ざっこ蒸は雄物川水系冬の味

秋田県横手市雄物川町、佐藤政彦さんが作ってくれた「ざっこ蒸」は「ためっこ漁」でとれた「ざっこ」の大方を使って作る。
「ざっこ蒸」は「塩蒸しざっこ」ともいう。
柔らかくほどよい塩味で、内臓に苦味がある。
けっして食べやすいものではないが、残して置きたい雄物川の冬の味覚である。
コイ科の小魚で大きさも種も違っている

「ざっこ蒸」は羽後町にもある。
また同町にはコイの養殖場で作られているものがあり、こちらは「小魚むし」とも言う。
使う「ざっこ」は「だいとうあ(オイカワ)、「くき(ウグイ、エゾウグイも含むと思われる)、「あぶらべ(アブラハヤ)」、モツゴ、タモロコ、「みごい(ニゴイ)」、フナ(ギンブナ)、コイなどだ。
本来はフナやコイの若い個体、アブラハヤ、ウグイが主体だった。それがオイカワやニゴイ、モツゴ、タモロコなどの移入により多様になったと想像する。
ざっこはまだ生きている

漁を終えてすぐなので、「ざっこ」まだ生きている。
これを流水で水洗いする。
塩とざっこだけで作る

鍋に入れて塩を加える。
少しかき混ぜて塩を行き渡らせる。
蒸し煮をしながらざっこから水分を出し切る

フタをして火にかけて10分ほど蒸し煮にする。
これを「塩蒸し」という。
水分を捨てる

10分経ったら鍋に溜まった水分を捨てる。
保存性からも水分を完全に捨てないといけない。
空だきしてさらに水分を取る

再度フタをして鍋を揺らしながら空だきして、また水分を捨てる。
扇風機で放冷する

平たい場所にスダレなどを敷き、塩蒸しした「ざっこ」をあける。
ていねいに広げて扇風機で水分を飛ばす。
意外にも蒸したてよりも少し置いた方がおいしい

「ざっこ蒸し」はほどよい塩加減で思った以上に食べやすく、ほろ苦さが酒に合う。
いちばん味がいいのは「だいとうあ(オイカワ)」だという。
「ためっこ漁」でとれたものを基本的に「ざっこ蒸」にする
とれてすぐに蒸すが、一日3回ほど繰り返す。
近隣の食料品店などでも買えるし、同様のものが直売所や道の駅でも買える。