小田原魚市場、小型のタカベは売れるかも?

タカベのあぶりは小さくてもとてもイケル味


10月17日、神奈川県小田原魚市場、二宮定置はたいへんなことになっていた。大量の小型のゴマサバ、イサキでダンベ3個、4個が並ぶ。
そんな慌ただしい中、お邪魔して申し訳ない。
中に小型のタカベがあった。
体長13cm・38g前後である。
高級魚のタカベだが、このサイズではどうしようもない。
小田原で「くちもの」と呼ばれる雑多な箱にしても売りにくく、ダンベに入れると魚粉業者に嫌われそうである。

持ち帰って水洗いしてペーパータオルにくるんで保存。
昼下がりに「あぶり(焼霜造り)」にする、といても三枚に下ろし、腹骨・血合い骨を取り、皮をあぶって氷水に落とす。
水分をきり、冷蔵庫で少し寝かせて皮目を落ち着かせて切っただけ。

これが端的においしい。
文句なしといってもいいだろう。
タカベは皮を生かさないとダメだ。
若い個体の血合いは鮮度がよくてもくすみ、食感のよさは数時間しかもたない。
舌にずんと響くような強いうま味とあぶった香りで、「これを捨てたらあかん」とぞ思う。

刺身すると身自体の味のよさがわかる


念のために刺身にもしてみた。
見た目は悪いがタカベの身(筋肉)には強いうま味があることがわかる。
これまた結構イケル味である。
昼下がりなので、酒なしの土佐番茶だけど、充分にいい時間が過ごせた。

タカベがないと関東人は困りに困る


タカベは不思議な魚である。
関東や伊豆諸島に多く、ほかの海域でも見られるが、それほど多くはない。
しかも熱帯域にはいないのである。
関東を代表する食用魚で、大型は信じられないほど高い。
東京をはじめ、関東ではめったにタカベの塩焼きが食べられなくなって久しい。


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