メバチマグロ(Bigeye tuna)

Scientific Name / Thunnus obesus (Lowe, 1839)

代表的な呼び名メバチ

メバチマグロの形態写真

2m前後になる。紡錘形。目が大きい。胸鰭は第二背鰭、尻鰭の位置よりやや長い。第二背鰭、尻鰭はあまり長くない。
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2m前後になる。紡錘形。目が大きい。胸鰭は第二背鰭、尻鰭の位置よりやや長い。第二背鰭、尻鰭はあまり長くない。目が大きい。
  • 魚貝の物知り度 食べ物としての重要度 味の評価度

    ★★

    これは常識

    ★★★★★

    非常に重要

    ★★★★

    非常に美味
    分類
    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目サバ亜目サバ科マグロ属
    外国名
    Bigeye tuna
    学名
    Thunnus obesus (Lowe, 1839)
    漢字・学名由来
    漢字 目撥(メバチ)、眼撥(メバチ)、目撥鮪(メバチマグロ)、眼撥鮪(メバチマグロ)
    由来・語源

    目の大きいマグロの意味。
    地方名・市場名 [?]
    バチ
    場所市場 
    イモシビ キツネ シビ ソマガツオ ダルマ ダルマシビ トカキン トックリバツ トリクリバツ ヒラシビ ヒラヨコワ ミシビ ミンダナ メッパ メッパチ メンバチ ヤハラ ヤワラ
    参考文献より。 
    生息域
    海水魚。世界中の温・熱帯域。
    生態
    マグロの中ではもっとも遊泳層が深く(水深100メートルから150メートル)沖合にいる。
    太平洋での産卵期は北半球で4月から6月、南半球で1月から6月。
    抱卵数200万から600万粒。
    魚類、甲殻類、イカなどの軟体類を食べる。
    成長は1年で体長約45センチ、体重約2キロ。
    2年で体長約80センチ、体重約10キロ。
    3年で体長約1メートル、体重約20キロ。
    5年で体長約140センチ、体重約60キロ。
    10年で体長約2メートル、体重約150キロ。
    寿命10-15歳以上。
    基本情報
    クロマグロの5倍から7倍の漁獲量、輸入量があり。「マグロの刺身」としてもっとも一般的なもの。魚屋さんやスーパーで単にマグロというと本種をさすことが多い。
    基本的に中トロはとれるが大トロの部分はないとされているが、近年本種でも「大トロ」の表記を見る。
    身の色合いが鮮やかに赤い。この赤さこそマグロらしさともいえそう。安くて赤いマグロさくのほとんどは冷凍もの。三陸沖などで揚がる国産生は非常に高い。
    水産基本情報
    市場での評価 関東の市場ではもっとも大量に見かけるマグロ。冷凍物は比較的安く手頃。秋から冬の生は高価。
    漁法 延縄(釣り)、巻き網
    主な産地 静岡県、高知県、東京都、宮城県、鹿児島県
    港別
    宮城県塩釜港、千葉県勝浦港、和歌山県那智勝浦港、沖縄県那覇港
    冷凍 神奈川県三崎港、静岡県焼津港、鹿児島県山川港
    マグロ漁獲量ではもっとも多くマグロ類中30パーセント以上を占める。キハダマグロと双璧をなしている。
    選び方
    切り身(さく)の色合いの鮮やかななかに、白濁する脂が見えるもの。身にはりのあるもの。黒いしみ、筋の多いものはさける。
    またスーパーなどで買うなら刺身状に切ったものよりも、さく(板状になっている)を買い、食べる直前に刺身状に切る方がよい。
    味わい
    国内でとれるものの旬は晩秋から冬。
    部分部分で味わいが大きく違う。

    メバチマグロの断面特に銚子から三陸であがる生は非常にうまい。ただし一般的に冷凍ものが多いので旬は気にしなくていい。マグロ類のなかでももっとも親しまれているもの。微かな酸味があり、そこに脂の甘みと、旨みが加わる。クロマグロなどと比べてあっさりしている。右から血合い、中の中心部が赤身、下の白く濁っている部分が中トロ。最近、この中トロ部分のもっとも脂の強い部分を大トロと言うこともある。
    頭の身鉢の身(八の身、頭の身) 体幹部分だけではなく頭部などからも様々な身がとれる。目の上にあたる部分からとれ、棒状をしている。鉢(頭)から取れるので「鉢の身」、頭から取れるので「頭の身」、左右八の字のように埋まっているので「八の身」などとも言う。筋が多いが脂が強く大トロを思わせる。
    メバチのほおの身ほおの身 鰓蓋骨に隠れるようについている半月型の筋の多い身。生食できなくはないが焼いたり、ソテーしたり、煮たりして美味。うま味が強い。
    メバチのかまかま 胸鰭、腹鰭のついている体幹部分で一番前方の部分。筋が多く、骨が複雑に入り組んでいる。家庭で切るのは大変なのでこのまま焼くか、マグロ屋で切ってもらって煮つけにする。
    冷凍マグロの戻し方
    [1]1冊300グラムに対して2リットルの手がつけられない位のお湯(水温50度前後)に4パーセント、80グラム前後の塩をとかす。
    [2]冷凍マグロの冊をつけて5~6分。出して軽く水洗い。この時点ではまだ中心部は凍っている。
    [3]布巾で水分を拭き取り、ぬれた布巾、ペーパータオルに包んで冷蔵庫で戻す。1時間弱でもまだ微かに凍っている状態。
    [4]刺身状に切り、皿に盛る。完全の戻さないで微かに凍った状態で出すのがよい。
    栄養
    栄養/鉄分が豊か。DHA、EPAが豊富で成人病を防ぎ、能の老化を予防する。皮膚をきれいにし、皮膚障害を防ぐナイアシン、骨の成長やカルシウムの吸収に関わるビタミンDも多い。
    寄生虫
    食べ方・料理法・作り方
    生食(刺身、づけ、和え物、ユッケなど)、煮る(コンフィ、煮つけ)、汁(ねぎま、しょうゆ汁、潮汁、みそ汁など)
    メバチの刺身刺身 「まぐろの刺身」というとほとんどが本種のものと言ってよい。赤身、中トロ、ネギトロなど、いろんな部分を楽しみたい。秋の国産生がいちばんうまいが、安いものでも一定のうまさがある。
    マグロ茶漬けまぐ茶(マグロ茶漬け) マグロの刺身(切り身)はそのままでも、生じょうゆに漬けても、生じょうゆとみりんに漬け込んでもいい。ご飯にもみ海苔を乗せてマグロを並べて湯(お茶)をそそぐ。刺身そのままの場合はしょうゆをたらして、ふたをして少し蒸らす。漬けの場合はふたをして蒸らす。わさびなどを添えて食べると非常に美味。意外に漬けにしなくてもおいしい。
    メバチの漬け中トロづけ丼 中トロを刺身状に切り、しょうゆ、煮きりみりんに数分漬け込む。これをこのまま食べてもいいし、ご飯にのせて食べてもうまい。あまり漬け込み過ぎないのがコツ。赤身もとてもおいしい。
    メバチのぬたぬた 東京下町などに行くと、よくお目にかかるものだ。江戸甘みそ(みそはなんでもいい)に少量の煮きりみりん、少量の砂糖、酢を合わせてすっておく。これをゆでたねぎ、マグロの赤身と和えたもの。
    メバチの漬けづけ マグロの冊に湯をかけて霜降りにする。これをしょうゆ、煮きりみりん、煮きり酒、好みによっては少量の砂糖を合わせた地につけ込んで半日以上置く。これを切りつけたもの。保存性も高くなるし、刺身とは別種の味が楽しめる。
    メバチの山かけマグロの山かけ 「マグロの山芋かけ」のことだ。比較的廉価なマグロの切り落としなどに、すり下ろした山芋(大和芋)を添える。ウズラの卵や卵黄を添えるといい。安いマグロの物足りなさを山芋の味でカバーするといった風だが、実は味は2つが出合うことで倍以上のうまさになる。
    メバチのオクラ和えオクラ和え オクラ、モロヘイヤ、納豆、甘いたくわんなどメバチの安い刺身と合わせると、より味わい深くなる。安くておいしい冷凍ものなどに最適である。味つけはしょうゆとわさびでも、にんにくしょうゆでもいい。
    メバチのユッケマグロのユッケ 中骨についたネギトロをユッケのタレで和えたもの。ユッケのタレはコチュジャン、ごま油、しょうゆ、すり下ろした梨、にんにくを合わせて作った。辛いのが好きなら赤唐辛子を加えてもいい。
    メバチのコンフィコンフィ メバチマグロの筋の多い尾に近い部分を塩に漬け込むくらい強くして半日寝かせる。塩を洗い流し、粗挽きコショウをまぶしつけて少し置く。これをローリエ、ディルなどを沈めたオリーブオイル70度くらいで数時間ほど煮る。軟らかくて身は繊維に沿ってほぐれる。このまま食べてもいいし、またパンなどに挟んで食べてもいい。
    メバチのあら煮あら煮 血合いの部分や筋の多い部分をしょうゆ、みりん、酒であっさりと甘辛に煮たもの。血合い部分は適宜に切り、湯通しして氷水に落として血液などを取る。よく水分を切ってから煮るときれいに出来る。
    メバチのみそ煮込み筋のみそ煮込み 尾や頭部に近い部分の筋を集めて、みそ仕立てで煮たもの。筋は一度湯通し、氷水に落とし汚れなどを取り、よく水を切っておく。みその地はみそ、酒、砂糖、水で味を加減しておく。これで筋を煮込む。しょうがをたっぷりきかせておくと非常にうまい。
    メバチの目玉煮目玉煮 目とその奥の筋肉などをしょうゆ、みりん、酒、砂糖で煮たもの。目の周辺は脂が強く、煮ると溶ける。このトロトロ感は好き嫌いが出そう。
    メバチのなぎま汁ねぎま鍋 江戸時代からある汁(鍋)である。しょうゆ、みりんなどで味つけした汁で脂のある部分と一本ねぎ(白ねぎ)を煮ながら食べる。汁として椀に入れて供してもうまい。マグロから出て来ただしでねぎを煮るのだけど甘辛の野卑な味つけが向いている。気取った味つけは下の下だ。
    メバチのポシェポシェ 市販のハーブブイヨンと少量の白ワイン、月桂樹の葉(ローリエ)、アニスシード、コショウ、などを合わせた地で沸騰させない程度に熱を通したもの。身を取り出し、煮汁を味見、塩を適宜足し、一度こす。これを少し煮つめてソースにする。香りのある野菜などと盛り合わせてソースをかけ回して出来上がり。ライムなど柑橘類などを搾りながら食べる。
    メバチのあらと焼き豆腐の煮込み汁あらと焼き豆腐の煮込み汁 骨のついた部分や中落ちの身、尾近くの筋だらけの部分を、しょうゆ、みりんで味つけした汁で煮たもの。主役はマグロだが、一緒に煮た豆腐が最高にうまい。簡単に安くできる割りに味が上級である。
    メバチのみそ汁みそ汁 江戸時代などもマグロが揚がったら、まずはみそ汁にしたのだと思う。骨付きの部分や脂のあるところを湯通し、氷水に落として血液や汚れを落とす。こうするときれいな汁になる。これを水(昆布だし)で煮だしてみそを溶く。白ねぎでもわけぎやニラ、白菜でも加えるといい。
    メバチの和風ハンバーグ和風ハンバーグ 尾の部分や中落ちについた身、また脂があるが筋の多い部分を集めて、細かくたたく。ねぎ(玉ねぎのみじん切りを炒めたものでも)、塩コショウ、溶いた小麦粉を加えてねる。これをハンバーグ状にしてソテーする。ハンバーグを取り出して、フライパンにみりん、しょうゆ、少量の砂糖、しょうがの搾り汁を加えてタレにする。
    メバチのほおのステーキほおのステーク ほお肉が手には入ったら、生でも食べられるが、ソテーするとおいしい。塩コショウして小麦粉をまぶしてソテー。ごま油でソテーすると韓国風になる。火が通ったら、取り出して置く。火を消してフライパンに酒、みりん、しょうゆ、砂糖などを入れてまた火をつける。これを少し煮つめてにんにく、しょうがなどのおろしたものを加えて、またマグロのほおを戻して絡める。
    メバチの竜田揚げ竜田揚げ 安い切り身やブツをしょうゆ、みりん、酒の地につけ込み。漬け地にはにんにくやしょうがをきかせておくといい。片栗粉をまぶして焦げないようにじくりと揚げる。筋の多い部分や生食できない加熱用のマグロを使ってもいい。またカレー風味やコショウを利かせてもおいしい。
    メバチののしょうゆ飯マグロのしょうゆ飯 静岡県や和歌山などで教わった「しょうゆ飯(炊き込みご飯)」を自宅で簡単にできるようにアレンジしたもの。切り落としの身は一度湯通しして、冷水に取る。こうすると炊飯しているときにアクが出ない。水分をよく取り、生じょうゆと少量の酒のなかに漬けておく。普通に水加減した米にマグロの身をつけ汁ごと入れて炊飯する。
    メバチのホルモン煮込みホルモン煮込み マグロのホルモンとも言えそうな肝、胃袋、血合いなどをみそ仕立てで煮込んだもの。ホルモンは適宜に切り、軽く湯引きして氷水に落として付着している筋肉や汚れを取る。これをみそ、酒、砂糖、水の地でじっくりと軟らかくなるまで煮る。
    メバチの胃袋の湯引き胃袋の湯引き マグロの産地などに行くと売っているのが内臓だ。なかでも胃がもっとも使いやすい。いちばん簡単な料理は塩ゆでである。あまりゆですぎると固くなるので要注意。輪切りにして酢みそなどで食べると、シコシコとした食感が好ましく美味。
    好んで食べる地域・名物料理
    日本全国。

    メバチのあつめしひゅうが(あつ飯) ゴマをすり、卵黄を合わせて、しょうゆ、みりん、砂糖などで味つけ。ねぎなどを加えたものにマグロの赤身を漬け込む。これをご飯にのせて食べる。またお茶をかけて食べてもおいしい。[大分県津久見市保戸]。『酒と肴の文化地理 大分の地域食をめぐる旅』(中村周作 原書房)
    加工品・名産品

    シーチキンL かたまり状(チャンク)もの。「L」は「ライトミート」の略。[はごろもフーズ 静岡県静岡市清水区]
    マグロのオイル漬け缶 輸入物も国産各社もある。
    まぐろチャーシュー 原料はキハダマグロとメバチマグロ。味つけした真四角のマグロを焼いたもの。魚臭さがなくて、万人向きの味でとてもおいしい。[焼津中央水産 静岡県焼津市]
    マグロのうま煮 メバチ、キハダマグロを使ったもの。ゴマなどが入った甘辛い味つけの総菜。[潮宝食品 静岡県葵区]
    釣り情報
    関東相模湾などでは若魚をルアーや生き餌、疑似餌などで釣る。
    歴史・ことわざ・雑学など
    参考文献・協力
    『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『魚類学 下』(落合明、田中克 恒星社厚生閣)、『栄養学総論』(飯塚美和子、寺田和子、奥野和子、市川芳江、保屋野美智子 南山堂)、『おさかな栄養学』(鈴木たね子、大野智子共著 成山堂書店)、『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)
  • 主食材として「メバチマグロ」を使用したレシピ一覧

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