殻長10cm前後になる。貝殻は厚く、形は丸味が強く、よく膨らむ。殻表は不規則な成長線で覆われる。貝殻の内側は濃い紫。
ウチムラサキの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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珍魚度・珍しさ
★★★
がんばって探せば手に入る魚貝の物知り度
★★★★
知っていたら達人級食べ物としての重要度
★★★
一般的(流通量は普通)味の評価度
★★★
美味
分類
軟体動物門二枚貝綱マルスダレガイ目マルスダレガイ科マツヤマワスレ亜科ウチムラサキ属外国名
学名
Saxidomus purpurata (Sowerby,1852)漢字・学名由来
漢字 内紫 Uchimurasaki
由来 『目八譜』から。貝殻の内側が紫色をしているため。目八譜
1843(天保14)、武蔵石寿(武蔵孫左衛門)が編んだ貝の図譜のひとつ。図は服部雪斎が描く。武蔵石寿は貝類を形態的に類別。1064種を掲載する。現在使われている標準和名の多くが本書からのもの。貝類学的に非常に重要。地方名・市場名
生息域
海水生。潮間帯から水深20mくらいの砂礫地。
北海道南部から九州。朝鮮半島、中国大陸。生態
産卵期は秋。基本情報
北海道から九州までの比較的浅場に生息している大型の二枚貝。
三河湾周辺や伊勢志摩などで「大アサリ」として焼いて売っているところが多く、宿にとまっても必ず出てくるなど観光資源ともなっている。大型で食べる部分が多いので、魅力的なのかも知れない。北海道以南でとれる貝だが、食用貝として重要なのは愛知県、三重県だと思う。
基本的な食べ方は焼く、だが意外に一般家庭では難しい。また軟体は熱を通すと硬くなるなどもあって、なかなか需要が生まれない。関東で値が安いのはこの料理法の難しさからだ。
海獣のラッコの餌としても有名。
珍しさ度 珍しくはないが、好不漁があり、一般的な食用貝ではないので探さないと手に入らない。水産基本情報
市場での評価 入荷量は少なくはない。貝殻が厚く、重いため、あまり高くなく、ときに安値となる。
漁法 潜水漁
産地 愛知県選び方
原則的に生きていて、貝殻がしっかり閉じているもの。味わい
旬は夏から初秋だろうか?
貝殻が厚く、歩留まりはやや悪い。足の生、熱を通しての色合いはきれいではない。
足、水管は熱を通すと硬くなる。ひも、貝柱は煮ても焼いてもあまり硬くならない。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
ウチムラサキの料理・レシピ・食べ方/焼く(焼き貝)、ソテー(バター焼き)、汁(みそ汁、トマトスープ)、生食(湯引き)クリックで閉じます
ウチムラサキの焼き貝 もっとも基本的な料理法。直火で焼き上げて酒、しょうゆなどで焼き上げるもの。貝から出る汁としょうゆが焦げて、まずは香りが魅力的。大きな軟体はやや硬いが、甘味うま味とも強く、これまた美味である。焼きたてを食べないと味が落ちる。
ウチムラサキのトマトスープ ウチムラサキは剥き身にして塩水などで軽く洗い、適宜に切る。フライパンにオリーブオイル、にんにくを入れて火をつける。玉ねぎみじん切りとトマトの乱切りを炒めて水分が出て来たらローリエの葉と、ウチムラサキを加えて火を通す。仕上げに白ワインを加えて、塩コショウで味つけ、少し煮て火を止めて出来上がり。クリックで閉じます好んで食べる地域・名物料理
愛知県 「オオアサリ(大あさり)」として売られている。片方の貝を剥き取り、スーパーに並んでいる。
三重県 「オオアサリ(大あさり)」としてスーパーに並んでいる。
大貝の炊きこみ 〈晩飯 ー貝の炊きこみごはん、豆腐の澄まし汁、こうこ 寒い冬の時期には、大貝など生貝が手に入る。その貝を利用した炊きこみごはんは、冬の晩飯としてからだが温まって喜ばれる。殻から出した貝の身はきれいに洗って砂をとり、きざんで、米と水と醤油と一緒に薄味に炊く。豆腐の澄まし汁をつける。〉[P68 『聞書き 兵庫の食事』(農山漁村文化協会)1992]加工品・名産品
ー釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
鮹貝の由来 〈横須賀の近辺で漁(と)れるわけであるが、水管が長くかつ赤みを帯びているので“たこ貝”などという〉。『原色・自然の手帳 日本の貝』(奥谷喬司、竹村嘉夫 講談社 1967) 〈千葉県稲毛氏笹毛(イイダコを取る)〉。『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 鮹貝とは違うが〈いまでも、巻き貝のニシ(アカニシ)の殻やダボ貝と呼ばれるウチムラサキ貝の殻を繩に連ねて仕掛け、卵を産みにくるイイダコを捕らえます〉。『明石海峡魚景色』(鷲尾圭司 長征社 1989)
橋立貝 〈殻の内側の筋肉のついていたあとを見ると、外套膜のはしにあたるところは長くつき出ているので、与謝内海(よさうちうみ/天橋立の内側の内湖で、阿蘇海ともいう)では、この部分を天の橋立の風景に見たてて“橋立貝”と呼んでいる〉『原色・自然の手帳 日本の貝』(奥谷喬司、竹村嘉夫 講談社)関連コラム(歴史)
天橋立に見立てて橋立貝
江戸時代以前から貝の世界には見立てるということがある。数寄者と言われる人達のネットワークの中から見立てた名前が生まれてくる。 ハルカゼガイ(春風貝)などは台湾以・・・ 続きを開く参考文献・協力
『日本近海産貝類図鑑』(奥谷喬司編著 東海大学出版局)、『水産無脊椎動物Ⅱ 有用・有害種各論』(奥谷喬 恒星社厚生閣)、『日本及び周辺地域産軟体動物総目録』(肥後俊一、後藤芳央 エル貝類出版局)地方名・市場名 ?
オオアサリ[大浅蜊]
場所北海道、千葉県君津市人見・木更津市畔戸・江川・中里・桜井、愛知県師崎(愛知県全域)、三重県志摩分浜島町・阿児町・鳥羽市・伊勢市、関東の市場 備考近年全国的な呼び名になってきている。 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988)、聞取オオガイ[大貝]
場所兵庫県明石市、香川県三豊郡詫間町高谷・コマジリ・丸亀市富士見町・坂出市大越町及生浜條 備考剥き身のことだとある。『明石海峡魚景色』(鷲尾圭司 長征社 1989) 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988)、聞取