SL 50cmほどになる。縦扁する(縦に著しく平たい)。やや細長い楕円形。口が大きく尾鰭は後縁が丸い。底曳網で漁獲などされると裏面、ときに表面も内出血したよううに赤くなる。
アカガレイの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)



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魚貝の物知り度
★★★
知っていたら通人級食べ物としての重要度
★★★
一般的(流通量は普通)味の評価度
★★★★
非常に美味
分類
硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系カレイ目カレイ亜目カレイ科アカガレイ属外国名
Flathead flounder学名
Hippoglossoides dubius Schmidt,1904漢字・学名由来
漢字 赤鰈 Akagarei
由来・語源 血がにじんだように赤いカレイ。
カレイの漢字/鰔(和漢三才図会には淡水魚の1種とある。またタラのことでもある)、王余魚(和漢三才図会に間違いとある)地方名・市場名
生息域
海水魚。水深40-900mの砂泥地。
北海道全沿岸、青森県〜対馬海峡の日本海沿岸、青森県〜福島県の太平洋沿岸。
渤海、黄海、朝鮮半島南東岸、サハリン。生態
■ 産卵期は晩秋から春。北ほど遅くなる。
■ 水深40メートルから900メートルに棲息。クモヒトデや環形動物を食べている。
■ クモヒトデ、甲殻類、腹足類(巻き貝)などを食べている。
■ 成長は1歳で10センチ(前後以下略)、2歳で15センチ、3歳で20センチ、5歳で27センチ。6歳で30センチ。寿命は15年ほど。基本情報
日本海、東北北海道でまとまってとれ、古く関東では庶民的なカレイだった。食堂になど入ると少し高いが「アカガレイの煮つけ」ということもあった。
定番的な魚なので家庭にもしばしば登場していたはず。今でもやや高価ではあるが、切り身が並んでいることも多い。
この切り身を買い求めて手軽に「カレイの煮つけ」というのがとても魅力的である。水産基本情報
市場での評価 秋から春にかけて入荷してくる。特に寒気に多い。小さいものは手頃だが、大きいものはなかなか高い。卸値でキロあたり1000円以上、ときにキロあたり1800円前後になる。小売店では立派な高級魚といえそう。
漁法 底曳網、刺し網
主な産地(カレイ類として) 北海道、福井県、島根県、兵庫県、福島県、宮城県、山口県
ブランド越前がれい●福井県越前町をはじめ県内で活け締め、神経抜きしたもの。煮つけや塩焼き用のアカガレイに生食という用途を付加した。
選び方
触って硬いもの。消費地(一般流通)では裏を返して赤いもの。高鮮度化したものは色よりも触って張りがあり透明感のあるもの。いずれにしても鮮度が悪くなると赤身が消える。
味わい
秋から冬が旬。
関東では子持ちを喜ぶ。
粘液がある。鱗は細かく取りやすい。皮は厚みがあり強い。骨はあまり硬くない。
透明感のある白身で、熱を通しても硬く締まらない。まったくクセのない上質の白身。皮などにゼラチン質がある。栄養
栄養(カレイ類共通)/脂質が少ない、アミノ酸価が高く特に遊離アミノ酸のタウリンが多い。ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンDが豊富。寄生虫
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
アカガレイの料理法・調理法・食べ方/生食(刺身、カルパッチョ)、煮る(煮つけ、浜いり)、塩焼き、ソテー(ムニエル)、揚げる(唐揚げ、フライ)クリックで閉じます
アカガレイの刺身 鮮度がよければ刺身にして非常に美味。近年は活魚や活け締めのものも増えているので関東などでも刺身が楽しめる。血合いが赤くないのは残念ではあるが、うま味が強く、鮮度がよければ食感もいい。カレイのなかでも最上級だと思う。
アカガレイの煮つけ 都内では上等のカレイの煮つけというと本種であることが多い。水洗いして湯通し、冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。これを東京風(日本各地でこうである可能性がある)に、しょうゆと砂糖の味つけで煮る。煮てもあまり身が縮まず、甘味があって非常にうまい。真子もおいしい。野菜や豆腐と煮てもいい。クリックで閉じますアカガレイの塩焼き 焼くと皮目の独特の好ましい香りが楽しめる。水洗いして適当に切り、塩をして1時間くらい置く。これをじっくりと焼き上げる。都内では比較的切り身などで売っているので、今でも定番的なものだと思う。クリックで閉じますアカガレイのムニエル 水洗いして切り身にして塩コショウ、小麦粉をまぶして多めの油でじっくりとソテーする。仕上げにバターを加えて風味づけする。皮がぱりっと仕上がるうえ、上質の白身でバターとの相性がいい。いい味わいでパンなどに合う。クリックで閉じますアカガレイの唐揚げ 小型や比較的鮮度の悪いものなどは唐揚げにするといい。ここでは五枚下ろしにして別々にじっくりと二度揚げしたもの。骨まで余すところなく食べられる。クリックで閉じます好んで食べる地域・名物料理
日本海ではともかく、太平洋側では東日本でよく食べられている。
刺身 福井県越前町のアカガレイの漁期は9月から2月。地元の民宿などではこれを刺身にして出す。他にも産地では刺身のおいしさが知られている。[福井県丹生郡越前町、石川県鳳珠郡能登町宇出津]
天神講の焼きがれい 福井では天神講(初天神、1月25日)に焼きがれいを天神さん(菅原道真)の床の間に供え、お下がりを食べる習慣がある。お下がりを食べると頭がよくなるといういい伝えがある。この焼きガレイはアカガレイである。近年、アカガレイを「越前がれい」という。[福井県福井市福井中央魚市で聞き取る]
浜いり(はまいり)、塩いり(しおいり) 塩水でゆであげたアカガレイ。やや強めの塩で保存食になる。[石川県加賀市塩屋、福井県坂井市三国町]
子まぶり ゆでた卵を刺身にまぶす。[兵庫県但馬地方]加工品・名産品
ーアカガレイの干もの 意外に少ないのがアカガレイの干もの。加工食品にするには値段が高いためだろう。これを福井県では丸干しにしている。クリックで閉じますアカガレイの温泉かれい 小振りのカレイを上下に開いて、中骨を取り塩味をつけて干し上げたもの。骨がなくて食べやすく温泉地などの朝食につけるのに適していて、人気が出たもの。これで「温泉ガレイ」となった。福井県、島根県などで作られている。[ヤマヒラ商店 福井県丹生郡越前町]クリックで閉じますアカガレイの醤油干し 魚にしょうゆ味を漬け込んで干すのは福井県ならでは。やや淡泊なところにしょうゆの風味が加わってなんともいい味だ。[大沢商店 福井県小浜市]クリックで閉じます浜いり 福井県、石川県で作られている。魚を少量の塩水で煮て、一度煮汁を捨て、から煎りして水分を飛ばしたもの。本来は家庭料理であるが、近年では鮮魚店などで作られている。加賀市塩屋クリックで閉じます釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
協力/合同水産(福井県福井市)、福井中央魚市(福井県福井市)
『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『魚類学 下』(落合明、田中克 恒星社厚生閣)、『新北のさかなたち』(水島敏博、鳥澤雅他 北海道新聞社)、『島根のさかな』(島根県水産試験場 山陰中央新報社)、『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)、『商用魚介名ハンドブック』(日本水産物貿易協会編 成山堂)、『但馬の美味しいお魚図鑑』(たじまの魚 新商品・新メニューの開発チーム 但馬水産事務所)