ヨコシマサワラ

Scientific Name / Scomberomorus commerson (Lacepède,1800)

ヨコシマサワラの形態写真

2m TL 前後になる。サワラよりもやや体高があり、濃いグレイの横縞があり、側線は第2背鰭後方で急に下の方に曲がる。
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2m TL 前後になる。サワラよりもやや体高があり、濃いグレイの横縞があり、側線は第2背鰭後方で急に下の方に曲がる。2m TL 前後になる。サワラよりもやや体高があり、濃いグレイの横縞があり、側線は第2背鰭後方で急に下の方に曲がる。側線は第2背鰭後方で急に下の方に曲がる。
    • 珍魚度

      ★★★★
      めったに出合えない
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★
      知っていたら達人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★★★
      究極の美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目サバ亜目サバ科サワラ族サワラ属

    外国名

    学名

    Scomberomorus commerson (Lacepède,1800)

    漢字・学名由来

    漢字 横縞鰆、横縞狭腹、横縞小腹(よこじまさわら、よこしまさわら) Yokosimasawara
    由来・語源 岸上鎌吉(1867〜1929)の命名。『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年)
    サワラの仲間で横縞があるものという意味。古くは台湾以南に生息するとされていた。
    サワラ 古くサハラ科で標準和名はサハラだった。旧和名のほうが、狭腹、小腹の漢字の音に近い。サワラは体つきはほっそりしているという意味。
    Lacepède
    Bernard Germain Lacepède(ベルナール・ジェルマン・ド・ラセペード 1756-1825 博物学者、音楽家。フランス)はビュフォン(Georges-Louis Leclerc de Buffon 博物学者。リンネとは違った配列を試みた)の後継者。
    Kishinouye
    岸上鎌吉(きしのうえ かまきち 慶応3年〜昭和4年 1867-1929)。東京帝国大学教授。動物学者・水産学者。水産学の黎明期に甲殻類、棘皮動物、魚類など様々な分野を研究した。

    地方名・市場名

    プラチナサワラ
    場所京都府京都市、三重県熊野市 参考聞取 
    クロサワラ
    場所富山県氷見市・富山市 参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 
    イノーサワラ
    場所沖縄県 参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 
    サーラ
    場所沖縄県南城市知念漁協 参考『美ら海市場図鑑 知念市場の魚たち』(三浦信男 ぬにふぁ星 2012) 
    ヒラサーラ
    場所沖縄 参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 

    生息域

    海水魚。沿岸表層群遊性。
    新潟県佐渡、石川県珠洲・宇出津、山口県の日本海側、長崎県生月島、鹿児島県南さつま市笠沙、三重県志摩市遊佐、琉球列島。
    朝鮮半島南岸西岸、台湾、広東省、海南島、インド〜西太平洋。

    生態

    基本情報

    西太平洋、インド洋の熱帯・亜熱帯域に広く生息する。この地域では重要な食用魚。琉球列島や鹿児島などで漁獲されて、ときに国内で流通する。温暖化が進むと本種が普通に国内で流通するかも知れない。
    サワラよりも大型で、国内の漁獲量は少ないが、冷凍輸入されているサワラの多くが本種である可能性が高い。
    大型になり、クセのない味であるが、サワラと比べると落ちる。
    珍魚度 古くは国内でとれたら事件といえそうだった。それが年年少しずつ獲れる量が増えている。今は明らかに珍魚だが、先々は不明。


    熱帯域では重要 熱帯域のマーケットに並ぶヨコシマサワラ。この地域では重要な食用魚で蒸し焼き、燻製などになる。

    水産基本情報

    市場での評価 小型は見かけたことがない。入荷は不安定で全体量は少ない。サワラよりも安く、やや高値。
    漁法
    産地 石川県ほか

    選び方

    横縞がくっきりしているもの。触って張りのあるもの。

    味わい

    旬は秋から春ではないかと思うが調べているところだ。
    鱗は弱くとれやすい。皮は背で厚く腹は薄い。骨は軟らかく、小骨などはない。
    最初は透明感のある白身であるが、すぐに白濁する。やや繊維質で身離れがよい。


    切身 見た目はサワラとほとんど変わらない。白濁して血合いが濃い。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    ヨコシマサワラの料理法・レシピ・食べ方/刺身、ソテー(ごま油焼き、フライパン照り焼き、ムニエル)、汁(みそ汁、鍋、吸いもの、カレー)、煮つけ、焼きもの(みそ漬け、粕漬け、幽庵焼き)、揚げ物(フライ、唐揚げ)



    ヨコシマサワラの刺身 11月の固体は非常に脂がのっていた。皮引き、皮付きで食べてみたら皮つきの方がうまい。三枚に下ろして血合い骨・腹骨を取り、腹側の部分を皮付きのまま刺身にしてみた。脂が豊かなので口溶け感が甘く感じる。うま味も豊かで非常にうまい。

    ヨコシマサワラの白みそ漬け 水洗いして三枚に下ろして切り身にする。塩をして少し置き表面に出て来た水分を拭き取る。これを酒・みりん・醤油の祐庵地につけ込む。1日前後つけてじっくりと焼き上げる。焼き上げても硬くならすふんわり豊潤である。調味料だけではない本種自体の味もあっておいしい。
    ヨコシマサワラの幽庵焼き サワラと同じように漬け魚にするといい。三枚に下ろして切り身にして振り塩をする。水分が出て来たら拭き取ってみそにつける。ここでは白みそ・みりんの地につけ込んだ。1日以上つけて焦がさないように焼き上げる。漬け込んで硬く締まりすぎず、とても味わい深い。
    ヨコシマサワラの胃袋の干もの 胃袋は大きく厚みがある。これを開いて表面の滑りなどをていねいにこそげ落とす。振り塩をして少し寝かせて、開いたまま冷蔵庫で軽く干す。これを焼いて縦方向に切る。佳肴で酒が進む。
    ヨコシマサワラの煮つけ かまの部分を煮つけてみた。湯通しして冷水に落として表面のぬめりなどを流す。水分をよくきり、酒・醤油・水であっさりと煮る。砂糖、みりんで甘味を加えてもいい。煮ても硬く締まらず、身離れがいい。あっさりした味わいの中にサバ科らしいおいしさがある。
    ヨコシマサワラの魚すき 「魚すき」、島根県では「へか焼き」、「煮食い」などという。すき焼きの地で魚を煮ながら食べる。ここでは三枚に下ろして腹身をやや薄めにきり煮ながら食べた。中骨などを下煮するとうま味が増す。嫌みがなくほどよく脂があるので硬く締まらない。非常にうまい。
    ヨコシマサワラのフライ 小骨がなくくせのない魚なので、フライにもってこいです。三枚に下ろし切り身にして塩コショウする。小麦粉をまぶし、衣(卵・小麦粉・水)をからめパン粉をつけて揚げる。くせのない上品な味わいのなかに、サバ科ならではのうま味がある。
    ヨコシマサワラの竜田揚げ 刺身で余った部分などを集めて置く。醤油・酒・みりんの地につけて1時間程度置く。水分をよくきり、片栗粉をまぶして揚げる。にんにくやしょうが、コショウなど好みの風味を。揚げると中はふんわりジューシーになり、美味。
    ヨコシマサワラの吸物 上品な白身でほどよく繊維質、熱を通して口に入れるとほどよく崩れる。これが吸物種にとって重要なことだ。本種などまさにそれに符合する。三枚に下ろして切り身にして、吸い地で軽く火を通して岡上げする。これを椀に入れて吸い地(カツオ節出し・酒・塩・薄口醤油)を張る。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年)、『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会 20130226)、沖縄水産試験場 沖縄で漁獲される主要魚の名称一覧表、『鹿児島県から得られたサバ科ヨコシマサワラ Scomberomorus commerson の記録』(畑 晴陵、伊東正英、本村浩之)
  • 主食材として「ヨコシマサワラ」を使用したレシピ一覧

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