生息域 |
海水魚。
茨城県〜九州南岸の太平洋沿岸、伊豆諸島、小笠原諸島。
[少ない]若狭湾〜九州北部。
朝鮮半島南岸、済州島。 |
生態 |
■ 産卵期は8月から10月。
■ 動物プランクトンを食べている。 |
基本情報 |
関東では夏の魚の代表的なもの。市場などでは4月、5月は走りの時季、6月、7月、8月が旬と考えている人が多い。面白いことに走りを喜ぶ関東にあっても、春のタカベはよしとしない。例えば4月に入荷しても「まだ早い」と手を出さない人が多い。
三重県などでも揚がるが関東ほどには高値がつかないし好んで食べるということもない。
基本的に焼き魚用の魚で、生食することはまずないにも関わらず高値がつく。
夏の夕べなどに本種の塩焼きでビールは夏の風物詩である。 |
水産基本情報 |
市場での評価 関東の市場には伊豆諸島、千葉県、静岡県などから入荷してくる。値段は高値安定。
漁法 釣り、刺し網、巻き網
産地 伊豆諸島(東京都) |
選び方 |
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味わい |
旬は初夏から夏
鱗は小さく弱い。皮は比較的厚みがあり、しっかりしている。骨は軟らかい。
血合いの色は鮮度が落ちると赤黒くなる。透明感はあるものの刺身にして美しくない。
熱を通しても硬くならず、身離れがいい。 |
栄養 |
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寄生虫 |
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食べ方・料理法・作り方 |
焼く(塩焼き)、煮る(煮つけ)、揚げる(唐揚げ)  タカベの塩焼き
タカベの塩焼き 水洗いしてよく水分を拭き取っておく。振り塩をして少し寝かせる。脂が強いので短時間では塩が馴染まない。これをじっくりと炎が上がらないように焼き上げる。初夏の塩焼きは絶品。東京都では夏の塩焼きではイサキよりも珍重する。少々高値でも食べたくなる。  タカベの煮つけ
タカベの煮つけ 漁師さんは煮つけにもしている。要するに作り置きできるという意味合いもあるのだろう。水洗いして切れ目を入れて湯通しする。これを酒、砂糖、しょうゆ、水で煮る。単に甘辛く煮ても、甘酢で煮ても美味しい。  タカベの唐揚げ
タカベの唐揚げ 小振りのものなら唐揚げにしてもいい。脂ののったものよりもカラリと揚がる。ここでは開いてよく水分を切り、二度揚げにしている。サクサクとほとんど余すところなく食べられてとても美味。 |
好んで食べる地域・名物料理 |
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加工品・名産品 |
三重県尾鷲市では開き干しが作られている。
梶賀のあぶり 漁港であがったばかりのタカベを桜の木であぶったもの(スモークした)。そのまま食べられてまことにうまい。[三重県尾鷲市梶賀町]  べんたの開き
タカベの開き 尾鷲では「べんたの開き」。とれたばかりのタカベを開いて干し上げたもの。脂がのっていて焼く内から脂が染み出して表面が油で揚げたように褐色に染まる。強いうま味と豊かな脂が相まって実にうまい。  梶賀のあぶり
梶賀のあぶり 尾鷲市ではタカベを「べんた」という。春から初夏にかけてとれる「べんた」の幼魚を、桜、もしくは樫の木でじっくりとあぶり焼きにする。要するに燻煙することで保存性を高め、しかも好ましい香りをつけたもの。小振りの割りに骨が気にならず、風味豊かで非常に味わい深い。シングルモルトの上質のウイスキーなどに合わせるといいかも。 |
釣り情報 |
初夏から夏にかけて、千葉県外房から、伊豆諸島までコマセカゴつき方天秤仕掛け、オキアミエサなどで釣る。 |
歴史・ことわざ・雑学など |
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参考文献・協力 |
協力/岩田昭人さん(三重県尾鷲市)
『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『日本の海水魚』(岡村収、尼岡邦夫編・監修 山と渓谷社)、『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版) |