体長10cm前後になる。体側にめだった斑紋はなく薄汚れた鬱金色。尻鰭の基底最前部は背鰭基底後端とほぼ同じ位置。退色にうっすらと暗色帯がある。[体長9cm、秋田県雄物川産]
アブラハヤの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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魚貝の物知り度
★★★★★
知っていたら学者級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★
まずくはない
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱ニシン・骨鰾下区骨鰾上目骨鰾系コイ目コイ科ウグイ亜科ヒメハヤ属外国名
学名
Phoxinus lagowskii steindachneri Sauvage,1883漢字・学名由来
漢字 油鮠 Aburahaya
由来・語源 表面がぬめぬめして油がついたような感触だから。長崎県東彼杵郡での呼び名の「アブラハエ」の「ハエ」を「ハヤ」に転訛して田中茂穂が命名したものではないか? 本種はタカハヤとの混称が多く、比較的よく使われた呼び名を元にしたのだと思う。地方名・市場名
生息域
淡水魚。河川の中流域、上流域の淵やよどみ。
本州のみ生息。青森県から福井県、青森県から岡山県。
朝鮮半島日本海側、中国東北部。生態
河川の中流域、下流域にも生息する。
河川でも流れの緩いよどみにいる。
雑食性で藻、底生生物など。
産卵期は4月〜7月。基本情報
本州の河川のやや上流域や流れの緩い谷などにいる小型の淡水魚。あまり流れのない場所にいて、近縁種のタカバヤとともに、子供でもつかまえることから馴染み深い魚で地方名も多い。淡水魚のなかでも利用される地域は少ないと思われる。水産基本情報
ー選び方
原則として生きているものがいい。味わい
旬は秋から春
鱗も皮もあまり気にならない。骨は軟らかい。
白身だが、内臓は非常に苦い。
この内蔵の苦さとあまり大きくならないので、山間部でもあまり食用にならないのかも。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
好んで食べる地域・名物料理
クリックで閉じますざっこ蒸し
秋田県横手市雄物川町の「ざっこ蒸し」
使う「ざっこ」は「だいとうあ(オイカワ)、「くき(ウグイ、エゾウグイも含むと思われる)、アブラハヤ(あぶらっぺ)、モツゴ、タモロコ、「ニゴイ(みごい)」、フナ(ギンブナ)、コイ。
生きている「ざっこ」は流水で水洗いする。これを鍋に入れて塩を加える。少しかき混ぜて塩を行き渡らせる。
フタをして火にかけて10分ほど蒸し煮にする。これを「塩蒸し」という。
10分経ったら鍋に溜まった水分を捨てる。フタをして空だきして水分を出し、出て来た水分を捨てる。これを3回ほど繰り返す。
平たい場所にスダレなどを敷き、塩蒸しされた「ざっこ」を広げて扇風機で水分を飛ばす。
「ざっこ蒸し」はほどよい塩加減で思った以上に食べやすく、ほろ苦さが酒に合う。[秋田県横手市雄物川町]
ー秋田県横手市雄物川町の「ざっこの貝焼き(ざっこのかやき)」クリックで閉じますざっこの貝焼き
「ざっこ」は流水で洗う。鍋に水を入れてみそしゃもじなどで入れる。このまま火をつける。このとんとみそを入れて火をつけることを「落としみそ」という。湧き上がってきたら味見。ここに生きている「ざっこ」を入れてふたをして煮る。仕上げに酒を入れる。豆腐やねぎを入れてもいい。「ざっこ」をみそで煮ただけなのにうま味のある汁になり、「ざっこ」もわたがほろ苦くておいしい。「ざっこ」は「だいとうあ(オイカワ)、「くき(ウグイ、エゾウグイも含むと思われる)、アブラハヤ(あぶらっぺ)、モツゴ、タモロコ、「ニゴイ(みごい)」、フナ(ギンブナ)、コイ。加工品・名産品
ー釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
大師焼串の魚(高野山焼き串のある魚) 「子供が魚をとり、焼いているところに弘法大師が通りかかったとき、その串に刺して焼いた魚を買い取り、玉川に放したところ生き返って泳ぎ始めたという。それで背の部分に薄く黒い筋がヤケドのあととして残っているという」。[石川県中能登町など]、「餘り古くよりの傳説ではないようであるが、高野山の奥の院の前を流るゝ玉川に棲んでいる魚は『昔弘法大師が魚串にさゝれて時に焼かれんとしたものを助けて放ったもので、この川にすんでゐる限り、背中に魚串の跡が残っている』といひ、之が高野山の名物になっている。この魚串のあるという魚は即ちアブラハヤであって、生時水中を泳いでいるとき、背鰭が淡黄色の斑点に三重、それがT字魚串の跡のように見えるのである」。[紀州魚譜]参考文献・協力
協力/佐藤正彦さん(秋田県横手市雄物川町)
『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年)、『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会 20130226)、『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929)、『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会 20130226)