40cm SL 前後になる。体高は体長の2分の1で体高が高い(幅が広い)個体が多い。有眼部は茶色の個体が多いが、黒っぽい個体もいる。無眼部(裏側)は白い。口は非常に小さい。眼と眼の間から、頬部の鱗は突起のある鱗と円鱗、櫛鱗(棘がある鱗)が混ざる上枝鰓耙数は3以下(写真のものはすべて2)。背鰭・尻鰭の有眼部・無眼部に褐色の帯がない。[茶色い個体・根室産 27cm SL・509g]
アサバガレイの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
-
珍魚度・珍しさ
★★
少し努力すれば手に入る魚貝の物知り度
★★
これは常識食べ物としての重要度
★★★★
重要味の評価度
★★★
美味
分類
顎口上目硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系カレイ目カレイ亜科カレイ科シュムシュガレイ属外国名
学名
Lepidopsetta mochigarei Snyder, 1911漢字・学名由来
漢字 浅場鰈、浅羽鰈 Asabagarei
由来・語源 比較的低い海水温の浅い海域にいるためだと思われる。
■物類称呼に〈江戸にて云霜月びらめを 越後の糸魚川にて○あさばとなづく〉など。
■田中茂穂は〈東京でアサバ、北海道稚内方面でロスケガレイと云う〉と記している。北海道の各地、福島県小名浜でも「あさば」なのでこの呼び名は産地での呼び名が消費地で使われた例。
■学名「mochigarei」は田中茂穂も関わっている種小名。標準和名にモチガレイを提唱されたこともある。Snyder
ジョン・オターバイン・スナイダー(1867-1943 アメリカ) 魚類学者。スタンフォード大学の魚類学教授。『日本魚類目録(A catalogue of the fishes of Japan)』を田中茂穂、David Starr Jordanとともに作る。地方名・市場名
生息域
海水魚。水深50-100mの砂泥地。
北海道全沿岸、青森県〜福島県の太平洋沿岸、青森県〜富山県までの日本海沿岸、若狭湾、兵庫県香住。
朝鮮半島東岸中部〜沿海州の日本海沿岸、千島列島、オホーツク海南部。生態
産卵期は12月〜6月。北に行くほど遅い。
1年で6センチ、2年で14センチ、3年で18センチ、4年で22センチ、5年で25センチ。
雌の最大体長は40センチ。基本情報
福島県・富山県以北、オホーツク海に生息する。春から初夏に北海道から大量に入荷してきて、安い。また、ときに冷凍加工される。スーパーなどで「アメリカ産アサバガレイ」とあるのは近縁種のシュムシュガレイか本種なのかは不明。どうやら「アサバガレイ」という言語が北の安いカレイという意味合いで使われているようだ。
量の盛期である春から初夏、東京など関東では流通の場でも小売店でも見かける機会が増える。
珍魚度 至って普通の食用魚。春から初夏にかけて手に入れやすい。水産基本情報
市場での評価 入荷量は多く、鮮魚、ヘッドレス、冷凍などと多彩。子持ガレイとして売られていることが多い。値段は安めで安定している。
漁法 底曳き網、刺し網
産地 アメリカ、北海道選び方
ヘッドレス、鮮魚とも触って硬いもの。卵巣がとけだしていないもの。味わい
旬は晩秋から初夏。
鱗が小さく薄く取りやすい。皮はしっかりしている。骨は柔らかい。
さらしたような白身で水分が多く、クセがない代わりにうま味も少ない。
熱を通しても身は硬く締まらない。骨などからいいだしが出る。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
アサバガレイの料理・レシピ・食べ方/煮る(煮つけ)、ソテー(バター焼き、ムニエル)、焼く(塩焼き)、揚げる(天ぷら、フライ)クリックで閉じますアサバガレイの煮つけ
アサバガレイの煮つけ(子持ちがれいの煮つけ) 考えてみると、珍しい魚はだれでも調べられるが、普通の魚は非常に調べるのが難しい。食堂でカレイの煮つけを食べると、種類を聞くと、かなりの確立でアサバガレイなのだ。関東では明らかに基本的な煮つけ用のカレイである。
家庭で作る場合は丸のままを買って来て下ろしてもいいが、ドレスやフィレでもで売られているので、そちらの方が簡単かも。適当に切って湯通し、冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。これを野菜と一緒に酒・砂糖・醤油・水で煮つける。写真は酒・砂糖・たまり醤油・濃口醤油の味つけで、ごぼう、鴨なすと一緒におかずとして煮た。甘っ辛くてご飯がすすむ。
アサバガレイのフライ 水洗いして五枚に下ろす。皮を引いて水分をよくきる。塩コショウして小麦粉をまぶし、溶き卵をくぐらせてパン粉をつけて短時間高温で揚げる。くせのない白身で柔らかい。魚自体に味はないもののフライ材料としては優れている。美味。クリックで閉じますアサバガレイのフライ
アサバガレイの天ぷら 水洗いして五枚下ろしにする。白い方、無眼部を使う。切り身にして振り塩をする。少し寝かせて表面に出て来た水分をよく拭き取る。隠し味で少量のカレー粉をふり、小麦粉をつけ、衣をまとわせて強火で短時間揚げる。表面はさくっとして中は豊潤、嫌みのない味だ。クリックで閉じますアサバガレイの天ぷら
アサバガレイの唐揚げ 切身を買って来て、表面の水分をていねいに取る。ラップをしないで半日、冷蔵庫に入れてもいい。揚げやすいように切れ目を入れて、片栗粉をまぶして、じっくりと二度揚げにする。揚げたてに塩コショウ(カイエンヌペッパーやヒバーツなどでもいい)を振る。表面はさくっと香ばしく、中はしっとりと甘みがある。クリックで閉じますアサバガレイの唐揚げ
アサバガレイのムニエル 水洗いして前後2つに着る。切り身はそのままを使う。できれば頭部に近い方ではなく尾に近い薄い方がやりやすい。塩コショウして小麦粉をまぶして多めの油でじっくりとソテー、仕上げにバターで風味づけする。水分が多くうま味が少ないところをバターなどがカバーしてくれる。醤油をたらすとご飯に合う。クリックで閉じますアサバガレイのムニエル
好んで食べる地域・名物料理
加工品・名産品
釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『新北のさかなたち』(水島敏博、鳥澤雅他 北海道新聞社)、『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年)、『北海道の全魚種図鑑』(尼岡邦夫、仲谷一宏、矢部衛 北海道新聞社)