SL 100cm以上237cm前後になる。131kgを超える大型魚。サワラ類の中では体高があり、中央部分がいちばん体高が高く、頭部はとんがっている。歯が鋭く側線は第1背鰭後半で急に下方に下がる。[五島列島産 8㎏]
ウシサワラの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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珍魚度・珍しさ
★★★★
めったに出合えない魚貝の物知り度
★★★★★
知っていたら学者級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★★★
非常に美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目サバ亜目サバ科サワラ族サワラ属外国名
学名
Scomberomorus sinensis (Lacepède, 1800)漢字・学名由来
漢字/牛鰆 Ushisawara
由来・語源/世界最大のサワラで「牛」は大型を表す。〈長門でウシサワラ、東京や九州でオキザワラ〉。田中茂穂。
〈サハラ科ウシサハラ属 ウシサハラ Scomberomorus sinensis Lacepède, 1802〉。『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)
〈オキザワラ 沖鰆 Scomberomorus chinensis Cuvier & Valenciennes/ミススペル サバ科〉『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年)Lacepède
Bernard Germain Lacepède(ベルナール・ジェルマン・ド・ラセペード 1756-1825 博物学者、音楽家。フランス)はビュフォン(Georges-Louis Leclerc de Buffon 博物学者。リンネとは違った配列を試みた)の後継者。地方名・市場名
生息域
海水魚。沿岸表層性でときには河へ入る。
秋田県、若狭湾、島根県隠岐、山口県日本海沿岸、福岡県津屋崎、九州西岸、五島列島、千葉県、東京湾、相模湾、駿河湾、和歌山県。
朝鮮半島南岸、済州島、黄海、中国東シナ海・南シナ海、インドシナ半島沿岸、ニューギニア島西部、アラフラ海、ジャワ海。生態
河川にも上りメコン川をプノンペン付近にまで遡った。基本情報
西日本から朝鮮半島、臺灣、中国沿岸に生息している。平均100cm、237cmにもなる大型魚。国内では水揚げ量が極端に少ない魚である。水揚げがあっても十数キロの大きな個体ばかりである。国内で揚がるのが大型個体であるのは北限だからで、再生産はなされていないためだろう。
国内では長崎県や鹿児島県で稀に水揚げされる。臺灣、中国などでは重要な食用魚。
珍魚度 まさに珍魚。サワラ属の中でも国内水揚げはわずかでしかなく、流通することはまずない。手に入れたら幸運としかいいようがない。水産基本情報
市場での評価/国内ではほとんどとれない。値段はサワラに準じてやや高値がつく。また最近珍しさから希に高値がつく。
漁法/定置網
産地/長崎県、鹿児島県選び方
触って張りのあるもの。後半の文様がくっきりしているもの。味わい
旬は不明。晩秋から冬ではないかと思うが情報が少なすぎる。
鱗は小さく取りやすい。骨はあまり硬くない。
透明感のある白身だが、白濁しやすい。サワラなどと比べると少し水分が多い。熱を通しても硬くなりにくい。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
ウシサワラの料理・レシピ・食べ方/生食(刺身、焼霜造り、カルパッチョ、ポケ、セビチェ)、煮る(魚すき、煮つけ、塩煮)、焼く(西京焼き、つけ焼き、塩焼き)、揚げる(フライ、唐揚げ)、ソテー(ムニエル)、汁(潮汁、みそ汁、スープ)クリックで閉じます
ウシサワラの刺身(腹) 背と腹を分けると断然、腹の方に脂がのり、見た目にもきれいだ。あまり大きくない個体でも脂は適度にのっていて、繊維がなめらかなのか食感もいい。甘味とうま味がほどよく食べ飽きない味わいだ。
ウシサワラの刺身(背) 背の方は一様に白っぽく、味わい的にも単調。イヤミのない味だし、サワラらしい上品な甘味もあるものの、大型魚なので生食よりも焼き物などに使うべきなのかも知れない。クリックで閉じます
ウシサワラの焼霜造り 刺身ではやや単調に思える向きには、皮目をあぶって切りつけることをすすめる。皮目はあぶるときれいな焼き目がつき、独特の好ましい香りが立つ。ほどよい甘味、うま味にこの香ばしさが加わると無敵と言ってもいいほどの味になる。クリックで閉じますウシサワラのカルパッチョ 頭部に近い方は脂があるが、尾に近い方は血合いも大きく単調な味わいだ。これをできるだけ薄く切る。皿にオリーブオイル、塩、にんにくを伸ばす。ここに薄切りを並べて、並べ終わったら上からスプーンなどでとんとんとたたく。後は上にも好みの野菜、柑橘類をふるなどして、オリーブオイルをかけまわす。クリックで閉じます
ウシサワラのマリネ(ポケ) 「ポキ」とも言うらしいが、別に名前などなくてもいいかも。刺身などで余った切れ端などを集めて置く。同じくらいの大きさに切り、好みの野菜と合わせて塩もしくはしょうゆで味つけしたもの。にんにくを使ってみたが、これもなんでもいいようだ。魚を無駄なく使える点でもいいかも。ハワイ起源のようだが、ポリネシア、メラネシアなどに広まっている。それぞれの土地でアレンジされている。クリックで閉じますウシサワラのセビチェ 刺身にした後の切り落としなどを集めて置く。同じくらいの大きさに切り、ライム、塩、辛みの強い唐辛子と和えておく。少し寝かせて柑橘酢が馴染んだら、好みの野菜などと合わせるだけ。スピリッツにとても合う。クリックで閉じますウシサワラの魚すき(へか焼き・煮食い) 水洗いして皮付きのまま刺身状に切る。これを酒・砂糖・しょうゆ味の地で煮ながら食べます。これを関西では魚すき、島根では「へか焼き」、「煮食い」といいます。地は各自の好みで、市販のすき焼きの地を使ってもおいしい。クリックで閉じますウシサワラの煮つけ 大型なのでかまや頭部、腹の部分だけ使うといい。水洗いして下ろし、余った部分などを集めて置く。これを湯通しして、冷水に落としてぬめりや残った鱗などを流す。水分をよく切り、酒・砂糖・しょうゆ味で煮たもの。味つけは好みでいい。身離れがよく、身に甘みがあり、うまいだしもでる。煮汁につけながら食べると最上級の味。クリックで閉じます
ウシサワラの塩煮(まーす煮) 頭部を梨子割りにする。この場合、湯通しはしない。むしろアクも味の内だ。鍋に頭部をいれてひたひたの塩水(強め)で短時間、強火で煮上げる。頭部からうまいだしを煮汁に移し、その煮汁で頭部を煮る。本来は液体がjほとんどなくなるくらいに煮てしまうが、ここでは少し残してみた。一緒に煮た豆腐がまた美味。クリックで閉じます
ウシサワラの西京漬け サワラ類は漬け魚に最適である。身がほどよく繊維質で、ほんのりと甘味がある。今回は京都の白みそとみりん、酒を合わせた地に漬けた。サワラよりも少しだけ水分が多いものの絶品に仕上がった。クリックで閉じますウシサワラの焼きづけ(つけ焼き) 三枚に下ろして切り身にする。これを素焼きにして焼き上がりに酒・みりん・しょうゆを合わせたものを何度か塗る。適度に焦がしながら香りが立ってきたら出来上がりだ。この淡い味だと魚本来の味わいが楽しめる。クリックで閉じますウシサワラの塩焼き かまの部分に振り塩をして1時間ほど寝かす。表面に出て来た水分をよく拭き取り、じっくりと焼き上げる。少々、上品に過ぎるものの、飽きの来ない味わい。意外にしょうゆをかけて食べるとより味わい深くなる。クリックで閉じますウシサワラのフライ 上質の白身で熱を通しても硬くならず、しっとりとする。フライにするに持って来いである。背の部分をほどよい厚みに切り、塩コショウする。小麦粉をまぶして溶き卵にくぐらせてパン粉をつけて揚げる。表面に香ばしさがあり、ほどよい繊維質で口に入れると心地よくほぐれる。お弁当などにも最適だ。クリックで閉じます
ウシサワラの唐揚げ 三枚に下ろして尾に近い繊維の粗い部分を使う。一口大に切り、酒・みりん・しょうゆににんにく、こしょうをくわえた地に半日ほどつけ込む。これに片栗粉をまぶしてじっくりと揚げたもの。表面はさくさくと香ばしく、中はふんわりと柔らかく揚がってとてもうまい。クリックで閉じます
ウシサワラのムニエル 背の部分を使う。切り身にして塩コショウする。小麦粉をまぶして多めの油で表面が香ばしくなるくらいにソテーする。仕上げにバターで風味づけ。表面は香ばしく、中の部分はふんわり柔らかいく仕上がってとても美味。クリックで閉じます
好んで食べる地域・名物料理
ー加工品・名産品
ー釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会 20130226)