60cm前後になる。体高(この画像で天地)は高く、輪切りにすると丸ではなく楕円形。鰓ぶたの後ろに続く鱗のある部分は第一背ビレと第二背ビレの中間で糸状になる。
ヒラソウダの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)



![マルソウダ(上)とヒラソウダ(下)を並べてみた。幼魚時はヒラソウダの方が体高があり白い。それで「しろす(白すま)」と呼ばれている。[高知県中土佐町久礼大正市場]](https://www.zukan-bouz.com/public_image/Fish/141/Thumb630/hirasouda01.jpg)
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魚貝の物知り度
★★★★
知っていたら達人級食べ物としての重要度
★★★
一般的(流通量は普通)味の評価度
★★★★★
究極の美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目サバ亜目サバ科マグロ族ソウダガツオ属外国名
学名
Auxis thazard thazard (Lacepède, 1800)漢字・学名由来
漢字 平騒多鰹、平宗太鰹 Hirasouda
由来・語源 東京・神奈川での呼び名で、ともに魚名としての歴史は古い。古くはカツヲ科ソウダガツヲ属だった。ソウダガツオ属でマルソウダと比べると左右に平たいため。
「そうだ」について
「鰹に似たれば〈鰹だそうだ〉といいしを、倒置したる魚名」広辞林。
騒多鰹、宗太鰹(『新釈 魚名考』栄川省造 青銅企画出版)とすると「平騒多鰹、「平宗太鰹」。
「常に群集して、水面にしぶきを立てながら小魚を捕食する。〈集まって騒ぐ・騒々しい〉ということで『ソウダガツオ』の呼称は〈騒々しく騒ぐ鰹〉の意味」ともに参考/『新釈魚名考』榮川省造 青銅企画出版
このソウダガツオの体の左右に扁平なものの意味。
昔はヒラメジカとも。
〈「ひらそうだ」、「丸そうだ」の二種有〉『物類称呼』(越谷吾山著 安永4/1775 解説/杉本つとむ 八坂書房 1976)Lacepède
Bernard Germain Lacepède(ベルナール・ジェルマン・ド・ラセペード 1756-1825 博物学者、音楽家。フランス)はビュフォン(Georges-Louis Leclerc de Buffon 博物学者。リンネとは違った配列を試みた)の後継者。地方名・市場名
生息域
海水魚。沿岸の表層を回遊。
北海道〜九州南岸の日本海・東シナ海沿岸、北海道〜九州南岸の太平洋沿岸、屋久島、琉球列島、小笠原諸島。
朝鮮半島東岸南部、済州島、東太平洋を除く全世界の熱帯から温帯域。生態
マルソウダとは形態的に類似、生態的にも同じような暮らし方をしているが、本種のほうがより沿岸性である。
国内での産卵期は夏〜初秋だと思う。基本情報
世界中の熱帯域から温帯域を回遊。世界中で漁獲、利用されている。東南アジアをはじめ熱帯域ではマルソウダと混獲されているようで、漁獲後冷凍して流通、もしくは燻製になって売り買いされているようだ。
国内ではマルソウダが節などに加工されて、需要が高いのに対して、比較的漁獲量は少なく地域地域で消費されるローカルな魚であった。それが近年、スマとともに流通の場でも見かける機会が増え、値上がり傾向にある。加工品は少なく、干もの、塩蔵品やなまり節になるが。マルソウダと比べると少ない。
スマと利用法が同じであるために混同されやすい。地域によっては、本種が単に「すま」、スマが「もんずま(紋すま)」なとと区別されることも多い。
味のいい魚で、流通での扱いさえよくなれば需要が増すと思う。水産基本情報
市場での評価 主に鮮魚として流通する。2010年くらいまで、あまり流通の場では見かけない魚であったが、近年増えている。安くはない。
漁法 定置網、巻き網
主な産地選び方
鰓が鮮紅色のものがいい。体が丸く、体高の高いもの。表面の銀色が強いもの。味わい
栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
ヒラソウダの料理法・調理法・食べ方/生食(たたき、刺身、セビチェ、なめろう、づけ)、煮る(煮つけ、角煮)、ゆでる(なまり節、塩ゆで)、汁(みそ汁)、焼く(塩焼き、みりん干し)、揚げる(竜田揚げ、唐揚げ)クリックで閉じます
ヒラソウダの刺身 晩秋の山陰産のヒラソウダを刺身にしたもの。旬はわかりにくく、また小さくても刺身にしておいしい。三枚に下ろして血合い部分を取り、刺身にする。皮下に脂が層になっていて、これが実に甘く、舌の上でとろける感がある。うま味がとても豊かで、ほどよい酸味がある。この舌にまとわりつくような、うま味はとても名状しがたい。
ヒラソウダのたたき 水洗いして腹骨をすき、血合いを切り取る。皮目をバーナーなどであぶり冷凍庫などであら熱を取る。冷えたら適宜に切りつける。これをにんにくしょうゆ、しょうがしょうゆ、柑橘類としょうゆなどで食べる。クリックで閉じますヒラソウダの血合いのなめろう 新鮮なものなら血合いには臭味などはまったくない。これをみそ、ねぎ(玉ねぎ)、青じそ、みょうがなどと叩いたもの。強いうま味があって、酸味が味に深みをだしている。みそがいい役割を果たしてとてもうまい。クリックで閉じますヒラソウダの血合いのなめろう
ヒラソウダのづけ(茶漬け) 刺身状に切ったものをしょうが(にんにく)、あればすりごま、しょうゆ、少量の煮きりみりんを合わせた地につけ込む。10分程度である程度味がしみこむ。これをごはんに乗せて丼にする。お茶漬けにして食べてもうまい。クリックで閉じますヒラソウダの漬け
ヒラソウダ若魚の刺身(土佐新子風) 高知県の西部ではマルソウダの若魚(新子)を刺身にして仏手柑(青い柑橘類で独特の香りがある)の汁と果皮を下ろしてのせて醤油をかけて食べる。これをライムと醤油でやったもの。血合いはていねいに取ってある。クリックで閉じますヒラソウダのセビチェ 水洗いして皮を剥く。三枚に下ろして血合い骨・腹骨を取り細かく切る。これを塩・ライムジュース・辛い唐辛子・紫玉ねぎ(普通の玉ねぎでも)で和えて寝かせる。塩辛くで酸っぱくて、ぴりりと辛い爽やかな味わい。パンなどに乗せて食べてもいいし、豆やジャガイモなどと食べてもおいしい。クリックで閉じますヒラソウダの煮つけ 腹もの部分を湯通しして、冷水に落とし血液や滑りなど煮汁を濁らせる原因となるものを取り去る。これを酒、しょうゆ、砂糖、水で煮る。ここでは濃い口しょうゆを使い比較的あっさりと煮上げてみた。皮目のうまさは最上級である。クリックで閉じますヒラソウダ腹もの煮つけ
ヒラソウダのなまり節 水洗いをして三枚に下ろして塩ゆでする。これをザルなどに上げて放冷して、軽く乾かす。これをそのまましょうがじょうゆで食べたり、煮つけやみそ汁の具にする。野菜との相性が抜群にいい。クリックで閉じますヒラソウダのなまり節
ヒラソウダのなまり節と大根の煮物 ゆでて干すと、冷凍可能になるし、当然冷蔵庫での保存性も高くなる。これをそのまま食べてもいいし、焼いて食べてもいいのだけど、野菜と煮るのがいちばんうまいと思う。煮るといいだしが出て、野菜もなまり自体も非常にうまい。ご飯に合う。クリックで閉じますヒラソウダのあらの塩ゆで 兜(頭部)やあら、胃袋、心臓、肝、卵巣などを塩ゆでにして放冷したもの。煮汁もおいしいので添えても、また野菜などを煮るときに使ってもおいしい。頭部などには思った以上に筋肉がついていてとてもおいしい。クリックで閉じますヒラソウダの塩ゆで
ヒラソウダのみそ汁 刺身やたたきにした後のあらや心臓、肝などを湯通しする。冷水に落として鱗、ぬめりなどを取る。水分をよくきり、水で煮だしてみそを溶いたもの。非常に濃厚でいながら後味のいいおいしい汁が出来上がる。付着した身や皮なども美味。クリックで閉じますヒラソウダのあらのみそ汁
ヒラソウダの腹ものみりん干し 内臓を包む脂ののっている腹もの部分をしょうゆ、みりんの地につけ込んでじっくりと焼き上げたもの。塩焼きもうまいが、このように調味料を使って焼いてもとてもうまい。クリックで閉じますヒラソウダの腹ものみりん干し
ヒラソウダの竜田揚げ 小振りのものを適宜に切り、みりん、酒、しょうゆの地につけ込んで置く。揚げる前に水分をよくきり、片栗粉をまぶしてじっくりと揚げたもの。表面はかりっとして香ばしく、筋肉はうま味が豊かでおいしい。クリックで閉じますヒラソウダの竜田揚げ
好んで食べる地域・名物料理
刺身など 徳島県阿南市から海部郡海陽町まででは刺身や山かけ、煮つけなどにして「スマ」をよく食べる。
焼き切り(やきぎり)●三枚に下ろして皮目をあぶり、刺身状に切り、手に塩をまぶして叩く。次ぎに柚子酢をてにつけてたたき、玉ねぎのスライスをのせる。ハス(イシダイ)、コウロ(イシガキダイ)、グレ(メジナ)、ヒラソウダ、カツオなど。[徳島県海部郡海陽町宍喰]
焼き切れ(やきぎれ)●高知県では皮付きのままあぶり、刺身状に切り、しょうゆをかけてにんにく、しその葉など季節の香りのある野菜を乗せるとある。加工品・名産品
干ものもしくは塩蔵品に加工される。
すまのなまり節 小型のスマ(ヒラソウダ)をゆであげて干したもの。徳島県南部、海部郡ではメジカ(マルソウダ)とともになまり節にする。これをそのまま食べたり、あぶって食べてもいい。野菜などと煮てもおいしい。[ぬしま鮮魚/徳島県海部郡海陽町宍喰]クリックで閉じますそまがつおのなまり節 和歌山県、高知県などで作られているもの。塩ゆでして放冷して表面を乾かしたもの。野菜と煮たり、このまま食べたりする。クリックで閉じますヒラソウダのなまり節
そまのやき(焼き) 小型のソマ(ヒラソウダ)をじっくりと焼き上げて放冷したもの。焼いた時の香が実にいい。このままほぐして食べる。[主婦の店/三重県尾鷲市]クリックで閉じます塩がつお 三枚に下ろして塩に漬け込んだもの。主に伊豆半島周辺で作られている。これを薄く切りあぶってご飯のおかずにする。[魚國 神奈川県小田原市]クリックで閉じますヒラソウダの塩がつお
釣り情報
アジサバ釣り、マダイ釣りの外道のひとつ。サビキ、天秤仕掛けのエサ釣りなどに盛んにくる。
夏から秋の疑似餌を使った相模湾のカッタクリ釣りでも数が上がる。
磯からのカゴ釣りにもくる。歴史・ことわざ・雑学など
和名ヒラソウダは東京、千葉での呼び名。参考文献・協力
協力/二宮定置(神奈川県二宮町)
『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)、『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版)地方名・市場名 ?