70cm SL 前後になる。紡錘形で側面からみると扁平なアーモンド型。頭部が小さい割りに口は大きく犬歯が並ぶ。第1背鰭と第2背鰭は接近して近い。側線は頭部付近で2本に分かれる。
ニジョウサバの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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珍魚度・珍しさ
★★★
がんばって探せば手に入る魚貝の物知り度
★★★★★
知っていたら学者級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★★
美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目サバ亜目サバ科サワラ族ニジョウサバ属外国名
学名
Grammatorcynus bilineatus (Rüppell,1836)漢字・学名由来
漢字 二条鯖 Nijousaba
由来・語源 側線が頭部付近で後方に二条に分かれ、また尾の部分で一本になるため。
〈サバ型類サワラ科ニジヤウサバ屬 Grammatorcynus bilineatus 〔東印度諸島から紅海に分布する。本邦に産するか否かは不明。〕〉。『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)Rüppell
Wilhelm Peter Eduard Simon Rüppell (エドゥアルド・リュッペル 1794-1884)。ドイツ。博物学者。地方名・市場名 ?
生息域
海水魚。沿岸表層性。
高知県以布利、鹿児島県南さつま市笠沙・下甑町・トカラ列島、奄美大島、琉球列島。
インド-西太平洋の熱帯・亜熱帯域。生態
産卵期は夏。基本情報
高知県や鹿児島県でも揚がっているが、多いのは鹿児島県諸島部以南で熱帯域に多い。サワラ、カマスサワラなどを含む、Spanish mackerel と呼ばれるグループに属す。南半球オーストラリアなどには本種よりも巨大な同属、Shark mackerelがいる。紡錘形で比較的大きくなる。味はサワラとサバの中間的なもの。イソマグロを加えた Spanish mackerel に共通するものである。サバ科の大型魚が少ない熱帯域では貴重な存在だと思う。
鮮度落ちが早いので値段は高くない。サバ同様に総菜などにして美味しい。
珍魚度 珍魚ではないが、手に入れようと思うと産地である沖縄県などに行くしかない。水産基本情報
市場での評価 主に沖縄県、少ないが鹿児島県で取り扱われている。比較的安い。
漁法 定置網
産地 沖縄県、鹿児島県選び方
触って張りのあるもの。腹が軟らかくないもの。目が澄んでいるもの。味わい
旬は春〜夏。
鱗は薄く取りやすい。皮は薄くややもろい。骨は軟らかく、脊椎骨はあまり盛り上がっていない。
白身で古くなると白濁する。血合いは薄い。
卵巣はとても美味しい。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
ニジョウサバの料理・レシピ・食べ方/揚げる(フライ)、煮る(みそ煮、煮つけ)、汁(みそ)、生食(刺身、焼霜造り、カルパッチョ、セビッチェなど)、焼く(西京焼き、塩焼き、幽庵焼き)ニジョウサバのフライ サバ(サバ属)よりもサワラやイソマグロに近い身質。肉食系でよく泳ぐ魚なのに、赤味よりも白身を思わせる。くせのない味で、適度に繊維質の身をしているのでフライ材料にはもってこいの魚である。クリックで閉じますスパニッシュマッカレルのフライ
水洗いして三枚に下ろし皮を引く、適当な大きさの切り身にして塩コショウする。小麦粉をまぶし、溶き卵をからめパン粉をつけてやや高温で揚げる。
適度に繊維質で豊潤な身がさくっと香ばしい中に。非常に上品な味わいの中に魚らしいうま味がある。
ニジョウサバのみそ煮 サバと同様にみそ味で煮るととても美味しい。液体をかいすることで、熱を通しても身が締まりすぎない。切り身にして湯通しする。冷水に落として残った鱗やヌメリを流す。水分をきり、酒・砂糖・水で煮る。仕上げにみそを溶き、少し煮込んで出来上がりだ。みそのうま味と相まって非常においしい。クリックで閉じますニジョウサバのみそ煮
ニジョウサバの煮つけ(兜煮) ここでは頭部を使ったが、どこでもいいし、あらを煮てもいい。食べやすい大きさに切り、湯通しして冷水に落とす。残った鱗とぬめりを流し、水分をきる。これを酒・醤油・砂糖・水を沸騰させた中で煮る。醤油は控えめにして加減するといい。味つけはお好みで。クリックで閉じますニジョウサバの兜煮
ニジョウサバの真子煮 初夏の固体は抱卵していて、卵巣がかなり膨らんでいた。卵粒は細かく、成熟度は低いとみた。湯引きして冷水に落として粗熱をとる。これを酒・しょうゆで味つけする。きめ細やかで甘味がある。クリックで閉じますニジョウサバ真子の煮つけ
ニジョウサバのみそ汁 あらを集めて置く。湯通しして冷水に落として残った鱗やぬめりをとる。水分をよくきり、水で煮だしてみそを溶く。青魚の呈味成分がある模様で、非常にうま味豊かな味わいの汁になり、あらも美味。ご飯に合う。クリックで閉じますニジョウサバのみそ汁
ニジョウサバのあぶり(焼霜造り) サワラに似た味で、身割れしやすいことなども同様だ。そのまま食べても美味しいが、淡泊な味わいなので、三枚に下ろして腹骨・血合い骨を抜き、皮目をあぶる。冷水に落として粗熱をとり、刺身状に切る。皮目に味と脂があり、くせのない白身と相まって美味。クリックで閉じますニジョウサバのあぶり
ニジョウサバのみそたたき(なめろう) 水洗いして三枚に下ろし、皮を引く。細かく切り、ねぎ・みょうが・しょうが・みそと合わせてしっかり切れる包丁でたたく。包丁はできるだけ切れるものを使いたい。どちらかというと単調な味わいが香味野菜とみそで味わい深くなる。クリックで閉じますニジョウサバのなめろう
ニジョウサバの刺身 水洗いして三枚に下ろし、腹骨・血合い骨を取る。皮を引いて刺身状に切る。見た目的にもサワラやイソマグロに似ており、味の傾向も同じである。うま味や甘味はそこそこあるものの、はっきりした味のない味。クリックで閉じますニジョウサバの刺身
ニジョウサバの幽庵焼き 切り身にして酒・しょうゆ・みりん同割りに漬け込んで焼き上げたもの。単に焼き上げるとたんぱくであるが、調味料の甘味が生きる。酒の肴だけではなく、ご飯のおかずにもいい。クリックで閉じますニジョウサバの醤油焼き
好んで食べる地域・名物料理
ー加工品・名産品
ー釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
協力/河村雄太さん(沖縄県石垣市)、田中水産(鹿児島県鹿児島市)
『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会 20130226)