『水産無脊椎動物Ⅱ 有用・有害種各論』(奥谷喬 恒星社厚生閣)、『日本及び周辺地域産軟体動物総目録』(肥後俊一、後藤芳央 エル貝類出版局)

    地方名・市場名

    ハシダテガイ[橋立貝]
    場所京都府宮津市与謝内海・丹後 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 
    ダボガイ
    場所兵庫県明石市 参考『明石海峡魚景色』(鷲尾圭司 長征社 1989) 
    ハマグリ
    場所千葉県勝浦市行川・天津小湊浜荻、和歌山県加太港、香川県三豊郡詫間町コマジリ・木田郡庵治町高尻・大川郡津田町 
    オキアサリ[沖あさり] タコッケェ
    場所千葉県富津市小久保 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 
    デェナンアサリ デェランアサリ
    場所千葉県富津市小久保・君津市人見 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 
    ダイナンアサリ
    場所千葉県富津市小久保・木更津市桜井 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 
    オトコゲッコ
    場所千葉県富津市田尻 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 
    オクガイ
    場所和歌山県和歌山市 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 
    オキガイ
    場所大阪府泉南郡岬町深日 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 
    イシワリガイ
    場所岡山県日生町大多府島・香川県小豆郡二生村二面 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 
    サバカイガラ
    場所島根県益田市 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 
    イシワリ
    場所広島県江田島市大柿町 参考『大柿町の海辺の生き物 町制45周年記念誌』(監修/久家光雄 編集/大柿町海辺の生き物調査団) 
    クチビト
    場所徳島県鳴門市 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 
    シオフキ
    場所徳島県鳴門市北灘 参考聞取 
    タコガイ
    場所東京湾周辺、千葉県富津市笹毛(イイダコを取るときに使う)、神奈川県・神奈川県金沢区柴・三浦市周辺 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 
    オオノガイ
    場所江戸 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 
    ハカマナス
    場所陸中海岸 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 
    イッセイ
    場所香川県三豊郡詫間町志々島本村 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 
    イシガイ
    場所香川県三豊郡詫間町積・坂出市沙弥島 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 
    イッセ
    場所香川県三豊郡詫間町粟島中新田 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 
    イシオイ
    場所香川県三豊郡詫間町粟島満 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 
    バガイ
    場所香川県三豊郡詫間町高谷・コマジリ 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 
    スミガイ
    場所香川県多度郡多度津町白方 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 
    オガイ
    場所香川県大川郡津田町伊勢町・大内町壬生北山 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 
    オオハマグリ
    場所香川県木田郡庵治町篠尾・大川郡志度町 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 
    イワハマグリ
    場所香川県木田郡牟礼町大町役戸 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 
    オオアサリ[大浅蜊]
    場所北海道、千葉県君津市人見・木更津市畔戸・江川・中里・桜井、愛知県師崎(愛知県全域)、三重県志摩分浜島町・阿児町・鳥羽市・伊勢市、関東の市場 備考近年全国的な呼び名になってきている。 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988)、聞取 
    オオガイ[大貝]
    場所兵庫県明石市、香川県三豊郡詫間町高谷・コマジリ・丸亀市富士見町・坂出市大越町及生浜條 備考剥き身のことだとある。『明石海峡魚景色』(鷲尾圭司 長征社 1989) 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988)、聞取 
    オバガイ
    場所愛知県渥美 
    ホンジョウガイ[本庄貝]
    場所兵庫県明石市・姫路市・高砂市 参考聞取、『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 
    ヨメゲア
    場所岩手県陸前高田市小友町・木崎町・高田町 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 
  • 主食材として「ウチムラサキ」を使用したレシピ一覧

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